案山子庵雑録

案山子庵雑録

仕事の告知とかです。

9月10日発売のダニエル・クラウス『クジラに落ちた男』佐田千織訳(東京創元社)の巻末解説を書きました。

 

 

解説全文が東京創元社のnoteで公開されていますので、どういう作品か知りたい人は以下のリンク先の文章を読んでください。あらすじバッチリの親切設計です。

 

 

SF以外の著作に解説を書くのはあまりしたことがなく、創元ではたぶん初めてだと思います。アメリカ文学の専門家ではないので、できるだけ普通な感じを意識して書いたのですが、うまくいってるかどうも判別できません。まあ編集者さんのオーケーが出ているので大丈夫だということと思っておきます。

どうぞよろしく。

ところで、この本で私が執筆した解説が40冊になります。最初の本は2012年に上田早夕里さんの『華竜の宮』がハヤカワ文庫SFで文庫化された時の巻末解説で、早川とSF作家クラブのSF評論賞で優秀賞をいただいた私の評論が『華竜の宮』論だったので抜擢されたのでした。幸いこの解説は好評で電子化されたものにも収録されたので現在でも読めます。それから14年で40冊に解説を書いたわけで、1年あたりだと2.8冊くらい。ミステリや一般文芸ならともかくSFメインの解説者としてはまあまあな数字なんじゃないでしょうか。というかこの仕事をはじめたときにはこんなに長い間書き続けられるとは思っていませんでした(実際、最近はデビュー元の早川書房からの依頼もまったくありません)。大変ありがたいことです。もっとも、50冊に到達にするにはあと4年はかかる計算ですが、4年どころか明日をも知れぬ我が身とて、まあ神のみぞ知るという感じでおっとりやっていきたいと思います。

 

 

帯付きの書影です。映画はアマプラに来たら見たいです。クジラの体内がどうやって映像化されてるかめちゃめちゃ楽しみです。

長いこと放置して失礼しました。書かなかった理由は体調というよりも気持ちが乗らなかったという感じだったのですが、それが去年の終わりから本当にいろいろあって、10万人に3人というすごい発生率の希少ガンに罹ってこの6月に左足をスネの真ん中あたりから切断しました。いまはリハビリでヒーヒー言っております。青空とかマストドンとかではポツポツ近況を書いていたのでどこからか漏れ伝わって気にかけてくださっている人もいるんだそうで、いやまあわりとお気楽にやってますよという意味合いも込めてブログを再開してみました。そのうち中断していた間の仕事の紹介とかも書きたいと思います。

 

それでまあ最新のお仕事は東京創元社のエンタメ小説誌『紙魚の手帖』のSF書評です。

 

 

夏の恒例SF特集GENESISに合わせて、今回も去年の夏から今年にかけての注目作を紹介しています。

  • 『ときときチャンネル ない天気作ってみた』宮澤伊織(創元日本SF叢書)
  • 『マイボディ・オン・ザ・ムーン』矢野アロウ(早川書房)
  • 『タフな狩り』倉田タカシ(集英社)
  • 『すべての夢、果てる地で』理山貞二(創元日本SF叢書)
  • 『では人類、ごきげんよう』斧田小夜(創元日本SF叢書)
  • 『土人形と動死体』円城塔(早川書房)

の6作で、今回は創元と早川ばかりになってしまいましたが、それはそれでSFらしいSFで固められたのでちょっとよかったかなとも思います。

まあしかし、紙魚の手帖の〆切は発売月の前々月の末日なんですが、なにせ新刊を読んでからになるのでどうしても手術後すぐに原稿を書かねばならないことになってなかなか大変でした。もっとも、スマホとiPadで原稿を書いて編集部に送信できるというのがわかってこれはこれで後学のためになったんじゃないかと思います。

それではみなさま、また近いうちにお目にかかりましょう。いやあSFって本当にいいものですね。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。

 

追伸:猫は元気です。

この夏はボロボロに体調を崩していました。そんなわけでひさしぶりの更新です。

東京創元社の『紙魚の手帖 vol.25 OCTOBER 2025』の書評欄でSFを担当しています。

 

 

今回紹介したのは以下の6作品です。

  • 『絶滅の牙』レイ・ネイラー/金子浩訳(創元SF文庫)
  • 『宙の復讐者』エミリー・ティッシュ/金子浩訳(早川書房)
  • 『ウは宇宙ヤバイのウ2 天の光はすべて詐欺』宮澤伊織(ハヤカワ文庫JA)
  • 『ときときチャンネル ない天気作ってみた』宮澤伊織(創元日本SF叢書)
  • 『レモネードに彗星』灰谷魚(KADOKAWA)
  • 『聖シスコ電説』荒巻義雄(小鳥遊書房)
今回は海外作品が少なめで迷っていたんですが〆切直前にゲラで読ませてもらえた『絶滅の牙』が抜群に面白かったので文句なしにイチオシにしました。遺伝子工学で蘇ったマンモスに百年前に死んだ女性科学者の意識を移植して群を率いてもらうというめちゃくちゃな計画のお話ですが、密猟者との戦いを軸に身体と記憶をめぐる思弁SFとして展開されるのがめっちゃかっこいいのです。これはオススメですねー。