1970年第二次北米ツアー(:9月26日~10月25日)を終了したフロイドは,11月6日オランダはアムステルダムのコンセルトヘボウ公演を皮切りに,冬の欧州・英国ツアーを開始します.
 本CDは,この欧州・英国ツアーから,11月29日ドイツはミュンヘンのサーカス・クローネ公演を高音質のオーディエンス録音で収録したものです.
 
 同日の音源は,既発で 2002年に Shout To The Topレーベルから 『Zirkus Krone (STTP 210/11)』等,また2008年に同 Sigmaレーベルからアップ・グレード盤 『Zirkus Krone '70 (Sigma 6)』 としてリリースされていますが,今回のものは,今年の 1月17日, Beechwoods氏なる人物により,ネット上に 「Stratcat58 Tape Beechwoods Tfer」 のタイトルでアップされた高音質音源で 2nd Gen テープを元にしたとの注釈がなされています.

 メーカー情報にも記載されていますが,『Zirkus Krone '70 (Sigma 6)』 には存在しない曲間カットがあるので,途中から別ルートでコピーされたものなのでしょう. 

 メーカー情報では
 『フロイド初期の演奏を現在に伝えるタイトルは幾つも存在しますが、数々の名演奏を残した事で知られる1970年の公演を良い音で愉しませてくれるタイトルはそう多くありません。しかもそれがマニアに評価の高い70年最末期のものとなると、残念ながら片手で足りる程度でしょう。
 今週末、そんなフロイド1970年冬の欧州ツアー最末期となる、11月29日のドイツ・ミュンヘン公演が劇的な音質向上版として甦ります。この公演は当Sigmaからレーベル発足時(2008年1月)に『ZIRKUS KRONE '70 (Sigma 6)』としてリリース致しました。当時は『ZIRKUS KRONE (STTP 210/11)』など他レーベルのタイトルも幾つか存在していましたが、しかしフロイド専門の新興レーベルが送り出した上記タイトルは録音テープに存在していたピッチのズレや音の定位・解像度を徹底的に精査・補正して質を高めたクオリティが話題を呼び、それまでの各既発盤を一蹴するタイトルとして専門誌やファンから高い評価を賜りました。以後、70年冬の欧州ツアーを代表するタイトルとして揺ぎ無いポジションにあった訳ですが、しかし先ごろその名盤に使用されたソースよりも世代が若い鮮度良好なテープが新たに発見され、今密かにマニアの熱い注目を集めているのです。そのサウンドの近さと明瞭感はどう聴いても『ZIRKUS KRONE '70 (※以降" 既発盤 "とします)』以上の鮮明さを持っており、まさに衝撃的なアッパー感を秘めていました。本タイトルはこの近年発見されたジェネ若のテープからニュー・トランスファーしたもので、音質向上の実感に溢れまくった衝撃のアッパー版となっているのです!!

 今回の本作と既発盤で使用されたソースの大元は、非常に優れた同一のオーディエンス録音マスターから派生しています。しかしよく聴いてみるとテープ残量節約の為か今回登場したジェネ若テープ(=本作)は既発盤に無い編集痕が数箇所の曲間(※あくまでも曲間です。曲中のカットはありません)で確認される事から、明らかに既発盤とは別のルートを辿ってきた様です。
 でもその音質は圧倒的で、これを聴くと既発盤のサウンドがいかに明瞭感と音の威力に欠けるものだったかに驚かされるのです。誤解しないで戴きたいのですが、これは決して既発盤の質が悪かった為ではありません。今回のソースがあの優秀な既発盤のサウンドを一足で軽く超えるものだからこそ驚かされるのです。ただ既発盤の時と同様、入手した音源を最新機材で丁寧に精査してみると若干のピッチ補正とノイズ除去が必要な箇所が散見されましたので、その部分に関しては厳密な補正と調整を施しました。しかしイコライジングによる過度な音質補正は一切しておらず、あくまでもテープに記録されている音が最高値で耳に届く為のリマスターに留めてあります。でもそれでこのハイグレードなサウンドなのですから、実際耳にして戴ければこのソースが備えている基本音質のポテンシャルの高さに間違いなく驚嘆される筈です。

 またこの日は当時披露していた主要レパートリーを全て演奏しているのも興味深いところです。全9曲中、7曲が10分超えの演奏となっているので聴き応えもあるうえ、1月10日の年度初公演から1年間積み上げてきた表現の総決算とも言うべき好演奏が目立つのも魅力となっています。
 そのオープニングを飾った 「Astronomy Domine」 では、その導入部から既発盤で体験してきたサウンドとは異質のものである事が瞬時にお分り戴けるでしょう。これまでの音はマイルドで適度に角が取れたものだったのに対して本作のサウンドはタフでラウド感に充ちたものとなっており、何より音像そのものが近くなっている事がすぐに分かる筈です。中~低音域も更に厚みが増しており(※リマスターによる音圧のブーストではなく、ジェネ若のナチュラルな厚みです)、リズムがストレートな威力を持って飛び出してくるため、演奏から受ける印象が更に手応えのあるものになっているのです。「Fat Old Sun」 もシンバルの響きとボーカルが一層明瞭になっており、グルーヴが増す3分37秒からの展開ではギターの動きから出る響きの威力と手応え、そして10分02秒から飛び出してくるフックの激しいドラムとオルガンによる対話もこれまで以上に実の詰まった濃厚サウンドで現れますので是非御注目下さい。 「Cymbaline」 は3分53秒からのオルガンとシンバル、そしてロジャーが出している定期的な吐息がハッキリ聴こえ、それらが至近距離で立体的に交錯する興奮に打ち震えて戴けるでしょう。後半に進むにつれ高らかに歌うギターとボーカルも響きの彫りの深さを感じさせる音像で出ています。 「Atom Heart Mother」 ではまず冒頭の主題提示部で曲がダイナミックに動く様子が生々しく現れます。切り裂く様な響きを出すギターも広い音域を動き回る様子が克明に追えますし、中盤5分51秒~10分51秒にかけて丸々5分間展開するハーモニーも声の近さと艶が格段に上がり、ここも既発盤から出ていた音像とは全く違っているのをお感じになる筈です。コーダに向けて巨大な音楽が激しくうねる迫力を是非この音像で御満喫下さい。

 「The Embryo」 では後の 「Echoes」 で引き継がれる事になるアホウドリの鳴き声が含まれていますが、サウンドのトータルな近さと明瞭感が出ている事で、イメージの過渡期にあった曲表現の変化と驚きが一層リアルに伝わってくる面白さがあります。浮遊感溢れる歌声の生々しさと、激しく攻めるアンサンブル全体の対比も既発盤より色濃く出ているので、この日の演奏を構築する音の営みがより確かな手応えで伝わってくるでしょう。「Green Is The Colour」 は柔らかな曲想が透明度の音像で出て聴き手の想像力を更に刺激します。濃淡豊かな、まるで午後の日差しの様な温もりある音色の膨らみと表現の隈取りが、雑味の無いクリーン・トーンで駆け抜けてゆく心地良さを是非御体験下さい。「ユージン...」 は映像的な音響詩が奥行き豊かな音像の中で展開し、走馬灯の様な響きの移り変わりの中で曲の構成を追う面白さを改めて御体験戴けるでしょう。押し殺したようなハミングとモノローグが溶け合い、広く間が取られた音と音の間に存在している奇怪な響きが既発盤とは比べ物にならない生々しさでこちらを挑発してくる興奮をどうぞお愉しみ下さい。「太陽讃歌」は中音域で鳴るタムの響きがブレずに出ており、その上に舞う妖しいキーボードとの対比が際立ちます。またドラムと一緒に旋律をトレースし続けるギターとベースとの重音進行もマッシヴな音の塊として現れるのですが、この音像も既発盤と大きく違っている事にも御注目戴きたいと思います。「神秘」 は既発盤同様に後半の静かな展開に入る直前でフェイドアウトしますが(※フェイドポイントは各既発盤と同位置です)、これはもう大元のマスターテープがこの位置で終わっている為と思われますので、別ソース=Recorder 2の録音でも出てこない限りはこれが最長でしょう。しかしそこに行き着くまでの混沌から秩序を導いてゆく表現力、すなわちこの日の楽想が強いタッチで描かれては次々とミステリアスに溶け合ってゆく興奮が、既発盤とは桁違いの音の近さと透明感で存分にお愉しみ戴ける筈です。知的情念によって突き動かされる生々しい音の暴力を、是非ジェネ若の鋭い音像で体験してみて下さい。

 バンドはこのドイツ・ツアーの後も12月にフランス、イギリスを回って70年の活動を終えていますが、本公演の後に行ったライブで録音が現存しているのは、現時点では70年最後の演奏となった12月22日のヨークシャー公演 (※御存知の通り" アランの朝食 "をやった、有名なあの公演です) しかありません。しかしそちらを聴いた事がある方なら分かると思いますが、大変貴重な公演でありながらも70年代の録音としては普通より良いかな、という位の録音クオリティです。つまり「おや、これは...!」と感じる質の良い録音で70年末期の演奏に肉迫出来るのは今のところ本公演しか無く、それが今回のジェネ若テープの出現で飛躍的に高まった訳ですから、これを聴き逃す手は無いでしょう。今週末はそうした音質のアッパー感に溢れた本作で、フロイドが残した70年最後期の音楽的魅力に更に深くハマり込んで戴きたいと思います。もちろん初回分は限定ナンバリングステッカー付き・ピクチャーディスク仕様となっており、Sigmaコレクションの充実度をますます高められる美麗パッケージでのリリースとなっています!!』

Munich 1970 New Tape Transfer (Sigma 129)
 
 Live At Circus Krone, Munich, Germany 29th November 1970

 Disc 1
  1. Astronomy Domine
  2. Fat Old Sun
  3. Cymbaline
  4. Atom Heart Mother
  TOTAL TIME (51:47)

 Disc 2
  1. The Embryo
  2. Green Is The Colour
  3. Careful With That Axe, Eugene
  4. Set The Controls For The Heart Of The Sun
  5. A Saucerful Of Secrets
  TOTAL TIME (56:42)

 Green Is The Colour
 
 Careful With That Axe, Eugene
 


 本商品の初回ナンバー入りステッカー付きに限って,1970年7月10日~12日の 3日間ドイツはアーヘンのスタジアムで開催された,野外フェスティヴァル 「Soersfestival 3 Day Open Air Festival」の最終日:7月12日に出演した際のステージを,高音質オーディエンスで収録した 『Aachen 1970 Low Gen Master (Special Bonus 2CDR)』 が付属しています.

 ちなみにこの音源も 『Munich 1970 New Tape Transfer (Sigma 129)』 の音源同様に,今年の 1月18日に 同 Beechwoods氏により,ネット上にアップされた「Stratcat58 Tape Beechwoods Tfer」が元になっています.

 既発では Siréneレーベルから2007年に 『Soersfestival (Siréne-261)』として,また2014年にはトリートメントを変えて同店のギフト・タイトル 『Soersfestival 3 Day Open Air Festival (Gift CDR)』 としても配布されていました.

 この日はフェスティヴァルという事で,当時としては定番の "The Embryo" と "Cymbaline" を除いた,短めのセットリストとなっています.
 "Astronomy Domine" は頭切れ,またマスターの経年劣化を思わせるような部分やカット等もありますが,全体を通して緊張感のある演奏が繰り広げられます.
 特に BINSON ECHOREC を使用した,デイヴ・ギルモアのギターが凄まじい効果をあげている "A Saucerful Of Secrets",独創的な演奏を繰り広げている "Interstellar Overdrive" は名演の一つと言えるでしょう.

 メーカー情報では
 『1970年7月12日、ドイツのアーヘンで行われたフェスティバル「Soersfestival 3 Day Open Air Festival」に出演時のステージを、過去最高の音質を誇る、ロウジェネ・テープより生々しい高音質オーディエンス録音で収録。
 2007年にSireneレーベルより「SOERSFESTIVAL」(2CD Sirene-261)としてリリースされ、昨年の春には、そのアッパー版が「SOERSFESTIVAL 3 DAY OPEN AIR FESTIVAL」(無料2CDR)と言うタイトルでリリースされました。そんなフェスティバル音源の優良ニュー・テープ・トランスファー盤が本作です。
 音切れからスタートする冒頭のポイントでいきなり既発「SOERSFESTIVAL 3 DAY OPEN AIR FESTIVAL」を遥かに上回る音の鮮度の良さ、ジェネの確かさが確認できます。音質のクオリティの高さを考えれば、これ以上のモノが将来出現するとは思えないレベルであり、本来ならこのままプレスCDのリリースが相応しかったと思えるほどの傑作マスター音源です。
 Astronomy Domine の頭切れスタート、Careful With That Axe, Eugene の4分台のキュルっとなる箇所、Atom Heart Mother の16分台の音劣化などのウィークポイントは全て既発と同じながら、とにかく音質が優れているので効き応え満点。クオリティだけとったらプレス盤の 「Munichi 1970」 と引けを取らない素晴らしさです。
 おそらく、今度ばかりは、このボーナス・ディスクを聴いたファンの方達から、「是非、このままプレスCD化へ」 というリクエストが数多く寄せられることになると思います。
 この日の A Saucerful Of Secrets と独創的な演奏を繰り広げるラストの Interstellar Overdrive は特に名演で、フロイド・パフォーマンスの最良のモノを存分に楽しむことが出来ます。Careful With That Axe Eugene ではチューニングが安定しないギターに手を焼き、一旦袖に下がる Gilmour が再びステージに復帰すると、温かい拍手に迎えられたりするなど、野外フェスらしい、穏やかな雰囲気を感じ取れる名盤です。是非、この機会に、遂に登場したアッパー版をお楽しみ下さい。これは本当に凄いです。』

Aachen 1970 Low Gen Master (Special Bonus 2CDR)
 
 Soersfestival 3 Day Open Air Festival
 Live At Soerser Stadium, Aachen, Germany 12th July 1970

 Disc 1
  1. Astronomy Domine
  2. Green Is The Colour
  3. Careful With That Axe, Eugene
  4. Atom Heart Mother 
  TOTAL TIME (39:03)

 Disc 2
  1. Set The Controls For The Heart Of The Sun
  2. A Saucerful Of Secrets
  3. Interstellar Overdrive
  TOTAL TIME (43:19)

 Set The Controls For The Heart Of The Sun
 
 Interstellar Overdrive
 

[参考]
 Zirkus Krone (STTP 210/11)
 
 Zirkus Krone '70 (Sigma 6)
 
 Soersfestival (Siréne-261)
 
 Soersfestival 3 Day Open Air Festival (Gift CDR)
 

 

 1970 Tour Dates

  

 June
         :
  27 Bath Festival of Blues & Progressive Music '70,Bath & West Showground,Shepton Mallet,England
  28 Holland Pop Festival,Kralingse Bos,Rotterdam,The Netherlands (Stamping Ground, Film)

 July
  12 1st Open Air Pop Festival,Reiterstadion Soers,Aachen,Germany
  16 BBC Paris Cinema,Lower Regent Street,London,UK (Peel Sunday Concert, BBC Radio 1, Broadcast 19 July)
  18 Blackhill's Garden Party - Hyde Park Free Concert,Hyde Park,London,UK
  26 XI Festival International de Jazz,Pinède Gould,Antibes Juan-les-Pins,France

 August
  01 Festival d’Aix-en-Provence,Parc de Saint Pons,Aix-en-Provence,France (Cancelled)
  05 Popanalia Festival,Autoroute De L’Esteral,Biot,France (Cancelled)
  08 Pop Festival Saint Raphael,Stade Municipal,St. Raphaël,France (Cancelled)
  08 Festival de St. Tropez,Les Caves du Roy,San Tropez,France (Pop 2, ORTF 2 TV, broadcast 10 & 24 October)
  12 Fête de St. Raphaël,L' Amphithéâtre Romain,Fréjus, St. Raphaël,France
  15 Yorkshire Folk,Blues & Jazz Festival,Krumlin,Barkisland,Halifax,UK (Cancelled)
  29 Open Air Festival Heidelberg,Thingstätte Amphitheatre,Heidelberg,Germany (Cancelled)
  31 Charlton Park,Bishopsbourne,near Canterbury,UK

  

 November
  06 Concertgebouw,Amsterdam,The Netherlands
  07 Grote Zaal,De Doelen,Rotterdam,The Netherlands
  11 Konserthuset,Gothenburg,Sweden
  12 Falkoner Teater,Copenhagen,Denmark (Two Shows)
  13 Vejlby Risskov Hallen,Arhus,Denmark
  14 Ernst-Merck Halle,Hamburg,West Germany
  19 Civic Arena,Pittsburgh,PA,USA (Rescheduled To Syria Mosque)
  21 Super Pop '70 VII,Casino de Montreaux,Altes Casino,Montreux,Switzerland
  22 Super Pop '70 VII,Casino de Montreaux,Altes Casino,Montreux,Switzerland
  23 Grosser Konzerthaussaal,Wiener Konzerthaus,Vienna,Austria (Rescheduled To 29 November)
  25 Friedrich Ebert Halle,Ludwigshafen,Germany
  26 Killesberg Halle 14,Stuttgart,Germany
  27 Neidersachsenhalle,Hannover,Germany
  28 Saarlandhalle,Saarbrucken,Germany
  29 Grosser Konzerthaussaal,Wiener Konzerthaus,Vienna,Austria (Cancelled)
  29 Circus Krone,Munich,Germany

 December
  05 ORTF TV Studios, Buttes Chaumont, Paris, France (Volumes, ORTF2, Broadcast 27 May 1971)
  11 Big Apple,Regent Theatre,Brighton,England
  12 The Roundhouse Public House,Dagenham,England
  18 Town Hall,Birmingham,England
  20 Colston Hall,Bristol,England
  21 Free Trade Hall,Manchester,England
  22 City (Oval) Hall,Sheffield,England

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