Operationalizing and Communicating Value (OCV)

 

 

実質的にアライアンスマンチェスタービジネススクール(AMBS)のGlobal MBAで初めて受講したコース(科目)です。

Global MBAの全体スケジュールの中では本来、別のコース(Leading & Managing in a Global Environment: Part A)を最初に受講するようデザインされています。ただ2020年7月入学生の1ターム目は新型コロナの影響でface-to-faceのワークショップを開催できない見通しだったため、次ターム(21年1月期)に遅らせることが選択できるようになっていました。半年後には状況が改善してface-to-faceで授業を受けられるかもしれない、という期待があったわけですが、結果的には半年後も状況は変わらず(地域によってはより悪くなっていて)結局、バーチャルワークショップになりました。

 

 

 

  コース概要

 

さて、コース名からは読み取りづらいのですが、OCVは一言で言えばオペレーションマネジメント+マーケティングの授業でした。

オペレーションマネジメントとは、サービスの提供もしくはモノの生産にあたって、資源のインプットからサービス/製品のアウトプットまでに関わる種々の価値創造活動に焦点を当てたもので、マーケティングは顧客/消費者に利益をもたらす価値をいかにサービス/製品に付加するかに焦点を当てたものです。

 

 

なぜこのそれぞれが重要で1科目になり得るテーマを1つのコースにしているのか、導入の説明を聞くまでピンときませんでした。授業を聞き進めていくうちに感じたのは、オペレーションとマーケティングは企業のなかで独立して機能するのではなく、相互補完すべきもので、その2つ機能が関わることの重要性を学ぶようにコース設計がなされている、ということでした。

 

 

わたしは、日系のB to Bメーカーでの勤務経験しかないので想像の部分もあるのですが、一般的に日本企業と海外企業(特に欧米のMNC)を比較すると海外の企業は機能別に分かれた組織の独立性が高く、また日系企業はマーケティング部門の影響力が弱いと思います。したがって個人的にそこまでマーケティングとオペレーションの不和を感じたことはないのですが、マーケティングがいかに的確に顧客層を絞り、ターゲット層にとって魅力的な(期待以上の利益を得られる)価値あるサービス/製品を提案したとしても、それを実現するためのオペレーションをどうするのか(実現できるのか)まで考慮しないと企業として成功し続けることは難しいということなのだと理解しました。

 

 

例えばですが、マーケティング部門はカスタマイズ製品のニーズがあると結論づけたとしても、製造(オペレーション)の立場からすれば一般的に1つの製品を作り続ける方が効率は良いわけで、サプライチェーン(オペレーション)から見ても一般論としては調達する原材料の種類は少ない方が管理はしやすくなります。そのバランスを取って、フルカスタマイズではなく部分カスタマイズ(パターンオーダー)にして、生産ラインは共通部品は大量生産に向く連続生産のライン型に、カスタマイズ部品はセル型にレイアウトすることができるかもしれません。もしくはフルカスタマイズを実現するため、部品は全て社外からの調達にして自社は組み立て特化したレイアウトにするのも考えられます。

 

 

とはいえ、まずはマーケティングはマーケティングで基本的な理論、フレームワークを学び、オペレーションについても同様でした。その上で全体を把握できる人材となるべく企業内の各機能がどのように関連するかを学べる面白い授業でした。

 

 

  ワークショップ

 

ワークショップはバーチャルという扱いでしたが、シンガポール在住者はシンガポールにあるサテライト教室にグループごとに集まってそこからオンライン参加するという形式でした。ですので誰かのラップトップをテレビにつないで講師の話はテレビで、グループワークはface-to-faceでできました。

 

わたしはシンガポーリアン3人(中華系:2人、パキスタン系:1人)、シンガポール在住の中国人1人と同じグループになりました。グループ課題パッケージフードの新製品の発売する、というものでした。グループでどのような製品にするか、どの地域(国)で発売するかなど、マーケティングとオペレーションマネジメントの両方の観点から考え、発表するという内容です。

自分たちは健康スナック(ポテチ)をシンガポールで販売する、という前提で、どのようなターゲット顧客層にどのような原材料を使って、どのようなパッケージ(デザイン、サイズ)で、どこで製造して、製造のレイアウトをどうして、どのような販売チャネルを活用して・・・に始まり、どのように現場の改善活動を維持するか、どのようなリスクがあってそれをどのように低減するかまで色々な観点からアプローチしてプレゼンを行いました。

 

恥ずかしながらそれまであまりオンラインで共同作業した経験がなく、1つのパワーポイントをみんなでシェアしながら作業することに(できることに)めちゃくちゃ驚きながらもそれを隠してせっせと作業に取り組みました。自分の今までの経験ではあまりなかったなーと感じたのは、みんなで方向性決めた後はじゃあこの部分は誰、そこは誰、とぱっぱと役割分担を決めてあとは各自が自分の作業に専念する、というやり方でした。

 

 

全てが初めてのことで緊張しっぱなしでしたが、今思うと初めてのワークショップがこの科目で良かった気がします。

 

 

 

  個人エッセー

 

期末の個人エッセー(小論文)は大きく分けて2つのパートがあり、1つはグループワークの内容の振り返りでした、と言っても感想文ではなく、どのような理論・フレームワークを使い、なぜそれを使ったのかもう1度同じ課題に取り組むなら、他にどのような理論・フレームワークを活用するか、それはなぜかなどの分析が求められる内容です。もう1つは自分が働いている組織(会社)についてで、その組織が競争優位性を築き、維持するためにオペレーション、マーケティングそれぞれが果たしている役割、連動している点、課題、改善点などを論ずるものでした。

 

初めての英語エッセーで、内容はともかく、引用のフォーマットをきちんと理解しておらず、ひどいスコアになりました。今思い返すと恥ずかしいのですが、引用文献を著者の苗字のアルファベット順に並べるという基本の基本(ハーバード式)を知らず、本文んで引用した順に並べてしまいました・・・

 

 

個人エッセー単体ではいわゆる赤点を取ってしまったのですが、グループワークのスコアでどうにかカバーできて単位はギリギリ取ることができました。この時に必死になって調べたおかげで、赤点の場合の救済策などについてめちゃくちゃ詳しくなりました・・・

 

 

あと、これも一般論というか感覚論ですが、日本企業はオペレーションに強みを持っている組織が多いんだろうなと再認識しました。残念ながらマーケティングの講義のなかで日本企業のケースが取り上げられることは全くなく、教科書でも読んだ覚えがないのですが、オペレーションの教科書にはトヨタ自動車がケースとして取り上げられており、「Kaizen」、「5S」などは普通に出てきます。

ちなみに5SSort(整理)、Straighten(整頓)、Shine(清掃)、Standarize(清潔)、Sustain(躾)と、英語でも5Sにまとめられていることを知り、結構びっくりしました。