1969年,当時バニラ・ファッジ(:Vanilla Fudge)で活動していた強力なリズム・セクション(ベース:ティム・ボガート(Tim Bogert),ドラム:カーマイン・アピス(Carmine Appice))に衝撃を受けたジェフ・ベック(Jeff Beck).
 このリズム・セクションを入れたバンド結成を画策するもジェフ・ベックの交通事故等の関係で,バンド結成の企画は流れてしまいます.

 怪我が完治したジェフ・ベック(:Jeff Beck)は,ボーカルにボブ・テンチ(Bob Tench),キーボードにマックス・ミドルトンMax Middleton),ベースにクライヴ・チェイマン(Clive Chaman),ドラムにコージー・パウエル(Cozy Powell)を迎えて第二期ジェフ・ベック・グループを結成.
 第二期ジェフ・ベック・グループは,1971年10月25日に 『 Rough And Ready (ラフ・アンド・レディ) 』 をリリース,翌1972年5月1日には 『 Jeff Beck Group (ジェフ・ベック・グループ) 』 (通称:オレンジ・アルバム)をリリースします.

 本商品は同時リリースされた定番音源の 『 BBC In Concert (Wardour-361) 』 が収録された約 1か月後の 1972年7月23日英国はロンドンのラウンドハウス公演の現存する 2種類のオーディエンス録音を編集・収録した 『 Definitive Roundhouse (Wardour-362) 』 です.
 何せこの公演の直後にはこのメンバーでの活動は終了(解散),再びカクタスで活動していた ティム・ボガートおよび カーマイン・アピスと接触.
 3人に加えてジェフ・ベック・グループのキーボード:マックス・ミドルトンMax Middleton),ミュージカル映画 『 Jesus Christ Superstar (ジーザス・クライスト・スーパースター) 』の キム・ミルフォード(Kim Milford)をボーカルに加えた 5人でリハーサルを行った後,ジェフ・ベック・グループ名義で 8月1日よりツアーを開始する訳ですから,第二期ジェフ・ベック・グループ最後の音源と言って良いだけに貴重です.

 既発ではメーカー情報にもあるように 『 The Last Ever Gig 』,『 Last of Show 1972 』,Phoenixレーベルの 『 Live Tapes 1972 』 や,Reel Mastersレーベルから2005年に 『 Roundhouse 1972 (Reel Masters-017) 』 が存在するようです.

 正直,この公演の音源を聴いたのは初めてなのですが,想像以上に高音質なのと,2種類のオーディエンス録音を使用して 2度のアンコール( 1度目:”Let Me Love You”,2度目:”Superstition”)含めて完全収録になっている点は有難いです.
 アンコール部分では本編より若干音質が落ちる感もあるのですが,録音された年代を考えれば充分な高音質と言えます.

 メーカー情報では
 『1972年の夏に崩壊してしまった第2期JEFF BECK GROUP。
 そのラスト・ショウを収録した初の完全版ライヴアルバムが登場です。

 そのラスト・ショウとは「1972年7月23日ロンドン公演」。
 数々の伝説を生み出してきた名会場“ラウンドハウス”でのショウでした。実のところ、当時の記録には不明な点も多いのですが、最終公演はこの日に間違いない。翌7月24日には「メンバー達の音楽スタイルを融合させる事には成功した。しかし、彼らがもともと求めていた強力で新しい音楽を創造することはできなかった」とのコメントと共に公式に解散が発表された(その数日後の“8月1日”には、ティム・ボガート、カーマイン・アピス、キム・ミルフォードが加入した新生JEFF BECK GROUPとしてショウを行っています)。その解散宣言の前日のショウなのです。

【第2期JBG最後の夜を史上初の完全収録】
 そんなショウは、素晴らしいオーディエンス録音が残されたことでも知れています。しかも、70年代初期にしては珍しく2本も。1本は古くから『THE LAST EVER GIG』等の既発群で知られる有名録音。もう1本は当店の発掘盤『ROUNDHOUSE 1972(Reel Masters-017)』。
 前者は当日の全曲を収録しており、後者は当時の日本人レコード会社スタッフが録音したドキュメント感が素晴らしい銘品でした。しかし、両者とも完全無欠ではありませんでした。『ROUNDHOUSE 1972』は3曲「Got The Feeling」「Let Me Love You」「Superstition」で欠けがあり、前者でも一部の曲でテープチェンジと思しきカットがありました。聴けるだけでありがたい1972年に2本もの名録音が残されているだけで奇跡的ではあるのですが、そのショウが歴史的で素晴らしいからこそ「完全体で聴きたい」というのがコレクターの夢になってきたのです。
 本作は、そんな夢を現実にするもの。2種のオーディエンス録音を繋ぎ、「全曲収録」ではなく「完全収録」を果たしたライヴアルバムなのです。
 もちろん、長さだけでなくサウンド面でも過去最高峰。ベースになったのは名門「Kro_co」が発掘した極上マスター。これだけで全曲は押さえられるのですが、「Going Down(約3秒)」「New Ways(約40秒)」で発生していた欠けを『ROUNDHOUSE 1972』のリール・マスターで補完したのです。しかも、本作は最高峰の「Kro_co」マスターを細心マスタリングで磨き上げてもいる。実のところ「Kro_co」は発掘の名門ではあるものの、そのポリシーは「マスターの真実」に重きを置いている模様。そのため、劣化は劣化なままにしており、ピッチが大幅に狂っている事も珍しくありません。
 本作は、そんな“マスターの乱れ”を整えている。ピッチで言えば、1%以下の狂いまで見逃さずにジャストに正し、位相も補正。原音が持つヒストリカルで繊細な鳴りには一切手を加えず、無闇矢鱈な音圧稼ぎもなしですし、もちろんリール・マスターとの接続部分も違和感を最小限に抑え、ヘッドフォンで耳を澄ませても「マイクの向きが変わったかな?」くらいにしか感じられないほどの完成度に仕上げている。「Kro_co」のポリシーが「マスターの真実」だとするなら、本作は「現場の真実」の再現に注力したライヴアルバムなのです。

【サウンドも最高峰を極めた歴史的ライヴアルバム】
 そうして最高峰&完全体で甦った”最後の夜”は感無量。まず何より『ROUNDHOUSE 1972』よりも圧倒的に音が良い。『ROUNDHOUSE 1972』も決してダメ録音ではなく、特に当日4曲目の「Definitely Maybe」以降は極上サウンドだったのですが、序盤は絶賛できなかった。クリアではあったものの、高域が耳につくようなバランスで低音も歪み気味。コージー・パウエルのシンバルワークがキンキンとしていて、クライヴ・チェアマンのラインもモコモコと不明瞭だったのです。
 しかし、本作のメインは名門「Kro_co」マスター。高音から重低音までクリアなだけでなく、そのバランスもダイレクト感も比較にならず、ボブ・テンチのヴォーカルも歌詞の1語1語までクッキリ鮮やか。もちろん無論、主役ジェフ・ベックのわがままギターも鮮明で、名手揃いのアンサンブルの中を混じり合いもせずに自由自在に泳ぎ回るのです。
 そのサウンドで描かれるのは、まさに最後の熱演。翌日には解散宣言を行っていることもあり、その演奏には「今日が最後」の熱気が込められている。第2期JBGと言えば、象徴サウンドボードのアップグレード盤『BBC IN CONCERT(Wardour-361)』も今週同時リリースとなりますが、本作はそこでも聴けない「Jeff's Boogie」「Superstition」も披露。特に「Superstition」は正真正銘、第2期JBGのラスト・ナンバー。歴史上1回だけの苛烈なる生演奏を過去最高峰を更新するクオリティで体験できるのです。

 先述した通り、本作の翌日には解散宣言が行われ、第2期JBGは終了。ボガート&アピスを迎えた新時代へと突入していきます。CREAMとLED ZEPPELINの間を繋いだ第1期JBG、ストレートなハードロック・サウンドを志向したBB&Aとは異なり、モータウンの薫りもたっぷりと吸い込んで独特なサウンドを生み出した第2期JEFF BECK GROUP。彼らがたどり着いた最後の夜。どうぞ、輝きを永久に残すプレス2CDでいつでも、いつまでもご堪能ください。

 ★2種のオーディエンス録音を繋ぎ、初の完全収録を実現!(「Kro_co」音源のカット2箇所(Going Down、 New Ways)を既発Reel Masterの音源で補填。なるべく違和感のないように音質補正したうえで補填がなされています。)』

Definitive Roundhouse (Wardour-362)
 
 Live At Roundhouse,London,UK 23rd July 1972
 [2 Source Mixed]
 UPGRADE & LONGER 

  Disc 1
   1. Introduction
   2. Ice Cream Cakes
   3. Morning Dew
   4. Piano Solo / Going Down
   5. Definitely Maybe
   6. Tonight I'll Be Staying With You
   7. New Ways / Jam Section / Plynth / Drum Solo / Train Train
   TOTAL TIME (49:11)

  Disc 2
   1. Tuning / MC
   2. Jeff's Boogie
   3. Ain't No Sunshine
   4. Got The Feeling
   5. Let Me Love You
   6. Superstition
   TOTAL TIME (43:04)

 Jeff Beck : Guitar
 Bob Tench : Vocal
 Clive Chaman : Bass
 Cozy Powell : Drums
 Max Middleton : Keyboards

 Piano Solo - Going Down 
 
 Let Me Love You 
 
 Superstition
 

[参考]
 Roundhouse 1972 (Reel Masters-017)
 
 Live Tape 1972
 
 Last of Show 1972
 
 

ラフ・アンド・レディ
SACDマルチ・ハイブリッド・エディション
(完全生産限定盤)
(紙ジャケット仕様)



ラフ・アンド・レディ




Jeff Beck Group
SACDマルチ・ハイブリッド・エディション
(完全生産限定盤)
(紙ジャケット仕様)


Jeff Beck Group





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#2019-07-30