小説「ハイスクール・ボブ」 16-1 | なんとなく断髪・襟足好きのためのようなブログ

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ハイスクール・ボブ
~ある全寮制高校のカット事情~
 

16 夏仕様
(1)
6月1日、木曜日、1年2組の教室内
 尼曽根学園女子高等学校では、今日から夏制服だ。
 1年2組の生徒は、おろしたての真新しい夏制服に身を包み、授業を受けている。
 夏制服は、上位は白色で半袖のセーラー服で、白地の襟に紺色で3本のラインが入っている。セーラーのスカーフは、冬服の濃いエンジ色に対して、夏服では明るい水色になっている。
 スカートは紺色のプリーツスカートだ。外見は冬服のスカートと同じだが、冬服のスカートに比べて夏服は通気性のいい生地を使用している。
 ソックスは、冬服の時の黒色のハイソックスに対して、夏服は白色のハイソックスだ。ソックスは学校指定で冬用のソックスと同じように、ふくらはぎの所に尼曽根学園のイニシャル『A』のオールドイングリッシュ体の刺繍がワンポイントで入っている。
 白色のセーラー服の襟にスクールボブの襟足のラインがよく似合っている。
 6月とはいえ、山間部にある学校なのでまだ少し肌寒い。
 なので、セーラー服の上に学校指定の紺色のカーディガンを着ている生徒もちらほらと見かける。
 新鮮な感じの夏制服に対して、1年生のスクールボブは、まもなくカットから4週間を迎えるため、全員が少しもっさりとした感じになっていた。

 襟足の刈り上げは伸びてイガイガ状態になりつつあった。

 パツンと切り揃えられた前髪は、個人差はあるが眉毛に触れるところまで伸びてきている。
 
6月2日、金曜日、1年2組の教室内
 6時限目の授業が終了した。
 終業のショートホームルームの時間だ。
 担任の三原雪が教室に入ってきた。
 三原は生徒たちに連絡事項を伝えている。
三原「来週6月5日の月曜日から6月11日の日曜日までの7日間は1年生のカット指定日です。生徒は必ず6月11日までに頭髪のカットを済ませてください。」
三原「なお、今回のカットからスクールボブは夏仕様になります。夏仕様は、襟足の刈り上げが、これまで6ミリの長さで刈り上げていたものが夏仕様では3ミリになります。」
 三原からの説明を聞いて、教室内にざわめきが起きる。
「ホームページの髪型紹介でも出てたけど、3ミリだと後ろの刈り上げがかなり短くなるみたいね。襟足の刈り上げたところの地肌が青白く見える感じになるみたいだよ。」
「えーっ、今の長さでもカットしたての時は恥ずかしいのに、もっと短くなるの?」
「これから暑くなるし、部活やってるから、私は首元が涼しくてそれでいいかと思うけど。」
三原「はいはい、みなさん、静かに。」
 ざわついている教室内を三原が静かにさせようとしている。
三原「学園美容室は、夏仕様のスクールボブの件は承知しているので、生徒がカットの際に特に何か伝えたりする必要はありません。」
 理奈は、そういえば先週、購買に行くために食堂棟の2階にある学園美容室前の廊下を通った時、学園美容室の入口に貼り紙がしているのを思い出した。
「6月1日より、スクールボブは夏仕様(襟足3ミリで刈り上げ)になります。」
 理奈は、スクールボブの夏仕様のことはホームページの髪型紹介や入学式前のオリエンテーションで聞いていたのでわかっていたことだが、いざ実際にすることになると少し不安だった。
三原「もうすでにカットの予約をされている生徒もいるかと思いますが、カットの予約は、学園美容室に行って直接予約するか、各個人に貸与しているノートパソコンか、個人のスマートフォンから尼曽根学園のホームページに入って学園美容室の予約画面から各自で予約してください。」
三原「では、次の連絡事項ですが・・・」
 三原が連絡事項を話している間、女子生徒たちは隣の席や前後の席の女子生徒らとあちこちでひそひそ話をしている。
「なんだか、1か月ってあっという間だよね。」
「そうね。もうゴールデンウィークから1か月経ったってことだよね。」
「なんだか本当にカットに追われているって感じ。私、中学時代はロングだったからカットなんて年に1、2回だったからね。ショートの子ってこんなに大変だったんだ。」
「そうね。私は中学の時はショートだったけど、1月半に1回ぐらいのペースでカットに行ってたわ。でも、その代わりショートって毎日の手入れは楽だけどね。」

「今度は前のカットの時より襟足の刈り上げが短くなるってのが少し不安だわ。」
「そう、私は別に気にならないわ。」
「えっ、だって襟足が青白くなってるのって恥ずかしくない?」
「私は全然、今流行りのフェードだと思えばかっこいいわ。」

「夏仕様って、サイドや前髪も前回のカットの時より短くなるのかしら」
「ホームページの髪型紹介とかを見ると、襟足の刈り上げだけみたいよ。」
「そうなんだ。だったら少し安心したわ。」

 三原が連絡事項を話している間、教室のあちこちでひそひそと話している生徒たちの私語が聞こえる。
三原「はい、みなさん、私語はやめて、静かに。」

 三原は、生徒たちの私語をやめるよう注意する。
 生徒たちは、私語をやめて、正面を向き、姿勢を正して教壇の三原に注目した。

三原「では、今日の終業のホームルームを終わります。」
学級委員「起立」、「礼」、「着席」
 終業のホームルームが終わり、理奈たち2組の生徒たちは、教室を出ていった。
 

つづく