『 Tarkus (タルカス) 』 のリリースから粗一年が経過した1972年6月にリリースされた エマーソン・レイク・アンド・パーマー(Emerson, Lake & Palmer)の 3枚目のスタジオ・アルバム 『 Trilogy (トリロジー) 』 .
  『 Trilogy (トリロジー) 』 のリリースと同期を取るように,1972年6月4日ドイツはエッセンのグルーガ・ホール公演を皮切りに,6月27日オーストリアはウィーンのシュタットハレ公演まで行われた欧州ツアーからツアー終盤に当たる 6月25日イタリアはボローニャのスタディオ・コムナーレ公演のオーディエンス録音を収録し Amityレーベルからリリースされた 『 Bologna 1972 (Amity 591) 』 です.
 因みにこの 『 Trilogy (トリロジー) 』 には,アーロン・コープランド(Aaron Copland)の曲をアレンジした ”Hoedown”(”ホウダウン”)が,長期に渡りセット・リストに加えられています.

 音像は若干遠く,少し籠った感もありますが 『 Trilogy (トリロジー) 』 時期のライヴ音源は限られているので,これは有難いです.
 この音質なのでプレスでは無いのでしょうが,プレスで出して欲しいですね,
 
 メーカー情報では
 『伝説の初来日も実現させ、絶頂に向けてひた走っていた『TRILOGY』時代のEL&P。その現場を伝える傑作ライヴアルバムが登場です。
 そんな本作に吹き込まれているのは「1972年6月25日ボローニャ公演」。その貴重なオーディエンス録音です。

 1972年のライヴと言えば、オフィシャル発掘の大名盤『LIVE AT THE MAR Y SOL FESTIVAL '72』や昨年リリースされた『LIVE AT POCONO INTERNATIONAL RACEWAY』もありますので、ここでは併せて当時のスケジュールを振り返ってみましょう。

 《1月『TRILOGY』完成》
  ・3月10日:カーディフ公演
  ・3月21日-4月29日:北米#1(35公演) ←※公式
  ・6月4日-26日:欧州#1(13公演) ←★ココ★
 《7月6日『TRILOGY』発売》
  ・7月8日:ロング・ポンド公演 ←※公式
  ・7月22日+24日:初来日(2公演) 
  ・7月27日-8月20日:北米#2(24公演)
  ・9月30日:ケニントン公演
  ・11月30日-12月1日:英国(23公演)

 これがEL&Pの1972年。

 年始に『TRILOGY』を完成させた彼らはリリースを待たずにツアーを開始。本作はアルバム発売の約2週間前で、公式盤『LIVE AT THE MAR Y SOL FESTIVAL '72』の約2ヶ月後にあたる「欧州#1」12公演目のコンサートでした。
 そんなショウで記録された本作は、何とも素晴らしいヴィンテージ録音。パッと聴くとややくぐもった鳴りに「70年代にしては」の枕詞が必要にも思えますが、その真価は図太く力強い芯にある。
 とにかく距離感がなく、キーボードもヴォーカルもグイグイと目の前に迫ってくる。スネアにはオーディエンスらしさも感じるものの、それも音色レベルの話。嵐のような乱打が鳴りを切り裂き、1打1打もくっきりとしていて混じり合わない。厚めの鳴りに慣れてくると、実は演奏の機微がライン級に伝わってくるのに気づく、通を唸らせる録音なのです。
 そんなサウンドで描かれるのは、世界のド肝を抜いた鍵盤トリオの極北をキープしつつ、次々と生み出される名曲群で一層カラフルになったショウ。基本的には公式盤『LIVE AT THE MAR Y SOL FESTIVAL '72』『LIVE AT POCONO INTERNATIONAL RACEWAY』に準じていますが、そのどちらでも聴けない「Endless Enigma」が美味しい。もちろん「Fugue」も挟んで8分以上の熱演が楽しめる。
 この曲自体は『THE ORIGINAL BOOTLEG SERIES』でも聴けない事はないものの、この日ならではなのがトラブル。「Part2」パートで味付けのブラスシンセに入れず(設定忘れ?)なんとか苦心して盛り上げ、場内は大喝采に包まれます。まだアルバムがリリースされていないタイミングというのもありますが、機材トラブルに悩まされながらリカバリーしていくのも1972年の旨みであり、その機転の閃きもパワフル・サウンドで味わえるのです。
 曲順は前後しますが、その前の「Tarkus」の熱演ぶりも凄い。「Stone of Years」のオルガンソロはキレッキレですし、モノシンセも斬新な「Aquatarkus」も強烈。このパートは本作全編の中でも最高の聴きどころです。また、ちょっとヘンな聴きどころなのが「Take A Pepple」の前半。何やら観客が大声で話し合っており、騒然としている。イタリア語だけに内容は分からないものの、穏やかなメロディの中で喧嘩じみた騒乱が妙に浮き立つ(バタンバタン!と何か叩きつけるような音も聞こえます)。「こんなに凄い演奏が目の前にあるのにもったいない……」と思いつつ、そんな有難味など理解するはずもなく、現場の感情が迸る。これもまた、黄金の70年代だからこそのリアルな空気感なのです。

 ともあれ、演奏ポテンシャルが絶頂のまま名曲増量でカラフルになったEL&Pのショウを現場体験できる貴重なライヴ・アルバムです。1972年のイタリアと言えば、LE ORMEの『包帯の男』やLATTE E MIELEの『受難劇』など、EL&Pスタイルの名盤が次々と生まれていった時と場所。彼らは他国のフォロワー群とは異なり、演奏力よりも豊かな作曲力で歴史に名を残していきましたが、それこそ『TRILOGY』時代EL&Pの残照だったのかも知れません。もしかしたら、この現場にもトニー・パグリウーカやオリヴィエロ・ラカニーナがいるのかも……そんな妄想にまで駆られる素晴らしくヒストリカルなライヴ・アルバム。どうぞ、じっくりとご堪能ください。』

Bologna 1972 (Amity 591)
 
 Live At Stadio Comunale,Bologna,ITALY 25th June 1972

   1. Hoedown
   2. Tarkus
   3. Endless Enigma (incl. Fugue)
   4. Take A Pebble (incl. Lucky Man & Piano Improvisation)
   5. Pictures At An Exhibition
   TOTAL TIME (79:52)

 Keith Emerson : Keyboards
 Greg Lake : Bass, Guitar & Vocal
 Carl Palmer : Drums & Percussion

 Endless Enigma (incl. Fugue)
 
 Pictures At An Exhibition
 


[参考]
1972 European Tour
 June
  04 Gruga hall,Essen,GERMANY
  05 Münsterland halle,Münster,GERMANY
  06 Deutschland Halle,Berlin,GERMANY
  07 Musik halle,Hamburg,GERMANY
  08 Falkonerteatret,Kopenhagen,DENMARKk
  10 Fest halle,Frankfurt,GERMANY
  12 Meistersinger halle,Nurnberg,GERMANY
  15 Palazzo dello Sport,Genova,ITALY
  19 Olympia,Paris,FRANCE
  24 Mehrzweckhalle,Wetzikon,SWITZERLAND
  25 Stadio Comunale,Bologna,ITALY
  26 Palazzo dello Sport,Roma-Eur,Rome,ITALY
  27 Stadthalle,Vienna,AUSTRIA


Live At Pocono International Raceway, U.S.A., 8th July 1972
[Analog]



Live at the Mar Y Sol..



Trilogy





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#2020-02-11