はじめに
ツアーも追加募集もまだ遠く、一口馬主の民にとってはつらい時期です。
こんな時期は明け2歳の更新を見るぐらいしか人生の楽しみはないわけですが(言い過ぎ)、皆さん、この時期の調教進度がどれぐらい最終成績に影響あるのか疑問に思ったことはないでしょうか。
早ければいいわけではないと言う人もいれば、早ければ早いほどその馬の能力を示すものだと言う人もいて、よくわからんというのが正直なところではないでしょうか。
そこで、今回は、23年産のシルク・キャロットの調教進度を調べるとともに、19年産~21年産のシルクの調教進度と成績・デビュー時期の相関を調べてみました。
調教進行度(シルク・キャロット)
過去の調教進度とデビュー時期
シルクの19年産~21年産の調教進行度別の勝上率、本賞金中央値、デビュー時期中央値を表したものです。
21年産は、調教進度が早ければ早いほど成績が向上していますが、19年産、20年産を見るとそれほどその傾向が強いとは言えません。
累計した表(一番下)を詳しく見てみましょう。
デビュー時期は12月末、3月末いずれにおいても調教進度が早い馬の方がデビュー時期が早いということがわかります。
12月末時点で15-x組はおおむね夏デビューを期待してよさそうです。
12月末集計の勝上率や本賞金中央値を見てみると、若干ではありますが、15-x組の方が勝ち上がり率、本賞金中央値ともに優秀です。とはいえ、調教の遅れている組(18-x、坂路入り組)もそこまで悪い数値ではなく、12月時点で調教が多少遅れていてもそこまで大きく気に病む必要はなさそうです。
しかし、3月末集計を見ると、入厩組と15-x以上組で差はなく、むしろ少し遅らせて入厩した組の方が勝上率、賞金中央値ともに優秀という結果が出ています。さすがにこれはサンプル数の問題だとは思いますが、3月末時点で早期入厩と15-x以上組との差はあまりないと言ってよさそうです。
明確にマイナスだといえるのは、12月末時点での頓挫組、3月末時点での16-x以下組、頓挫組ですね。このグループに入ってしまうと、勝上率と賞金中央値に有意に差が出てしまいます。
重賞馬の調教進度
最後に、過去のシルク重賞馬は12月末時点、3月末時点でどのような調教進度だったのか見てみましょう。
16年産までは、今よりも明らかに調教進度が遅く参考記録と考えてください。
なお、16年産から17年産にかけて調教進度に変更があったのは、2019年から未勝利戦の期間の短縮が発表された影響で、17年産から調教進度を早めたのだと思います。
これを表にまとめて、一般の馬の調教進度と比べてみましょう。
12月末時点では重賞馬と一般馬の調教進度の比率にほとんど差はないと言えます。
あえて差を挙げるとすれば、重賞馬で頓挫なしの場合、17-x以下の馬が1頭もいないというのは面白いデータではあります。
3月末時点でもそれほど大きな差はありませんが、頓挫なしの場合に16-x以下が0頭というのは目につきます。
これらのデータから重賞馬となる馬は、頓挫等の事情がない限り、調教が遅い組には入りにくいということは言えそうです。
また、全体のデータ的にはかなり厳しい頓挫組からも重賞馬が出ており(17年産以前も含めるとのべ3頭)、頓挫してもあきらめる必要はなさそうです。育成段階での頓挫というのは勝ち上がれるか微妙な馬にとっては大きなマイナスなんでしょうが、重賞馬にとって最終的な成績への影響はそれほど大きくはなさそうです。
結論
デビュー時期
いずれの時期においても調教進度とデビュー時期は強く相関する。
6月デビュー 3月末までに入厩
夏デビュー 12月末までに15-x、3月末までに14-x
秋デビュー 12月末までに16-x、3月末までに15-16
が標準となる。
勝上率・賞金期待値
12月末に17-x以上、3月末に15-x以上であればそれほど大差はない。
ただし、12月末に15-x以上を出せると、若干、勝上率及び賞金期待値は高くなる。
明確なマイナスといえるのは、12月末頓挫組、3月末16-x以下及び頓挫組。
重賞馬の分析
重賞馬になるために、調教が早い組に入っていることは若干有利になる程度で必須の要素ではない。
ただし、調教が遅い組には入らないというのはほぼ必須で、調教が遅い組(12月時点17-x以下、3月時点16-x以下)に重賞馬はほとんどいない。
頓挫は重賞馬か否かには影響がなさそう。