【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

核施設13以上で異常 雨漏りや腐食、さび
動燃の東海事業所 科技庁と茨城県調査


動力炉・核燃料開発事業団(動燃)東海事業所(茨城県東海村)の低レベル放射性廃棄物貯蔵施設での放射性物質漏れに関連して、科学技術庁が所管する主な原子力施設の廃棄物関連施設で行った現地調査の結果、既に判明した貯蔵施設以外にも東海事業所内でドラム缶や鉄製コンテナの腐食、雨漏りなどが13施設以上あったことが11日分かった。同庁が調査した全国38カ所の事業所のうち、安全管理上問題があったのは動燃東海事業所だけとして、動燃に対して改善措置を指示した。
また、科技庁調査に続いて茨城県も9月9日から県内の23事業所への一斉立ち入り点検を実施。東海事業所内の35施設のうち8施設で問題点を発見したが、他の事業所にはなかった。同県も同事業所に口頭で改善要求した。
科技庁や同県によると、同事業所で全般的にコンテナやドラム缶のさびや表面塗装のはがれや腐食が放置されていたほか、プルトニウム系低レベル廃棄物の貯蔵施設の床には数十カ所水たまりがあり、壁面のしみや鉄骨支柱のさびも確認した。ウラン系の廃棄物貯蔵施設では換気装置からの雨漏りもあった。
また、火災・爆発の起きたアスファルト固化施設でドラム缶に詰めた廃棄物を貯蔵する施設では、監視カメラの台車が故障して、正常時の3割の範囲しか撮影できないことが判明。しかし科技庁には全体が異常なしと報告されていた。動燃は昨年12月に故障に気付きながら「予算が下りない」などの理由で放置していたという。
科技庁や県は、安全上直ちに問題はないが他事業所に比べて管理状態の差が歴然とあると指摘。動燃は「社会との感覚のずれを教育や人事を通じて意識改革させるしかない」(中野啓昌理事)としている。

(中日新聞 1997/09/12)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

動燃、隠ぺい組織ぐるみ 93年『目立たず改修』指示
「東海」ずさん管理 科技庁調査結果


動力炉・核燃料開発事業団(動燃)束海事業所(茨城県東海村)でウラン廃棄物貯蔵施設のずさんな管理が明らかになった問題で、動燃が1993年から実態を隠すために「目立たないように改修作業をせよ」などと指示していたことが5日、科学技術庁の立ち入り調査結果の発表で分かった。今年3月に同事業所アスファルト固化施設で火災・爆発事故が起きた後の安全性総点検でも同貯蔵施設を対象から外しており、組織ぐるみでずさんな管理実態を意図的に隠そうとしていた疑いが濃くなった。
調査では、同事業所幹部が93年ごろ、「廃棄物貯蔵施設の付近では目立たないように作業をする。質問を受けたら別の目的を説明する」と申し合わせていたことを示す内部文書が見つかった。
当時の宮原顕治所長(現監事)は、科技庁の調査に対して隠ぺい指示を認めている。同事業所では当時、再処理工場が停止したり、プルトニウムの滞留が厳しく指摘されている最中で、廃棄物のずさんな管理の発覚を恐れていたらしい。結果的に人目を引く建屋の建設は先延ばしになった。
しかし、予算面では「いまさら科技庁には言えない」などの理由から、動燃本社も承知のうえで、実態とかけ離れた予算要求を続け、別の事業に改修費を流用していた。
93年にはまた、下請け業者による調査で、貯蔵施設の一部に亀裂が生じ、ドラム缶の腐食が激しいことが報告されていたが、同事業所はこれも無視して隠ぺいを図っていた

動燃は、同事業所のアスファルト固化施設火災爆発事故後の安全性一斉点検の際も、貯蔵施設だけ点検対象から外していた。動燃では「現場から対象施設を報告する際、抜け落ちていたようだが、さらに調べたい」としている。しかし貯蔵施設の管理問題は、歴代所長の申し送り事項とされており、科技庁では「意図的に脱落させた可能性もある」としている。
一連の問題について動燃の中野啓昌理事は「汚いものは法に触れない範囲で、そうっとして次の人に渡せばいいという感じがあった。遅れれば遅れるほど(修正することが)やりにくくなった。深く反省している」と話している。


『亀裂から漏水』既に業者が指摘

動力炉・核燃料開発事業団(動燃)束海事業所は5日、1993年に下請け業者が作成したウラン廃棄物貯蔵施設の補修に関する事前調査報告書の内容を公開した。
それによると、業者が施設に入って目視で確認した内部状況について「貯蔵槽(ピット)側壁に、亀裂が生じていた」と記され、施設の補修方法を検討する項目では「亀裂から漏水の恐れがある」と指摘があった。
動燃はピットの亀裂について「コンクリート壁の上に加工したモルタルの亀裂で、コンクリートそのものに亀裂があるわけではない」としている。また、動燃はこの報告書があることを知りながら、科技庁には4日の立ち入り調査まで、茨城県には5日まで提出していなかった。

(中日新聞 1997/09/06)



私が命じられた北海道泊原発の検査記録改ざん

不都合な検査記録は改ざんしろと・・・

「泊原発3号機・検査結果は真っ赤な改ざんです。」
と検査官の下請けさんが内部告発!!

http://blog.goo.ne.jp/jpnx02/e/bcaa308e10998ef55b815d9f14d583ef




組織ぐるみの隠蔽体質は昔から、今も続く


電力会社では、都合の悪いデータを改ざんすることは、
昔から当たり前のことのように行われてきたようだ。



原発の電力出力ワット数についても、認可された数値を超えることは
許されないため、コンピュータにアクセスして書き換えをしていた、と
元GE技術者が証言している。



コンピュータにアクセスして数値を書き換える人間が
数人存在するのだそうだ。



このようなことができる人間は、限られているので、
なかなか辞めさせてくれなかったという。



証言した元GE技術者は、良心の呵責から退職した。


口止め料を退職金に800万ほど上乗せされたと・・。



会社を後にするとき、最後に社長面接が行われ、
社長に「わかっているね」と言われたという。





【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

動燃 27年前から浸水把握
抜本的対策取らず 東海事業所の貯蔵施設
たまった水を処理 ボイラーを無許可使用


ウラン廃棄物のずさんな管理が問題になっている動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が東海事業所廃棄物貯蔵施設にたまった水を蒸発させる小型ボイラーを法に違反して許可なく使っていたことが科学技術庁の1日までの調べで分かった。さらに、施設に施すべき防水加工をしていなかった可能性が高いことや27年前から廃棄物貯蔵施設内にたまった水の放射能を測り、くみ出していたことも明らかになった。
動燃は施設の浸水が分かって水の除去を始めたのは15年前で、放射能測定は13年前からと説明してきたが、これを覆す内容。早くから浸水を把握しながら科技庁にも報告せず、抜本的な対策を取らなかった動燃の姿勢があらためて問われることは間違いない。
科学技術庁によると、動燃は施設内にたまった水を蒸発させて量を減らすため、今年2月に小型ボイラーを購入。本来は原子炉等規制法に基づく使用許可が必要だが、動燃は「汚染の程度が低い」などの理由で、申請は必要ないと勝手に判断して申請をしなかった。
また、2つある貯蔵施設のうち、1つについては科技庁への申請では「防水モルタル加工をする」となっていたのに、1967年の使用当初から加工していない可能性が高いことが分かった。
科技庁の片山正一郎核燃料規制課長は同日夜の記者会見で「どういう経緯だったのかを確認した上で対応を検討したい」と語った。
さらに、現場の担当者が事業所内の放射線管理担当者に、施設内にたまった水をくみ出す方法について相談した記録も科技庁の立ち入り検査で見つかった。記録は、70年から74年まで5回分。たまった水の量に関する記録は、まだ見つかっていない。
動燃はこれまで「施設の浸水は82年4月の科技庁の調査で分かった。それ以前に水の除去はしていない」(鶴巻宏一・環境技術開発推進本部副本部長)と説明。放射能測定を始めた時期も84年としていた。


動燃の全施設で管理体制を点検 科学技術庁が発表

動燃がウラン廃棄物貯蔵施設をずさんに管理していた問題で、石田寛人科学技術事務次官は1日、記者会見し、監督が行き届かなかった点を陳謝するとともに、動燃の全事業所の安全管理体制を総点検すると発表した。
石田事務次官は冒頭「国民や関係者の方々に多大なご心配をお掛けしたことを深くおわびする。国民に信頼されるように全く新しい組織に作り替える努力を続けたい」と頭を下げた。その上で、今回発覚したずさん管理問題を踏まえ、動燃が茨城、岐阜、福井、岡山の各県に持つ6事業所すべてについて、管理状況や老朽化対策などを徹底的に調べる方針を示した。

(中日新聞 1997/09/02)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

動燃 科技庁に“うそ報告”
ピット上に建物 予算とり実行せず


動力炉・核燃料開発事業団(動燃)東海事業所のウラン廃棄物貯蔵施設の放射性物質漏出問題で、動燃は1993年度から98年度までの6年計画で地下式貯蔵施設(ピット)の上に建屋を建てる予算をとっておきながら、実際にはピットの補修に追われ、まったく実行していなかったことが28日分かった。予算の申請と執行内容が5年間も異なったままで、監督官庁である科学技術庁にもうその報告を繰り返していたことが明らかになった。
科技庁に認可された予算の名目は、93年度が「設計費」、94年度が「建屋工事費」、95年度が「廃棄物移転」などと工事が順調に進んでいるような名目になっていたが、実際にはピット外壁の防水工事や周辺の補強工事などが行われた。96年度は「ピット補修」と「補修」名目だが、実際には排水処理をする小型蒸留装置の購入に使われていた。予算総額は約10億円だった。
動燃は科技庁に毎年の概算要求の説明で、予定通り作業が進んでいると虚偽の説明を続けていた。
うそをついた理由について動燃は「93年度予算の時に立てたプランが甘かった。着手しようとしたら、意外に工事が難しかったようだ。だが、新規事業が認められると、翌年からは科技庁にあまり説明しなくてもいいので、94年度以降も、以前の計画のまま申請してしまったようだ。東海事業所からは、動燃本社にも特に報告はなかった」としている。
科技庁では「特殊法人の予算の場合、予算の運用に多少の柔軟性は認められるというものの、明らかに行き過ぎだ」としている。

(中日新聞 1997/08/28)


【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

動燃漏出事故 ドラム缶腐食20センチの穴
茨城県職員会見 ずさん管理に怒り


事故と不祥事に揺れ続けた動力炉・核燃料開発事業団(動燃)がまた、ずさんな管理体質をさらけ出した。26日、明らかになった東海事業所(茨城県東海村)での放射性物質の漏出事故。高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏れや再処理工場の火災・爆発事故、その後の虚偽報告など事故や不祥事続きの動燃。周辺住民からは、怒りを超えた失望の声が上がる一方で、いったんは漏出を確認しながら長期にわたって放置してきた科学技術庁に対する不信感が一気に噴き出した。
「貯蔵ピットのマンホールには(低レベル放射性廃棄物の入った)ドラム缶の一部に直径20センチほどの穴が開き、腐食が激しく赤茶けていたり、塗装がはがれたりしていた」 動燃東海事業所の廃棄物屋外貯蔵ピットの管理状況を調査するため同日午後、現地に赴いた同県原子力安全対策課の職員2人は、会見の席で動燃の無責任な姿勢に怒りの声を上げた。
同課によると、2つの貯蔵ピットの中には計5つの槽がある。浸水が激しい槽では3段に積み重ねられているドラム缶(高さ90センチ)のうち、最下段のドラム缶は水没、中段のドラム缶も半ば水没の状態。ドラム缶の一部に開いた穴からは廃棄物の塩化ビニール管も見える状態だったという。
ピット外への放射性物質の漏出について、東海事業所は「ないと考えている」としているが、ピット周辺の2-10メートル離れた土壌3カ所から最大で天然に存在する約20倍のウラン238が検出されていることから、県は早急に適切な処理を行うよう動燃に求めていく方針。
茨城県内には現在、国内の貯蔵量の約3分の1に当たる200リットルドラム缶で約30万本の低レベル放射性廃棄物が貯蔵されている。
今月19日に動燃の新本社移転が決定したばかりの東海村では、午後零時半に職員を現地に派遣したが、アスファルト固化施設の火災・爆発事故に続く動燃のずさんな管理体制にいら立ちを募らせた。
村役場には「放射能が外に漏れているのでは」「避難しなければならないのか」「避難勧告が出たというが本当か」といった村民からの問い合わせが殺到。
この日、須藤富雄村長は出張で留守で、対応した萩野谷博企画課長は「村に何の連絡もないのは残念。本社も村に来ることになったのだから、もっと安全管理を徹底してほしい」と厳しく注文をつけた。

(中日新聞 1997/08/27)


【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

動燃で放射性物質漏出 施設浸水 最大 基準の1万倍
科技庁 15年前把握…放置 東海事業所

茨城県東海村の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)東海事業所で、低レベル放射性廃棄物の貯蔵施設が長年にわたって浸水し、ドラム缶に詰められた放射性物質が水中に漏れ出していることが分かった。施設外への影響や作業員の被ばくはないという。科学技術庁は26日夕から原子炉等規制法に基づき、現場の管理状況を立ち入り検査した。27日には周辺でサンプリング調査を行う。科技庁は15年前の調査で浸水の実態を把握しながら、その後、状況を点検していなかった。一連の不祥事で動燃を新法人に改革する動きが始まっているが、動燃のずさんな管理とともに科技庁の規制の在り方も厳しく問われそうだ。
浸水していたのは地下式の「廃棄物屋外貯蔵ピット」。ウラン製錬などで発生したウラン廃棄物のうち低レベルの放射性廃棄物の入ったドラム缶を貯蔵している。ピットは5槽に分かれ、現在は約2000本が保管されている。
当初から雨水がたまる傾向があり、ここ数年は浸水がひどくなった。8月上旬の測定では、C槽と呼ばれる槽で深さ131センチも水がたまり、ドラム缶が水没、他の槽の水深は4-11センチだった。昨年8月には、C槽の水位が250センチになっていたこともある。このため、一部のドラム缶は腐食して穴が開き、ウランが漏れ出していた。
放射性物質は主にウランで、浸水中の濃度は、最大で1ミリリットル当たり26ベクレル。施設外への排出基準の1万倍にあたる。動燃は「水は抜いて放射性物質として処理している。床や壁はコンクリート製で、水位が自然に下がることもなかったので、外部への漏れはないと判断している」と説明している。
科技庁は82年、貯蔵ピットを検査して「水たまり」を確認、水を除去するよう指導していた。しかし動燃は以後15年間、抜本的な対策は取らず、たまったら水を抜くという措置を続けてきた。科技庁もその後指導はしていなかった。動燃はまた、このことについて地元の茨城県や東海村に報告していなかった。
94年に動燃が施設近くの土壌を調べた時は普通の20-30倍の濃度の放射性物質が検出されたが「製錬をしていた当時に汚染されていた可能性がある」といい、施設外への漏出があったかどうかは不明だ。
動燃は「来年5月には新しい処理施設ができるため、廃棄物はそこで処理したい。環境への影響については、土壌を採取して調べたい」と話している。
もんじゅの事故や、再処理工場の事故に加え、長年のずさんな管理が発覚したことは、動燃の信頼回復にも影響しそうだ。
一方、科技庁は26日、全国の核燃料加工、使用施設に対し、放射性廃棄物の管理が正しく行われているかどうか調査するよう、通達することを決めた。動燃東海事業所で、ずさんな管理が明らかになったことを受けての措置で、施設は民間も含めて全国に十数カ所ある。

(中日新聞 1997/08/27)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

核燃料廃棄物、民間で埋設 原子力委懇談会案
地下数百メートルへの最終処分 費用、電気代に転嫁

原発の使用済み核燃料から出る高レベル廃棄物の処分について、原子力委員会の高レベル放射性廃棄物処分懇談会(座長=近藤次郎・元日本学術会議会長)は29日、地中深くに埋める処分は民間組織が行い、費用は電気料金の原価に算入して消費者が負担すべきだという報告書案を公表した。発生者責任と受益者負担を強調している。電気事業連合会の荒木浩会長(東京電力社長)は「国が前面に出てもらわないと」と、構想に異論を唱えた。
高レベル廃棄物は、使用済み核燃料から、まだ燃やせるウランやプルトニウムを取り出した残り。フランスから返還されたガラス固化体について、30-50年間の「一時貯蔵」が、青森県六ケ所村の日本原燃貯蔵管理センターで始まっている。議論されているのは、その後に地下数百メートルの安定した地層に埋める「地層処分」を、だれがどのように実施するかだ
報告書案は「原発で発生した高レベル放射性廃棄物1996年現在、ガラス固化体(直径40センチ、高さ1.3メートル)にして約1万2000本にのぼる。2030年までには、さらに約5万8000本が発生する」と現状を分析した。「国や電気事業者は原発の立地に重点を置き、廃棄物処分問題への対応を十分にしてこなかった」と批判し、すでに地層処分の会社をつくったスウェーデンや、国が処分地を探している米国やドイツに比べて「10年程度遅れている」と指摘した。
そのうえで、国民1人ひとりの身に迫った問題と位置付け、2000年をめどに地層処分を担う組織を設立できるよう法律などの早急な整備を求めている
処分の担い手については、国の場合と民間の場合を比較し、発生者負担の原則とともに、国が事業の実施と監督の両方を行うことを問題とし、民間主体で進めることが適当と結論づけた。国は円滑な処分と安全確保のための制度と体制を整備する。電力会社は実施主体とともに、資金の確保と処分地選定に当たる。
事業資金は、受益者負担の原則から「処分に直接要する費用は、電気料金の原価に算入し電気利用者が負担することが適当」との考えを示した。直接の処分費用は電気料金1キロワット時あたり数銭から10銭程度との試算を示した。立地地域との共生事業は、内容によっては国が取り組む。
処分地の選定では、求められる条件や事業内容の情報公開を徹底し、共生事業案とともに提示する。そのうえで、公募や申し入れに基づき処分する組織が選ぶが、関係行政機関が一体となって処分地の確認にあたることを求めた。
報告書案は外部の意見も検討したうえで、来春、最終報告書にまとめる。懇談会委員の荒木氏は「少なくとも処分地の選定は、民間では難しい」「決して逃げているわけではないが、法的な裏付けが必要だ」と述べた。
懇談会は、動力炉・核燃料開発事業団(動燃)理事長、原発立地県などでつくる協議会の会長(鹿児島県知事)、大学教授、生活評論家ら幅広い分野の25人で構成されている。


通常産廃と同じ原則 「負担の公平」図る必要

<解説> 原子力委員会の高レベル放射性廃棄物処分懇談会が29日公表した報告書案は、「放射性廃棄物も通常の産業廃棄物と同じ原則で処分されるべきだ」ということを初めて明確に示した。
地層処分は、地上とは隔絶された深い地下に、ガラスに封じ込めた廃棄物を埋める。放射能を含むウラン鉱床が地下深くに眠っていても地上には影響がないから、安定な地層なら大丈夫というのが国や研究者の言い分だ。反原発団体などは半永久的な放射能管理が必要と主張。事業を国が担うか民間が担うかは、世界でも2つの流れがあった。
地層処分は、動燃が茨城県東海村で地下深くの条件を再現して研究しているほか、岐阜県瑞浪市におく超深地層研究所で数百メートルから1000メートル程度の地下研究を計画している。同研究所の設置は、地元の求めで、放射性廃棄物を持ち込まず、将来処分場にしないとの協定が結ばれた。北海道幌延町で計画している貯蔵工学センターは高レベル廃棄物の貯蔵もする構想だが、ここも「総合研究センターを目指すものであり、処分場の計画と明確に区別」(1996年版原子力白書)することになっている。
民間主体の方針に電力業界が異論を唱えたのは、民間だけでは地元に同意を得るのが容易でないとの懸念があるからだ。とはいえ、原子力委員会は懇談会などでの論議の積み上げで政策を決めている。電力業界の代表も入った懇談会が、民間主体を打ち出した案を公表したことで、大きな流れが提示されたといえる。
もちろん、「国策」として原発建設を推進してきた国が、民間に任せきりでいいわけはない。「電力消費地域と処分地地域の公平」や「世代間の負担の公平」の実現に、真正面から取り組む必要がある。

(朝日新聞 1997/05/30)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

ウラン集める細菌発見 放射性廃棄物処理で利用も
宮崎医科大と原研


日本原子力研究所(原研)は16日、宮崎医科大の坂口孝司教授らの研究グループと原研が共同で行った研究で、水溶液中のウランやプルトニウムイオンを効率よく捕集する性質を持った細菌が発見されたと発表した。
原研によると、細菌は坂口教授らがオーストラリア北部のウラン鉱山周辺の土壌や水から採取した6種類のバチルス属細菌。実験は、ウランやプルトニウムの水溶液に培養した細菌を混ぜ、数分から数十分間かきまぜてろ過した溶液中のウラン、プルトニウム濃度を測る方法で行った。
その結果、一番能力の高い細菌で細菌1グラム当たり約0.6グラムのウランを捕集。同様の働きをする高性能キレート樹脂の2倍近い能力を示した。
プルトニウムについても、四価のプルトニウムイオンを効率よく捕集することを確認。これまで困難とされてきた酸性度の高い溶液からでも捕集できることが分かった。
原研は、細菌を焼却して容易にウランなどを回収できる利点があるため、ウラン、プルトニウムの回収のほか、放射性廃棄物処分の際の放射能閉じ込めにも応用できると期待している。

(中日新聞 1997/05/17)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

動燃爆発事故 飛散物回収…慌てて元に
写真破棄は主査独断


動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の再処理工場爆発事故をめぐる“写真隠し”問題で、動燃は30日、東海事業所の職員が独断で写真を破棄し、管理職もこれを知っていたと発表した。また、同日、科技庁と茨城県に修正報告善を提出、爆発直後、現場周辺の散乱物を回収した後、現場保存のために慌てて元の位置に再び戻していたことを明らかにした。さらに、爆発時に監視カメラがとらえた現場のビデオを公開した。科技庁原子力安全局は、相次ぐ事実隠しに「考えられないこと」として、厳しい姿勢で臨むことを明らかにしたほか、動燃も写真破棄の問題で関係者を近く処分する方針。
動燃によると、火災発生後の3月11日午後1時半ごろ、爆発があったアスファルト固化処理施設に入った作業員が、環境施設部処理第1課の主査の指示で写真を撮影。同日中に現像して、課員数人がこれを見たが、同16、7日ごろにこの主査がネガごと、裁断処分してしまった。
当時の上司の担当役は、数日後に破棄処分の経過を知ったというが、対応策はとらなかった。前課長や前部長は、写真撮影すら「記憶にない」といい、今月8日の虚偽報告発覚後に、内部調査が本格化するまで知らなかったと話している。
主査は破棄処分にした理由を「今さら、この写真を出すと隠していたと思われる、ととっさに思い、なかったことにしようと思った」と説明したというが、写真破棄で、火災と爆発の因果関係を調べる重要な資料の1つが失われた。
これらの管理職や職員はいずれも、虚偽報告の隠ペい工作にかかわっていたとされている。
一方、修正報告書によると、火災翌日の3月12日未明には、施設周辺で爆発による散乱物を清掃、回収したが、直後に処理第1課長の指示で散乱物を元に戻す作業が行われていた
作業員の中からは「わざわざ回収したのに戻せというのは矛盾している」との不満も出たという。“復元”では扉のうち1枚が、吹き飛んだ位置に直されていないなど、飛散状況は完全には再現できなかったといい、作業員らの記憶頼みの“現場”が事故調委などに報告されてしまった。動燃は「虚偽報告と言わざるを得ない」と認めた。
このほか、被ばく測定の対象者が112人から17人増えた、放射能漏れの通報が5時問余り遅れたのはデ一夕を把握していたものの報告すべき数値ではないと判断を誤っていた-ことなどが新たに加えられた。
科学技術庁の池田要原子力安全局長は「回収は、動燃が独断でやっていいことではない。きちんとした指揮管理が行われていない」と、組織上の点で問題があると指摘。「法律上の問題点は今後検討したい」と話した。

(中日新聞 1997/05/01)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

動燃爆発事故 火災直後の写真処分 所長らに報告せず


動力炉・核燃料開発事業団(動燃)東海事業所(茨城県東海村)アスファルト固化処理施設の火災・爆発事故で、火災直後に施設内に入った運転員らが撮影した写真が存在していたにもかかわらず、同事業所長などに報告のないまま処分されていたことが29日分かった。「事故隠し」の疑いも出てきたことから科学技術庁は、30日にも動燃から詳しく事情を聴く。
動燃の虚偽報告事件を原子炉等規制法違反容疑で調べている茨城県警捜査本部もこの事実に重大な関心を示しており、この日午後、撮影した運転員とともに施設内に入った東海村消防本部の消防員らから撮った写真の内容などについて事情を聴いた。
写真は3月11日午前の火災発生後の同日午後1時34分ごろから約10分間、消火確認の「第1班」として同消防本部の消防員1人とともに施設に入った下請け会社の運転員2人が撮影した。事故現場のアスファルト充てん室ものぞき窓などから撮影しており、写真は同施設を管理する同事業所環境施設部処理第1課に渡された。
ところが、撮影の事実は事業所長や本社には報告されなかった。写真があったことは、科技庁による原子炉等規制法に基づく告発後、同社本社が組織した特別調査班の聞き取り調査で発覚したという。
撮影写真は、フィルムごと民間現像所に外注して現像などを処理、その後複数の職員が写真を見るなど存在を確認している。動燃は「だれがいつ、どういう理由で処分したかはまだ調査中」としているが、写真は意図的に廃棄された可能性が強いという。

(中日新聞 1997/04/30)