2012年に世界は終わるのか? | 沈黙こそロゴスなり

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最近、フォトンベルトとか、マヤ暦の終わりとか、予言とかの本が数多く出回っていて、2012年の12月にこの世界が終わるとか、大災害がおきるとか、アセンションするとかいろいろ言われていて、そういうことに興味を持っている方もいらっしゃると思います。

で、先日の土曜日、グアテマラ在住の、マヤ族第13代最高神官、ドン・アレハンドロ来日講演会に行ってまいりました。
ドン・アレハンドロさんは、チベットで言えばダライラマ、ローマで言えばローマ法王に匹敵する方ですが、あまり知られていないので彼らほど歓迎をうけることはありません。
講演会の会場もただの会議室で、こんなに偉大な人を迎えるにはあまりにも質素。
当日の日本語通訳の方も、あまりに勉強不足で下手な通訳だったのが本当に残念でした。

けれども、当のアレハンドロさんは本当にすごい人で、そんなスタッフの至らなさを完全に凌駕していました。
彼は確かに人間としてマスターの領域に達している感じで、彼が部屋に入って来てから、部屋の温度がぐんっと上がり、とても濃密なエネルギーで満たされました。講演の間中、わたしの両手はビリビリとエネルギー放出状態になってしまっていました。セドナからいらしていた方の話によれば、彼自身がヴォルテックスなのだそうで、確かに彼がいるととても強いエネルギーを感じました。
もちろん、人間的に見ても素晴らしい方で、その物腰のやわらかさや愛情深さ、寛容さなど、ノーベル平和賞をとるなら彼のような人なんだろうなぁという感じです。

メッセージ自体はとてもシンプルで、いくつかのマヤ暦の本に書かれているようなことでしたが、それらをマヤ歴の管理者という立場の人から直接聞けたことはとても素晴らしい体験でした。

とくにスピリチャルな人々の間で関心の高い2012年問題についてはとても興味深い話を聞くことができました。

それによると、マヤ族の伝統的なマヤ暦の解釈によれば、2012年が太陽の周期の5200年目にあたるかどうかは確定していないのだそうです。
2012年12月22日が5200年の最後という説を唱えているのは、マヤ族ではないでしょうというのが彼の話でした。
理由として、1)約500年前(1526年)スペイン人がマヤ文明を滅亡させた時、正確な暦の資料は全て燃やされてしまった。
2)現存するマヤ歴に関する資料は、洞窟やピラミッドの中の壁などに書き残されていたものだが、それらも少しずつ削り取られ、世界中に散らばっている。
3)全部で20巻あると言われているマヤ暦に関する資料のうち、解読が終了しているのは15巻であり、そこからは正確な太陽の周期についての情報は得られていない。
3)グレゴリオ暦は不正確でズレがある。

というわけで、2012年12月22日が、マヤ暦で言うところの太陽の5200年の最後の日であるとは確定していないのだそうです。そしてその日に何かとても恐ろしいことが起こったりすることはありません。
彼いわく、たとえ5200年の最後の日がきたとしても、新しい周期が始まるだけ(例えて言えば12月31日が終わって1月1日が始まるだけ)で、何かとても特別なことがあるわけではないとのこと。

ただ、興味深いことも言っていました。
それは、最近時間の流れがどんどん早くなっているように感じる。それは、銀河の中にあるセントラル・マグネティック・フィールド(スポット)に太陽系が近づいているからであり、5200年の終わりに太陽はこの中を通過する。
その時、地球は数時間から数日間、暗黒に包まれるので、それが起こった時に、5200年の周期が終わり、新しい5200年の周期が始まったことがわかる。
新しい5200年の周期においては、人類はとても平和な時代を過ごすようになるだろうとのことでした。

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さて、これらの話を聞きながら、私はキリスト教における終末論とそれに関する諸事件を思い出していました。

聖書には終末の前兆として次のようなことが書かれています。
「主の日、大いなる恐るべき日が来る前に太陽は闇に、月は血に変わる。」(ヨエル書2章13節)

「その苦難の日々の後、たちまち太陽は暗くなり、月は光を放たず、星は空から落ち、天体は揺り動かされる。」(マタイ24章29節)

「小羊が第六の封印を開いた。そのとき、大地震が起きて、太陽は毛の粗い布地のように暗くなり、月は全体が血のようになって、天の星は地上に落ちた。まるで、いちじくの青い実が、大風に揺さぶられて振り落とされるようだった。」(ヨハネの黙示録6章12~13節)

ここに書かれているキーワードは、「苦難の日々」「大地震」「太陽が暗くなり、月が赤くなる」「星が地に落ちる」です。

過去、キリスト教界において世界の終末が騒がれた時期は、西暦100年頃、999年、1800年代、1999年です。
西暦100年ごろというのは、キリストの弟子で一番最後まで生き残ったヨハネが死亡したと考えられている時期です(彼は90歳ぐらいまで生きたと言われています)。当時のクリスチャンたちは最後の弟子ヨハネが死亡する前にキリストが再臨し、世界は終わると考えていました。ですので、ヨハネが老人になり、いよいよ死が近づいてきた時、キリストの再臨もすぐにくると考えたのでした。
西暦999年は新しいミレニアム(千年期)が始まる直前の年ということで、世界が終わると考えられました。
これと同じ理由が1999年です。キリスト教界には2000年はないと考えていた人もいました。一般的にはノストラダムスの予言が有名です。
1800年代の終末騒ぎは、主にアメリカを中心としたムーブメントでした。この終末論の根拠は、旧約聖書のダニエル書にある預言によります。
紀元前456年のペルシャのクロス王がイスラエル再建命令を出した年を起点として2300年後の1844年がキリストの再臨としたのでした。
興味深いことに、この時期、この預言が正しいことを裏付けるような事件が起きていて、人々はますます終末ムードに盛り上がったと考えられています。
たとえば、1780年5月19日、北米で原因不明の大暗黒日が観測されています。記録によれば朝の10時から夜中までつづきました。その日、月は満月で太陽から150度はなれた位置にあったため、月食ではないことが確認されています。夜中、暗闇が晴れて月と星が見え始めたのですが、その時月は血のように赤かったそうです。1800年代に入りこの記録は再臨の前兆とされました。
1833年11月13日のしし座流星群は、1866年の出現と合わせて、最大規模といわれています。時期が1844年の前で、すでに再臨ブームが始まっていたことから大騒ぎとなりました。
が、しかし結局1844年には世界は終わりませんでした。
1999年終末論においても、同様の理論が引用された感があります。確かに20世紀は世界戦争が起こり、「苦難の日々」と考えられましたし、地震計の発明によって、記録される地震の数が増えました(観測によれば、世界中のマグネチュード7以上の地震の平均回数は毎年20前後で1900年以来変わっていないそうです)。

注目したいのはキリストが、
「その日、その時は、だれも知らない。天使たちも子も知らない。ただ、父だけがご存じである。・・・だから、目を覚ましていなさい。あなたがたは、その日、その時を知らないのだから。」(マタイ24:36、25:13)
と述べていることです。

終末論者がしばしばやりたがることの一つに、「その日」を確定したいということです。

気持ちはわかります...(^_^;;

しかし、ドン・アレハンドロさんが述べているように、2012年12月22日は、1999年7月に続く、世界最後の日ではないということです(そこが5200年の太陽の周期の最終日でもないのです)。

だれも知らない、だれもわからない。

これがキーなんだと思います。
私たちは、とにかく知りたがる=わからないことが恐いんですね。
実は新興宗教団体の多くが、この「わからないことが恐い」という心理を巧みに利用しています。
「わからなくてもいいんだ」という姿勢が、いろいろな嘘に惑わされない鍵なのではないかと思います。

そんなことを感じた講演会でした。