写経屋の覚書-なのは「さて、今回から『朝鮮進駐軍』という言葉を最初に使った言説について見ていくよ」

写経屋の覚書-フェイト「言説の出現時期については、『朝鮮進駐軍』の初出について(1)(2)(3)(4)で見たんだったよね」

写経屋の覚書-はやて「そやから、次は内容について見ていくっちゅうわけやね」

写経屋の覚書-なのは「うん。まず『南十字星』『北斗星』のそれぞれの投稿について、呼び方を決めておくね。日本会議宮城県本部の掲示板(日本会議)に2000年4月30日投稿されたものをテキストA、2000年6月9日付配信「五百羅漢ネットワーク・プロジェクト」(GNP)に掲載されたものをテキストB0、2000年6月21日付配信「JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル」(JOGW)№184に掲載されたものをテキストB1、2000年7月10日に日本会議に投稿されたものをテキストB2とするね」

写経屋の覚書-はやて「投稿の内容と時系列順で分けたんやね。そういうたら前シリーズでもAやBって言うてたなぁ」

写経屋の覚書-フェイト「テキスト全文は、A・B1・B2が『朝鮮進駐軍』の初出について(1)、B0が『朝鮮進駐軍』の初出について(2)で引用しているから、そっちをみればいいんだね」

写経屋の覚書-なのは「そうなんだけど、必要な時には逐一引用するの。というか、テキストAの記述内容の検証だからさっそく再引用するね」

 話を戻します 終戦直後、在日朝鮮人は「朝鮮進駐軍」と自称し、勝手に腕章を付けて町で占領軍人として支那兵並に暴れ回りましたから、怒った本物の占領軍によって禁止されました
 次で彼等は、戦勝國民だと称へ、就中繁華街などでは町中が鳴りはためく程の乱暴を働きましたが、再び聯合國によって然らざる旨、きっぱり否定されました

写経屋の覚書-なのは「なんというか、いきなりで悪いんだけど…だいたい朝鮮人集団が『朝鮮進駐軍』と名乗った記録はないの」

写経屋の覚書-フェイト「え?じゃぁ終了なの…でも、朝鮮人の集団不法行為があったのは事実なのかな?」

写経屋の覚書-なのは「うん。朝鮮人と台湾人、中国人は日本の支配から解放されたってことになって、それを日本の法律には従う義務がないって解釈して犯罪などの不法行為をした人たちがいたの」

写経屋の覚書-はやて「そうやんなぁ。腕章してたいうのは映画『残侠』でも出てたし、こんな記述もあるから事実やろなぁ」

その自由市場に大きな勢力を張っていたのが中国人・台湾人・朝鮮人などの第三国人であった。彼らは戦勝国意識を誇示するため腕章をつけて行動し、敗戦国日本の警察権行為を認めようとしなかった。

兵庫県警察史編纂委員会『兵庫県警察史 昭和編』(兵庫県警察本部 1975)p445

写経屋の覚書-フェイト「台湾人と中国人は別なの?」

写経屋の覚書-なのは「ポツダム宣言受諾で、日本は朝鮮や台湾を『放棄』したわけだから、別に台湾を中国(中華民国)に直接『返還』したわけじゃないの。放棄された台湾を中国が接収したって感じなんだよね。だから中国人と台湾人は別って解釈なの」

写経屋の覚書-はやて「戦勝国民意識を持ったんはわかるんけど、戦勝国民を名乗って、GHQがそれを禁じたというのはどうなんかなぁ?」

写経屋の覚書-なのは「それはあり得ない話なんだよね。GHQが朝鮮人・台湾人に対して、その立場に関係する通告を発したことはあるんだけどね。1946(昭和21)年11月20日付の「朝鮮人の地位及び取扱に関する総司令部渉外局発表」って発表なの。作者のサイトの『『戦後朝鮮人の送還について 7』でも取り上げてるけどね」

朝鮮人の地位及び取扱に関する総司令部渉外局発表
昭和21年11月20日

 日本における朝鮮人の地位及び取扱に関してある種新聞に最近現れている誤解は、明らかにする必要がある。
 占領の初期から、米国の、後には連合国の政策決定に従って、朝鮮人に対して解放国民としての待遇を与え且つその福祉のため可能なあらゆることをすることが占領官憲の政策であった。政治上の理由で拘禁されている者を刑務所から釈放し、事実上奴隷的労働者であった者を解放するため、速やかに措置が執られた。引揚計画が発議され、今日までに、不法に日本に再入国して再び送還された14,000名以上を含まずに、919,000名以上がその本国に帰還した。いま約600,000名の朝鮮人が日本にいるが、そのうち約75,000名が引揚を請求している。日本官憲は、朝鮮人がどのようにも差別待遇されないように厳重な訓令を受け又、占領官憲はこれらの指令が完全に実施されるのを確めるためたえず努力を払っている。
 警察官憲によって、罪を犯したとして告発された朝鮮人は、占領官憲によるその訴訟事件の審査によってさらに保護が与えられている。不法ヤミ取引又は他の犯罪活動に従事する他のすべての者に対すると同様に朝鮮人に対してももちろん、訴追が行われている。
 この司令部が昭和21年12月15日より後に日本に残留する朝鮮人は日本の市民権を獲得しなければならないという命令を最近出したという新聞報道は、まったく不正確である。占領官憲は、市民権の保持、放棄または選択に関するいかなる国籍のいかなる者の基本的権利にもどのようにも干渉する意図を有しない。昭和21年10月16日付で、この司令部は、日本にいる朝鮮人で従前北緯38度以南の居住者であったものの引揚は引揚計画にしたがうことをすでに拒絶した者を除いて昭和21年12月15日以前に完了すべき旨を述べた覚書を日本政府に対して発した。引揚を拒絶してこの国に留ることを選んだ朝鮮人は、日本に引き続き居住すればかれらがすべての適当な地方的の法律及び規則に服しなければならないということを充分承知の上で選択するのである。適当な地方的の法律及び規則の遵守の義務を朝鮮人に免除するような在日朝鮮人に有利な差別待遇は、一種の治外法権を創造することになるであろう。これは、いかなる観点からも是認されないであろうし、又、他の諸国において治外法権のこん跡を廃止しようとする最近数年間の諸連合国政府の行動に照して、連合国の一般政策に反するものであろう。

『在日朝鮮人管理重要文書集』外務省政務局特別資料課 1950 湖北社復刊 1978)


写経屋の覚書-フェイト「なんだか難しい文章だけど、「引揚を拒絶してこの国に留ることを選んだ朝鮮人は、日本に引き続き居住すればかれらがすべての適当な地方的の法律及び規則に服しなければならない」というのがポイントだよね」

写経屋の覚書-はやて「普通に日本の法令に従わなあかんって言うとるんやね。『戦勝国民』と名乗って、それを否定されたんと(ちゃ)うんやん。要するに、朝鮮人が不法行為をした、腕章の話っちゅう確認できる事実と、『朝鮮進駐軍』と名乗ったとか戦勝国民の名乗りをGHQに否定されたとかいう妥当やない言説が混合されとるんやな」

 如何なる名乗りであらうと、朝鮮人は大暴れしました はっきり申しますが、高齢の邦人女性が朝鮮人と結婚したのは全て強姦されたものと思って先づ間違ひ無く、だから誰もなれそめなどに触れません

写経屋の覚書-フェイト「……何これ?」

写経屋の覚書-なのは「大正末期以降、内地への朝鮮人流入が多くなって、内地人女性との結婚も多くなっていっているんだけどねぇ…「全て強姦されたものと思って先づ間違ひ無く」ってというのは、あまりにも乱暴というか粗雑な話だよねぇ」

 最も大々的に行はれた犯罪行為は、空襲で焼け野が原になった空地の不法占拠です 余りにも頻發するので、わざわざ刑法改正して「不動産侵奪罪」を新設したくらいです 現在駅前一等地で朝鮮人が営業してるパチンコ屋、焼肉屋は斯る來歴のものです

写経屋の覚書-はやて「こういうのはよう聞く話やなぁ。駅前の一等地は戦災のドサクサにまぎれて不法占拠されたいうて」

写経屋の覚書-なのは「まぁ、不法占拠が多発したことは事実で、大阪府警察本部長の鈴木栄二も書いているんだよね」

 軍政部がこのヤミ市閉鎖に非常な熱意をもつていた大きい理由の一つにも、ヤミ商人の公然たる土地不法占拠の事実があつた。ヤミ商人がめつたやたらに公道や、公有地に一夜造りのバラックを構え、また人の私有地であつても、そこの管理人や地主の承諾など全くなしでのさばつている違法、というより法の存在を公然無視した行為は断じて許し難い。終戦前は繁華街だつた難波心斎橋筋はじめ市内各地の焼跡なども同様で、地主の承諾を得ないままで本式建築物やバラックを建てて、地主が建物のとりのけや、立退きを要求すると逆に法外な立退き料や賠償金を吹つかけ、ひどいのになると実力沙汰で暴行脅迫をする。その立退き料や賠償金がまた当時の金で数万円から数十万円(現在の金に換算するとそれの二十倍以上)という法外なもので、先祖伝来の土地をみすみす他人に占領されながら、泣き寝入りするものも少くはなかつた。もつとも悪辣な例としては、他人の土地に無断で建物を建てておきながらこれを高い値段で他人に譲るという手で、つぎつぎとこの手でバラックを建てては、売りさばく台湾省民もあつた。
地主に対する脅迫の悪質なものでは、地主がこれらのボス達に拉致されて、莫大な立退き料を要求されるなどという事件も起つたほどだ。ことに不法占拠のやり方がまた驚き入つた無法者流で、簡単なバラックを一夜のうちに急造して、地主の気ずいたときにはもう営業が始つているという調子。この不法占拠者には第三国人が多く、そのほとんどが中華民国人か台湾省民であつた。

鈴木栄二『総監落第記』(鱒書房 1952)p17~18


 さらに、もう一組、実力制覇をほしいままにした集団に、土地を不法占拠したまま店をはる、暴力的な闇商人の一群があった。(中略)また取引をめぐっても、恐かつ・暴行による強盗まがいの不法が絶え間なかった。まさに恐怖ととなりあわせの無法地帯であり、おまけにこの闇商人の中に、当時、第三国人といわれた台湾省民や中国人、朝鮮人が加わっていたことが、民衆の感情をよけい複雑にさせた。

大阪・焼跡闇市を記録する会『大阪・焼跡闇市:かつて若かった父や母たちの青春』(夏の書房 1975)p213~214


写経屋の覚書-フェイト「『大阪・焼跡闇市:かつて若かった父や母たちの青春』は『総監落第記』を、ほとんどそのまま転載しているみたいだね」

写経屋の覚書-なのは「但し、不法占拠者が100%朝鮮人ってわけじゃないしね。あと、不動産侵奪罪の制定も1952(昭和27)年12月の「梅田村事件」がきっかけになって制定されたわけだし、大筋では間違ってはいないね」

写経屋の覚書-はやて「梅田村?大阪の梅田なん?」

写経屋の覚書-なのは「うん。今の丸ビルとか駅前第一ビルのあるあたりでの事件なの。12月29日、吉本晴彦って人が、所有地の大阪市北区梅田町4番地に40数人で乗り込んでバラック建造物を破壊したの」

写経屋の覚書-フェイト「え?自分の所有する土地に乗り込んで建造物破壊?」

写経屋の覚書-なのは「梅田親交商店街組合の米原喜三郎って人が不法占拠していて立ち退き要求に応じないからっていうのが言い分なんだよ。米原が建造物毀損罪で吉本を訴え、第1審は原告勝訴したんだけど、控訴の結果、1956(昭和31)年12月11日、不動産窃盗を目的とした土地不法占拠とそれに対する正当防衛であるという解釈で吉本被告の無罪が確定したんだ」

写経屋の覚書-はやて「それにしたかてえらい乱暴な話ちゃうん?」

写経屋の覚書-なのは「裁判資料を読んだらわかるんだけど、原告のほうが悪質だったんだよ。口約束で借りていた土地に、立ち退き要求防止のために25日深夜から26日未明にバラック小屋14戸を急造したんだけど、28日以降は裁判所や官庁が年末休みに入って手を出せなくなるって読みもあっての行動なんだよねぇ」

写経屋の覚書-フェイト「だけど、結局被告のほうが裁判で勝ってよかったね」

写経屋の覚書-なのは「そうだね。裁判に興味のある人は、前田信二郎『不動産窃盗の実証的研究』(有斐閣 1960)を読むといいと思うよ。で、この判決の結果、不法占拠の実態調査が全国的に広まって、不動産侵奪に対しては刑法上の規定を制定するべきだって提起がされたんだよ。結局1960(昭和35)年5月に衆参両院で『不動産侵奪罪』が可決して制定公布されたの」

写経屋の覚書-はやて「…これまでの流れやと、だからというて駅前のパチンコ屋・焼肉屋が全部そういう経緯でできたとは言えへんの(ちゃ)う?ってなるんやろ」

写経屋の覚書-なのは「そういうこと。全部が全部そうだとは言えないし、日本人だってそういうことやってた人がいないわけじゃないしね。今回はここまでにして次回に続くね」

映画『残侠』―『朝鮮進駐軍』検証―
『朝鮮進駐軍』の初出について(1)
『朝鮮進駐軍』の初出について(2)
『朝鮮進駐軍』の初出について(3)
『朝鮮進駐軍』の初出について(4)

写経屋の覚書-はやて「今回は『府令第百十号 駅屯土売払処分に関する件』を見るんやんなぁ。早よ本文に行こ!」

写経屋の覚書-フェイト「はやてちゃん、ずいぶんはりきっているねー」

写経屋の覚書-はやて「そら、前回、あんなとこで終わられたさかいなぁ。なのはちゃん、早よ早よ」

写経屋の覚書-なのは「っと、そんなにあわてないで…じゃ、府令の本文行くね」


写経屋の覚書-官報19200813_03

朝鮮総督府令第百十号
駅屯土売払処分に関する件左の通定む
  大正九年八月三十日          朝鮮総督府 男爵斎藤実
第一条 有料貸付の駅屯土は本令に依り道知事之を売払ふへし但し左の各号の一に該当する土地は此の限に在らす
 一 溜池 堤堰、洑を含む
 二 火田
 三 鉱泉地
 四 国有未墾地利用法に依り処分するを適当とする土地
 五 朝鮮総督に於て政府の用に供し又は朝鮮官有財産管理規則第五条第一項乃至第六号の規定に依り払下又は貸付の必要ありと認むる土地
第二条 駅屯土は垈に在りては朝鮮官有財産管理規則第五条第七号の規定に依り其の借受人に、其の他の地目の土地に在りては駅屯土特別処分 令第二条第三号の規定に依り其の借受人に売払ふへし
 借受人前項に依り売払を受くるの意なきときは競争入札に依り売払を為すへし
第三条 駅屯土の借受人借受地の売払を受けむとするときは其の借受地の所在を管轄する府尹、郡守、島司を経由して道知事に願出つへし
第四条 第二条の規定に依り駅屯土の売払契約を締結せむとするときは左の条件を附すへし
 一 売払代金は売払契約の年度以降十年度間に毎年度其の十分の一に相当する額を其の年十二月中に納付すへし但し垈の売払代金に付ては納 付期間を短縮することあるへし
 二 災害または天候不順に因り土地の収益著しく減少したるときは前号の分納年数を延長することあるへし
 三 売払地の所有権は売払代金を完納したるときに於て払受人に移転す
 四 売払代金を完納する年度迄は所定の貸付料を納付すへし
 五 左の各号の一に該当する場合に於ては売払契約を解除す
  (一)許可を受けすして売払契約に因り生したる権利を譲渡したるとき
  (二)借地権を譲渡したるとき
  (三)許可を受けすして借地権を転貸したるとき
  (四)売払地を荒廃に帰せしめ又は荒廃に帰せしむる虞あるとき
  (五)売払代金又は貸付料を納めさるとき
  (六)天災に因り土地の形状を変しまたは著しく作土を害したる為無収益地となり復旧の見込なきに至りたるとき
  (七)公用又は公共の用に供する為必要あるとき
  (八)土地収用令、朝鮮鉱業令其の他法令の規定に依り売払地を収用又は使用せらるるとき
 前項の規定に依り契約を解除したる場合に於ては前項第五号の(六)乃至(八)の場合を除くの外既納の売払代金を還付せす
   附則
本令は発布の日より之を施行す

写経屋の覚書-はやて「貸付契約中の駅屯土を払い下げるねんな。あ!そやから、府令109号の第1条で『大正九年朝鮮総督府令第百十号に依り売払契約を締結したる垈以外の地目の土地に付ては左の割合に依り貸付料を収納す』って書いてたんや!」

写経屋の覚書-フェイト「第1条で『有料貸付の駅屯土は本令に依り道知事之を売払ふへし』ってあるから、駅屯土は全部払い下げるってことになっちゃうよね?」

写経屋の覚書-なのは「うん。それと第2条を見れば、借受人が駅屯土の払下を受ける意思がないときは入札で売払を実施するってあるから、貸付契約中の駅屯土を売払うのが前提ってことがわかるよね」

写経屋の覚書-フェイト「現に貸付契約を締結して駅屯土を借りている借受人に売払うことが本来の狙いなんだね」

写経屋の覚書-なのは「第4条を見ると売払代金について細かく規定しているよ。まず第1項は、毎年12月に売払代金の10%を納付すること。10年かけて完納ってこと」

写経屋の覚書-はやて「10年ローンってやっちゃな」

写経屋の覚書-なのは「正確に言うとちょっと違うよ。第3項で規定されているように売払代金の完納を以て所有権が払受人に移転するわけだから。それに利子のつく年賦じゃなくてただの分納だし」

写経屋の覚書-はやて「そうか、ローンやったら利子もつくし所有権が先に購入者に移転するもんなぁ。ちゅうことは、売払代金を完納するまでは貸付契約が有効ってことになるん?」

写経屋の覚書-なのは「そうなの。だから第4項で『売払代金を完納する年度迄は所定の貸付料を納付すへし』って規定されているの」

写経屋の覚書-フェイト「ってことは毎年売払代金の10%と貸付料を払わないといけないってことだよね?すごい負担になるんじゃ…」

写経屋の覚書-なのは「そこで、前回はやてちゃんが言っていた疑問の話になるの。朝鮮総督府令第百九号の第2条の条項を再掲しとくね」

大正九年朝鮮総督府令第百十号に依り売払契約を締結したる垈以外の地目の土地に付ては左の割合に依り貸付料を収納す
  第一年度 第一項に依り貸付料の全額
  第二年度 同上の十分の九
  第三年度 同上の十分の八
  第四年度 同上の十分の七
  第五年度 同上の十分の六
  第六年度 同上の十分の五
  第七年度 同上の十分の四
  第八年度 同上の十分の三
  第九年度 同上の十分の二
  第十年度 同上の十分の一
 大正九年朝鮮総督府令第百十号に依り売払契約を締結したる垈に付ては前条項の規定に準し其の貸付料を収納す

写経屋の覚書-はやて「そっかぁ。今回の朝鮮総督府令百十号によって、売払契約を締結した駅屯土の貸付料が1年ごとに10%減免されていくってことなんやな」

写経屋の覚書-フェイト「払下を受ける人って小作人だからまとまった大金は一括で支払えないだろうし、無利子で分納というのはわかるんだけど、どうしてこんなにややこしいことにしているの?単純に担保や典当をとっての分納にすればいいと思うんだけど…」

写経屋の覚書-なのは「それは無理だよ。まとまった大金どころか担保に設定できるものすら持ってないと思うよ…」

写経屋の覚書-はやて「せやなぁ。へたしたら、今払下げを受けようとする駅屯土の小作権とか借地権とかが自分に移転するより先に担保に入れたて借金したり転売したりしかねんで」

写経屋の覚書-なのは「ま、そういうときは第5条にあるとおりに契約解除できるんだけどね。ともかく、朝鮮総督府が土地調査事業などを通じて駅屯土を国有地に編入収奪したとか、そのせいで小作人が路頭に迷ったとか、苛烈な内容の貸付契約で小作人の諸権利が厳しく制限されていたとかいうのは考えにくいってことがわかったと思うの」

写経屋の覚書-はやて「ちゃーんと貸付契約を結んでの小作もできるし、払下を受ければ自作農になれるわけやしなぁ」

写経屋の覚書-フェイト「貸付契約だって、大韓帝国の法規を継承したり、現物代納について旧慣を尊重したり、ごく普通の内容だったしね」

写経屋の覚書-なのは「李朝・大韓帝国の法規慣習に遡って、普通に読んでいけばわかるはずと思うんだけどね……」
写経屋の覚書-黒なのは「……でも、普通に読む意思と能力が欠けている人が多すぎるんだよ……」
写経屋の覚書-なのは「ともかく、駅屯土の処分についてはこれでおしまい」

写経屋の覚書-フェイト「じ、次回は何をするの?」

写経屋の覚書-なのは「そうだねぇ…駅屯土の処分(1)で言ってたように、『朝鮮土地調査事業報告書』と『朝鮮ノ土地制度及地税制度調査報告書』を見ていきたいんだけど…次回すぐやるかどうかは未定なの」

駅屯土の処分(1)
駅屯土の処分(2)
駅屯土の処分(3)
駅屯土の処分(4)
駅屯土の処分(5)

写経屋の覚書-なのは「前回の続きで、『府令第四十号 駅屯土特別処分令施行規則』を改正した『府令第百九号 駅屯土特別処分令施行規則中改正』を見るんだけど…」

写経屋の覚書-フェイト「よく把握できないままに終わったんだよね…」

写経屋の覚書-なのは「うん。だから改正された部分を赤字にして、改正後の条文をあげるてみるの」

   駅屯土特別処分令施行規則
第一条 駅屯土の貸付、洑の使用に関する事項並駅屯土の売払代金、貸付料及洑の使用料の収納は府尹、郡守、島司に於て之を処理すへし
第二条 駅屯土の貸付期間は年以内とす
 府尹、郡守、島司は垈を除くの外駅屯土の貸付料の算出の基礎と為るへき現品の数量を定め毎年十月府郡島別又は相当地域別に其の年の穀価に依り貸付料を決定すへし
 前項の穀価は朝鮮総督の承認を受け道知事之を定め貸付料決定前之を告示すへし
 大正九年朝鮮総督府令第百十号に依り売払契約を締結したる垈以外の地目の土地に付ては左の割合に依り貸付料を収納す
  第一年度 第一項に依り貸付料の全額
  第二年度 同上の十分の九
  第三年度 同上の十分の八
  第四年度 同上の十分の七
  第五年度 同上の十分の六
  第六年度 同上の十分の五
  第七年度 同上の十分の四
  第八年度 同上の十分の三
  第九年度 同上の十分の二
  第十年度 同上の十分の一
 大正九年朝鮮総督府令第百十号に依り売払契約を締結したる垈に付ては前条項の規定に準し其の貸付料を収納す
 大正九年朝鮮総督府令第百十号第四条第五号の(六)又は(七)の規定に依り売払の契約を解除したるときは其の契約期間中の貸付料は垈に在りては国有地貸付認許証に掲くる貸付料額、其の他の地目の土地に在りては前条第一項に依り決定したる貸付料額の全額とし不足額は之を追徴す

第三条 駅屯土の貸付したるときは別記様式の貸付認許証を交付すへし
 貸付期間満了し又は貸付期間内に於て契約を解除したるときは貸付認許証を返納せしむへし
第五条 前条の場合に於て貸付料又は使用料として納付せしむへき現品の種類は籾、大豆及粟とす
第六条 前条に規定する現品の換算価格は当該府郡に於て適当と認むるものに依り道長官之を定め朝鮮総督に報告すへし
第八条 貸付料又は使用料は契約を以て特別に納期を定むるものを除くの外毎年十二月一日より二十八日迄に之を納付せしむへし
第九条 駅屯土の借受人は其の土地を転貸し又は其の権利を譲渡若は担保に供することを得す
 但し大正九年朝鮮総督府令第百十号に依り売払契約を締結したる借受人特に許可を受け転貸する場合は此の限に在らす
第十条 駅屯土の借受人左の各号の一に該当するときは其の土地を返納せしむることを得
 一 貸付料又は使用料を期限内に納入せさるとき
 二 土地を荒廃に帰せしむる虞あるとき
 三 本令の規定又は契約事項に違反したるとき
第十一条 駅屯土特別処分令第三条但書に依り貸付料又は使用料の減免を受けむとする者は被害状況の存続する間に於て府尹、郡守、島司に申請すへし
 駅屯土特別処分令第三条の二に依り駅屯土の無料貸付を受けむとする者は府尹、郡守、島司に申請すへし
 前項の申請ありたる場合に於ては土地の状況、被害の程度等を勘案し五年以内の期間を定め無料にて貸付することを得

別記様式を左の如く改む

(国有地貸付認許証は省略)

第十二条 本令は従来駅屯土に準し管理したる土地に之を準用す

写経屋の覚書-はやて「だいぶ分かりやすうなったなぁ」

写経屋の覚書-フェイト「結局どういうこと?」

写経屋の覚書-なのは「府令百十号の施行にあわせて、条文の規定や用語を変えたり、貸付料の納付方法について明確に規定したってことなの」

写経屋の覚書-はやて「貸付料については、変更前は第一条で『府尹、郡守に於て之を処理すへし』としとったけど、変更後は第二条で年度ごとの割合をきちんと決めとるなぁ…1年ごとに10%ずつ減額していくんか。いったいどういうことなんやろ?」

写経屋の覚書-フェイト「ちょっと待って!その第一条、『大正九年朝鮮総督府令第百十号に依り売払契約を締結したる垈以外の地目の土地に付ては左の割合に依り貸付料を収納す』って書いてあるよ。貸付じゃなくて売払契約ってどういうこと?」

写経屋の覚書-なのは「そこはね、本題の総督府令百十号のほうを読むと意味がわかるから。じゃ、原文行ってみようか!」

写経屋の覚書-はやて「よっしゃ!いてまえいてまえ!」

写経屋の覚書-なのは「と言いたいところなんだけど…」

写経屋の覚書-フェイト「え?」

写経屋の覚書-なのは「ここで区切ったほうが、まとまりとしては都合がいいんだよねぇ。そういうわけで、府令第百十号は次回にまわして、今回はここまでにするね」

写経屋の覚書-はやて「んー、しゃぁないなぁ」

駅屯土の処分(1)
駅屯土の処分(2)
駅屯土の処分(3)
駅屯土の処分(4)