写経屋の覚書-なのは「今回も報償運動の参加団体だけど、さっそく国債報償中央義務社について見ていくね」

写経屋の覚書-はやて「皇城新聞社を報償金受入先に指定したり、国債報償連合会議所との統合話で出てきた団体やね」

写経屋の覚書-なのは「うん。この団体の結成自体は結構早くて、前にも見たように3月2日付皇城新聞に趣旨書が載ってるんだけど、3月13日付皇城新聞を見ると、たしかに義務社から報償金を受け取ったと報告されてるんだよね」

写経屋の覚書-フェイト「でもこれじゃ、自分たちでは受け付けないってことなのかな?」

写経屋の覚書-はやて「なんかええ加減ちゅうか無責任な話やな」

写経屋の覚書-なのは「うん…作者もなんだかもやっとした感じがするって言ってた。4月13日付万歳報を見ると、11日に総会を開いて役員を決めたみたいなんだけど…」


写経屋の覚書-19070413万歳報_義務社役員

写経屋の覚書-はやて「?なんで会議所に関わっとった尹孝定や呉世昌が評議員に選ばれとるん?しかも一週間前に会議所長に選ばれとった李儁までおるやん!なのはちゃん、どういうことなん!?グレッグ・レイク状態やん」

写経屋の覚書-フェイト「はやてちゃん落ち着いてっ。グレッグ・レイクがキングクリムゾンをデビューアルバムの「クリムゾンキングの宮殿」だけで脱退してエマーソン、レイク&パーマーを結成したことなんて解説なしじゃ誰も分からないから!」

写経屋の覚書-なのは「フェイトちゃんまでどさくさにまぎれて何を口走ってるのw 記事の後半に「以上諸氏中、当日参席せざりし人氏には、社員中、位高望重なる人を総代として択び送り、来会し参席することを勧告するとのこと」って書いてあるように、実はこの総会で選ばれた人たちって、全員が総会に出席してたんじゃないの」

写経屋の覚書-はやて「え?欠席者を勝手に委員に選んだんかもしれへんの?それって小学校や中学の学級委員とか美化委員みたいなノリなん?」

写経屋の覚書-フェイト「あはは、グレッグ・レイクから美化委員ってすごい落差だよw」

写経屋の覚書-なのは「そういうわけで、この役員選出も結構いい加減なものだったんじゃないかって考えざるを得ないの。李儁はこの総会の10日後に京城を出発してハーグに向かうから、出席してる暇なんてなかっただろうしね」

写経屋の覚書-フェイト「会議所に関わっていた尹孝定や呉世昌が選ばれているのは、先発の会議所の設立メンバーでから後発の会議所に合流しなかった人や、一旦合流したけど義務社に移籍しようとしてた人がいるってことなのかな?」

写経屋の覚書-はやて「義務社と会議所の統合への布石いうか根回し、準備いう狙いがあったんかもしれへんで」

写経屋の覚書-なのは「そういう狙いはあったのかもしれないね。前回見たように会議所との統合は失敗したんだけど、その後の義務社の行動としては、事務所購入の決定をしたことが6月20日付万歳報に載っているね」


写経屋の覚書-19070620万歳報_義務社開始

写経屋の覚書-はやて「社長が4月11日の総会で選ばれたはずの趙鎮泰やなくて南廷哲になっとるで。こっちも不安定なんやなぁ」

写経屋の覚書-フェイト「会議所の方も統合話の前後でトップが代わってたし、統合失敗の責任を取って幹部交代ってことになってたのかもしれないね」

写経屋の覚書-なのは「そうかもしれないね。実は、このあと義務社は活動を見せないまま消えていくの」

写経屋の覚書-フェイト写経屋の覚書-はやて「え?」

写経屋の覚書-フェイト「そういえば、1908年7月27日に京城の各団体を調査した憲機第40号「国債報償金報償金状況報告書写本」(往電第465・466号「国債報償会の募金に対するベセルの立場に関する件」の別紙。『統監府文書4』p355収録)でも国債報償中央義務社って団体の名前はなかったね」

写経屋の覚書-はやて「ほんまや。知らん間にフェードアウトしてもおたんかいな」

写経屋の覚書-なのは「1907年6月以降の大韓毎日申報・皇城新聞・万歳報・大韓民報をチェックしたけど、活動や解散に関する記事や広告は見当たらないんだよねぇ。見落としがあるのかもしれないけど、少なくとも1908年7月までには活動を停止してたって見ていいよ」

写経屋の覚書-フェイト「最初から最後までいい加減な印象がするね」

写経屋の覚書-なのは「そうだねぇ…あと京城の国債報償運動参加団体については、憲機第40号に女子教育会・安東婦人会っていうのが載ってるけど、両方とも報償金を横領してたみたいだね」

写経屋の覚書-はやて「えーっと、女子教育会は会長の秦学胄が百余円を使いこんどって保管金なし、安東婦人会は申簫堂ちゅう女性が三百円を使いこんどって保管金なし、ってこれもええ加減な話やね」

写経屋の覚書-フェイト「前万歳報(現大韓新聞社)と帝国新聞社のほうはどうだったのかな?横領はないように書いているけど」

写経屋の覚書-なのは「万歳報はね、4月12日付紙面に、これまで受け入れた報償金は257円2銭だけど、各団体が勝手に行動するのはよくないってことでこれ以後は受け入れないという社告を出してるの」


写経屋の覚書-19070412万歳報_受入中止

写経屋の覚書-フェイト「憲機第40号だと359円だったよ。数え間違いかそれ以降の受け入れもあったのかな?」

写経屋の覚書-なのは「そうだろうね。横領じゃないとは思うよ。問題は8,420円6銭を保管していた帝国新聞社のほうなんだよね…前にもちょっとだけ触れたけど、1908年11月に発足した国債報償金処理会が、報償運動の後始末をすることになったんだけど、その調査の中で帝国新聞社長鄭雲復の横領が露見したらしいの」


写経屋の覚書-19100716大韓毎日申報_弁済処置

1910年(隆煕4年)7月16日付大韓毎日申報
●国債報償과鄭家執行 鄭雲復이가帝国新聞社長으로在写経屋の覚書-har17時에国債報償金을消耗写経屋の覚書-han17事로国債報償金処理会애셔該氏의家産을執行写経屋の覚書-ha17기로決議写経屋の覚書-ha17엿다더라

写経屋の覚書-はやて「家産を執行って、要するに横領した分は自分の財産処分して払えってことやね」

写経屋の覚書-フェイト「憲機第40号の時点では露見してなかったか、まだ横領してなかったってことなのかな?」

写経屋の覚書-なのは「まだ横領してなかったんじゃないかな。丸山も帳簿を突き合わせて確認したと思うし。これで京城内の国債報償運動団体は全部見終えたよ」

写経屋の覚書-フェイト「国債報償期成会、国債報償志願金総合所、大韓毎日申報社、皇城新聞社、国債報償中央義務社、国債報償連合会議所×2、万歳報、帝国新聞ってあったけど、大規模で継続していたのは期成会・総合所・申報社・皇城の4つだね」

写経屋の覚書-はやて「横領もなくちゃんとやっとったんは皇城だけやね」

写経屋の覚書-なのは「そういうことだね。これで京城の国債報償運動参加団体は全部見たことになるよ。ちょっと早いけどきりがいいから今回はここまでして、次回は費消事件後の報償運動について見ていくよ」

国債報償金費消事件(1)   国債報償金費消事件(2)   国債報償金費消事件(3)
国債報償金費消事件(4)   国債報償金費消事件(5)   国債報償金費消事件(6)
国債報償金費消事件(7)   国債報償金費消事件(8)   国債報償金費消事件(9)
国債報償金費消事件(10)  国債報償金費消事件(11)  国債報償金費消事件(12)
国債報償金費消事件(13)  国債報償金費消事件(14)  国債報償金費消事件(15)

国債報償運動(1)   国債報償運動(2)   国債報償運動(3)
国債報償運動(4)   国債報償運動(5)   国債報償運動(6)
国債報償運動(7)    国債報償運動(8)