「今回はテキストA・B0・B1・B2の内容やのおて形式について検証するって言うてたやんなぁ。具体的にはどないするん?」
「史料批判っぽいことをするのかなぁ?」
「そうだね。テキストA・B0・B1・B2の用字法や仮名遣いといった表記形式について検証して、前回までやった内容へのツッコミと合わせて、これらのテキスト自体の価値を判断しようかなって思うの。とりあえず、あらためてテキストA0とテキストBの最終形であるB2を紹介するね。B2の中で赤字部分はB0になかった記述、青字部分はB1になかった記述、下線部はAからの転載だと考えられる記述だよ」テキストA
第三國人發言に思ふ
1 第三國人なる語の沿革
(中略)
話を戻します 終戦直後、在日朝鮮人は「朝鮮進駐軍」と自称し、勝手に腕章を付けて町で占領軍人として支那兵並に暴れ回りましたから、怒った本物の占領軍によって禁止されました
次で彼等は、戦勝國民だと称へ、就中繁華街などでは町中が鳴りはためく程の乱暴を働きましたが、再び聯合國によって然らざる旨、きっぱり否定されました
(中略)
如何なる名乗りであらうと、朝鮮人は大暴れしました はっきり申しますが、高齢の邦人女性が朝鮮人と結婚したのは全て強姦されたものと思って先づ間違ひ無く、だから誰もなれそめなどに触れません
最も大々的に行はれた犯罪行為は、空襲で焼け野が原になった空地の不法占拠です 余りにも頻發するので、わざわざ刑法改正して「不動産侵奪罪」を新設したくらいです 現在駅前一等地で朝鮮人が営業してるパチンコ屋、焼肉屋は斯る來歴のものです
闇市でも暴力沙汰多く、其仕入に至っては全く強盗でした 小生の生ひ立った東京下町から直ぐ北、埼玉縣北葛飾郡三郷町辺の知人達は口を揃へて、深夜朝鮮人が牛小屋に侵入して屠殺解体して行った 怖いから寝た振りをして立ち去るのを待った、等々
此でも警察は手が出せませんでした うっかり逮捕したりすると警察署が襲撃され、犯人も奪還されました(富坂警察署事件) 酷い時はついでに警官が殺されました(澁谷警察署事件) 殺されても殺され損でした 占領下でしたから
其処でやくざの出番です 今でも古いやくざは警察に恩を着せた事を言ひますが、トラックで出動し、不逞鮮人をやっつけました 日頃やくざなど全く見下す人々まで喝采しました 警察が密かに通じてゐる、との噂でした 小生もさうであったらうと思ってゐます 何しろやくざが警察署を護衛してゐましたから
(後略)
テキストB2
第三國人の暴行
表題の件に付ては既に一通り書き終えた心算であったが、本日郷土、城東葛飾に赴いたところ、偶々老人達が本件を論じてゐた 中にも地方議員たる七十翁の回顧は愚生の筆より数段迫力有りし故、帰宅早々記憶により再現し、此処に記して御歴々の御参考に資せむとするものである
録取者 北斗星
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終戦後の第三國人どもは本當に酷かった 軍の兵器を盗んで來たらしく、三八式歩兵銃や南部式拳銃で武装し、小銃には着剣して強盗強姦傷害恐喝脅迫不動産窃盗、時には殺人まで、経済犯、實力犯を中心にあらゆる悪事を重ねてゐた
銀座、浅草、新宿は朝鮮人、新橋、澁谷は臺湾人に支配され、政府も警察も動揺し、手を拱いてゐた 戦勝國民は治外法権だったのである
だから食管法に限らず、戦勝國民には日本法を適用出來なかった 服部時計店や白木屋も米軍の酒歩(PX)に接収され、其処へ行けば食料に限らず物資は山ほど有った。日本人は買へなかったが。
斯うした情勢に便乗し、朝鮮人は戦勝國民だの「朝鮮進駐軍」を僭称して堂々と闇商賣を行ひ、派手に稼いでゐた そりゃ儲かるだらう 取締を横目に犯罪のし放題 警察の検問を竹槍日本刀を振り回して強行突破したのだから(流石に銃撃戦は挑まなかった模様)
當時は物不足で、賣る方は素人でも出來た 仕入れこそ難しかったのだが、彼等は日本人露天商を襲って商品を奪ふのだから 其で警察が黙認して捕まへないのだから、こりゃあ損のし様が無い
警察が襲撃されること頻りで、署長が叩きのめされたり、捜査主任が手錠を賭けられ半殺しにされるぐらいは珍しからず 上野で朝鮮人経営の焼肉屋へ國税局査察部が査察に行った際、大金庫を開けて手を入れた瞬間を狙って二十人ぐらいで一斉に金庫の扉を押したものだから査察官は腕を切断されてしまった
(録取者註 當時は警察署が襲撃される事が珍しくなく、第三國人の來襲によって犯人を奪還された富坂警察署事件、ついでに警官が殺された澁谷警察署事件、共産党が大群で警察署を包囲し外部との聯絡を遮断「攻城戦」に出た平警察署事件等、枚擧に暇有りませんでした)
東京東部(すなはち大東京の中心地)北郊の荒川、古利根-中川、江戸川、利根川流域の牛は皆ゐなくなった
當時、あの辺は畜力として農耕牛を使ってゐたが、深夜、不逞鮮人が侵入して來て盗み出し、河原へ牽いて行って屠殺した 牛はモウと言って泣いたので皆氣付いたが、銃砲刀剣で武装してゐるので追ふ訳には行かなかった 永年愛育し、慈しんで來た牛が悲しさうに泣きながらズルズル引き出され殺されるのを傍観するのは無念で耐え難かったが、手向へば殺されるのでどうにも出來なかった
斯うして利根川水系流域一帯の牛は皆、不逞鮮人に盗まれ、殺され、闇市で賣られた この辺へも、新聞紙に包んだ肉塊を賣りに來たものだ 上流で屠殺した牛を、其儘下流へ賣りに來たのだらう
斯くて南關東から、牛はゐなくなった
家畜相手ならまだしも、人間に對しても、關東以西の大都市を中心に、日本中に灰神楽が立つやうな勢で数多犯罪を重ねた 川崎、濱松、大阪、神戸などが酷かった
其最も著しい、象徴的事例に、元文部大臣、後の首相・鳩山一郎氏に對する集團暴行・傷害事件がある
翁が軽井澤の静養先から帰京しやうとして信越本線の汽車に乗って居たら、例の「朝鮮進駐軍」が後から大勢、切符も買はず、鐵道員を突き飛ばし押入って來て、俺達は戦勝國民だ、おまへら被支配者の敗戦國民が座って支配者様を立たせるとは生意氣だ、此車両は朝鮮進駐軍が接収するから全員立って他の車両へ移動しろ、愚図愚図するな! と追ひ立てた
其で鳩山氏が、我々はきちんと切符を買って座ってゐるのにそりゃおかしい、と一乗客として穏やかに抗議したら、忽ち大勢飛び掛かって袋叩きにし、鳩山翁を半殺しにした 幸にして重体にも重傷にも至らなかったが、頭部裂傷だか顔面挫傷だか忘れたが、血に塗れ腫れ上がった痛々しい顔で帰京した
年老いた祖父を理不尽に叩きのめされて怨まぬ孫も有るまい、如何に不出來な孫にせよ 孫共は此を知らんのだらう
直後に總理大臣に成る程の大物でも如斯 況や庶民に於てをや 土地も屋敷も物資も操も、奪ひ放題であった 闇、賭博、傷害、強盗事件が多く、殊には、空襲や疎開で一時的に空いてゐる土地が片端から強奪された 今、朝鮮人が駅前の一等地でパチンコ屋や焼肉屋を営業してゐるのは、皆、あの時奪った罹災者の土地だ
其でも警察は手が出せなかった 歴代總理大臣等が絞首刑になって行く状況で、警察如きに何が出來よう 或日、警察は何月何日を以て廃止す、再び登庁するを許さず、と命ぜられれば、其切り警察は消滅する 七百萬の大軍を擁した彼の帝國陸海軍ですら、左様にして両總長 両大臣以下、自然廃官になった まこと、敗戦はかなしからずや
堪りかねた警察が密かにやくざに頼み込み「濱松大戦争」になった訳だが、「小戦争」は日本中に頻發した
最後の頼みの綱は聯合國軍であったが、遂には其憲兵隊でも手に負へぬ非常事態に立ち至った
其で流石に米軍も腹に据えかね、日本本土全域の占領を担當してゐた米第八軍司令官アイケルバーガー中將が、關東と言はず關西と言はず、はたまた北九州と言はず、不逞鮮人活動地域に正規戦闘部隊の大軍を出動させ、街頭に布陣して簡易陣地を築き、重装甲車両を並べ、人の背丈程に大きな重機關銃を構へて不逞鮮人共にピタリと狙ひをつけ、漸く鎮圧した 我々は其火器の煌めきを間近に見た
此時、聯合國軍總司令官ダグラス・マックアーサー元帥の發した布告が、「朝鮮人等は戦勝國民に非ず、第三國人なり」
と言ふ声名で、此ぞ「第三國人」なる語のおこりである
だから、外國人差別用語な筈は無い 彼等自身、マックアーサー元帥以下、一人残らず皆、外國人ではないか
聯合國軍總司令官は日本人に對してこそ絶大な権勢を振ったが、本國や同盟國、對日理事會や極東委員會に氣を遣はねばならぬ 外交センスの要る役職であった 何人にもせよ、敗戦國民以外を、声名發して迄差別なんぞする筈が無い
「第三國人」の語は、國際法に則って説いた技術的専門用語に過ぎない
近頃の報道人は歳も若く、當時の経緯や語感が全然判らないのだらう 知合ひの報道人幾人かに電話して、テレヴィにでも新聞にでも出て歴史の眞實を話して進ぜやう、と申入れたら皆、検討させて下さい、と逃げてしまった 眞面目に報道する氣は無いのかの
貴公、パソコン通信を遣ってなさるさうぢゃが、インターネットとやらは随分と情報を發信出來て、幾百萬の人が見ると聞く 一つ満天下の正義の為に、今の話を發信して下さらんか
「まず、テキストA・B両方の用字法、具体的には漢字の使われ方について見てみるね」
「『國』『聯』『澁』のような旧字体が目立つで。当時の教育を受けたってことになるんかな」
「IMEの設定をいじったり変換ソフトを使えば、旧字体入力や変換ができるから、これは証拠にならないんじゃないかな?」
「ソフト等で一括変換したんだったら、『称』『台湾』『旧』『数』『参』『争』『権』『断』『戦』『号』『駅』『楽』『静』『乗』『両』『図』『穏』『体』『帰』『声』『専』『検』『為』『営』『斉』『党』『囲』『庁』のように、旧字体が使えるのに使ってないものの説明がつかなくなるんだよ。なんにしても、これだけで作成者の年齢や教育水準といったものは判断できないよね」
「そうやなぁ。作成者がいちいち旧字体入力しとったとしても、『称』『旧』の旧字体が使えることに気づかへんかったかもしれへんし、漢字だけでどうとも言えへんか…ほんなら仮名遣いのほうはどうなん?」
「えっとね、仮名遣いについては、当時使用されなかった「っ」を使ってるのはおかしいと思うんだけど、「てふ」っていう当時の語法を踏まえたものが使われてるんだよね。これって、当時の教育を受けてないと使えないと思うの」
「え?そんな部分ないよ」
「ごめんごめん、テキストA冒頭の中略部分に『日本人であるてふ前提の』って使われてるの。『朝鮮進駐軍』の初出について(1)の画像で確認してね」
「っちゅうことは、この南十字星(北斗星)は当時の教育を受けて当時を体験した年齢なん?」
「蓋然性は高そうなんだけど、断定できないね。正直な話、当時の教育を受けた年齢であるかどうかは、テキストA・Bの信頼性を直接担保するものにはならないしね」
「あ、そっか。なのはちゃんもはやてちゃんも何回か言ってるように、当時を体験してても嘘を書いたり、間違って書いたりすることはあり得るもんね」
「そういうこと。次に構成についてだけど、テキストB0→B1→B2と進むたびに、記述がどんどん追加されていってるんだよねぇ。聞き取ったんだけどB0作成時には忘れていたものを、B1・B2作成する時に思い出して追加したっていうことはあるんだろうけど、あまりにも追加部分が多すぎるよねぇ…これじゃ聞き取り者が勝手に記述を追加していったと考えてしまうよ」
「表現を大げさにして膨らましたり、勝手に補足説明入れたりしてまうんやな」
「そうそう。前も言ったけど、もし補足説明が必要だったら注釈として付け加えればいいんだよねぇ。「録取者注」ってやってるんだし。それと、どの事件や事態についても、それが発生した正確な日時が書かれてなくて、時系列が曖昧なかたちになってるってことにもじゅうぶん注意しないとね」
「そのせいで厳密に事実確認が取れないもんね。まさか、突っ込まれても記憶違いとか別の事件と勘違いしてたっていう逃げ道としてわざとやってるのかな?意地悪い見方になるけど」
「悪意的に解釈したらやんね。好意的に解釈したら、正確な日時までは覚えてへんかったいう話なんやけど、それこそ「録取者注」として聞き取り者が後から調べて補足説明せなあかんよ」
「そうなんだよねぇ。前回もふれたけどテキストB1で追加されてる『今、朝鮮人が駅前の一等地でパチンコ屋や焼肉屋を営業してゐるのは、皆、あの時奪った罹災者の土地だ』はテキストAからの引用っぽいし、純粋な聞き書きじゃなくて、聞き取り者の解説敷衍部分も混入したレポートとなってるっていうのは、聞き取り者の史料取扱がダメダメってことになるんだよね…」
「内容のほうも、妥当かなって記述、どうみても事実と
「妥当な記述に真偽不明の記述を混ぜるって、まるでプロパガンダだよ」
「そういうわけで、『朝鮮進駐軍』という言葉を使ってる最初の言説になるテキストA・Bは、明らかな間違いが多いし、実際に当時を経験した人の談話あるいはそういった人への聞き取りであるかどうかに関係なく、またある程度妥当な記述を含んでいるとしても、『朝鮮進駐軍』の実在を担保するものとはならないって結論するね」
「朝鮮人の集団不法行為についての史料にはなるのかな?」
「それも無理だね。明らかな間違いや確認の取れない記述が多いし、警察資料や当時の新聞、CLOやGHQの文書にじかにあたったほうが有意義だよ。というわけで今回はここまでにするね」
「ほんなら次は何をするん?」
「『朝鮮進駐軍』を題材にした動画のテキストにあたってみるね」映画『残侠』―『朝鮮進駐軍』検証―
『朝鮮進駐軍』の初出について(1)
『朝鮮進駐軍』の初出について(2)
『朝鮮進駐軍』の初出について(3)
『朝鮮進駐軍』の初出について(4)
『朝鮮進駐軍』初出テキストの検証(1)
『朝鮮進駐軍』初出テキストの検証(2)
『朝鮮進駐軍』初出テキストの検証(3)
『朝鮮進駐軍』初出テキストの検証(4)
『朝鮮進駐軍』初出テキストの検証(5)
『朝鮮進駐軍』初出テキストの検証(6)