【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
動燃爆発事故 飛散物回収…慌てて元に
写真破棄は主査独断
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の再処理工場爆発事故をめぐる“写真隠し”問題で、動燃は30日、東海事業所の職員が独断で写真を破棄し、管理職もこれを知っていたと発表した。また、同日、科技庁と茨城県に修正報告善を提出、爆発直後、現場周辺の散乱物を回収した後、現場保存のために慌てて元の位置に再び戻していたことを明らかにした。さらに、爆発時に監視カメラがとらえた現場のビデオを公開した。科技庁原子力安全局は、相次ぐ事実隠しに「考えられないこと」として、厳しい姿勢で臨むことを明らかにしたほか、動燃も写真破棄の問題で関係者を近く処分する方針。
動燃によると、火災発生後の3月11日午後1時半ごろ、爆発があったアスファルト固化処理施設に入った作業員が、環境施設部処理第1課の主査の指示で写真を撮影。同日中に現像して、課員数人がこれを見たが、同16、7日ごろにこの主査がネガごと、裁断処分してしまった。
当時の上司の担当役は、数日後に破棄処分の経過を知ったというが、対応策はとらなかった。前課長や前部長は、写真撮影すら「記憶にない」といい、今月8日の虚偽報告発覚後に、内部調査が本格化するまで知らなかったと話している。
主査は破棄処分にした理由を「今さら、この写真を出すと隠していたと思われる、ととっさに思い、なかったことにしようと思った」と説明したというが、写真破棄で、火災と爆発の因果関係を調べる重要な資料の1つが失われた。
これらの管理職や職員はいずれも、虚偽報告の隠ペい工作にかかわっていたとされている。
一方、修正報告書によると、火災翌日の3月12日未明には、施設周辺で爆発による散乱物を清掃、回収したが、直後に処理第1課長の指示で散乱物を元に戻す作業が行われていた。
作業員の中からは「わざわざ回収したのに戻せというのは矛盾している」との不満も出たという。“復元”では扉のうち1枚が、吹き飛んだ位置に直されていないなど、飛散状況は完全には再現できなかったといい、作業員らの記憶頼みの“現場”が事故調委などに報告されてしまった。動燃は「虚偽報告と言わざるを得ない」と認めた。
このほか、被ばく測定の対象者が112人から17人増えた、放射能漏れの通報が5時問余り遅れたのはデ一夕を把握していたものの報告すべき数値ではないと判断を誤っていた-ことなどが新たに加えられた。
科学技術庁の池田要原子力安全局長は「回収は、動燃が独断でやっていいことではない。きちんとした指揮管理が行われていない」と、組織上の点で問題があると指摘。「法律上の問題点は今後検討したい」と話した。
(中日新聞 1997/05/01)