1972年8月の初来日を果たし,8月15日,16日と大阪厚生年金会館での公演,17日には日本武道館での公演を行ったディープパープル.
この時の公演を収録したライブ・アルバム 『Live In Japan (ライブ・イン・ジャパン)』 は,同年の12月に日本限定でリリースされます.
この 『Live In Japan (ライブ・イン・ジャパン)』 は,日本限定販売という契約の為,録音,ミックス,ジャケット等,全てが日本人スタッフによって制作された完璧な日本製で,当時ディープ・パープル側は何ひとつとして協力していませんでした.しかし,テスト・プレスを聴いた段階で,余りの出来の良さに驚嘆したディープ・パープル側が,新たにロジャー・グローヴァーによるミックスで,ジャケットも変更し,オフィシャルとして 『Made in Japan (メイド・イン・ジャパン)』 としてリリース.
この 『Made in Japan (メイド・イン・ジャパン)』 は,プラチナ・ディスクを獲得,シングルカットされた "Smoke On The Water" は,アメリカでも大ヒットし,バンドがアメリカでブレイクするきっかけとなった 1枚となりました.
その後 『Who do We think We are (紫の肖像)』 のレコーディングを行いますが,難航を極め,これを境に,メンバー間が不仲に,またツアー・スケジュールに対する不満や,ツアーの連続に伴う肉体的疲労がピークとなり,もはや修復が不能な段階となったディープ・パープルですが,既に決定していたツアーは消化せざるを得ず,1973年6月23日の広島市公会堂を皮切りに,6月29日の大阪厚生年金会館まで 6公演を行う為,2度目の来日を果たします.
この来日公演のセット・リストは,4月12日カリフォルニア州フレズノのセランド・アリーナ公演から 6月19日ハワイ州ホノルル公演まで行われた,直前の北米ツアー同様に,前年の日本公演と同じセット・リストとなっており,新曲が加えられていない理由は“練習不足だから”と伝えられていますが,これは 『Made in Japan (メイド・イン・ジャパン)』 のヒットと,逆に 『Who do We think We are (紫の肖像)』 の評判が良くなく,余りヒットしなかった事によるものなのかも知れません.
この1973年6月の来日公演から,3公演目に当たる6月25日の日本武道館公演をオーディエンス収録したのが本作です.
この公演は,メーカー情報にもあるように,正に衝撃の公演であり,公演終了後に観客による暴動があり,翌日に予定されていた公演が中止になったと言う曰く付きの公演です.
長目のチューニングおよびサウンド・チェックから,何故か 6月にも関わらず,ジョン・ロードが "Silent Night" をプレイ.これが準備ができた事の合図なのか,"Space Truckin'" の終盤部かと間違えてしまいそうなハモンドでの破壊音から始まる "Highway Star" のイントロ.
続く "Smoke On The Water" では,何時ものリフの前に,第三期以降で聴く事のできるブルース調のアドリブを弾いており,これは続く "Strange Kind Of Woman" の導入部でも同様で,ここでのアドリブの締めはバッハのロンド風ガヴォット(:Gavotte en Rondeau),それに続く,ハイハットのカウントからの "Strange Kind Of Woman" のイントロは格好良すぎ.
"Child In Time" での高音部でのイアン・ギランは流石に辛そう.そして演奏終了後 『Live In Japan (ライブ・イン・ジャパン)』 同様,イアン・ギランのシャウトに応える観客の様子も収録されています.
"Lazy" 前の "Keyboard Solo" では,バロック風の長い演奏に続き,"Camptown Races"(:草競馬),何故かキース・エマーソン・アレンジの "America","Happy Birthday" 等が飛び出し,そしてリッチー・ブラックモアとの掛け合いを経て,"Lazy" へと突入していきます.そして終盤には 『In Rock (イン・ロック)』 収録 "Flight Of The Rat" の歌パート終了後のフレーズを挟み,イアン・ペイスのドラム・ソロへ.
最後の "Space Truckin'" では,メインフレーズ終了後のインプロビゼーションに入る際(:8分01秒)に "Jingle Bells" ,終盤部に "Greensleeves"(:20分44秒~),や "Hush" (:21分16秒~)のフレーズ等を聴く事ができます.
"Space Truckin'" 演奏終了後は,再度,イアン・ギランの雄叫びがあり,その直後からアンコールを望む手拍子も入っていますが,アンコールは行われませんでした.バンド側がアンコールをしなかった事に不満を持った一部ファンが暴徒化し,アリーナ席のパイプ椅子を破壊,窓ガラスを割ったり等,結局,翌日の公演は中止となってしまいます.
バンド側は 「観客がライヴを楽しんでいないようなので,アンコールは演らなかった」 というコメントを出していますが,観客の反応も良いので,真の理由は演奏中に花火(爆竹)を投げ込まれた事に起因しているのだと思います.
このCDの中では場所の特定はできませんが,一説によると "Smoke On The Water" 演奏中等に,花火(爆竹)が投げ込まれた模様.
この来日公演後に,イアン・ギランとロジャー・グローヴァーが脱退する事が決まっていた事を,当時の観客は知る由もありません.
そして日本最終公演,つまり第二期のディープ・パープルとして最後の公演である 6月29日の大阪厚生年金会館では "Space Truckin'" 演奏後に,イアン・ギランが "This Is The Last Night.The End." (『Final Truckin' (No Label)』 等で確認できます.)と言ってステージを去ります.
既に脱退が決まっており消化公演的に捉えられがちな日本公演ですが,1曲目の "Highway Star" から演奏も素晴らしく,とても消化公演とは思えません.そこは流石にプロ.
音像は多少遠く,歪みはあるものの,1973年という録音時期を考えれば,非常に高音質なオーディエンス録音です."Child In Time" の 3分33秒等にある元マスター劣化に起因するであろうテープのヨレ, "The Mule" の00分47秒ではカットに伴うテープの切り貼り等はあるものの,全体を通して楽しめます.
メーカー情報では
『“衝撃”。まさに衝撃。この言葉がこれほど身に染みたことはありません。DEEP PURPLEの歴史に黒く残る“武道館の大暴動”までも収めたドキュメント・アルバムの登場です。
本作が記録されたのは「1973年6月25日・日本武道館」。二度目の来日公演を果たしたDEEP PURPLEの3公演目です。1972年の初来日を収めた「LIVE IN JAPAN / MADE IN JAPAN」が世界的に注目を集める中、実現した再来日。しかも、かの大名盤の会場のひとつともなった武道館は、日本公演でもハイライトとなる………はずでした。ところが、この日「観客がライヴを楽しんでいるように思えなかった」という理由でアンコールを拒絶したバンドに、観客が激怒。大暴動が起きてしまうのです。本作は、その暴動シーンも収めたオーディエンス・ドキュメントなのです。ここで、二度目のジャパンツアーの日程を確認しておきましょう。
・1973年6月23日:広島市公会堂
・1973年6月24日:名古屋市公会堂
・1973年6月25日:日本武道館 【本作】
・1973年6月26日:日本武道館(中止)
・1973年6月27日:大阪厚生年金会館
・1973年6月29日:大阪厚生年金会館
このように、本作の「6月25日」で暴動が発生したため、翌「6月26日」は中止にならざるを得ませんでした。そんな歴史的シーンを収めた本作の正体とは、アナログ盤「CHAOS AT A CONCERT/BEDLAM IN A BED-SIT(UD 6532)」の元になったカセット・マスターです。この日はCDでも「DESTROYED THE ARENA」が有名ですが、その大本(既発「SQUARE IT UP」とは別録音です)。最近、RAINBOWでキニー録音の大本カセット発掘が大好評を博しておりますが、それと同じルートによってもたらされたマスターなのです。
実際、「DESTROYED THE ARENA」と比べても、冒頭のチューニング・シーンや「Space Truckin’」終演後の歓声も3秒ずつ、「Child In Time」でも1.5秒ほど長い。「The Mule」にあるテープチェンジのカットも、「DESTROYED THE ARENA」ではブツ切りになっていましたが、本作ではキュル音も生々しく大本カセットのリアリティを放っているのです。
それ以上に壮絶なのが、何と言っても大暴動シーンを50秒ほど収めた「Riot After The Concert」。コンサート本編の終了と共に一度録音は中断されますが、暴動が発生した後で再開。ビリビリと紙を破くような音(紙袋にマイクを隠していた?)やゴソゴソとマイクをイジる音の向こうに、会場の騒乱がハッキリと聞こえる。「パン!」という炸裂音、イスを破壊したような「バン!」「バキンバキン」という破壊音。その音に興奮した観客の悲鳴や絶叫……。わずか50秒でも戦慄が走る暴動パート、実は「DESTROYED THE ARENA」では丸ごとカットされており、本邦初公開となる衝撃テイクなのです。
そんな大暴動シーンの衝撃に目を奪われますが、本作はライヴアルバムとしても素晴らしい。サウンドも大本カセットならではの鮮度が鮮烈で、二度目の来日公演の中でもトップクラス。「観客がライヴを楽しんでいるように思えなかった」とのコメントから、今ひとつのライヴかと思いきや、さにあらず。イアン・ギランは冒頭の「Highway Star」から強烈なシャウトを聴かせ、ジョン・ロードは初夏にも関わらず「きよしこの夜」をワンフレーズ挟む(ジョーク?)などノリノリ。リッチー・ブラックモアも「Strange Kind Of Woman」イントロのギターソロで、この時期には珍しいバッハの「ガヴォット」を聴かせてくれます。後半に入ってもキーボードソロで「草競馬」「ハッピー・バースデイ」、「Space Truckin’」のインプロでもジョンが「ジングル・ベル(だから初夏ですってば)」、リッチーが「グリーンスリーヴス」を入れてくるなど、遊びも盛りだくさん。ギランも最後まで凄まじいノドをキープしますし、もちろん、そんな演奏に観客も大喜び。「Space Truckin’」最後の強烈なオルガンの炸裂音も残るなか、大喝采とアンコールを求める拍手が渦巻く……一体、この名コンサートのどこが「観客が楽しんでない」のでしょうか?
ともあれ、現実にアンコールは行われず、大暴動は起きてしまった。既発では夢のように最高なライヴ部分しか体験できませんでしたが、本作では“その後”の悲劇も生々しく記録されている。その騒乱の50秒を吸い込みながら、現代にまで残っていた大本カセット。封じ込まれた音声も事件なら、カセットの存在自体も事件です。42年後になって奇跡の発掘となったドキュメント・アルバム。本年度最大の大発掘タイトルを、今週末あなたにお届けします。』
Budokan 1973 (Darker Than Blue 199/200)
Live At Budokan, Tokyo, Japan 25th June 1973
Disc 1
1. Intro.
2. Highway Star
3. Smoke On The Water
4. Strange Kind Of Woman
5. Child In Time
TOTAL TIME (45:21)
Disc 2
1. Keyboard Solo
2. Lazy
3. Drum Solo
4. The Mule
5. Space Truckin'
6. Riot After The Concert
TOTAL TIME (43:57)
Ian Gillan : Vocal
Ritchie Blackmore : Guitar
Roger Glover : Bass
Jon Lord : Keyboards
Ian Paice : Drums
Highway Star
Smoke On The Water
Riot After The Concert
本商品のナンバー入りステッカー付きに限って,同じ録音から過去lにリリースされた伝説的なアナログブートレッグ 『Chaos At A Concert / Bedlam In A Bed-Sit (Special Bonus CDR)』 が付属しています.
実質,元々の商品があるので,中途半端に曲が収録されている本ボーナスは,既に不要に近いのですが,アナログから落とした暖かみのある音と商品を比較するのも良いでしょうか.
メーカー情報では
『二度目の来日公演に起きてしまった大暴動を記録した「BUDOKAN 1973」。本編プレス2CDの解説でも述べましたが、この録音自体は古く、アナログ時代から知られ、「CHAOS AT A CONCERT / BEDLAM IN A BED-SIT(UD 6532)」として出回っていました(ショウ前半で知られる「GLUTTON FOR PUNISHMENT」は別テープ)。やがて、CD時代になってライヴ全曲が聴ける「DESTROYED THE ARENA」が登場し、この度“大暴動シーン”までも含んだ大本カセットの発掘によって、決着盤「BUDOKAN 1973」の誕生となったわけです。
そのボーナスとなる本作は、最高の状態で残っていたアナログ盤「CHAOS AT A CONCERT / BEDLAM IN A BED-SIT」を使用し、ダイレクトにCD化した1枚です。アナログの収録時間にオイシイ曲を集めようとしたのか、「Highway Star」「Child In Time」「Lazy」「Space Truckin’」の4曲が曲順もバラバラに収録。ラストの「Space Truckin’」は終演の挨拶までで、一度途切れた録音が再開する“暴動シーン“は含まれていません。
再生すると、アナログならではの暖かみのあるサウンドで、この最高にして最悪だった武道館ライヴが蘇る。もちろん、大本カセットから復刻した「BUDOKAN 1973」の鮮度に及ぶものではありませんが、丸みを帯びたヴィンテージ・サウンドも実にヒストリカルで時空を越えるスペクタクル感覚が沸き立つ。かつて「なぜ、この最高のライヴが暴動になるんだろう……」と不思議に思った日々が鮮やかに蘇るようです。
そう、本作がなければ「観客がライヴを楽しんでいるように思えなかった」というコメントを鵜呑みにするしかなかった。現実には素晴らしく、伝説の1972年初来日にさえ肉薄するライヴであったことを教えてくれたのは“この音”だったのです。
オーディエンス録音は、“単に臨場感のあるライヴアルバム”以上の存在であり、観客に届いた音楽そのもの。オフィシャルでは隠され、伝聞では歪められる“現場の真実”を後世に残す証言者……本作は、そのことを圧倒的に思い起こさせてくれる1枚なのです。本作に“大暴動シーン”は収録されていませんが、素晴らしい音楽を証言し続けてきた、音源の歴史が深く刻み込まれた1本。ぜひ、世紀の大発掘となった本編プレス2CDと共に、このドキュメントアルバムで、証言者が歩んできた歴史も噛みしめていただけたら幸いです。』
Chaos At A Concert / Bedlam In A Bed-Sit (Special Bonus CDR)
Taken from the original LP(UD-6532)
Live At Budokan, Tokyo, JAPAN 25th June 1973
1. Lazy
2. Child In Time
3. Highway Star
4. Space Truckin'
Lazy
[参考]
Deep Purple 1973 Japan Tour Dates
June
23 Hiroshima-shi Kokaido, Hiroshima, JAPAN
24 Nagoya-Shi Kokaido, Aichi, JAPAN
25 Budoukan Hall, Tokyo, JAPAN
26 Budoukan Hall, Tokyo, JAPAN (Cancelled)
27 Kouseinenkin Hall, Osaka, JAPAN
29 Kouseinenkin Hall, Osaka, JAPAN
Master Caset の 写真
終演後の会場(:ネットからの頂き物)
[関連記事]
「Live In Japan Nagoya 1973 (EVSD-596)」
「Live In Hiroshim (Darker Than Blue 141/142)」
「Final Black Remastered Edition (Bonus CDR)」
「Lyon 1973 (Darker Than Blue 131)」
「Birmingham 1973 (Darker Than Blue 134)」
この時の公演を収録したライブ・アルバム 『Live In Japan (ライブ・イン・ジャパン)』 は,同年の12月に日本限定でリリースされます.
この 『Live In Japan (ライブ・イン・ジャパン)』 は,日本限定販売という契約の為,録音,ミックス,ジャケット等,全てが日本人スタッフによって制作された完璧な日本製で,当時ディープ・パープル側は何ひとつとして協力していませんでした.しかし,テスト・プレスを聴いた段階で,余りの出来の良さに驚嘆したディープ・パープル側が,新たにロジャー・グローヴァーによるミックスで,ジャケットも変更し,オフィシャルとして 『Made in Japan (メイド・イン・ジャパン)』 としてリリース.
この 『Made in Japan (メイド・イン・ジャパン)』 は,プラチナ・ディスクを獲得,シングルカットされた "Smoke On The Water" は,アメリカでも大ヒットし,バンドがアメリカでブレイクするきっかけとなった 1枚となりました.
その後 『Who do We think We are (紫の肖像)』 のレコーディングを行いますが,難航を極め,これを境に,メンバー間が不仲に,またツアー・スケジュールに対する不満や,ツアーの連続に伴う肉体的疲労がピークとなり,もはや修復が不能な段階となったディープ・パープルですが,既に決定していたツアーは消化せざるを得ず,1973年6月23日の広島市公会堂を皮切りに,6月29日の大阪厚生年金会館まで 6公演を行う為,2度目の来日を果たします.
この来日公演のセット・リストは,4月12日カリフォルニア州フレズノのセランド・アリーナ公演から 6月19日ハワイ州ホノルル公演まで行われた,直前の北米ツアー同様に,前年の日本公演と同じセット・リストとなっており,新曲が加えられていない理由は“練習不足だから”と伝えられていますが,これは 『Made in Japan (メイド・イン・ジャパン)』 のヒットと,逆に 『Who do We think We are (紫の肖像)』 の評判が良くなく,余りヒットしなかった事によるものなのかも知れません.
この1973年6月の来日公演から,3公演目に当たる6月25日の日本武道館公演をオーディエンス収録したのが本作です.
この公演は,メーカー情報にもあるように,正に衝撃の公演であり,公演終了後に観客による暴動があり,翌日に予定されていた公演が中止になったと言う曰く付きの公演です.
長目のチューニングおよびサウンド・チェックから,何故か 6月にも関わらず,ジョン・ロードが "Silent Night" をプレイ.これが準備ができた事の合図なのか,"Space Truckin'" の終盤部かと間違えてしまいそうなハモンドでの破壊音から始まる "Highway Star" のイントロ.
続く "Smoke On The Water" では,何時ものリフの前に,第三期以降で聴く事のできるブルース調のアドリブを弾いており,これは続く "Strange Kind Of Woman" の導入部でも同様で,ここでのアドリブの締めはバッハのロンド風ガヴォット(:Gavotte en Rondeau),それに続く,ハイハットのカウントからの "Strange Kind Of Woman" のイントロは格好良すぎ.
"Child In Time" での高音部でのイアン・ギランは流石に辛そう.そして演奏終了後 『Live In Japan (ライブ・イン・ジャパン)』 同様,イアン・ギランのシャウトに応える観客の様子も収録されています.
"Lazy" 前の "Keyboard Solo" では,バロック風の長い演奏に続き,"Camptown Races"(:草競馬),何故かキース・エマーソン・アレンジの "America","Happy Birthday" 等が飛び出し,そしてリッチー・ブラックモアとの掛け合いを経て,"Lazy" へと突入していきます.そして終盤には 『In Rock (イン・ロック)』 収録 "Flight Of The Rat" の歌パート終了後のフレーズを挟み,イアン・ペイスのドラム・ソロへ.
最後の "Space Truckin'" では,メインフレーズ終了後のインプロビゼーションに入る際(:8分01秒)に "Jingle Bells" ,終盤部に "Greensleeves"(:20分44秒~),や "Hush" (:21分16秒~)のフレーズ等を聴く事ができます.
"Space Truckin'" 演奏終了後は,再度,イアン・ギランの雄叫びがあり,その直後からアンコールを望む手拍子も入っていますが,アンコールは行われませんでした.バンド側がアンコールをしなかった事に不満を持った一部ファンが暴徒化し,アリーナ席のパイプ椅子を破壊,窓ガラスを割ったり等,結局,翌日の公演は中止となってしまいます.
バンド側は 「観客がライヴを楽しんでいないようなので,アンコールは演らなかった」 というコメントを出していますが,観客の反応も良いので,真の理由は演奏中に花火(爆竹)を投げ込まれた事に起因しているのだと思います.
このCDの中では場所の特定はできませんが,一説によると "Smoke On The Water" 演奏中等に,花火(爆竹)が投げ込まれた模様.
この来日公演後に,イアン・ギランとロジャー・グローヴァーが脱退する事が決まっていた事を,当時の観客は知る由もありません.
そして日本最終公演,つまり第二期のディープ・パープルとして最後の公演である 6月29日の大阪厚生年金会館では "Space Truckin'" 演奏後に,イアン・ギランが "This Is The Last Night.The End." (『Final Truckin' (No Label)』 等で確認できます.)と言ってステージを去ります.
既に脱退が決まっており消化公演的に捉えられがちな日本公演ですが,1曲目の "Highway Star" から演奏も素晴らしく,とても消化公演とは思えません.そこは流石にプロ.
音像は多少遠く,歪みはあるものの,1973年という録音時期を考えれば,非常に高音質なオーディエンス録音です."Child In Time" の 3分33秒等にある元マスター劣化に起因するであろうテープのヨレ, "The Mule" の00分47秒ではカットに伴うテープの切り貼り等はあるものの,全体を通して楽しめます.
メーカー情報では
『“衝撃”。まさに衝撃。この言葉がこれほど身に染みたことはありません。DEEP PURPLEの歴史に黒く残る“武道館の大暴動”までも収めたドキュメント・アルバムの登場です。
本作が記録されたのは「1973年6月25日・日本武道館」。二度目の来日公演を果たしたDEEP PURPLEの3公演目です。1972年の初来日を収めた「LIVE IN JAPAN / MADE IN JAPAN」が世界的に注目を集める中、実現した再来日。しかも、かの大名盤の会場のひとつともなった武道館は、日本公演でもハイライトとなる………はずでした。ところが、この日「観客がライヴを楽しんでいるように思えなかった」という理由でアンコールを拒絶したバンドに、観客が激怒。大暴動が起きてしまうのです。本作は、その暴動シーンも収めたオーディエンス・ドキュメントなのです。ここで、二度目のジャパンツアーの日程を確認しておきましょう。
・1973年6月23日:広島市公会堂
・1973年6月24日:名古屋市公会堂
・1973年6月25日:日本武道館 【本作】
・1973年6月26日:日本武道館(中止)
・1973年6月27日:大阪厚生年金会館
・1973年6月29日:大阪厚生年金会館
このように、本作の「6月25日」で暴動が発生したため、翌「6月26日」は中止にならざるを得ませんでした。そんな歴史的シーンを収めた本作の正体とは、アナログ盤「CHAOS AT A CONCERT/BEDLAM IN A BED-SIT(UD 6532)」の元になったカセット・マスターです。この日はCDでも「DESTROYED THE ARENA」が有名ですが、その大本(既発「SQUARE IT UP」とは別録音です)。最近、RAINBOWでキニー録音の大本カセット発掘が大好評を博しておりますが、それと同じルートによってもたらされたマスターなのです。
実際、「DESTROYED THE ARENA」と比べても、冒頭のチューニング・シーンや「Space Truckin’」終演後の歓声も3秒ずつ、「Child In Time」でも1.5秒ほど長い。「The Mule」にあるテープチェンジのカットも、「DESTROYED THE ARENA」ではブツ切りになっていましたが、本作ではキュル音も生々しく大本カセットのリアリティを放っているのです。
それ以上に壮絶なのが、何と言っても大暴動シーンを50秒ほど収めた「Riot After The Concert」。コンサート本編の終了と共に一度録音は中断されますが、暴動が発生した後で再開。ビリビリと紙を破くような音(紙袋にマイクを隠していた?)やゴソゴソとマイクをイジる音の向こうに、会場の騒乱がハッキリと聞こえる。「パン!」という炸裂音、イスを破壊したような「バン!」「バキンバキン」という破壊音。その音に興奮した観客の悲鳴や絶叫……。わずか50秒でも戦慄が走る暴動パート、実は「DESTROYED THE ARENA」では丸ごとカットされており、本邦初公開となる衝撃テイクなのです。
そんな大暴動シーンの衝撃に目を奪われますが、本作はライヴアルバムとしても素晴らしい。サウンドも大本カセットならではの鮮度が鮮烈で、二度目の来日公演の中でもトップクラス。「観客がライヴを楽しんでいるように思えなかった」とのコメントから、今ひとつのライヴかと思いきや、さにあらず。イアン・ギランは冒頭の「Highway Star」から強烈なシャウトを聴かせ、ジョン・ロードは初夏にも関わらず「きよしこの夜」をワンフレーズ挟む(ジョーク?)などノリノリ。リッチー・ブラックモアも「Strange Kind Of Woman」イントロのギターソロで、この時期には珍しいバッハの「ガヴォット」を聴かせてくれます。後半に入ってもキーボードソロで「草競馬」「ハッピー・バースデイ」、「Space Truckin’」のインプロでもジョンが「ジングル・ベル(だから初夏ですってば)」、リッチーが「グリーンスリーヴス」を入れてくるなど、遊びも盛りだくさん。ギランも最後まで凄まじいノドをキープしますし、もちろん、そんな演奏に観客も大喜び。「Space Truckin’」最後の強烈なオルガンの炸裂音も残るなか、大喝采とアンコールを求める拍手が渦巻く……一体、この名コンサートのどこが「観客が楽しんでない」のでしょうか?
ともあれ、現実にアンコールは行われず、大暴動は起きてしまった。既発では夢のように最高なライヴ部分しか体験できませんでしたが、本作では“その後”の悲劇も生々しく記録されている。その騒乱の50秒を吸い込みながら、現代にまで残っていた大本カセット。封じ込まれた音声も事件なら、カセットの存在自体も事件です。42年後になって奇跡の発掘となったドキュメント・アルバム。本年度最大の大発掘タイトルを、今週末あなたにお届けします。』
Budokan 1973 (Darker Than Blue 199/200)
Live At Budokan, Tokyo, Japan 25th June 1973
Disc 1
1. Intro.
2. Highway Star
3. Smoke On The Water
4. Strange Kind Of Woman
5. Child In Time
TOTAL TIME (45:21)
Disc 2
1. Keyboard Solo
2. Lazy
3. Drum Solo
4. The Mule
5. Space Truckin'
6. Riot After The Concert
TOTAL TIME (43:57)
Ian Gillan : Vocal
Ritchie Blackmore : Guitar
Roger Glover : Bass
Jon Lord : Keyboards
Ian Paice : Drums
Highway Star
Smoke On The Water
Riot After The Concert
本商品のナンバー入りステッカー付きに限って,同じ録音から過去lにリリースされた伝説的なアナログブートレッグ 『Chaos At A Concert / Bedlam In A Bed-Sit (Special Bonus CDR)』 が付属しています.
実質,元々の商品があるので,中途半端に曲が収録されている本ボーナスは,既に不要に近いのですが,アナログから落とした暖かみのある音と商品を比較するのも良いでしょうか.
メーカー情報では
『二度目の来日公演に起きてしまった大暴動を記録した「BUDOKAN 1973」。本編プレス2CDの解説でも述べましたが、この録音自体は古く、アナログ時代から知られ、「CHAOS AT A CONCERT / BEDLAM IN A BED-SIT(UD 6532)」として出回っていました(ショウ前半で知られる「GLUTTON FOR PUNISHMENT」は別テープ)。やがて、CD時代になってライヴ全曲が聴ける「DESTROYED THE ARENA」が登場し、この度“大暴動シーン”までも含んだ大本カセットの発掘によって、決着盤「BUDOKAN 1973」の誕生となったわけです。
そのボーナスとなる本作は、最高の状態で残っていたアナログ盤「CHAOS AT A CONCERT / BEDLAM IN A BED-SIT」を使用し、ダイレクトにCD化した1枚です。アナログの収録時間にオイシイ曲を集めようとしたのか、「Highway Star」「Child In Time」「Lazy」「Space Truckin’」の4曲が曲順もバラバラに収録。ラストの「Space Truckin’」は終演の挨拶までで、一度途切れた録音が再開する“暴動シーン“は含まれていません。
再生すると、アナログならではの暖かみのあるサウンドで、この最高にして最悪だった武道館ライヴが蘇る。もちろん、大本カセットから復刻した「BUDOKAN 1973」の鮮度に及ぶものではありませんが、丸みを帯びたヴィンテージ・サウンドも実にヒストリカルで時空を越えるスペクタクル感覚が沸き立つ。かつて「なぜ、この最高のライヴが暴動になるんだろう……」と不思議に思った日々が鮮やかに蘇るようです。
そう、本作がなければ「観客がライヴを楽しんでいるように思えなかった」というコメントを鵜呑みにするしかなかった。現実には素晴らしく、伝説の1972年初来日にさえ肉薄するライヴであったことを教えてくれたのは“この音”だったのです。
オーディエンス録音は、“単に臨場感のあるライヴアルバム”以上の存在であり、観客に届いた音楽そのもの。オフィシャルでは隠され、伝聞では歪められる“現場の真実”を後世に残す証言者……本作は、そのことを圧倒的に思い起こさせてくれる1枚なのです。本作に“大暴動シーン”は収録されていませんが、素晴らしい音楽を証言し続けてきた、音源の歴史が深く刻み込まれた1本。ぜひ、世紀の大発掘となった本編プレス2CDと共に、このドキュメントアルバムで、証言者が歩んできた歴史も噛みしめていただけたら幸いです。』
Chaos At A Concert / Bedlam In A Bed-Sit (Special Bonus CDR)
Taken from the original LP(UD-6532)
Live At Budokan, Tokyo, JAPAN 25th June 1973
1. Lazy
2. Child In Time
3. Highway Star
4. Space Truckin'
Lazy
[参考]
Deep Purple 1973 Japan Tour Dates
June
23 Hiroshima-shi Kokaido, Hiroshima, JAPAN
24 Nagoya-Shi Kokaido, Aichi, JAPAN
25 Budoukan Hall, Tokyo, JAPAN
26 Budoukan Hall, Tokyo, JAPAN (Cancelled)
27 Kouseinenkin Hall, Osaka, JAPAN
29 Kouseinenkin Hall, Osaka, JAPAN
Master Caset の 写真
終演後の会場(:ネットからの頂き物)
[関連記事]
「Live In Japan Nagoya 1973 (EVSD-596)」
「Live In Hiroshim (Darker Than Blue 141/142)」
「Final Black Remastered Edition (Bonus CDR)」
「Lyon 1973 (Darker Than Blue 131)」
「Birmingham 1973 (Darker Than Blue 134)」