"ヒマ"は大敵!? | 神経質逍遥(神経質礼賛ブログ)

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何のとりえもない平凡で臆病者の神経質者が語る森田的生き方ブログです。

このブログをいつも読まれている方にとっては、耳タコかもしれませんが、重要な事なので、再度申し上げます。

『不安』は私達人類にとって、無くてはならない感情です。『不安』と言う感情があったおかげで、太古の昔、何の武器も持たない私達が、危険極まりない自然の中で、生きていくことが出来たわけなんです。

 

『不安』と言うと、ピンと来ない方もいらっしゃるでしょうから、『自己防衛システム』と言い換えてもいいでしょう。『自己防衛システム』とは、私達人間を含めた多くの動物に備わっているもので、危険や災難からわが身を守る脳内システムです。

 

 

伝染病や感染症から身を守るために、不潔なものには近づかない。敵に襲われないように、恐ろしい動物が居る近くに行かない。どうしてもその動物を仕留めたい時には、細心の注意を払い、いつでも戦えるよう身体は臨戦態勢になります。心臓バクバク冷や汗ダラダラ状態ですね。これも『自己防衛システム』のなせる技です。

 

ですが現在はどうでしょう。普通に暮らしていれば、感染症などを心配する必要はありません。身の回りに危険な動物も居ませんし、ましてや危険を犯して狩りをする必要もありません。スーパーに行けば済むことです。

有る意味大変喜ばしい時代とも言えるでしょうね。

 

しかし、そんな平和な時代であっても、私達の『自己防衛システム』は忠実に働き続けているのです。その結果、排泄物や分泌物を異常に恐れたり、戸締りや火の元を確かめたのかどうか、非常に不安になってくるのです。つまり強迫性障害は、『自己防衛システム』の過剰反応と捉えることも出来るのです。

 

また、強迫性障害に陥る方の中には、親が非常に厳しかったとか、学校の先生や感謝の上司が厳しい人だったり、いわゆるいじめやパワハラを受けた経験の有る人が少なくないのです。たとえば箸の上げ下ろしや挨拶の仕方、服装や歩き方に至るまで、いちいち注文をつける親や教師が居るようです。

まだ自我が十分発達せず、親や教師の言いなりになっていた頃は、苦しいかもしれませんが、それなりに精神的均衡は保たれていたのです。

 

ところが親元を離れ、学校も卒業してしまえば、それまでの束縛は無くなるわけですが、逆に自分が主体的に判断して行動した経験が無いために、自分の判断に自信が持てず、箸の上げ下ろしや歩き方といった生活の細部に至るまで、ほとんどの行動に不安と不確かさを抱くようになり、強迫性障害を引き起こしてしまう例が多いものなんです。

 

原始時代に比べて現代は、比べ物にならないほど暮らしは便利になりました。その代わり有意義に使える時間も増えたのですが、同時に"ヒマをもてあます"時間も増えてしまったのです。

後者の場合は、せっかく口うるさい親や教師の束縛からフリーになれたのに、そのフリーの時間や空間を自分なりに染め上げることが出来ず、やることなすこと不安ですべてに自信が持てなくなってしまったのです。なまじ"ヒマ"ができたおかげで、心の病気になってしまったと、読み取ることも可能です。

 

これは人間だけの現象ではありません。皆さん小鳥を飼ったことがありますか?  特にインコやオウムと言った、頭の良い鳥たちが陥りやすい症状に『毛引き』というのがあります。

これは自分で自分の羽毛を抜いてしまうんですね。ひどくなると自分のくちばしが届く範囲の毛をすべて抜いてしまうことも有るそうです。ストレスが原因だと言われています。

 

 

オウムやインコに限らず、野生の鳥たちは群れを作ってエサ探しに飛び回っています。エサにありついても外敵の多い鳥は警戒を怠りません。油断をすると食べられてしまうからです。

おそらく鳥たちの『自己防衛システム』は、人間のそれより格段に高性能であることでしょうね。

 

ところがそんな鳥たちも、人間に飼われるようになると事情は一変します。いつもえさは用意されており、水や野菜も提供されます。ですが運動は極端に制限されています。このような状態で鳥を長期に飼育しますと、次第にストレスがたまってくるようです。そのストレス解消の一環として『毛引き』が有るようなのです。

 

鳥に限らず、犬や猫でも同様の環境に長期間居ると、自分の皮膚をかんだり、尻尾を追いかけたりする繰り返し行動が多くなると言われています。これは有る意味動物達の『強迫性障害』かもしれません。

 

もしあなたが一日中やることが無く、部屋の中でスマホばかりを弄繰り回し、食事は親が運んできたものを食べるだけの毎日を過ごしているとしたら、飼われている動物達と同じですぞ。

私達を含めた『動物』って、ストレスがまったく無い状態が、最もストレスフルなのかもしれませんね。

 

参考・・・「やめたいのにやめられない」