FF8 リノア

FF8リノア

森のフクロウの一員で、ガルバディアの反政府活動に参加している少女。ガルバディアのデリング大統領を誘拐する計画をくわだて、助っ人の派遣をバラムガーデンへ依頼しに行ったとき、スコールと出会う。その後、SeeDとしてやってきた彼と再会し、恋愛感情を抱く。魔女との戦いのさなか、自身が魔女の力を継承してしまい、危険と見なされて一度は封印されかけるが、封印の間ぎわにスコールに救出される。

 

 

バラムガーデン パーティー会場


「君が一番カッコいいね
ね、踊ってくれない?」
「もしかして好きな子としか踊らないってやつ?ふ~ん……」
「私のことが……好きにな~る、好きにな~る
ダメ?」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ
知り合いを探してるの。1人じゃダンスの輪に入れないからね」

 


 

ティンバー行き列車内


「あなた……あの時の!ほら、パーティー会場で踊った……
じゃぁ…… もしかして
あなたがSeeDなの!?」
「やった~!SeeDが来てくれた~!」
「だって、うれしいんだもん
ず~っとガーデンに依頼してたけど全然来てくれなかったんだから
やっぱ直接シドさんに話して良かった~!」
「サイファー、知ってる?」
「わたし、アイツと知り合いなのね。で、直接シドさんを紹介してもらったの
シドさん、いい人だよね
ウチらみたいな貧乏グループのとこにSeeDは来てくれないって思ってたんだ
でも、シドさんに事情話したらす~ぐOKだったよ
SeeDが来てくれたんだから今まで出来なかった、あんな作戦こんな作戦よりどりミドリっ!」
「ん?」
「よし、行こっか!」
「ね、スコール。アイツは来てないの?」
「サイファー」
「……そっかあ」
「あ、わたしの名前は…… 
よろしくね、スコール
ね、SeeDはダンスもじょうずなんだね」
「な~んだ。お仕事用ですかぁ
かなりいい感じだったのにな」
「あ、紹介しとくね
私のパートナー。名前は…… 
これから大事なお仕事あるから良い子にして待っててね、アンジェロ
じゃ、先行くね」

 


「よろしく!」
こっちよ」

「そのデリング大統領はガルバディア首都から特別列車に乗ってティンバーに来るの」
「じゃ、始めよっか」

「失礼ね!それはわざとよ、わ・ざ・と!デリング大統領に対する憎しみが……そう…させたのよ」
「んもう!模型のことはいいから……!説明、終わり!理解してくれた?」

「じゃあ、実行部隊を決めよう!」

「動き出したみたい…… 先に様子を見てくるね。あ、準備が出来たらワッツに言って
じゃ、早めによろしくね」

「こっちよ、スコール! もうすぐ護衛車両に追いつくから乗り移ろっか? ある程度、追いついた時にタイミングよく、ジャンプすれば少しは時間が稼げるよ、きっと。2回の切り離しも含めて、作戦終了まで今から…… 5分!ここで時間が掛かると先が辛いから、がんばろうね?スコール、ゼル、セルフィ」
「こっちよスコール!」
「この赤い大統領専用車両を越えればいよいよ第1の切り離し作戦の開始だね。さぁ、急ぎましょう!」
「ここが最初の連結部よ。1回目の切り離しをするところね。ワッツの情報によれば……見回りに来る護衛は2人みたい。ゼルとセルフィは護衛の動きを見てて。こちらに来るようなら早めに知らせてね」
「特に赤い服の護衛は距離が近いから…… スコールも自分の目で注意した方がいいよ。それじゃぁ…… パスコードの入力に入ろっか! パスコードの入力方法は、覚えてる?」
「合計三つのパスコードの入力に成功したら連結部の切り離しが始まるはずよ。じゃあ、始めよっか、スコール。切り替えポイントまで、後4分!がんばってね、スコール!!」

「……デリング大統領!無駄な抵抗を…… しなければ危害は…… 加えないわ」
「!!」
「程度の……低い……?!」

「あんなのにだまされるなんて悔しいわね~」

「……放送局? どうしてわざわざティンバーかなあ? ガルバディアからだって放送出来るよね?」

「んで、どういうこと?」
「そんなことわかるわよ~ 
わたしが言いたいのは、大統領が何を放送しようとしているのかってこと! わざわざ電波と使う意味よ
ケーブルに地域つながっていない地域にも伝えたいことがあるんでしょ?それはなに?」
「17年ぶりね~ 
記念すべき最初の放送がティンバー独立宣言だったら凄いのにね!」

「考えてみよっか!」
「ちょっと待っててね!」
「あ、ちょうど良かった。作戦決定!」
「ん? いいよん」
「あ、それ、わからないよね
全然わからないんですけどって言ったらもう1枚紙をくれたの。シドさん、親切よね」
「プロなんでしょ? 文句、言わないの!さあ、実行部隊決めましょ!」

「という訳で放送局へ向かう実行部隊はわたしたち4人の中から……」

 


 

ティンバー


「やっぱり、今は列車止められてるみたいだね……
いつもはローカル線が走ってて……ここからの眺めはけっこう好きなんだけどな……」

 



「これ、気持ち悪いよね? なんなの?」

「突入は無理かあ……
ね、作戦変更しよう!大統領、帰っちゃえば警備の兵士、ほとんどいなくなるじゃない?だから、それからわたしたちの放送をするの。ちょっとインパクト減るけど仕方ないよね?まともに突入してもやられちゃうよね?」
「カッコわるぅ~ 
決定に従う?それが仕事?命令に従うだけなんてと~っても楽な人生よね」
「な、なによ。何かあるなら言いなさいよ」
「な~んか
なんか、わたし、勘違いしてた
SeeDが 来てくれたらなにもかも上手く行くと思ってた
でも、そんなに簡単じゃないよね
みんなは雇われただけだもんね。仲間ってわけにはいかないよね
えっと、作戦は中止します。一時解散にしましょう
まともに突入してもやられちゃうよね?あのね……
やっぱり子供の遊びみたいに見えちゃう?でも、本気なんだよ
痛いくらい……本気なんだよ」

 



「こっちこっち!
ね、サイファーは?」
「あいつなら、きっと大丈夫だよね」

 



「アジトを見つけられてぐちゃぐちゃにされちゃったの」
「大丈夫。みんな逃げるのは得意だから」

「しばらくティンバーを離れなくっちゃ
ね、わたしを安全な場所まで連れだして」
「これは命令で~す。クライアントの依頼で~す」

 



「じゃぁ、お言葉に甘えて……」

 



「こっちよ!」

「ここがそうよ」

「ありがとう、首領」
「彼女は『森のキツネ』の首領よ
この街じゃ、大抵の人がレジスタンス組織のメンバーなの
本当に活動してる組織はわたしたちくらいだけどね
ちょっとだけお世話になろうよ」
「……わたしたち『森のフクロウ』のために来てくれたんだと思う
わたし、いろいろ相談してたから
だから、あいつのことあんまり悪く言わないでね」

「おばさん大丈夫なの?」

 



「あいつ……大丈夫かな」

「そんなにあっさり言わないでよ。なんか、あいつ……かわいそ」
「何がおかしいのよ!ひどい人ね!」
「そうだとしても!生きてて欲しいって思うよ!」
「……やさしくない
やさしくない!!」

 



「あ、ここの駅から列車出てるよ!学園東って駅まで行くの」

「うん、行く。ワッツはどうするの?」
「戻ってくるからねっ、元気でねっ」

 



「ゾーン!」
「……ゾーン。また会うんだからね
ちゃんと、生きてないとダメだからね。一緒にティンバー独立させるんだから」

 



「何か言いかけたんじゃないの?」
「ゾーンはね、えっちい写真が大好きよ」

 


 

ガルバディア前の森


「素晴らしいリーダーね
いつでも冷静な判断で仲間の希望を否定して楽しい?」
「ゼルはあなたの言葉が欲しいのよ」
「大丈夫だ、とか、がんばれとかそういう言葉があればゼルだって……」
「そういう言葉が仲間の元気や勇気になるんだから」
「それくらいわからない!?」
「ねえ、スコール!」
「どうしたの!?」

 



「あのね、スコール
さっき、言い過ぎた。ごめんね」 

 


 

ガルバディアガーデン


「キスティスもここで授業をしてたのかな」

「……処刑されちゃった?
……そうだよね。大統領を襲ったんだもんね
私達『森のフクロウ』の身代わりにあいつは……」

「わたしは…… あいつのこと、大好きだった
いつでも自信たっぷりで
なんでもよく知ってて……
あいつの話を聞いてるとなんでもできるような気持ちになった」
「どうだったのかな
わたしは…… 恋、してたと思う
あいつはどう思ってたのかな……」
「そうだったらこんな話できないよ
あれは1年前の夏の日々
16歳の夏。いい思い出よ」

 



「あ!来たみたいね
わたしもSeeDだってことにしてね。いろいろ説明面倒だからさ」 

 


 

デリングシティ行き列車


「まだ発車しないのかしら?」

「デリングシティ行くのってこの列車乗るしかないもんね」

「ねえ、様子見なくていいの? セルフィ、だいじょうぶ?」 

 


 

デリングシティ


「もう……人を待たせてもなんとも思わないんだから
ちょっともんく言ってくる
みんなは待ってて」
「あ、ちなみに、ここ、わたしんちだから
しんぱいしないで
ね、わたしをおいてけぼりにしないでね」
「ん~わかんない
これはクライアントの命令ってことでヨロシク!」

 



「よっ!
やっと脱出成功!あの男、なんか言ってた?」
「スコールは?」
「でも、ちょっと待って
「これ見て!! これ、オダイン・バングルって言うの。あの男の部屋で見つけたのよ」
「魔女の力を制御するらしいの
でも、効果、わからないから今回の作戦では使わないことにしたらしいの」
「だよね、だよね!」
「それをみんなで考えるのよ!」

「遊びじゃないの、だって
わかってるもん
わたしだって……考えてるんだから」

 



「やばっ! 閉じ込められる!」

「わたしだってやれるよね……」

 



「わたしだって……」
「SeeDじゃないけど……」
「遊びじゃないもん……」

 



「あの……
わたし、このガルバディアの、軍の、大佐の、カーウェイの娘です
これからは、父がお世話になると思って
本日は、ご挨拶に、来ました、あ、参りました
それで、あの、わたしから贈り物があるので、あの、ぜ、ぜひ……」
「うっ」

 



「こわかった……
こわかったの、わたし、こわかったの」
「こわかったんだよ……
ほんとに、こわかったんだよ」
「だめだったの、ひとりじゃだめだったの。
わたし、ひとりじゃ戦えなかったの」

 



「……どういうこと?」
「覚悟、してるんだよね、おたがい。そういうこと、あってもふつうのこと
そういう世界で生きてるんだもんね。心のトレーニング、たくさんしたんだよね
でも、でも、もちろん……
避けられたらなって思うよ」

「いっしょなら戦えるから! だから来たの!わたしも戦うから」

 


 

ガルバディアD地区収容所


「ね、ウォードって人、刑務所みたいなとこで働いてるって言ったよね」
「ウォードって人はガルバディアの人なんでしょ?」
「わたし、よくわからないけどゼルは『あっちの世界』では ウォードなんでしょ?」
「この部屋、見おぼえない?」
「ガルバディアには反政府的な人を入れるための刑務所があるの
ウォードって人が働いてるのはここだと思うの
わたしたち、その中にいるんだわ。きっとそうよ!」
「大統領にはむかったんだもん
わたしたち、このまま処刑だわ……」
「ガルバディアは魔女が支配する国になったんだ……
どうなるのかな、わたしたち」

 



「やめて!!」
「リノアは、わたしよ」
「やめて、わたしは行くから」
「だいじょうぶよ
さ、行きましょう」

 



「なに、カッコつけてん…… のよっ!」
「まったく、アーヴァインがもうチョット、早くなっとくすればここまで、面倒になってないんだよ」
「スコール!!(スコール生きてた!やっぱり、やっぱりスコールは大丈夫だったよ)うん!」
「わたしの父が、ガルバディア軍を通じてしたことなの
わたしだけここから連れ出すようにって命令したらしいの」
「それで、この男
命令通りに、わたしだけ連れだしたのよ
スコール達が捕まってるの知ってて」
「ねぇ、ひどいと思うでしょ」
「わたしが散々、ひっかいた後にね」

 



「うそ… わたしがさっき、入ってきた時はチャント…」
「スコール!!こっち、早くこっちに来て!」
「今のって結構危なかったよね」
「う~ん、じゃあわたしも」

 



「ミサイルをなんとかするぞ作戦実行? セルフィと作戦会議?」
「決をとりま~す!スコールがメンバーを決める。スコールは班長だからバラムへ戻る
この考えに反対の人は手をあげましょう!
わたしも、どっちチームでも文句言わないからね」
「スコール、よく考えてね!」

 



「スコール!追いかけてくるよ!」
「兵隊さん、ごめんなさい!」
「緊急事態なの、許してください!」 

 


 

バラムガーデン


「学園長派?」

 



「ダメよ、シドさん!ガーデンはまた作ればいいけど、シドさんはひとりなのよ!」

「どっかに出るとこあるんじゃない?」

 



「スコール、どうする?」

「心配したぞ~
でも、スコールもちょっとドキドキだったんじゃないの?」

「見ててもしょうがないわね」

「ウソみたい。あははっ!」
「ね、スコール、見に行こうよ!」

「大変!なんとかならないの!?」
「スコールお願い!」
「かわした!」

 



「おハロー
寝顔、かわいい
ね、行こう?」
「いろいろ、案内して」
「命令じゃないよ。みんなが勉強したところ見たいの」

 



「そういえば、ここのガーデンとガルバディアガーデンってどっちが大きいの?」
「ねえ、こっちは何があるの?」
「じゃあ、あっちは?」
「スコール… あのね、案内してくれるのはうれしいんだけど
もうチョット楽しそうに……
う~ん
せめて普通に案内してくれない?」

「ふ~ん」
「だって、マジメに説明するんだもん。何だかとっても変な感じだよ~」
「あ、ゴメンゴメン~。すぐそうやって怒る~」
「じゃ、次行こっか」

「……ずっと見てたよ」
「買えなかったんだ~?」

「………それだけ?」
「もう、いいわ。次行きましょ、次」

「あのねぇ、どこの世界に女の子をモンスター退治に誘う男がいるのよ。ここに、いるか……」

「本気?スコール?本気にしちゃうよ」
「て、てれるぜ」
「はぁ… ま、スコールにしては、ましな、冗談ですか」

「ねぇ!凄いね!わたし、ちょっと見てきていい?」
「ありがとう!」

「スコール!!」
「だって……」
「スコール……」

 



「事件な感じ?」

 



「ねぇ、スコール
エルオーネってどんな人?」

 



「またまた、おハロー」
「そ~ですかねえ。寝言、言ってたみたいだけど
教えません
な、散歩しよっか」
「あれは、わたしがガーデンを案内してもらったの。今度は、お散歩」
「べつに守って欲しいわけじゃないよ
あのね
スコール、1人だといっつも眉間にしわ寄せてるよ
そんなんだから、その傷、治らないんだからね
せっかくカサブタになってもすぐにぼろぼろ落ちちゃうでしょ? ええっと、ようするに
こんなわたしではございますが……
一緒にいれば、スコール様も考え込まなくてすむかな、と思ったわけでございます
いかがでしょう、スコール様」
「はは~っ!ありがたきしあわせ!さ、いこいこ!」

 



「来ちゃった!」 

 


 

F.H.


「あの……どうしてそんなに追い出したがるんですか?」

 



「もう限界ッ!」

 



「さっき、セルフィたちに、おかえり、会えて良かったって言ったよね」
「スコールの言葉っぽくなかったけど
でも、とっても……優しかった」
「べつに悪くなんかないよっ!仲間のことが心配だったんでしょ?みんな大切な友だちだもんね」
「あのね、スコール。もし……」
「あ、わたし、言おうとしたことわかっちゃったの?」
「なんか、うれしいぞ~」
「あとでね、スコール!」 

 


 

F.H.コンサート


「やってみないとわからないよ」
「おっもしろそ~」
「えー、仲間はずれ?」
「なんかドキドキするけどまかせて」

 



「無視するかなあ
よ、元気?」
「あ、ゆうつそうな顔」
「悪かったな、って言わないで
それ言われると会話、続かないんだもん」
「ね、コンサート、一緒に行こう?」
「どうして?」
「リアクションがキスティスの言った通りでおもしろすぎ!お出かけ気分になれないのわかるよ
スコール、とっても重い命令を受けたんだもんね
でもね、わたし、みんなの代表としてスコールとお話ししたいの」
「キスティス、セルフィ、ゼル、アーヴァインに、わたし
だからお願い! わたしの顔立てて、ね?」
「じゃ、わたし、ずっ~とスコールにつきまとっちゃお
で、『コンサート、コンサート』ってつぶやき続けるの
それでもいい?」
「ゆるしましょう、ゆるしましょう!さあ、コンサートへ、いざ行かん!」

 



「あ……えっちい本が落ちてる」

「スコール、ガーデンの指揮をとることになったよね
きっと、とっても大変なんだよね」
「辛いこととかグチ言っちゃいたいときとかいろんなことが起きると思うの
でもスコールは全部一人で抱えてムスッ~って黙りこんじゃって悩むにちがいないって話してたの
「みんなスコールのマネが上手なんだよ。わたしもできるんだから
眉間の間にシワ寄せて、こうやって……」
「ちがう! ごめん!みんなで話してたのは……ええと
スコールが考えてること、1人じゃ答えを出せそうにないこと……」
「なんでもいいの!そう、なんでもいいの
なんでもいいから、もっとわたしたちに話してってこと
わたしたちで役に立てることがあったら頼ってね、相談してねってこと
そうしてくれたら、わたしたちだっていままで以上にがんばるのにねってキスティスたちと話したの」
「こんな素敵な夜、楽しい音楽…… となりにはカッコいい男の子
おまけに、そのカッコいい彼は考えてくれるの
わたしの言ったことについてきっと、一生懸命考えてくれてる
彼、何も言わないけどわたしにはわかるんだ
ね、わたしたちの提案、どうかな? よけいなお世話かな?」
「『でも』はいらないの。あのね……みんなで一緒にいられるのって今だけかもしれないでしょ?
だから、せっかく一緒なんだからたっくさんお話しした方がいいと思うんだ」
「なんでも悪く考えちゃうんだね
未来の保証なん 誰にも出来ないよ
だから、い・ま、なの
みんなが、今したいことはスコールの力になりたいってこと
みんなスコールが好きなんだよ
スコールと一緒にがんばりたいんだよ」
「遠い将来の話は…… わたしもパス。よくわからないの
今は…………こうしてたいな」

 


 

バラム


「あれって、ゼルのおじいさん?」
「でも、よけいなお世話かもしれないけど……
……スコールはちょっとだけ、冷静すぎるかな?」

 



「いいの?スコール」
「……私、悲しいな」 

 


 

トラビアガーデン


「こんなボロボロなところ
モンスターは、いないのかな?スコール、急いで追いかけようよ!」

 



「わたし、スコールたちに会ってからいろいろ考えさせられちゃった
今も考え続けていることがあるの。そしてずっと答えが出ないの」

「あのさ……
バトル……しなくちゃダメなのかな?他の方法ってないのかな?誰も血を流さなくてすむようなそういう方法……」
「どこかの頭のいい博士とかがバトルしなくてもいい方法を考えてるとか……」
「スコール? 考えてること声に出してくれないとわからないよ」
「……恐くなった、かな
わたし、みんなと一緒にいてときどき感じることがあるんだ
あ、今、わたしたちの呼吸のテンポが合ってる……そう感じること、あるの
でもね、戦いが始まると違うんだ。みんなのテンポがどんどん早くなっていく
わたしは置いて行かれてなんとか追いつこうとして、でもやっぱりだめで……
みんな、どこまで行くんだろう。もう、みんなの呼吸、聞こえない
わたしが追いついた時にはみんなは無事だろうか。みんな笑顔で迎えてくれるだろうか
……みんな倒れていないだろうか
みんな一緒に帰れるだろうか
そう考えると……」

「みんな……強いんだね……」 

 


 

バラムガーデン


「……わたし、戦うから。守られるだけじゃイヤだから戦う
わたしにも誰かが守れるなら、戦う。みんなと一緒にいたいから、戦う」

「戦わなくちゃ、あなたに認めてもらえないなら…… 戦う」

 



「なんて言って借りたの?」
「……かっこいいけどサイズ大きすぎ」 

 


 

ガルバディアガーデン


「さ、走って。向こうがガーデン入口のはずよ!」

「スコール!助けてくれてありがとう」
「わたし、あのまま落ちるわけにはいかなかったの
わたし、スコールの大切な物、あずかってるから
それ、ちゃんと返さないでいなくなるなんて、できないもん
これ、スコールの指輪。わたし、あずかってるんだ」
「かっこいいもんね、これ。なんてモンスターがモデルなの?」
「誇り高くて……強い?スコールみたく?」
「このライ……オ…ン?って、名前はあるの?」
「ふぅ~ん。そういう名前なの
あのね、ゼルがこれを見ながら同じの作ってくれるんだよ
そしたら、わたしもがんばってみる。ライオンみたいになれるように
でもさあ、同じ指輪してたらみんなに誤解されちゃうねえ」
「そんなことないって!」

「はい! 行くぞ、スコール!」

「聞きたい
スコールが考えてること、知りたいもの」 

 


 

宇宙(回想)


「刑務所に戻って、アーヴァイン・キニアス」
「戻ってみんなを助けるの!」
「そんなのわからないわ。スコールなんて『命令されてないから。』とか言ってずっとあそこにいるかもしれない。そんなのダメよ。だから助けに戻るの。力尽くでも行くからね」

 



「同じのがほしいんだ。あれ、かっこいいもんねえ」
「そうそう!」
「ほんと!? やったー!!」
「……それはダメ」
「……恥ずかしいじゃない」
「違うの違うの!」

(わたし……生きられるのかしら……どうやって?自分ではどうすることもできない……ただ流されるまま……自分だけではどうにもならない……)
(生きられる?わたし……生きられない?このまま……わたし……このまま……もうダメなのね……)
(もうだめ……もう……)
(わたしはこのまま……宇宙の塵となって……)
(わたし……まだ……がん……ば……れる……かな?スコール……)

「ありがとう……スコール」
「スコールの声……聞こえた」
「わたしたち助かる?」 

 


 

ラグナロク


「ありがとう、スコール
また、助けてもらったね。いっぱい、いっぱい感謝してるよ」
「さっきは宇宙服、ジャマだったからね」
「ハグハグ」
「ギュ~って
触れていたいよ。生きてるって、実感したいよ」
「過去形には……されたくない?」

 



「キャッ(なにかな、あれ…)」
「友好的な生き物には見えないね」

 



「うわ~~っ!」
「スコール、機械なんか言ってる!」
「あれ~?」

「帰れるかな?」
「もう少し、こうしてたい」
「……スコールはこういうのイヤ?」
「子供のころは? 
両親に触れたり・触れられたり
だっこされたり…… 安心しなかった?」
「安心できたでしょ?」
「失うのが恐いから
それなら最初からいらない?
だから仲間なんていらないって言ってたんだね」
「スコールはそうやって……
そうやって、楽しいことやうれしいこと、たくさん逃してきたんだね
それってきっとすっごく損したと思うな」
「絶対だよ
わたしは……こうしてるの、好きなの
お母さんに抱かれたり、くっついているのが好きだった
優しい頃のお父さんにもいっつもくっついてた」
「もちろん
スコールは、いま、わたしに一番安心をくれるひと
安心させてくれたり
喜ばせてくれたり……いろいろくれる人
ま、がっかりも、腹立ったりも
ジリジリさせられるのも多いんだけどねぇ」
「悪かったな」
「もう少しだけ」
「わたしたち、無事に帰るんだよね」
「帰ったら……一緒にいられなくなるね」
「そう言う意味じゃない」
「みんな許して…、くれないよ…」
「わたし…… 魔女になっちゃった。スコールと一緒にいられない」
「未来なんか欲しくない。今が……ずっと続いて欲しい」
「誰もわたしに触れてくれなくなる……」
「わたし……こわい」
「こわいよ、スコール」
「帰りたくないよ」

 



「……はい」
「……ジカンアッシュク
宇宙で……わたしの中に別の魔女がいたの
それは未来の魔女アルティミシア。アルティミシアの目的は時間圧縮
そこではアルティミシアしか存在出来ない。他の人間は消えてしまう……
アルティミシアはわたしの身体を使ってその時間圧縮をするつもりなの
そんなことに、わたしの身体、使われたくないから……
だから行くね」
「恐れられる前に、嫌われる前に
いなくなりたいの……」
「……そうだ……
指輪、返さなくっちゃね」
「でも……」 

 


 

魔女記念館


「魔女でも…… いいの?」

 


 

飛空艇


「……なんか、恥ずかしい」
「だって、ものすごい決心してエスタに行ったんだよ
それなのに助けに来てもらったらうれしくてうれしくて……」
「みんな…… ありがとう」

「あのね……
みんながトラビア行った時話してた孤児院行ってみたいな」
「街とか…… あんまり人が多いところ行きたくないんだ
わたし、魔女だから……
わたしの中にアルティミシアが来たら……」

 


 

イデアの家


「どうなっちゃうのかな、わたし」
「でも、イデアは……
わたしだってアルティミシアが中に入ってきたらどうなるかわからない
宇宙では操られてアデルの封印を解いてしまったし……
今度は……どうなるんだろう
今度は…… 何をしちゃうんだろう
世界中を敵にまわして
…… 戦うのかな…… いやだな……こわいな」
「わたしがアルティミシアに操られて暴れたら……
SeeDはわたしを倒しに来るでしょ?SeeDのリーダーはスコール……
そして……
そしてスコールの剣がわたしの胸を……
でも、スコールならいいかな。スコール以外ならやだな
ね、スコール。もし、そうなった時は…」
「アルティミシアは未来の世界にいてわたしに入ってくるんだよ
わたしの身体がアルティミシアに使われるんだよ
どうやって?どうやって、わたしを助けてくれるの?」
「……本当に見つかるかな?」
「……うん、信じる
スコールが方法を見つけるまでわたし、やっぱり……
やっぱり、エスタのあの施設にいようかな。その方が、スコールも安心だよね」
「あ
それそれ!」
「その言葉がはじまりだったの」
「忘れちゃったんだ?」
「もういいです!」
「あ、ゴマカシてる~」
「うん
あのね、しゃべっていい? 夢、見たんだ。こわい夢だったんだ
スコールと約束するの。一緒に流れ星を見る約束なの
おしゃれして、もらった指輪もつけたの
でも、さあ、お出かけって時になっても
待ち合わせの場所、思い出せないの
約束の場所、思い出せないけどスコールに会いたくて走るの
山や砂漠や草原やティンバーもバラムもガルバディアも……
息が切れて、もう走れないって思ったら
会いたい気持ち、どんどん大きくなって……
スコール、どこ!って叫んだら目がさめた
わたし、泣いてた
ゴメン、こんな話してもなんて言ったらわからないよね
でも、話してると、こわいこと考えなくてすむの」
「そっか」
「いるから、なに?」
「誰を待つの?」
「わかった。わたしもここに来る
これで今度は会えるね!絶対、だからね」

 



「多分…… 仕方のないことだったと思います。こうなってしまったこと責めたりはしません
その代わり……というわけじゃないけどいろいろアドバイスしてくださいね
魔女の先輩、よろしくお願いします」

「イデアの騎士は……?」
「騎士見習い、見つけました!」 

 


 

ラグナロク


「だいじょうぶです!」
「……はい」

「ねえ、サイファーいるのかな? あいつ、自分の意志であそこにいるのかな?それなら……仕方ないんだよね」

 


 

ルナティック・パンドラ


「サイファー……」
「スコール!!」
「サイファー! やめなさいよ! もう気がすんだでしょ!あなたはホントはそんな人じゃない!」

「……かわいそうなサイファー
こんなこと、終わりにしよう?ね?」

「ああっ……!」

「わたし……アデルの中に入った。若いアデル」

「わたしきっと……消えちゃうな……」 

 


 

ラグナロク


「アルティミシアを倒してもアルティミシアが生まれたという事実は変わらない……
わたしの魔女の力がず~っと未来のアルティミシアに引き継がれる……
ええと、アルティミシアの力を引き継ぐのは……
ええと、どういうことかな……」

 


 

アルティミシア城


「いるよ。きっとここに。わたしたちが倒す相手が」

 



「時間……場所……いっしょにいたい人……
あの場所へ!スコールと約束したあの場所へ!
スコール!
スコール!いっしょに帰ろうよ!どこにいるの!?」END

 

 

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