オフィシャル・アルバム「Larks' Tongues In Aspic (太陽と戦慄)」リリースに伴い,英国,欧州に続いて,1973年4月18日オハイオ州ウォーレンのパッカード・ミュージック・ホールを皮切りに開始された北米ツアーから,ツアー終盤の6月25日ニューヨークはセントラル・パーク公演をオーディエンス収録したものです.既発では「Central Park (KC-003)」等が存在しますが,今回は新たなマスタリングをしてのリリースになります.既発とは音の輪郭が全然ことなると言っても良いでしょう.
 しかし最近キング・クリムゾン音源は,オフィシャル・サイト DGM Live! が存在する関係から,基本リリースはしていないのですが,そんな中で本作を良くリリースしました.感謝です.

 メロトロンを使用しインプロヴィゼーション的な短めのイントロから引き継がれる "Docter Diamond".当時は未発表曲でしたが,現在ではオフィシャルのライブ盤にも収録されているので,ファンの方なら存知だと思います.ジェミー・ミューア脱退後に,4人編成用にアレンジされ直した "Larks' Tongues In Aspic, (Part 1)" は,中間部が短めなタイプですが,迫力ある演奏が楽しめます.しかし最後の最後の拍手部分,10分20秒でフェイド・アウトし,ロバート・フリップのMCがカット・インで続きます.ロバート・フリップのMCでは,最初に演奏された 2曲を紹介しますが,その中で最初の曲を "Docter D" と紹介していますので,この頃は未だ "Docter Diaomnd" ではなく "Docter D" と呼ばれていたようです.
 続く "Easy Money" ~ "Improvisation" は,下記にも記載している本CD付属の「Central Park 1973 Remastered Version (Bonus DVDR)」にも収録されており,古くから映像として残ってもいる有名なテイクです.ただこの公演は時間枠を決められての演奏だったのでしょうか.他の公演日に比較して "Easy Money" から雪崩式で続く "Improvisation" は短めの演奏です.
 "Exiles" と,続く "Improvisation" の間には曲間カットがあります.そして,この "Improvisation" は静かな曲調で始まりますが,終盤部は不気味な曲調に変化し,シームレスに "The Talking Drum" へと引き継がれます.また逆に本来シームレスなメドレー形式で演奏される "The Talking Drum" と "Larks' Tongues In Aspic, (Part 2)" は,丁度繋ぎ目が短時間ですがフェイド・アウト,フェイド・インとなりカットされているのが残念です.最後を飾る "21st Century Schizoid Man" も,非常に音の輪郭がハッキリしており,本CDは,この公演日の決定盤です.
 
 メーカー情報では
 『アップグレードが繰り返されるクリムゾンの音源中、既発盤のリリースから何故か約20年間もひっそりと放置されていた不思議な音源があるのを御存知でしょうか。しかもそれが特に人気の高い73年の公演で、現存している音源としては73年初回の米国ツアー(6月6日~7月2日)終盤の様子を伝える重要な音源だとしたら?それが本作、73年6月25日のセントラルパーク公演です。
 この日のショウは映像収録されていた事でクリムゾン史上でも極めて珍しい公演のひとつとして有名ですが、その全貌を伝える音源は約20年前の1990年代初頭に出ていた既発盤『CENTRAL PARK 1973 (KC-003)』しか存在していませんでした。しかもそんな重要音源であるにも関わらず既発音源は時折ピッチが狂い、収録音の欠落も数箇所で生じているといった按配で、クオリティの面では歯痒さが残っていたのも事実。
 しかし今回登場した本作はそこにスポットを当てる事で収録音の全面的な改善と見直しを徹底し、傷付いていた真珠を修復して磨き上げるが如く、73年クリムゾンの演奏の魅力と輝きをより強く惹き出したアップグレード版なのです。
 具体的な改善としてはまず何よりも音質。中高域を強調するイコライズが施された事で全体の演奏音が既発の音源よりグッと鮮明に聴こえる様になったうえ、既発盤では目立っていたヒスノイズがかなり緩和されている点も特筆されます。例えばこれはこの日2曲目のインプロ(※トラック7)を聴くと顕著ですが、ベースの和音が階層的に積み上げられてゆく印象的なフレーズがより明瞭な輪郭を伴い、そこに重なってゆく他の楽器の音色が自然な音で耳に届く事に気付くでしょう。これは既発盤で聴いていたものが満天の星空だったとすると、本作ではその散りばめられた星の中に星座の形が発見出来る喜びに似ていると思います。
 また「21st Century Schizoid Man」では中間インプロに突入してゆく(※1分31秒付近~41秒付近)テンポアップの様子も、音の粒が既発より明瞭な形で耳に迫ってくるため、そのアゴーギク(演奏速度の緩急法)から元々の楽曲の組み立ての巧妙さが改めて浮き上がっている事に気付かされると思います。同様に、6分18秒付近から入ってくる歌詞3番では、ボーカルラインに掛けられた弱めのエコーが既発音源よりずっと明瞭に聞き取れるので「♪Death Seed..」という歌詞の冒頭からその音の立ち上がりに鳥肌が立つこと請け合いです。

 また既発盤ではランダムに狂いが発生していたピッチを正確に調整した事でオリジナル演奏の良さを最大限引き出している事にも注目です。マザーテープから無修正のまま収録された既発盤の収録時間は60分19秒ですが、正確に修正した本作では61分07秒と全体で約1分近くも差があるのです。
 例えば「21st Century Schizoid Man」一曲を取っても既発音源のピッチを正確に修正したことでランタイムに11秒近い差が生じています(既発は7:04、本作は7:15)。つまりこの日の演奏がどれだけ不正確なまま20年間も放置されていたのかが一曲聴いただけでも分かると思いますし、これにより更にダイレクトに73年の演奏の凄みが伝わってくるという訳です。 またトラック5のインプロヴィゼーション(※未発表曲「Guts On My Side」の雛型)ではこうしたピッチの修正に加え、既発盤で生じていた致命的な音の欠落も同日演奏のDVD音声から補填することで見事に修復されており(※本作では4分45秒付近~5分04付近がそれに当たります)、ストレス無くオリジナル演奏の魅力を保ったまま聴き通せるのも嬉しいところです。更には「Larks' Tongues In Aspic Part I」でも、既発盤では12分32秒付近に生じていた音の欠落が本作では解消されており、ショウの流れが途切れることなく愉しめるようになっています。

 使用されているソース自体は確かに既発盤『CENTRAL PARK』と同一ですが、上記してきた通り本作はそのソースを現在の技術で出来うる限り完璧に修正し、よりダイレクトに当時のクリムゾンの演奏の魅力に迫ることを主眼に置いた仕上がりになっています。無表情だった音がひとつひとつ表情を見せて豊かに鳴り響き、音楽がすぐ近くまでやってくる喜びの中に、クリムゾンの音楽が変化と期待を感じさせるものである事を改めて実感出来るでしょう。20年待っただけの事はあるアップグレード決定盤の誕生です!!』
との事.

Central Park 1973 (No Label)
 cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-King Crimson - Central Park (NL)
 Live At The Central Park,New York,NYC.USA 25th June 1973

  01. Intro.
  02. Doctor Diamond
  03. Larks' Tongues In Aspic, (Part 1)
  04. Easy Money
  05. Improvisation
  06. Exiles
  07. Improvisation
  08. The Talking Drum
  09. Larks' Tongues In Aspic, (Part 2)
  10. 21st Century Schizoid Man

  Robert Fripp:Guitar, Mellotron
  John Wetton:Bass, Vocals
  David Cross:Violin, Viola, Keyboards
  Bill Bruford:Drums, Percussion

 Doctor Diamond
 
 Larks' Tongues In Aspic, (Part 1)
 
 Improvisation
 
 Exiles
 
 Improvisation
 
 21st Century Schizoid Man
 

 本CDには,初回納品分には,同73年6月25日の映像版DVD「Central Park 1973 Remastered Version (Bonus DVDR)」が付属しています.

 Central Park 1973 Remastered Version (Bonus DVDR)
 cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-King Crimson - Central Park (Bonus)
  Live at the Central Park, New York, USA 25th June 1973
  PRO-SHOT(Remastered) COLOUR NTSC Approx.11min.
  Directly Transfered From The Original 16mm Film
 cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-King Crimson - Central Park (Bonus)

   01. Easy Money 
   02. Improvisation


 


[参考]
 Central Park (KC-003)
 cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-King Crimson - Central Park (KC-003)

 1973 Tour Dates
  February
   10 Marquee,London,UK
   11 Marquee,London,UK

  March
   16 Greens Playhouse,Glasgow,UK
   17 Cityhall,Sheffield,UK
   18 Rainbow,London,UK
   19 Townhall,Birmingham,UK
   21 Cityhall,Newcastle,UK
   22 Townhall,Leeds,UK
   23 Free Trade Hall,Manchester,UK
   23 Various,Various,UK
   24 Winter Gardens,Bournemouth,UK
   25 Colston Hall,Bristol,UK
   30 Niedersachsen Halle,Hanover,GERMANY
   31 Concertgebouw,Amsterdam,NETHERLANDS

  April
   01 Rheinhalle,Dusseldorf,GERMANY
   02 Austellungshalle,Sindlefingen,GERMANY
   03 Staatstheatre,Darmstadt,GERMANY
   05 Palatza Delo Sports,Reggio,Emillio,ITALY
   06 Palazzo Dello Sport,Rome,ITALY
   08 Volkhaus,Zurich,SWITZERLAND
   09 Olympia,Paris,FRANCE
   18 Packard Music Hall,Warren,OH,USA
   19 Embassy Theatre,Fort Wayne,IN,USA
   20 Kinetic Playground,Chicago,IL,USA
   21 Coliseum,Indianapolis,IN,USA
   22 Cowtown Ballroom,Kansas City,MO,USA
   23 Henry Levitt Arena,Witchita,KS,USA
   24 State Fairground,Oklahoma City,OK,USA
   27 Irvine Auditorium,Philadelphia,PA,USA
   28 Academy Of Music,NYC,NY,USA
   30 State Fair Coliseum,Syracuse,NY,USA

  May
   02 Alpine Arena,Pittsburgh,PA,USA
   04 Orpheum,Boston,MA,USA
   05 The Forum,Montreal,Quebec,CANADA
   06 Palace Theatre,Waterbury,CT,USA
   08 Masonic Temple,Detroit,MI,USA
   11 Armoury,Springfield,IL,USA
   12 Kiel Auditorium,St Louis,MO,USA
   13 Club Agora,Toledo,OH,USA
   14 Club Agora,Cleveland,OH,USA
   15 Club Agora,Columbus,OH,USA
   16 Forum,London,Ontario,CANADA
   17 Forum,Hamilton,Ontario,CANADA
   18 Massey Hall,Toronto,Ontario,CANADA
   19 Arena Sudbury,Ontario,CANADA
   20 Civic Theatre,Ottawa,Ontario,CANADA
   22 Pavillion De La Jeunesse,Wilfrid-Hamel,Quebec,CANADA

  June
   06 Ellis Auditorium,Memphis,TN,USA
   07 Warehouse,New Orleans,AZ,USA
   08 Hofheinz Pavillion,Houston,TX,USA
   09 Majestic Theatre Centre,Dallas,TX,USA
   10 Municipal Auditorium,San Antonio,TX,USA
   12 Midnight Special,Burbank,CA,USA
   14 Celebrity Theatre,Phoenix,AZ,USA
   15 Arena,San Diego,CA,USA
   16 Community Theatre,Berkeley,CA,USA
   17 Auditorium,Long Beach,CA,USA
   20 Bayfront Centre,St Petersburg,FL,USA
   21 Auditorium,West Palm Beach,FL,USA
   22 Peabody Auditorium,Daytona Beach,FL,USA
   23 Richards Club,Atlanta,GA,USA
   25 Central Park,NYC,NY,USA
   29 Sunshine Inn,Asbury Park,NJ,USA
   30 Exposition Buildings,Portland,ME,USA

  July
   02 Kent State University,Kent,OH,USA



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