案山子庵雑録

案山子庵雑録

仕事の告知とかです。

長いこと放置して失礼しました。書かなかった理由は体調というよりも気持ちが乗らなかったという感じだったのですが、それが去年の終わりから本当にいろいろあって、10万人に3人というすごい発生率の希少ガンに罹ってこの6月に左足をスネの真ん中あたりから切断しました。いまはリハビリでヒーヒー言っております。青空とかマストドンとかではポツポツ近況を書いていたのでどこからか漏れ伝わって気にかけてくださっている人もいるんだそうで、いやまあわりとお気楽にやってますよという意味合いも込めてブログを再開してみました。そのうち中断していた間の仕事の紹介とかも書きたいと思います。

 

それでまあ最新のお仕事は東京創元社のエンタメ小説誌『紙魚の手帖』のSF書評です。

 

 

夏の恒例SF特集GENESISに合わせて、今回も去年の夏から今年にかけての注目作を紹介しています。

  • 『ときときチャンネル ない天気作ってみた』宮澤伊織(創元日本SF叢書)
  • 『マイボディ・オン・ザ・ムーン』矢野アロウ(早川書房)
  • 『タフな狩り』倉田タカシ(集英社)
  • 『すべての夢、果てる地で』理山貞二(創元日本SF叢書)
  • 『では人類、ごきげんよう』斧田小夜(創元日本SF叢書)
  • 『土人形と動死体』円城塔(早川書房)

の6作で、今回は創元と早川ばかりになってしまいましたが、それはそれでSFらしいSFで固められたのでちょっとよかったかなとも思います。

まあしかし、紙魚の手帖の〆切は発売月の前々月の末日なんですが、なにせ新刊を読んでからになるのでどうしても手術後すぐに原稿を書かねばならないことになってなかなか大変でした。もっとも、スマホとiPadで原稿を書いて編集部に送信できるというのがわかってこれはこれで後学のためになったんじゃないかと思います。

それではみなさま、また近いうちにお目にかかりましょう。いやあSFって本当にいいものですね。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。

 

追伸:猫は元気です。

この夏はボロボロに体調を崩していました。そんなわけでひさしぶりの更新です。

東京創元社の『紙魚の手帖 vol.25 OCTOBER 2025』の書評欄でSFを担当しています。

 

 

今回紹介したのは以下の6作品です。

  • 『絶滅の牙』レイ・ネイラー/金子浩訳(創元SF文庫)
  • 『宙の復讐者』エミリー・ティッシュ/金子浩訳(早川書房)
  • 『ウは宇宙ヤバイのウ2 天の光はすべて詐欺』宮澤伊織(ハヤカワ文庫JA)
  • 『ときときチャンネル ない天気作ってみた』宮澤伊織(創元日本SF叢書)
  • 『レモネードに彗星』灰谷魚(KADOKAWA)
  • 『聖シスコ電説』荒巻義雄(小鳥遊書房)
今回は海外作品が少なめで迷っていたんですが〆切直前にゲラで読ませてもらえた『絶滅の牙』が抜群に面白かったので文句なしにイチオシにしました。遺伝子工学で蘇ったマンモスに百年前に死んだ女性科学者の意識を移植して群を率いてもらうというめちゃくちゃな計画のお話ですが、密猟者との戦いを軸に身体と記憶をめぐる思弁SFとして展開されるのがめっちゃかっこいいのです。これはオススメですねー。
 

8月12日発売の東京創元社のエンタメ小説誌『紙魚の手帖vol.24』夏のSF特集のいくつかの企画に参加しています。

 

 

まず、座談会「まずはここから! SF入門のための10の名作短編」の国内編に参加して、オススメのSF短編をリストアップしていろいろ語っております。私はここ十年ほどの作品を中心にリストを作りました。過去の「名作」を挙げるよりもその方が自分にはしっくりくるような気がしたんですが、座談会の時には気づかなかったものの、よく考えると自分が批評家としてデビューした後の作品の方がより記憶鮮明に残っている、ということだったのかもしれません。思えば長めのSF評論でも書いてみたいと思うのはいつも同時代作家たちの作品だったりします。

 

もう一つ、SF BOOKREVIEWの拡大版で、24年の8月以降の注目国内作品を8作選んで紹介しています。

  • 『伊藤典夫評論集成』伊藤典夫(国書刊行会)
  • 『山手線が転生して加速器になりました。』松崎有理(光文社文庫)
  • 『一億年のテレスコープ』春暮康一(早川書房)
  • 『風になるにはまだ』笹原千波(創元日本SF叢書)
  • 『まるで渡り鳥のように』藤井太洋(創元日本SF叢書)
  • 『鹽津城』飛浩隆(河出書房新社)
  • 『エルギスキへの旅』森下一仁(プターク書房)
  • 『去年、本能寺で』円城塔(新潮社)

このところずっと評論を選んでいなかったのですが、今回ばかりはメインにするしかないと思ってどーんと書きました。藤井太洋さんは上のオススメ短編に入れたかった作家さんで、その時に候補で考えていたのが『まるで渡り鳥のように』巻頭に収録されている「ヴァンテアン」でした。藤井さんの作品にあるソフィスティケートされた反逆精神がなかなか好きだったりします。