ジンジャー・ベイカー(Ginger Baker)が 2019年10月16日 80歳で亡くなった事に伴い,エリック・クラプトン(Eric Clapton)の呼びかけによって豪華メンバーによるトリビュート公演が,2020年2月17日英国はロンドンのハマースミス・アポロ・シアターで行われ,その公演の音源 『 A Tribute To Ginger Baker : London 2020 (Beano-200) 』や,映像 『 A Tribute To Ginger Baker : The Video (Gift DVDR) 』 がリリースされていますが,今回,取り上げるのは,ジンジャー・ベイカー(Ginger Baker),エリック・クラプトン(Eric Clapton),ジャック・ブルース(Jack Bruce)の 3人で,1966年に結成された伝説のスーパー・トリオ:クリーム(Cream)が,1968年11月にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行った解散コンサート(Farewell Concert)の模様を収録したもので,日本のTV局で2010年12月1日に放映された映像を収録した 『 Farewell Concert : Japanese Broadcast (No Label) 』 です.
 因みに2010年10月にTVで放映されたと言うのは知りませんでした.

 クリーム(Cream)は,1966年7月29日英国はマンチェスターのライブ・ハウス:ツイスト・ホイール(Twisted Wheel)でのギグを行い,2日後の 7月31日ウィンザーで行われた 『 The Sixth National Jazz and Blues Festival (第6回 ナショナル・ジャズ・アンド・ブルース・フェスティバル) 』 で公式デビューを飾りますが,活動を続けて行く中でメンバー間の確執等もあってか 活動期間は約 2年半と短命で,1968年11月25日,26日英国はロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでの 2夜連続で行われた解散コンサート(Farewell Concert)を以って,その活動にピリオドを打ちます.

 その後,1993年にロックの殿堂(The Rock And Roll Hall Of Fame And Museum)入りを果たし,1993年1月の受賞パーティーにて,その場限りの再結成で "Sunshine Of Your Love"("サンシャイン・ラブ"),"Crossroads"("クロスロード"),"Born Under A Bad Sign"("悪い星の下に")の 3曲のみを演奏.
 それから 12年経過した 2005年5月に何故か期間限定的再結成があり,解散前の最後のライヴを行った英国はロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで 4公演(5月2日,3日,5日,6日),10月にはニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンにおいて 3夜(10月24日,25日,26日)連続公演が行われました.

 元々,この解散コンサートの模様は,日本のN〇Kで 1971年10月24日から放映開始されたプログラム 『 Young Music Show (ヤング・ミュージック・ショー) 』 にて放映(1972年5月7日,再放送1972年7月29日)されていますが,今回収録されているのは,2010年12月に TV放映されたもののようです.
 『 Young Music Show (ヤング・ミュージック・ショー) 』 にて放映されたものはリアルタイムに観ていますし,その後,オフィシャルがリリースされる前にブートとして出回っていた VHS も持っていますが,非常に懐かしいです.
 そしてこの映像を割とクリアな画質で観ることができるのは有難いです.

 メーカー情報では
 『今週はエリック・クラプトン主催による「ジンジャー・ベイカー・トリビュート・コンサート」の極上マスターをプレス2CDでリリースすることもあり、彼らの共演の原点ともなった伝説のバンド、クリームの解散コンサートのプロショット映像(最長版)も同時リリースすることと致しました!
 この映像、ファンの方にはお馴染みの、クリームの映像と言えばまずこれが筆頭にくる定番映像ですが、現在日本語字幕入りの公式作品が廃盤ということがあり、新たに購入しようとしても手軽には入手できない状況となっています。そのため当店は2010年12月に日本でテレビ放送されたレストアバージョンの、劣化のない鮮明なマスターからDVD化してお届けします。
 3月6日にリリースとなるクリーム解散期の4CDオーディオライブボックスセットにも収録されるこの解散コンサートの音源ですが、映像の方はそれとはまた内容が異なり、演奏シーンの合間に1968年3月に行なわれた全米ツアー中、サンフランシスコのウィンターランドでの公演のサウンドチェック時に収録されたメンバー三人の個別のインタビューが挿入されています。
 特にクラプトンが考案したとされる「ウーマントーン」の出し方やワウペダルの駆使の仕方をクラプトン自らがレクチャーしているシーンは見ものです。この映像はトニー・パーマーというイギリス人映像監督が撮影と編集を手掛けたもので、69年当時に日米英でテレビ放送されました(日本ではヤング・ミュージック・ショーにて二度放送)。その後ソフト化されてVHSカセットとレーザーディスクで発売されたのが80年代末期でした(リリースされたバージョンには82分の完全版と40分のエディット版がありました)。それ以降、完全版がDVD化され、BD化の際には完全版とエディット版の両方が収録されましたが、現在はすべて廃盤になっています。

 ブルースとジャズを融合し、大音量とインプロヴィゼーションで後のハードロックの礎を築いたと言われるクリームの最終到達点が確認できるのが何より貴重なものですが、メンバー個々のインタビューも非常に興味深い内容となっており、日本語字幕でそれを確認できるのも嬉しいところです(オープニングは日本独自のものです)。
 監督のポリシー(癖)で演奏者(歌唱者)の顔のアップと楽器のアップをやたら多用している凡庸な構成、演奏シーンにおいて頻繁にカット割しているため、実際の演奏と映像が合っていないシーンやその帳尻を合わすために唐突に静止画を挿入したりしている拙い編集があったり、曲が実際の演奏順になっておらず(アンコールのSunshine of Your Loveが冒頭に収録されています)、長尺の曲では完全収録せずにカットイン&カットアウトしていたりして、現代のコンサートライブ映像の感覚とは大きく異なる部分はありますが、これがこの監督にはできる精一杯だったのでしょう。
 因みにSitting on Top of the WorldとSpoonfulでバックに配されているインクの滲みみたいな効果は、当時フィルモア劇場でのライブでサイケデリック効果を高めるためにステージ上のスクリーンに映し出された「ライトショー」のイメージを狙ったものです。とにかく「動くクリーム」が観られるだけでもロックファンにはありがたい映像であることは間違いありません。そういう意味ではブリティッシュロックファンならば一度は観ておくべき教科書のような映像と言えるでしょう。
 マニア的な観点で興味深いのは、冒頭の引きでステージを捉えたシーンとWhite Roomの演奏シーンでは、クラプトン、ブルースとも他曲と同じ衣装ですが、ベイカーの衣装が異なっているほか、クラプトンがES-335ではなく、ファイアーバードを持っています。つまり、冒頭とWhite Roomのシーンだけ、当日のファーストショーの映像が使われていたということです。従って、メインで映像に採用されたのはセカンドショーだったというわけです。
 また、映像には映っていませんが、このコンサートの前座はイエスとロリー・ギャラガーのテイストが出演したそうで、堕ちゆく巨星クリームと入れ替わり、これ以降日の出の勢いで台頭していく両アーティストとの時代の移り変わりの瞬間を捉えた映像でもありました。
 今週リリース予定の「ジンジャー・ベイカー・トリビュート・コンサート」のイントロダクションで流された在りし日のジンジャーの映像には、本映像のジンジャーのインタビューと演奏シーンが使われました。もちろん彼の怒涛のドラムソロが聴けるToadも収録されています。クラプトンについては、ちょうどこの時期のジョージ・ハリスンのような長めのマッシュルームカットに髭なし、赤いウェスタンシャツにオレンジのダブルジャケット姿が非常にカッコいいルックスです。そしてスマートで脚が長い!(笑)。まさにこのコンサートから使い始めたレッドフィニッシュのギブソンES-335を弾き捲る姿はお宝映像の一つです。この頃のロイヤル・アルバート・ホールのフロア席は椅子がなく、客を地べたに座らせていたことも判り、いろんな意味で興味深い内容です。この機会に是非ご覧いただき、クリームを再評価していただくとともに、この映像からもジンジャーを偲んでいただければと思います。』

Farewell Concert : Japanese Broadcast (DVDR)
 
 Final Concert At The Royal Albert Hall,London,UK
 26th November 1968
 Broadcast Date : 1st December 2010
 Narration by Patrick Allen
 PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.82min.
 

  01. Opening
  02. Intro
  03. Sunshine of Your Love
  04. Narration
  05. Interview (Jack Bruce)
  06. Narration
  07. White Room
  08. Politician
  09. Crossroads
  10. Narration
  11. Interview (Eric Clapton)
  12. Steppin' Out
  13. Sitting on Top of the World
  14. Spoonful
  15. Narration
  16. Behind The Music
  17. Narration
  18. Interview (Ginger Baker)
  19. Toad
  20. Narration
  21. Interview (Jack Bruce)
  22. Naration
  23. I'm So Glad
  TOTAL TIME (82:21)

 収録されている映像の一部
 

[関連記事]
Disraeli Gears : Mobile Fidelity CD (Gift CDR)
 
Second Gear!(EC Is Here DJ Copy 151/152)
 
Refresh Gream (EC Is Here DJ Copy 149/150)
 
Final Winterland 1968 (Beano-129)
 
 






#2020-03-03