ジェフ・ベック・グループ(Jeff Beck Group)解散後に,ヴァニラ・ファッジ(:Vanilla Fudge) ⇒ カクタス(:Cactus)のリズム隊である,ベースの ティム・ボガート(:Tim Bogert),ドラムの カーマイン・アピス(:Carmine Appice)と結成したスーパー・トリオ:ベック・ボガート&アピス(:Beck,Bogert & Appice).

 ジェフ・ベック(Jeff Beck)が,1969年11月の交通事故で入院した関係もあって,このトリオ編成に至るまでは紆余曲折ありましたが,ベック・ボガート&アピス(:Beck,Bogert & Appice)は,1972年10月に欧州・北米ツアー,同11月にファースト・アルバムのレコーディングを行い,そのアルバム 『 Beck,Bogert & Appice (ベック・ボガート&アピス) 』 は,翌1973年2月にリリースされ,それに伴い英国ツアー(2月)をおこないます.

 そして 3月からの北米ツアー(3月28日-5月8日)を経て5月に来日し,5月14日:日本武道館,5月16日:名古屋市民会館,5月18~19日:大阪厚生年金会館と,4公演を行い,この大阪厚生年金会館の公演から収録曲が選択され,10月にオフィシャル・アルバム 『 Live (ライヴ・イン・ジャパン) 』 がリリースされたのはご存知の通りです.

 その後,6月-7月にかけて欧州・英国ツアー,セカンド・アルバムのセッションも行われ,翌1974年1月8日グラスゴーのアポロ・シアター公演を皮切りに英国ツアーを行うものの,ジェフ・ベック(Jeff Beck)と ティム・ボガート(Tim Bogert)の確執もあり,セカンド・アルバムも完成には至らず,自然解散します.

 本商品は,1st アルバム 『 Beck,Bogert & Appice (ベック・ボガート&アピス) 』 のレコーディング前に行った欧州ツアーから,1972年10月8日ドイツはフランクフルトのヤハンダーサハレ公演のオーディエンス録音を収録し,マスタリングには定評のある Graf Zeppelinレーベルのマスタリングの元,Wardourレーベルからリリースされた 『 Frankfurt 1972 (Wardour-554) 』 です.

 本商品のメインとなっている音源は,既発 『 Rainbow 1974 1st Show (Wardour-165) 』 に付属のボーナス・アイテム 『 Frankfurt 1972 (Special Bonus CDR) 』,その後,単独のギフト・アイテムとして配布された 『 Frankfurt 1972 (Gift CDR) 』 で聴くことができまましたが,今回の欠落部分を別オーディエンス録音で補填・全曲収録により商品化されたアップグレード盤です.

 ギターのみ他パートに比べかなりオンな傾向に収録されているのですが,バンドとしての演奏が始まると爆音の関係なのか,レコーダー側のリミッターが効いてしまっているのか,音が多少団子状態に近くなってしまう感もありますが,中盤以降はかなり改善され,収録された年代を考えると高音質のオーディエンス録音と言えます.

 メーカー情報では
 『BB&A最初期の定番ライブ音源として昔からマニアに親しまれてきた1972年10月8日のフランクフルト。モノラルながら非常に聞きやすいオーディエンス録音のおかげでいくつのもタイトルが生み出されてきたものですが、恐らく同音源のもっともポピュラーなタイトルがHEARTBREKERSの『WHY SHOULD I CARE』ではないでしょうか。トリオが本格始動した場面を同タイトルで知ったマニアは少なくないかと。
 ところがフランクフルトには別のオーディエンス録音も存在します。ライブのフィナーレ「Why Should I Care」が未収録など収録時間がモノ・ソースより短いことが仇となり、従来のモノと比べると影の薄い感が否めなかったのですが、音質自体はド迫力で、モノ・ソースを圧倒する驚異的な音質を誇ります。中でもベックのギターの近さたるや「まるでサウンドボード」どころか「サウンドボードそのもの」でして、もはやオーディエンス録音というよりも1972年当時にドイツのAMラジオで放送されていたのか?と錯覚してしまいそうなビンテージ感を兼ね備えた音像の近さ。
 そのクオリティゆえCD黎明期に懐かしのOH BOY!が『LET ME LOVE YOU』というタイトルで出したりもしていたのですが、近年はBBAの72年フランクフルトと言えば完全にモノ・ソースが主流となっていた感がありました。
 こうした状況に一石を投じたのは、バンド終焉を間近に控えた伝説の一夜を捉えた名盤『RAINBOW 1974 1ST SHOW』リリース時に付属したギフトCD-R『FRANKFURT 1972』。HEARTBREKERS盤のモノ・ソースに慣れ親しんだであろう近年のマニアにまるで別次元のステレオ・マスターが存在していたことを知らしめたのです。あの大ベストセラーを記録したご本尊『RAINBOW 1974 1ST SHOW』も今や『DEFINITIVE RAINBOW 1974 1ST SHOW』として生まれ変わり、今度はフランクフルトのステレオ・ソースが堂々と限定プレスCDにてリリースされる番がやってきました。

 となれば『DEFINITIVE RAINBOW~』同様リリースに際してプロデュースを「GRAF ZEPPELIN」が担うのは当然の事。今回のリリースに際してメインにステレオ・ソースを据えることを迷わず選択。何故ならば「GRAF ZEPPELIN」ブラッシュアップの十八番である位相修正をステレオ・ソースに施すことが可能だからです。そもそも近年出回っているステレオ・ソースは旧来の同音源とは比較にならないほど状態が良く、これまでプレスCDがリリースされなかったのが不思議なほど。
 モノにステレオにしろ、この日の音源を聞くとトリオの演奏が相当な音量で鳴り響いていたのだと推測され、モノの方は特にボガートを中心としたボーカル・パートが追いやられ気味でした。その点ステレオの方が解像度も上がった分ボーカルが聞きやすいというのも大きなアドバンテージ。
 そこで欠損個所にモノ・ソースをアジャストすることで文字通り二種類の音源のいいとこどりをしたベスト・バージョンが誕生することに相成りました。モノとステレオ二種類の音源が使われておきながら、聞いていて意外なほど違和感を覚えないのは先の理由から録音バランスが似ているということが大きく、それを「GRAF ZEPPELIN」は実に鮮やかにまとめてくれたのです。

 そしてトリオとして本格的なライブ活動を初めてまだ一か月も経過していないステージの記録という事だけあって、彼らの絶頂を捉えた翌年の武道館、あるいは終演間近かつトリオの到達点を捉えたレインボーといった音源と比べると、まるで違う初々しい演奏ぶりが新鮮。何しろ彼らが残した唯一のスタジオ・アルバムの録音前というタイミングであり、それ故に楽曲が揃っていない中で敢行されたステージなのだからなおさら面白い。
 オープニングの「Superstition」からして後のようなパワー・トリオの爆裂感は希薄で、むしろ三人がお互いに手探りするかのように渡り合う演奏がこれまた面白い。当然「Black Cat Moan」のカバーもこの時点にはなく、代わりにベックは「Tonight I'll Be Staying Here With You」でボガートとアピスの間に入って三声コーラスを頑張るなど活動初期ならではの光景が見られると同時に、音質が非常に良いのでしっかり聞き分けられる。
 そして「Lady」や「Why Should I Care」といった新曲はまだ練られておらず、それぞれがトリオの駆け引き控えめにあっさりと演奏されているのはこの時期ならでは。代わりに従来のベックの見せ場である「Jeff's Boogie」が引き延ばされるなど、全体的にはベック主導で他の二人はまだ様子見レベルな場面が多いのも活動初期らしい。それ故にベックの音が凄まじい近さで捉えられたというのはあまりに魅力的であり、従来のモノ・ソース・タイトルを一蹴する文字通りの決定版が「GRAF ZEPPELIN」によって生み出されました。
 絶頂の武道館、終焉のレインボーといったBB&Aそれぞれの時期の代表盤の峰に、活動初期のフランクフルトという新たな定番が加わります!

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REMASTERED BY GRAF ZEPPELIN
(リマスター・メモ)

 ★2種類(ステレオ、モノラル)のAudソースで全曲完全収録を実現
 (2種の音に演奏の距離感などの「感触差」があるが)
 ★メインソース:ステレオAud / サブソース:モノラルAud
 ★ステレオソースは位相修正
---------------------------------------』

Frankfurt 1972 (Wardour-554)
 
 Live At Jahrhunderthalle Hochst, Frankfurt, Germany
 08th October 1972
 [UPGRADE]

   01. Intro
   02. Superstition
   03. Livin' Alone
   04. Tonight I'll Be Staying Here With You
   05. People Get Ready
   06. Lady
   07. Morning Dew
   08. Drum Solo
   09. Plynth
   10. Shotgun
   11. Instrumental Jam 1
   12. Instrumental Jam 2
   13. Plynth (reprise)
   14. Let Me Love You
   15. Jeff's Boogie
   16. Why Should I Care
   TOTAL TIME (75:36)

 Jeff Beck : Guitar, Vocal
 Tim Bogert : Bass, Vocal
 Carmine Appice : Drums, Vocal

 Tonight I'll Be Staying Here With You
 
 Morning Dew
 
 Jeff's Boogie
 

[参考]
 詳細情報(メーカー情報より)
   01. Intro
       ⇒ ★丸ごと別ソース
   02. Superstition
       ⇒ ★0:00-0:06別ソース
   03. Livin' Alone
       ::::
   07. Morning Dew
   08. Drum Solo
       ⇒ ★0:13-4:13 別ソースで補填
   09. Plynth
       ::::
   14. Let Me Love You
   15. Jeff's Boogie
       ⇒ ★4:41以降別ソース
   16. Why Should I Care
       ⇒ ★丸ごと別ソース

※) 正直,日程の詳細は不明で,誤りもあると思いますが,ざっくりと記載しておきます.
1972 Tour Dates
 [Jeff Beck Group]
 March
  25 Radio Bremen Television Studios, Bremen, Germany
 
 May
  05 Carnegie Hall, New York, NY, USA
  07 Cobo Arena, Detroit, MI, USA
  13 Arie Crown Theater, Chicago, IL, USA
  17 Palace Theater, Waterbury, CT, USA
  19 Spectrum Theater, Philadelphia, PA, USA

 June
  29 Paris Theatre, London, England
 
 July
  13 Ritz Theatre, Staten Island, NY, USA
  29 Paris Theatre, London, England
 
 August
  01 Stanley Theatre, Pittsburgh, PA, USA
  02 Gaelic Park, The Bronx, NY, USA
  04 Curtis Hixon Convention Hall, Tampa, FL, USA
  07 Majestic Theatre, Dallas, TX, USA
  08 Arie Crown Theater, Chicago, IL, USA
  10 Community Concourse, San Diego, CA, USA
  11 San Jose Civic Auditorium, San Jose, CA, USA
  13 Hollywood Palladium, Los Angeles, CA, USA
  14 Berkeley Community Theatre, Berkeley, CA, USA
  19 Paramount Theatre, Seattle, WA, USA
 
 [Beck, Bogert & Appice]
 September
  16 The Oval, London, England
  23 Grangemouth Stadium, Grangemouth, Scotland
  30 Swag aan de tweede zijwag, Mijdrecht, Netherlands

 October
  03 Forest National (Vorst Nationaal),Forest (Vorst), BELGIUM
  03 Kunsthumaniora, Laken (Laeken), BELGIUM
  08 Jahrhunderthalle, Frankfurt, GERMANY
  10 Jahrhunderthalle, Frankfurt, GERMANY
  20 Hollywood Sportatorium, Pembroke Pines, FL, USA
     ⇒ [2 Shows]
  21 Jacksonville Memorial Coliseum, Jacksonville, FL, USA
  22 Brevard Community College, Cocoa, FL, USA
  25 Palace Concert Theater, Providence, RI, USA
  24 Aquarius Theatre, Boston, MA, USA
  26 Tower Theatre, Upper Darby, PA, USA
  27 Capitol Theatre, Passaic, NJ, USA
  28 Hofstra University, Hempstead, NY, USA
  29 Rochester Institute of Technology, Rochester, NY, USA
  31 D.A.R. Constitution Hall, Washington, DC, USA
 
 November
  07 Ford Auditorium, Detroit, MI, USA
  11 The Warehouse, New Orleans, LA, USA
 









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#2023‐04‐12