『羅刹国通信』と『感傷ファンタスマゴリィ』 | marginalia

また少し間が空いてしまいました。献本紹介です。

東京創元社さまより、津原泰水『羅刹国通信』と空木春宵『感傷ファンタスマゴリィ』をいただきました。

 

 

これは、津原泰水が少女小説から一般文芸に移行する時期に雑誌連載が途切れていた作品を未完のまま復刻したものだそうです。思春期によくある「人を殺してみたい」「殺人という特別な経験」という欲望もしくは妄想を現実化したような物語で、未完ですが針金で作った繊細なアート作品のような趣があり、作者の才能の煌めきを再確認できます。早世が惜しまれる作家でした。

 

 

 

こちらは耽美SFの雄の第二作品集です。どれもビザールな美意識と苛烈な倫理観が衝突する唯一無二の作品世界が堪能できる作品が集められていて、通読するとちょっと中毒になったような酩酊感があります。複雑な設定と構成がいつも凄いので、是非そろそろ長編を読ませていただきたいものです。以前にお知らせしていますが、この本については『紙魚の手帖vol.16』のSF書評で取り上げていますので、よかったらご覧ください。