1976年12月の初来日での模様を収録した,オフィシャル・ライブ・アルバム 『 On Stage (レインボー・オン・ステージ) 』 を,1977年7月にリリースした レインボー(Rainbow)は,このアルバムのプロモーションも兼ねて 1977年9月から 「 On Stage Tour 」 と銘打ったツアーを開始し,1976年12月の初来日から,ほぼ一年後の1978年1月に,ツアーの一環として,2度目の来日を果たします.

 1978年の再来日では,1月11日名古屋市公会堂公演を皮切りに,17公演が予定されていましたが,不幸にも,ツアー中盤に当たる,1月27日札幌は中島スポーツ・センター公演で死亡者(前に雪崩れ込んだ観客により,下敷きになった19歳の女子大生が圧死)が出るアクシデントがあり,またその煽りで,2月1日の金沢厚生年金会館公演が中止となる等,後味の悪い来日公演となってしまいました.
 また,この死亡事故に伴い,その後のロック・コンサート会場の警備体制を大きく変更されることとなりました.

 本CDは,上述の 1月27日北海道は札幌市の中島スポーツ・センター公演の 3種類(Recorder 1,2,3)のオーディエンス録音を収録し Rising Arrowレーベルからリリースされた 『 Freezing Blow (Rising Arrow-050) 』 です.
 リリース当時には,私的にブート収集を中断していた関係で所有しておらず今回の 「 再入荷(残少) 」 との告知により躊躇なく購入.
 この日のアイテムは,既発で 同レーベルより 『 Cold Winter (Rising Arrow-017) 』 がリリースされていますが,意図的にカットされた箇所等があり,またリリース当時,初登場だった 音源(ここでは Recorder 2)が特別ボーナス・アイテム(CDR)として付属していたようですが,私的に先日購入した際には特別ボーナス・アイテムは付属していませんでした.まぁ,当然と言えば当然なんですけど(笑)
 今回は 『 Cold Winter (Rising Arrow-017) 』 に使用されていた音源に関しても大元マスターからリマスターを施し Disc 1,2,5,6 へ,また当時初登場で特別ボーナス・アイテム(CDR)として付属していた音源をリマスターの上,プレスCDにて Disc 3,4 へ収録し 6枚組でのリリースとなっています.
 
 3音源とも音像は遠いものの,充分に聴く事ができ,録音された年代や,トラブル等の中の録音を考えると,相応に高音質と言えます.何れにしても,この日の音源はドキュメントとしての価値が大きいのでは無いでしょうか.

 メーカー情報では
 『RAINBOWが二度目の来日を果たした1978年のジャパンツアーより1月27日の札幌"中島スポーツセンター"公演が、現在知られる3種類のオーディエンス・マスター・カセットを用い、全面リマスター・完全収録の6枚組プレスCDでリリースです。
 RAINBOWヒストリーのみならず、日本のロック・コンサート史上でも重大な出来事が起きた会場の模様を、今回は余すところなく全てを確認できます!

 RAINBOWの'78年札幌公演は、かつてRising ArrowレーベルよりプレスCD4枚組タイトル「COLD WINTER」としてリリースされていました。このタイトルはディスク1・2にかつて「MISCONDUCT」として、またディスク3・4へは「AN ACT OF GOD」のタイトルでマニアに知られていた音源へリマスターと正確なピッチ調整を施して音盤化しており、過去の既発とは比較にならない見通しと聴き易さでこのライヴをふり返る事ができました。
 さらにこの「COLD WINTER」には、当時初登場だった"第三のオーディエンス・マスター"より起した2枚組CD-Rが特別ボーナスとして付属しており、これら3本の音源全てがファンに衝撃的な話題をもたらしました。
 しかしこれらの音源においては、聴き手にバンドの演奏へより意識を向けてもらうため、ライヴ中に起きた事故をうかがわせる観客の話し声などは音盤化の段階で意図的にカットされていました。前作リリース当時はファンの方々もこの措置を「演奏に集中する意味では適切」・「この日が事故のみで記憶されるのは心苦しい」と、前向きに受け止めてくださいましたが、時間の経過と共に「オーディエンス録音は現場の記録なのだから、意図的な削除は好ましくない」・「このテープに記録された全てを聴きたい」という声が高まってきたのも事実。
 そこで今回は、「演奏の聴き易さ」と「会場のドキュメント」の両立を目的に、現存するマスター全てをひとつにパッケージし、プレスCD6枚組の決定版として世に送り出す事になりました。「COLD WINTER」当時に存在していた音切れ・音飛び・欠落等はそれぞれのマスターで修正・補填されており、当日のライヴと会場の模様を異なる3つのポジションから完全な形で聴き込む事が可能となっています。

 ディスク1・2へは、「COLD WINTER」でもメインとなっていた「MISCONDUCT」音源を、大元マスター・カセットから再度リマスター及び補正の上で、"Recorder 1"として収録しています。
 3種類あるソースの中でも比較的落ち着いた客席から収録されており、この日の模様を音の見通しや演奏の全体像など、頭ひとつ抜けた安定感で客観的に聴く事が出来ます。「COLD WINTER」当時すでに「過去の音源とは別物」と評価されたサウンドはより磨かれ、ヒスノイズが気にならない明度や、正常なピッチなど、マスター・クオリティならではの優れた音質でライヴを聴き通す事ができます。
 本音源の特徴は、演奏をしっかりと聴き取れる事だけでなく、ライヴ中盤におけるスタッフの日本語アナウンスがここまでクリアに聴ける点にもあります。混乱と喧騒を鎮めるため、運営スタッフが「Man On The Silver Mountain」の途中でライヴを中断し、「こういう騒ぎになったらショウを続けることは出来ません」・「リッチーはこういう騒ぎを好んでおりません」と、観客に冷静になるよう呼びかけています。非常に真摯な声色で一生懸命観客に注意を促すスタッフの言葉を、ここまでクリアに聴けるだけでも、本録音の価値は絶大なものがあります。また「COLD WINTER」収録の本音源ではアンコール未収録でしたが、本作では"Recorder 3"よりアンコール・ブレイクと「Do You Close Your Eyes」、ラストの「Over The Rainbow」を補填し、この"Recorder 1"を同日テイクの全長版・最良版として完成しています。
 
 "Recorder 2"となるディスク3そして4には、前回ボーナス音源(「NIGHT PEOPLE」)として使用されたマスターを、こちらも全面的な音質補正の上で再度音盤化し、初めてのプレスCD化を実現しています。
 少々ステージが遠めに感じる音像でリズムセクションはやや掴みづらい印象ですが、ヴォーカルとギターはかなり明瞭に聴き取れ、全体的には"Recorder 1"にも負けない見通しでライヴを捉えています。ここでは「Mistreated」イントロで聴かせるプレイや「16th Century Greensleeves」でのソロなど、リッチーのプレイをはっきりとした輪郭と確かな聴き応えで収めているのが印象的。とりわけ「Man On The Silver Mountain」におけるイントロの「Lazy」や曲中の「Blues」で響き渡るギター・トーンは本当に素晴らしく、およそリッチーのギターを聴くという点では、この"Recorder 2"が本作中でも一番適しているのではないか?と思わせるものがあります。また会場の様子ついても、一歩引いた位置からフロアを見下ろすように音を捉えており、観客の喧騒やパイプ椅子が崩れる音なども意外なくらいはっきりと収められています。本録音は「Still I'm Sad」で録音が終了し、アンコールの「Do You Close Your Eyes」は未収録ですが、ライヴの模様を約87分間にわたってじっくりと聴き込ませてくれます。

 最後のディスク5・6は"Recorder 3"として、「AN ACT OF GOD」の大元マスター・カセットからこちらも入念なリマスターの上で収めています。
 前作「COLD WINTER」では諸事情によりカットされていた「Mistreated」演奏中のファンや関係者の話し声なども、今回は全てそのままの形で残されており、この"Recorder 3"は同日のドキュメントとして重大な歴史的資料ともなっています。本編中でも最も生々しくフロアの様子を捉えた音像と録音内容には聴き手の誰もが驚き、ショックを受ける事でしょう。
 "Recorder 1"と比べてやや不安定な印象はありますが、徹底的な音質補正によって「COLD WINTER」収録テイク以上に聴き易さは向上しており、オーディエンスの熱狂的な盛り上がりと客席の喧騒をダイレクトに体感させられます。演奏中に周囲から飛び交う「降りろ!」という叫びや怒号など、混乱している会場の様子は聴き手の想像をも絶します。しかし「Long Live Rock'n Roll」では「新曲だ!新曲!」とエキサイトし、「Man On The Silver Mountain」においては歌詞は勿論、リフごと歌う観客もいるなど、RAINBOWとその音楽に対しては純粋に熱いものをも感じさせてくれます。場内が落ち着いてきたライヴ後半はフロアならではの素晴らしい音像で演奏を捉えており、「Still I'm Sad」のド迫力などは同時代の録音でも屈指のサウンドで記録されています。

 バンドの演奏に意識を集中させると、ロニーの歌声はこの日も絶好調で、「Kill The King」から信じられないくらいに伸びやかなヴォーカルを披露しています。リッチーは逆に張り切り過ぎたのかギターソロでテンポが合わず途中で弾き直すなど、演奏面での聴き所も序盤から連続します。
 「Kill The King」演奏後はロニーのMCも短めで、すぐに「Mistreated」へ入ります。リッチーはイントロから素晴らしいギター・フレーズを炸裂させ、中間部のソロなどはこの'78年来日中でも出色というほど、聴き手を虜にする魔術的なプレイを聴かせます。この日は曲順が普段と違っているのも特徴で、「16th Century Greensleeves」に続いて「Long Live Rock'n' Roll」がプレイされます。同曲中盤でのロニーと観客との掛け合いはコンパクトながら熱気に溢れ、迫力に満ちた素晴らしい瞬間を聞くことができます。
 「Man On The Silver Mountain」と続く「Blues」では、ベースソロを挟んでプレイされるリッチーのアドリブがまず聴き所。ここで前述したように主催者によるアナウンスが入って流れが途切れますが、全体をクールダウンさせるかのようにリッチーがバッハをモチーフにしたクラシカルなプレイを披露し、ここから17分に及ぶ熱演の「Catch The Rainbow」が導かれます。
 さらに本来「Blues」から繋がる「Starstruck」、ロニーのヴォーカル・アドリブである「Night People」と続く珍しい流れは、この日最大の聴き所でしょう。これらの最後に「Man On The Silver Mountain」のリプライズが一連の流れをまとめ上げる構成はまさに一大組曲であり、後のDIOの「The Last In Line」メドレーをも連想させる名場面です。前半の混乱を挽回しようとバンド全体が奮起したのか、ライヴのクライマックス「Still I'm Sad」も熱演で、コージーのドラムソロも素晴らしい迫力で繰り広げられるなど、ショウ後半の充実度は極めて高いものがあります。
 セット本編終了後、かなり長いアンコール・ブレイク(恐らくはアンコールを行うか否かで、バンドもギリギリの判断を迫られたのだと思われます)を挟んだ後、リッチーが場内の熱狂を沈めるようにシリアスなムードでリッチーがギターイントロをプレイ。一転してリッチーとバンドのワイルドなプレイが爆発する「Do You Close Your Eyes」が飛び出し、ライヴをRAINBOWらしいパワーで締めくくります。

 本音源の舞台となった中島スポーツセンターは2000年に閉鎖され、現在はその名残をしのぶほかありませんが、録音では当日の生々しい記録を、ありのままに体感することが出来ます。演奏と会場の様子を客観的に聴かせる"Recorder 1"と"Recorder 2"、場内のドキュメントとして余りにも重大な資料的価値を持つ"Recorder 3"と、現存する3種類のソースの全てがこの1月27日・札幌公演を知る上で欠かせない音源となっています。それらを一本に集大成した今回の6枚組は、「COLD WINTER」以上の決定的音源として、RAINBOWファンの最重要コレクションのひとつとなるでしょう。歴史的な証拠音源として揺るがぬ記録を後世に伝える、重厚長大な完全限定プレス6枚組のリリースは、マニアにとって間違いなく今年度屈指のサプライズです!』

Freezing Blow (Rising Arrow-050)
 
 Live At Nakajima Sports Center,Sapporo,Japan 27th January 1978
 [3 Diff-Source From Original Masters]

 [Recorder 1]
  Disc 1
   1. Over The Rainbow
   2. Kill The King
   3. Mistreated
   4. 16th Century Greensleeves 
   5. Long Live Rock 'n' Roll
   6. Lazy
   7. Man On The Silver Mountain
   8. Blues
   9. Announcement
   TOTAL TIME (45:46)

  Disc 2
   1. Catch The Rainbow
   2. Starstruck / Night People / Man On The Silver Mountain
   3. Keyboard Intro.
   4. Still I'm Sad
   5. Beethoven 9th
   6. David Stone Solo
   7. Cozy Powell Solo (feat. 1812 Overture)
   8. Still I'm Sad (Reprise)
   9 .Encore
  10. Guitar Intro.
  11. Do You Close Your Eyes
  12. Over The Rainbow
  TOTAL TIME (59:42)

 [Recorder 2]
  Disc 3
   1. Over The Rainbow
   2. Kill The King
   3. Mistreated
   4. 16th Century Greensleeves
   5. Long Live Rock 'n' Roll
   6. Lazy
   7. Man On The Silver Mountain
   8. Blues
   9. Announcement
   TOTAL TIME (44:44)

  Disc 4
   1. Catch The Rainbow
   2. Starstruck / Night People / Man On The Silver Mountain (Repirse)
   3. Keyboard Intro.
   4. Still I'm Sad
   5. Beethoven 9th
   6. Keyboard Solo
   7. Drum Solo (feat. 1812 Overture)
   8. Still I'm Sad (Reprise)
   TOTAL TIME (42:52)

 [Recorder 3]
  Disc 5
   1. Over The Rainbow
   2. Kill The King
   3. Mistreated
   4. 16th Century Greensleeves
   5. Long Live Rock 'n' Roll
   6. Lazy
   7. Man On The Silver Mountain
   8. Blues 
   9. Announcement
   TOTAL TIME (45:42)

  Disc 6
   1. Catch The Rainbow
   2. Starstruck / Night People / Man On The Silver Mountain (Repirse)
   3. Keyboard Intro.
   4. Still I'm Sad
   5. Beethoven 9th
   6. Keyboard Solo
   7. Drum Solo (feat. 1812 Overture)
   8. Still I'm Sad (Reprise)
   9. Encore
  10. Guitar Intro.
  11. Do You Close Your Eyes
  12. Over The Rainbow
  TOTAL TIME (59:43)

 Ritchie Blackmore : Guitar
 Ronnie James Dio : Vocal
 Cozy Powell : Drums
 Bob Daisley : Bass
 David Stone : Keyboards

 [Recorder 1]
 Mistreated
 
 Catch The Rainbow
 
 [Recorder 2]
 16th Century Greensleeves
 
 Still I'm Sad
 
 [Recorder 3]
 Man On The Silver Mountain
 
 Starstruck / Night People / Man On The Silver Mountain (Repirse)
 

 本商品の初回納品分には,この北海道札幌市の中島スポーツセンター公演で起こった出来事について報道している歴史的映像(フルカラー・TV映像)を収録した 『 Sapporo 1978 : TV Report (Bonus DVDR) 』 がボーナス・アイテムとして付属しています.
 先日 『 Cold Winter (Rising Arrow-017) 』 を購入した際には,リリース当時に付属していた特別ボーナス・アイテムは当然の事のように無かったので,こちらは得した気分になります(笑)

 メーカー情報では
 『本作はライヴの模様や音源ではありませんが、日本の洋楽ロック・コンサート史上の「曲がり角」をこれ以上無い説得力で収めています。
 各種あるRAINBOW関連の映像中でも間違いなく今年度ナンバーワンの超重要映像を、ファンの皆さんにはしっかりと見届けて頂きたいと思います。

 この3分間の短い映像は、特別なルートから極秘裡にもたらされたオリジナル・ビデオマスターを元にしたもので、世界中の動画投稿サイトはもちろん、国内のトレーダー間でも一切知られていない、完全新発掘のマテリアルです。
 マスター・ダイレクトの鮮明な画面でいきなり映し出される崩れたパイプ椅子の山に、観る者はまず度肝を抜かれる事でしょう。
 RAINBOW史にやや踏み込んだ知識を持つマニアならば、この1月27日に起こった出来事の事実関係はご存知の事と思います。当日の会場には約5,000人が詰め掛けており、前座の演奏中からRAINBOWの登場を待たされていたファンは開演と同時にステージ前方に殺到。その下敷きとなった大勢の観客のうち一名が帰らぬ人となる、痛ましい事態が生じてしまいました(当時ロック・コンサートでは、ショウが始まると席を離れて前方へ押し寄せる事が慣習のようになっていました)。
 しかしヒストリー本やネット上の表記などで、「そういう出来事があった」という"文字上の知識"を得る事と、実際の状況を"自分自身の目と耳で確かめる"事には、大きな違いがあります。本編の6枚組プレスCD「FREEZING BLOW」で"現場の音"を耳にした上で本映像を見れば、この日の"中島スポーツセンター"でどんな事が起こっていたのか、誰もがストレートに思い知らされ、その悲惨さにショックを受けるはずです。

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 「英国ロック“狂死曲”」「英国ロック“流血”公演」……これは三流メタルバンドの邦題ではありません。昭和53年1月28日付の読売新聞や毎日新聞の紙面を飾った大見出し。この記事が伝えるのは、1978年RAINBOWの札幌公演で起きた女子大生の圧死事故です。そんな惨劇を生々しく伝える衝撃映像。

 「1978年1月27日」は、日本の洋楽史に黒いシミのように残ってしまいました。
 当日の会場には約5,000人が詰め掛けており、前座の演奏中からRAINBOWの登場を待たされていたファンは開演と同時にステージ前方に殺到。その下敷きとなった大勢の観客のうち、1人の女子大生が亡くなってしまったのです(当時ロック・コンサートでは、ショウが始まると席を離れて前方へ押し寄せる事が慣習のようになっていました)。この事故は、全国紙が群がるほどのセンセーションとなり、当然テレビでもニュース報道されました。
 本作に収められているのは、そんな当時のニュース映像なのです。当時、すでに家庭用ビデオデッキも登場していたとは言え、一般家庭にはまだまだ普及していない時代でしたが、奇跡的に残された録画マスターを入手。まるで昨日の出来事のように鮮明な画質で、世界中のあらゆる動画サイトにもない超貴重映像が目撃できる1枚です。
 そのニュース映像は3分ほどなのですが、その光景・音声は圧倒的。まず映し出されるのは、客電の付いた会場でバンドを待つ観客たち。アンコールなのか、中断シーンなのか分かりませんが、その側らには破壊されたパイプ椅子の山が無残な姿を晒している。それこそ大津波が襲ったような残骸と、平和に手拍子をする群衆の異様なコントラスト。歴史として悲劇を知る私たちでさえ鮮烈な光景ですが、ロックも知らぬ一般視聴者には、さぞや強烈なインパクトだったことでしょう。
 さらに続くのは、現場体験者たちへのインタビュー。これはもう、生声以上に説得力のあるものはありませんので、文字に起こしてみましょう。

---どんな状態だったの?
 女性客:すでに見えないのね、全然。前の人、みんな立っちゃってね。とても怪我してそのまま続行してるなんて思わなかったから……。
 男性客A:俺、クツなくなった。カセットテープ・レコーダーも盗まれて。
 男性客B:ボンボン、上から(他の客に)乗っかられた。たまんねぇ、もう。
---どうしてそんなんなったの?
 男性客A:そりゃあ後ろ(の客)が悪い。みんな後ろが悪い。全部、総て。
 男性客C:後ろから押してくるから前のヤツがこう(前へ)行っちゃう。
 男性客B:パイプ椅子だからボンボン倒れるんだ。俺、襲われて。もう椅子とか、人とか乗っかってきて……。

 さらに救急車のサイレンが聞こえ、場面は救急搬送された病院へ。
 そこでも治療を終えたと思しき女性客が恐怖の体験を語る。今さっき惨劇を体験した人間の声色・表情・言葉。当時の新聞や歴史を伝える雑誌記事とはまるで違う生の迫力が一気呵成に迫ってくるのです。こうして現場を伝えた番組は、惨劇の原因を探っていく。記者会見で主催者が糾弾されるのです。

---死者が出ても演奏会を中止しなかったことについて。
 主催者:私たちはあの……そういうことを、公演の中止を何度か申し入れたんですけれども、私たちサイドでは、あの、ああいう外人タレントってのは……どうしようもないという………状態だったんです……。

 しどろもどろになりながら、思いっきりバンド側のせいにする主催者(実際には、警察からの中止要請はバンドに届いておらず、事故の発生を知ったのはライヴ後だったそうです)。
 さらに記者は「暗闇からスポットを浴びながら大音響で登場する演出が事故の原因」と結論づける……。この猛烈な時代感、ロックへの無理解。

 ともあれ、これ以降日本のロック・コンサートにおけるセキュリティ体制は一時期非常に厳格化され、その後行われたRAINBOWのショウも全てが異様な雰囲気に包まれる事となりました。
 '78年2月の来日最終公演を武道館で観た人は「警備が厳重すぎてやり過ぎだと思った」と述懐していますが、この状況を知る主催者側にとっては「まだ安心できない」心境だった事でしょう。「FREEZING BLOW」に収められた大混乱の様子を聴けば、厳戒態勢でライヴ会場の整理・誘導に当たった主催者側の気持ちも理解できると言うものです(実際にこの出来事が日本のライヴ・コンサート会場におけるセキュリティ・システムを大きく見直す契機になったとされ、その教訓は今でも活かされています)。
 現代の私達にも訴えるところ大なものがある本映像は、41年前の札幌から送られたメッセージと言えるでしょう。決して面白半分で見られる映像ではありませんが、ファンだからこそ襟を正して見ておきたい3分間です。

Sapporo 1978 : TV Report (Bonus DVDR)
 
 Nakajima Sports Center,Sapporo,Japan 27th January 1978
 PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.3min.
 Broadcast Date : 28th Junary 1978
 

 流石に,このニュース映像は貼り付けませんので,悪しからず.

[参考]
 Cold Winter (Rising Arrow-017)
 
 Misconduct (GB-004/5)
 

1978 JAPAN Tour Dates
 January
  11 Nagoya Shi Kokaido,Nagoya,JAPAN
  12 Hiroshima Kenritsu Taiikukan,Hiroshima,JAPAN
  13 Kumamoto Kenritsu Taiikukan,Kumamoto,JAPAN
  14 Fukuoka Kyuden-Kinen Taiikukan,Fukuoka,JAPAN
  16 Osaka Koseinenkin Kaikan,Osaka,JAPAN
  17 Osaka Koseinenkin Kaikan,Osaka,JAPAN
  18 Kyoto Kaikan Daiichi Hal,Kyoto,JAPAN
  20 Osaka Koseinenkin Kaikan,Osaka,JAPAN
  21 Nihon Budokan,Tokyo,JAPAN
  22 Nihon Budokan,Tokyo,JAPAN
  24 Koriyama Shimin Kaikan,Koriyama,JAPAN
  27 Sapporo Nakajima Sports Center,Sapporo,JAPAN
  29 Akita Kenmin Kaikan,Akita,JAPAN
  31 Niigata Kenmin Kaikan,Nigata,JAPAN

 Feburary
  01 Kanazawa Koseinenkin Kaikan,Kanazawa,JAPAN
      ⇒ [Cancelled After The Sapporo Accident.]
  03 Nihon Budokan,Tokyo,JAPAN

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#2020-06-23