ハイスクール・ボブ
~ある全寮制高校のカット事情~
15 定期カット
(20)
1時限目の授業が終わると、奈央子と鮎美は職員室へ向かった。
2人の手には、朝のショートホームルームで渡された理由書兼カット完了報告書を持っている。
職員室は事務棟の2階にある。
奈央子と鮎美は職員室がある事務棟の2階に着き、職員室の入口の扉の前に着いた。
奈央子「なんだかドキドキするね。」
鮎美「そうね。私、職員室に入るの初めてだし。」
奈央子「私も初めてだよ。」
奈央子「じゃ、入ろう。」
鮎美「うん。」
奈央子は、職員室の入口の扉をノックして入った。
奈央子「1年2組、津原です。(橋崎)橋崎です。1年2組担任の三原先生に用件があって来ました。」
職員室に入ると、最初に学年・組・名前、そして用件を告げる決まりになっていた。
職員室内の事務机の配置は、各学年で固まっていた。
職員室内で事務をしている教員たちの手が止まり、教員たちは、入口に立っている二人に注目した。
三原「津原さん、橋崎さん、こちらへ」
三原が、自分の事務机の前に来るように声をかけた。
奈央子・鮎美「はい」
奈央子と鮎美は三原の事務机の所に向かった。
奈央子と鮎美は三原に理由書を提出した。
三原は、提出された理由書を見ながら必要事項の記入に漏れがないかチェックしている。
奈央子と鮎美は三原の前で三原の理由書のチェックをじっと立ったまま見つめている。
三原「津原さん、橋崎さん、これで理由書を受付けます。これから学年主任と生活指導の先生の承認を受けた後、この書類を一度返却します。今日の昼休みは空いているかしら。」
奈央子「はい、空いています。」
鮎美「私も大丈夫です。」
三原「では、今日のお昼休みにこの書類を返却しますので、昼食後でいいからなるべく二人一緒で職員室の私の所まで来てください。」
奈央子・鮎美「はい」
三原「以上です。では、退出してください。」
奈央子・鮎美「失礼します。」
奈央子と鮎美は、職員室を出て、教室に向かった。
その日の昼休み
奈央子と鮎美は、昼食が終わり、歯磨きを済ませると、二人で職員室へ向かった。
奈央子と鮎美は事務棟の2階に着き、職員室の入口の扉の前に着いた。
奈央子「ここに来ると、やっぱりなんだか緊張するね。」
鮎美「そうね。私も緊張してる。」
奈央子「じゃ、入ろう。」
鮎美「うん。」
奈央子は、職員室の入口の扉をノックして入った。
本日2回目の入室だ。
奈央子「1年2組、津原です。(橋崎)橋崎です。1年2組担任の三原先生に用件があって来ました。」
三原「津原さん、橋崎さん、こちらへ」
三原が、自分の事務机の前に来るように声をかけた。
奈央子・鮎美「はい」
三原「津原さん、橋崎さん、今日午前中に提出された理由書を返却します。今回カットできなかったことについては承認済みです。」
二人の理由書の承認欄には、担任、学年主任、生活指導の教員の決裁判が押されている。その下に日付入りで「承認済」のゴム印が押されている。
三原「今後の手続きとして、必ず5月14日までに学園美容室でカットをしてください。なお、その時必ずレシートを受取ってください。そして理由書兼カット完了報告書の所定の欄にカットした日等を記入して、その時のレシートを所定の場所に貼り付けて、私の所へ提出してください。」
奈央子・鮎美「はい」
理由書兼カット完了報告書は下半分がカット完了報告書になっていて、カット日、レシート貼付け欄等がある。
理奈が気にしていた学園美容室のレシートは、こういう時に使用するものだったのだ。
三原「今日から5月14日までは2年生のカット指定日の期間になっているから、早く予約して平日の放課後に行った方がいいわよ。」
奈央子・鮎美「はい、わかりました。」
三原「以上です。では、退出してください。」
奈央子・鮎美「失礼します。」
奈央子と鮎美は、職員室を出て、教室に向かった。
ちなみに1年1組は全員が指定期間内にカットを済ませていた。
P.S
奈央子と鮎美は、その日の昼休みのうちにスマホから学園美容室にカットの予約をした。
そしてその日の放課後に、二人ともカットを済ませることができた。
翌日の5月9日
奈央子と鮎美は、始業前の休み時間に理由書兼カット完了報告書を2人で三原の所に提出したのだった。
これで1年1組、40名、1年2組、39名、計79名全員の女子生徒の定期カットが完了した。
ゴールデンウィークも終わり、佐竹理奈たち尼曽根学園1年生の女子生徒たちは、カットしたてのスクールボブでリフレッシュして、新たな気持ちで授業に臨んでいるのだった。
15 定期カット おわり
16に続く