最近,何かとリリースや再入荷(と言っても少し前)が続いている レインボー(Rainbow)ですが,今回も商品が10セット限定の再入荷という事で私的に保有していなかったものを購入.

 1976年12月の初来日での模様を収録した,オフィシャル・ライブ・アルバム 『 On Stage (レインボー・オン・ステージ) 』 を,1977年7月にリリースした レインボー(Rainbow)は,このアルバムのプロモーションも兼ねて 1977年9月から 「 On Stage Tour 」 と銘打ったツアーを開始し,1976年12月の初来日から,ほぼ一年後の1978年1月に,ツアーの一環として,2度目の来日を果たします.

 1978年の再来日では,1月11日名古屋市公会堂公演を皮切りに,17公演が予定されていましたが,不幸にも,ツアー中盤に当たる,1月27日札幌は中島スポーツ・センター公演で死亡者(前に雪崩れ込んだ観客により,下敷きになった19歳の女子大生が圧死)が出るアクシデントがあり,またその煽りで,2月1日の金沢厚生年金会館公演が中止となる等,後味の悪い来日公演となってしまいました.
 また,この死亡事故に伴い,その後のロック・コンサート会場の警備体制を大きく変更されることとなりました.

 今回 10セット限定で再入荷した商品は,上述の再来日ツアーから 1月21日,22日,2月3日東京は日本武道館公演のオーディエンス録音を収録し Rising Arrowレーベルから 6枚組としてリリースされた 『 Triumph & Tragedy (Rising Arrow-014) 』 の 2nd プレスです.

 6枚に収録された 3日間(3種類)のオーディエンス録音とも,録音された年代を考えれば充分な高音質な音源と言えるでしょう.

 Disc 1,2 に収録された 1月21日のオーディエンス録音は音像は若干遠目で,曲間で「 リッチー! 」 と叫ぶノイズがあるものの,各パートの音もバランス良く収録された非常に聴き易い録音です.

 Disc 3,4に収録された 1月22日のオーディエンス録音は,音像的に 12月21日(Disc 1,2)の録音よりは近いものの,録音された位置的な関係なのか,各パートの音のバランスは今一なのですが,リッチー・ブラックモアのギターが前面に出ており,臨場感もあって,リッチー・ファンには楽しめる内容でしょう.

 Disc 5,6に収録された 2月3日のオーディエンス録音は,正直 3日間のオーディエンス録音の中では,一番音質的には悪いかも知れません.音像は若干遠目で,所々で少し籠った感もある音で,最後の ”Still I'm Sad (Reprise)” では,テーパーの周りの観客が立ってしまっている関係か,音の質感が変わり,更に遠目でに,そして籠った感も出てきます.
 終わり様には,アンコールを望む観客の手拍子と同時に,終演を意味する ”Over The Rainbow” が流れてしまうので,観客もしょうがなく帰宅という感じなのでしょう.

 メーカー情報では
 『オリジナル・リリースから約10年以上が経過し、すでに完売して久しいプレスCD6枚組の傑作タイトルが新装アートワークで再入荷決定! 
 RAINBOWの1978年ジャパンツアーでも特筆される武道館3公演をひとつにパッケージして、様々な聴き所と共に当時のRAINBOWライヴの模様をじっくり聴き込ませるスーパー・タイトル。本作をオリジナル仕様の6CDで入手できるチャンスは、これが本当に最後です!

 RAINBOWにとって'76年12月以来2度目となったジャパンツアーは、1月11日の名古屋市公会堂公演よりスタートし、全国で16公演(そのほかキャンセル1公演)が行われました。そのうち東京では日本武道館において1月21日・22日と2月3日の3公演が行われ、1月中に行われた2公演はハプニングと充実した名演で、あの札幌公演を挟んで2月3日に行われたライヴは厳戒態勢の異様な雰囲気と、ロニー時代RAINBOW最後の日本公演という重要性で、それぞれファンに強く記憶されています。
 そのため定番音源も「THE KING'S RETURN」(1月21日),「DYNAMO」(1月22日),「STILL I'M SAD」(2月3日)など数多いのですが、本作はオリジナル・マスター・カセット(インナー・ジャケットにカセットの写真を掲載)より、一切のイコライズや補修を行わずストレートに音盤化したものです。マニアにとってこれら3つの公演は'78年ジャパンツアーを知る上で絶対欠かせないライヴであり、さらに札幌公演前におけるライヴのムードとその後の影響を丸ごと把握できると言う意味でも、「FREEZING BLOW」と併せて聴いておきたいタイトルでしょう。

 ディスク1・2は武道館初日・1月21日のテイクを収録しています。
 「THE KING'S RETURN」等でもよく知られるライヴですが、本音源は安定したバランスが秀逸で、初心者でも聴きやすい音質が特徴です。曲間で興奮した観客の歓声や話し声が少々大きめに感じる場面もありますが、これも会場の様子をしっかり捉えた臨場感と、非常にオンで優れた録音状態の反映と言えるでしょう。「Kill The King」の演奏後にロニーが「Good to be back here !」とMCする場面、「Mistreated」でのリッチーの感情表現など、ライヴは序盤から聴き手を大いに魅了します。この日は「Man On The Silver Mountain」メドレーにおけるリッチーやロニーのアドリブが控え目で(それでもボトルネックを使わない「Man On The Silver Mountain」のギターソロは要注意。「Blues」のプレイも最高!)、さらにアンコールも行われていないなど短めなライヴですが、各人のプレイはしっかりとしたまとまりがあり、当時のRAINBOWライヴならではの派手さと、ベテラン・プレイヤーらしい手堅さの両面を味わえます。この日の大きな聴き所は「Still I'm Sad」におけるコージーのソロ。機材にトラブルが生じていたらしく「1812 Overture」のテープスピードが妙にスローなのですが、普段では聴けないフィルインなどアドリブを挟みながら、いつも以上にドラマティックなソロを組み立てるコージーは凄いの一言! 静かなパートでは若干ヒスノイズも感じられるでしょうが、既発ではヒスを削る事によって抑えられてしまった音本来の迫力と躍動感を、本盤では最も生々しい状態で楽しめます。前述したコージーのプレイがダイナミックに感じられるのも、このテープ・ダイレクトの強みなのです。

 ディスク1・2の武道館初日テイクも絶品ですが、マニアの間ではディスク3・4の1月22日・武道館2公演目こそが「'78年来日公演でも断トツの出来栄え」と評価されています。
 本作でもその音質・内容共に、RAINBOWのライヴ音源史上でも屈指のものを楽しめます。いきなりアドリブを叩き付ける「Kill The King」のプレイで分かるとおり、オープニングからリッチーのノリは尋常ではなく、ライヴを通して高いテンションと素晴らしいギター・プレイを聴く事が出来ます。もちろん荒々しいばかりではなく、絶妙なコントロールが効いた美しい調べも素晴らしい! 特に「Catch The Rainbow」では、バッハの旋律を用いたイントロや、テープエコーを効果的に活かしたリッチーのソロが大変エモーショナル。後半の爆発も含め、22分に及ぶ演奏も一気に聴かせてしまいます(なおこの「Catch The Rainbow」ラストでは、警備員と思われる人物が観客を鎮めようとする怒号が聴こえます。当時のライヴの、歯止めも利かないほどの熱狂ぶりがうかがえます)。
 この日はギター関連の機材が思わしくなかったようで(時折機材の不調を感じさせるノイズが聴こえます)、「16th Century Greensleeves」ではイントロの「Greensleeves」をプレイした直後に演奏が一旦中断し、ロニーのMCで繋いだ後にもう一度やり直すという場面がありますが、そのようなトラブルもライヴの"火付け役"になったかのように、リッチーは「Man On The Silver Mountain」や「Still I'm Sad」でも素晴らしいプレイを連発します。その「Still I'm Sad」のドラムソロでは、前日に続きコージーが見せ場を作ります。ソロの最後でスティック・キャッチを(この日のショウを観ていたファンによれば、恐らく意図的に)失敗し、コージーが自らマイクを取って「これは難しいんだ」などとMCをする場面は必聴。コージーは再度スティック・キャッチを行って会場を沸かせていますが、リッチーが「早くしろ」と言わんばかりにギターを爪弾き始めているのも面白いです。
 最後はこの'78年武道館で唯一プレイされたアンコールの「Do You Close Your Eyes」。壮絶なギター・クラッシュとアウトロの「Over The Rainbow」まで、コンサートのほぼ全てをナチュラルで聴き応えに富んだ音像でたっぷりと楽しめます。

 ラストのディスク5・6は、札幌の事故を挟んで行われた'78年日本ツアーの最終公演・2月3日の模様です。
 この日は狂乱の21日・22日とはうって変わったムードで、客席は意図的に押さえ込まれた異様なムードと静けさの中にあります。バンドも全体的に統制の効いた落ち着きのあるプレイで、RAINBOWの端正な側面がステージに押し出されています(もちろんショウとしてのクオリティは非常に高いものがあります)。
 札幌以降のコンサートは警備が非常に厳重になっており、いつもなら客席が大興奮するイントロ「Over The Rainbow」と「Kill The King」の幕開けでもこの日は客席・バンド側とも押さえ気味。中盤で演奏される「Long Live Rock 'n' Roll」での掛け合いも大阪や1月の武道館公演のような熱気とは行かない印象です(しかしその分バンドのプレイが大変に丁寧です)。
 対して「Mistreated」や「Catch The Rainbow」など情感が滲み出る楽曲では、これまで以上に感情表現が強まり、より深く厚い聴き応えを持ってファンを納得させます(「Catch The Rainbow」前のアナウンスと黙祷もこの日の特徴です)。この日は「Man On The Silver Mountain」でのメドレーでセット本編が終了し、「Still I'm Sad」がアンコール扱いという短縮形のセットリストなので、事情を知らないで聴いた場合「なぜ"Man On The Silver Mountain"でバンドがステージを離れるのか?」と不思議に感じる人もいるかも知れません。
 ライヴの中味はやや物足りないながらも、音質は(会場が全体的に静かな事もあり)クリアな録音で、バンドの演奏も安定してバランスよく聴き取れます。テープ段階からヒスノイズも少なめだったので、音質補正がされていなくても驚くほど聴き易いのが特徴です。雰囲気こそ独特なものの、じっくりとRAINBOWの演奏を聴き込みたい人にとっては貴重なサンプルにもなる音源でしょう(また本音源はディスク6の「Blues」でテープチェンジの音切れがあります。既発はその部分を別音源で繋いでいましたが、本作はマスターそのものの音を楽しんで頂く企画ですので、そのような処置はしていません)。
 
 前述したようにこの3公演はそれぞれ決定版とされる優れたオーディエンス・ソースが存在しており、最近になっても1月21日は「HEAVY ROCK」が、2月3日は「EPILOGUE」(いずれもRising Arrow)という素晴らしい別音源が発掘されています。
 しかしテープ・ダイレクトのナチュラルさでこれら重要なライヴを振り返る価値や資料性はずば抜けており、本作は「一度に少しでも多く音源を揃えたい」という後追いのファンや、「ひとつでも多くRAINBOWのアイテムを集めたい」ディープなマニアの、双方の要求をしっかりと満たしてくれるはずです。歴史的な'78年ジャパンツアー後半戦をまとめてゲットするチャンス。もし本作をお持ちでないという方は、この最後の機会をどうぞご利用ください!

 ★新装ジャケ & チラシ・レプリカ付き』

Triumph & Tragedy (Rising Arrow-014)
 
 Live At Nihon Budokan,Tokyo,Japan 21st, 22nd January & 03rd February 1978
 [From Original Masters]

 [21st January 1978]
  Disc 1
   1. Intro.
   2. Over The Rainbow
   3. Kill The King
   4. Mistreated
   5. 16th Century Greensleeves
   6. Catch The Rainbow
   7. Long Live Rock'n'Roll

  Disc 2
   1. Man On The Silver Mountain
   2. Blues
   3. Starstruck / Man On The Silver Mountain
   4. Still I'm Sad
   5. Beethoven 9th / David Stone Solo
   6. Cozy Powell Solo
   7. Still I'm Sad (Reprise)
   8. Over The Rainbow

 [22nd January 1978]
  Disc 3
   1. Intro.
   2. Over The Rainbow
   3. Kill The King
   4. Mistreated
   5. 16th Century Greensleeves Intro.
   6. MC
   7. 16th Century Greensleeves
   8. Catch The Rainbow

  Disc 4
   1. Long Live Rock 'n' Roll
   2. Lazy / Man On The Silver Mountain
   3. Blues
   4. Starstruck / Man On The Silver Mountain
   5. Still I'm Sad
   6. Beethoven 9th / David Stone Solo
   7. Cozy Powell Solo feat. 1812 Overture
   8. Still I'm Sad (Reprise)
   9. Do You Close Your Eyes (incl. Guitar Crash)
  10. Over The Rainbow

 [03rd February 1978]
  Disc 5
   1. Intro.
   2. Over The Rainbow
   3. Kill The King
   4. Mistreated
   5. 16th Century Greensleeves
   6. MC
   7. Catch The Rainbow
   8. Long Live Rock'n'Roll

  Disc 6
   1. Man On The Silver Mountain
   2. Blues
   3. Starstruck / Man On The Silver Mountain
   4. Ritchie Blackmore Solo
   5. Still I'm Sad
   6. Beethoven 9th / David Stone Solo
   7. Cozy Powell Solo (feat. 1812 Overture)
   8. Still I'm Sad (Reprise)
   9. Over The Rainbow

 Ritchie Blackmore : Guitar
 Ronnie James Dio : Vocal
 Cozy Powell : Drums
 Bob Daisley : Bass
 David Stone : Keyboards

 [21st January 1978]
 Mistreated
 
 Man On The Silver Mountain
 
 [22nd January 1978]
 Catch The Rainbow
 
 Do You Close Your Eyes (incl. Guitar Crash)
 
 [03rd February 1978]
 Long Live Rock'n'Roll
 
 Still I'm Sad (Reprise)
 

 

[参考]
 1st Press リリース時のジャケット
 

1978 JAPAN Tour Dates
 January
  11 Nagoya Shi Kokaido,Nagoya,JAPAN
  12 Hiroshima Kenritsu Taiikukan,Hiroshima,JAPAN
  13 Kumamoto Kenritsu Taiikukan,Kumamoto,JAPAN
  14 Fukuoka Kyuden-Kinen Taiikukan,Fukuoka,JAPAN
  16 Osaka Koseinenkin Kaikan,Osaka,JAPAN
  17 Osaka Koseinenkin Kaikan,Osaka,JAPAN
  18 Kyoto Kaikan Daiichi Hal,Kyoto,JAPAN
  20 Osaka Koseinenkin Kaikan,Osaka,JAPAN
  21 Nihon Budokan,Tokyo,JAPAN
  22 Nihon Budokan,Tokyo,JAPAN
  24 Koriyama Shimin Kaikan,Koriyama,JAPAN
  27 Sapporo Nakajima Sports Center,Sapporo,JAPAN
  29 Akita Kenmin Kaikan,Akita,JAPAN
  31 Niigata Kenmin Kaikan,Nigata,JAPAN

 Feburary
  01 Kanazawa Koseinenkin Kaikan,Kanazawa,JAPAN
      ⇒ [Cancelled After The Sapporo Accident.]
  03 Nihon Budokan,Tokyo,JAPAN

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#2020-06-16