「前回の続きで『書堂規則発布に関する件』について見ていくね」
「ねぇ、私立学校と書堂ってどう違うの?定義はどうなってるの?」
「私立学校は、普通教育・実業教育・専門教育あるいはそれに相当する教育を行なう学校とそれ以外の学校で民間人開設のものってことになるんだけど、書堂についての法的な定義は見たことがないんだよ…だから私立学校なのに書堂って強弁できるわけなんだろうね」
「そやから第2条で『書堂の学童数は多くも三十人を超ゑさる範囲に於て之を定めしむへく』って規模を規定しとるんやな」
「うん。それでも絶対的な拘束力を持ったものじゃないみたいだけどね。」
「ん?ちょっと待って。なのはちゃん、私立学校の説明で『普通教育・実業教育・専門教育あるいはそれに相当する教育を行なう学校とそれ以外の学校』って言ったけど、それ以外の学校ってどういう意味?」
「これは朝鮮も内地も同じで、『各種学校』という呼び方になるんだけど、たとえば予備校とか外国語学校とか各種技能を教える学校とかかな」
「今の日本で言うと、河合塾とかECC外語学院とか自動車学校、あと代々木アニメーション学院ってところやな」
「うん。大体そんな感じでいいよ。ミッションスクールもその範疇に入るんだよ」
「第4条では推奨するテキスト教材を挙げてるね」
「四書三経?四書五経やったら聞いたことあるんけど…」
「朝鮮ではね、『四書五経(四書:論語・大学・中庸・孟子 五経:易経・書経・詩経・礼記・春秋)』から春秋と礼記をカットして「四書三経」を教えるんだよ」
「ふーん。何か理由があるのかなぁ?」
「どうなのかなぁ…でも、春秋を使う書堂がないわけじゃないみたいだね。『朝鮮彙報』大正8年8月号には書堂の図書使用状況についての調査が載ってるの」
「ちょっと見づらいけど、二枚目の画像の赤枠部分に『春秋左傳』つまり『春秋左氏伝』が載ってるでしょ」
「獄長日記の合邦問題(五十六)にあるように、春秋を引き合いに出すこともあるみたいやしなぁ」
「ともかく、辛基秀が例のキャプションで書いてた『書堂規則』で書堂禁圧ってのは到底言えないよねっていうのが今回の結論だよ」
「結局、あのキャプションは妥当なものじゃないってことなんだね。これで今シリーズは終了かな」
「そうだね。でもせっかくだから、学制の変遷とか嫌論文っぽいのも少し見てみようかな」
「というわけで、もう少し続きます」
書堂規則
書堂規則発布に関する件(1)





