仮説
出資する上で、測尺は非常に重視する人が多いです。
その中でも、馬体重の情報というのは、測尺の中でも最も重視される項目でしょう。
私たちは、馬体重が軽い馬は、競争能力が低い傾向にあるという経験則から、馬体重が軽い馬は出資を回避する傾向にあります。
今回は、まず
①馬体重が軽い馬は、競争能力が低い傾向にあるという経験則はデータ的にも正しいのか。
②芝とダート、短距離と長距離でその傾向に差は出るのか。
という点について、競馬ソフトTargetを使って分析し、その後、
③馬体重が重い馬の抱える潜在的なリスクとその予測
について検討したいと思います。
検証方法
過去10年間の4歳上1勝クラス、4歳上3勝クラスの牡馬の馬体重を検証し、芝1500m以下、芝1600m以上、ダート1500m以下、ダート1600m以上での馬体重の比率を調べます。
条件戦を4歳上に限定したのは、馬体が成長中の馬を排除するためです。
性別を牡馬に限定したのは、牝馬が得意な条件(芝短距離)について、性別の要素の影響を排除するためです。
データ分析
馬体重の重要性については
芝短<芝長、ダ短<ダ長
となりました。これは直観と反する結果なのではないでしょうか。
私は、長距離よりも短距離の方が筋肉がついていた方がいいイメージだったので、短距離の方が馬体重が重い馬の方が有利なのかなと思っていましたが、統計的には逆に、長い距離の方が馬体重が重い方が有利になるという結果が出ました。
次に、1勝クラスと3勝クラスの比率の差がこちら。
比率的には
ダ短距離<芝短距離<ダ長距離<芝長距離
となり、芝の方が馬体重が重い馬が上のクラスにいく率が高いという意外な結果になりました。
この結果をどう解釈していいのかはよくわかりませんが、馬体重が軽い馬でも芝ならば未勝利を突破することはできるが、上に行くためには芝でも馬体重が必要で、結果として芝の方が馬体重の重い馬の方がクラス突破率が高くなるということなんでしょうか。
結論と課題
細かいデータの解釈の仕方はともかく、馬体重が重いと有利になることは間違いなさそうです。
しかし、注意しなくてはいけないのは、これはあくまでも健康に走っている馬というフィルタリングがかかっているという点です。
つまり、今回の検証でわかることは、『馬体重が重い馬は健康にさえ問題がなければ馬体重が軽い馬よりも有利』ということでした。
経験則上、馬体重が重い馬は、足元や喉なりなどのリスクが高まるところ、これらの健康リスクをどう評価していくのかが重要です。
この点、喉なりのリスクについては募集段階では把握することは困難ですが、足元のリスクについては、管囲からある程度予測できます。
管囲と故障
結論を述べると、同じ馬体重に対して、管囲が平均よりも顕著に低い馬は故障のリスクが非常に大きくなります。
これは、過去の管囲データとTargetを同期させれば導けますが、手っ取り早くデータが欲しいという方はこちらの有料記事にいいデータが載っていますので、興味がある方はどうぞ。
デビュー時の予測馬体重ごとの平均的な管囲は概ね以下のとおりです。
体重 管囲
520 21.0
510 20.7
500 20.5
490 20.3
480 20.1
470 20.0
460 19.8
450 19.6
440 19.4
430 19.2
420 19.0
410 18.9
デビュー時の予測馬体重は有料ですが、こちらで大体の数値を出すことが出来ます。
この対応表の管囲に対して多少下回るぐらいは気にする必要はありませんが、1cm以上下回る場合は、足元のリスクが大きいと考えるべきでしょう。
例えば、今年のシルクであれば
ポーレン
シャクンタラー
ボニーゴールド
オリエンタルダンス
ルナリア
シェアザストーリー
サンデースマイル
あたりは脚部不安のリスクが高めだということがわかります。
まとめ
① 馬体重が重い方が競争能力は高くなる傾向がある。
② ただし、馬体重が重いと、喉なり、脚部不安のリスクが高まる。
③ 喉なりは予測困難だが、脚部不安は管囲からある程度リスクを予測できる。
体重 管囲
520 21.0
510 20.7
500 20.5
490 20.3
480 20.1
470 20.0
460 19.8
450 19.6
440 19.4
430 19.2
420 19.0
410 18.9