一段ずつ上っていく・・② | 神経質逍遥(神経質礼賛ブログ)

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何のとりえもない平凡で臆病者の神経質者が語る森田的生き方ブログです。

さて、今回も昨日に引き続き、目標に向かってこつこつと努力する姿をお届けしましょう。

なーんて、大げさなことではないんですけどね。

今回の主役、ゆうと君はちょっぴり感覚過敏で繊細なところがあり、また人見知りも強いので、中々お友達を作ることが出来ません。たまに勇気を出して人に話しかけても、気の乗らない姿に接したりすると、すぐに「僕、嫌われているのかなぁ」と言う自動思考に陥ってしまいます。そのためますます友達から離れて行ってしまうという悪循環に悩んでいるようです。

 

 

これではいけない!

と思ったかどうかわかりませんが、ゆうと君は自ら「苦手の階段」を作り、コツコツと実践していくことにしました。

それが上図です。見づらくてすみません

まずステップを大きく3っつに分け、比較的簡単なものを「ホップ」とし、中程度のものを「ステップ」、難しいものを「ジャンプ」としました。

それが上図の真ん中のところですね。右側に不安度(不安の点数)も記入してあります。

では、具体的な実践内容を見ていきましょう。

まずは最初の段階、「ホップ」の部分です。まずは、登校時に、仲良しのあつし君に挨拶をする。としました。

次に、クラスの班活動の際に、あつし君に話しかける。と言うものです。

他の友達がいる分、難易度が高いのですね。

 

それらがクリアできたら、「ステップ」の段階です。

まずは、給食当番の時に、あつし君に話しかける。というものです。何か仕事をしているときに話しかけるというのは、なかなかタイミングが難しいですね。

次の段階では、休み時間の時、あつし君が一人の時に話しかける。と言うものです。今までと違って「ガチで話し合う」色彩が強くなるので、結構覚悟が必要だったりします。

さあ、それらがクリアできたら、最終段階(ジャンプ)です。

今度は休み時間、あつし君とはるま君が一緒の時に話しかける。と言うものです。ライバルがいる時に話しかけるというのは、横取りされる不安と戦いながらの挑戦になりますね。相当なプレッシャーでしょう。

 

 

さらに、あつし君のほかに数人の友達が話し合っているときに、話しかける。と言うものです。これはすでに出来上がっている会話の輪の中に突入していくことになるので、不安緊張は極限状態でしょう。

そして最終目標に挑戦です。クラスの男子の遊びの中に入っていく事。要するに「僕も仲間に入れてよ」と働き掛けるのです。

普通の人でも緊張するのに、人見知りや感覚過敏で繊細な子供にとっては、ある意味拷問に匹敵するかもしれません。

さぁ、果たして成功したのでしょうか、それとも・・・

 

ゆうと君は、さっそく実行に移しました。登校時にあつし君に挨拶したのです。するとあつし君は元気な声で「おはよう!」と返してくれたそうです。そのあとも休み時間にあつし君に話しかけてみましたが、意外と普通に対応してくれて、さらにそのあとも話しかけてくれたそうです。もしかしたらゆうと君を気にかけてくれていたのかも・・・

そう考えると、なんだかうれしくなりました。それまでは「寂しい」気持ちが優勢でしたが、この一件を境に、寂しい気持ちはずいぶん小さくなりした。

さぁ、この後ゆうと君の挑戦はどうなったのでしょうか。それは皆様のご想像にお任せします。

 

さて、余談ですが、ゆうと君のように対人恐怖傾向のあるお子さんの場合、途中の段階にわざと「話しかけてシカトされる」と言う課題を入れる場合があります。言うまでもなくこういうお子さんは人に「無視される」のを極端に恐れます。なのでそれをわざと体験させて、シカト感覚に慣れさせるのです。でもいくら「シカトされるのでは」と言う恐怖が強くても、実際の場面ではシカトされることはまずありません。一種の成功体験です。

それを何度か繰り返す中で、少しずつ「シカトされることはない」と言う成功体験を積んでいき、同時に「シカトされる恐怖」を少しずつ減らしていけるわけですね。

 

 

さて、最後にこのような「苦手の階段」を作るにあたってのポイントを紹介しましょう。

まずは、結果を予想してみることです。特に不安や恐怖が強い場合、予想を紙などに書いてみましょう。もしかすると「どうせだめだ!」などの弱音が占めてしまうかもしれません。でもそれらと実践した後の考え方の変化なども、記入しておくとよいと思いますよ。

そして、結果を確かめてみることです。「意外と・・」、「思ったより・・」、「実は・・」などのつぶやきが聞こえたら、大成功ですよ。何度か繰り返すうちに、つぶやきの内容も変化してくるはずです。

やり遂げた時点で、もう一度「考え方の癖」を見直してみましょう。何らかの変化は生じているはずです。そしてそれらの変化はチャレンジを繰り返す事でますます強化されていくのです。

 

大体の目安ですが、一つのステップは長くても一週間程度で切り上げて、次のステップに進むことです。その方が結果的に抱く不安は少なくなります。

もしチャレンジする途中で、嫌な気分になったり、不安が強まったと感じたら、一人で抱え込まずに誰かに相談してみましょう。

もしどうしても次のステップに進めないときは、前のステップに戻っても良いと思います。そこで再度成功体験を積んで自信がついたら、また進めばいいのですから。

「苦手の階段」は、転ばない訓練ではありません。転んでもまた起きれば良いのです。

 

参考・・・「友達と一緒にチャレンジ」、「不安、心配にサヨナラしよう」