FF8 スコール・レオンハートSquall Leonhart



「(ああ)……はい」
「サイファーに言ってください」
「逃げるわけにはいかないから」

「……べつに」
「なにがそんなにおかしい?」
「俺はそんなに単純じゃない」
「先生は関係……」

(……今朝行こうと思ったんだ。でも、サイファーが……)
「……べつに」
(……なんだっけ。まず、電源ONだ)

「大丈夫か」
「ああ、わかった」
「とりあえず、この先のエレベーターで1Fロビーに行って中央にある【行き先板】で案内しよう」
「よろしくお願いします」
「了解」
(…なんて教師だ)

「……うるさいだけだ。メンバーは変えられないのか?」
「あれはケンカじゃない。トレーニングだ」
「おまえには関係ない」
(とりまきの風神と雷神も一緒か……風紀委員勢ぞろいってわけだな)
(あのリスト……。なにが書いてあるんだ?)
「………………」
「……べつに」
「……先生
今朝、保健室にいた女子は誰だ?」
「いや、べつに……」
「あの船か……」
「……よろしくお願いします」
「………………了解」
「敵の気配がなくなった」
「始まったみたいだな」
「……来ないな」
「おい……敵だ」
「班長の判断には従うさ」

「あんたとの訓練の成果を試すチャンスだからな
あんたのおかげで どんな卑怯な相手にも 負ける気がしない」
「本気にするなよ、ゼル。それより、サイファー。行くなら、急ごう」
「了解」

「修理……か?」

「……わからない。でも……考えると怖くなりそうだ」
「は!?夢?」
「……悪いな。そういう話なら、パスだ」
「……そうか?チキン野郎以外なら誰でもできるんじゃないのか」
「いちいち気にするなよ、ゼル」
「撤収は最重要命令だ。俺は船に乗り遅れたくない」
「直接聞けよ。行くぞ」
「構ってるヒマはない!行くぞ!」
「……踊れないんだ」

「おかげさまで。何か用か?」
「……悪かったな
でも、あんたはここの先生で 俺はあんたの生徒だろ?
先生が自分のそばで黙ってるのは嫌な気分だ」
「そこで何をするんだ?規則違反だから部屋に戻れってみんなに言うのか?俺はそんなのは、いやだからな。風紀委員にやらせろよ」
「最後の命令って?」
(私服で訓練施設?いったい何の任務だ……)
「真夜中過ぎだ」
「……そうか」
「そう決まったんだろ?だったら、従うしかない」
「話は……まだ続くのか?」
「そういう話は嫌いなんだ
他人の不満や不安……そんなこと聞かされても俺には何も言えないだろ?」

「だったら壁にでも話してろよ」
「自分のことは自分でどうにかするしかないだろ?俺は他人の荷物は持ちたくない」
「そんなこと……誰が決めたんだ?」
「…………もう寝よう……」
「そうだな……」

「……喜んでもらえて何よりだ」
「どうでもいい」
「いや、別にいいよ」
「……それで?」
「……
……ありがとう、物知りゼル」
「疲れているなら、少し休むといい」

「おい、どうした?」
「うっ!?……何だ、これは?」
(???????)
(なんだこれは!)
(どういうことなんだ?)
(夢……?)

(ほんとにやるか……)
(情けない……)
(こいつ……何も考えてないのか?)
(……夢にしてはなんか変だ)
(……こいつの頭の中 ……うるさいな)
(勝手にしてくれ)
(みりき?)
(ほんとに、行く気かよ)
(うそだろ、もう、なじんでるぜ……)
「俺たち……みんなで眠ってたのか?」
(……それはあるかも。用心しとくか)
「……そういう気配はない」

(俺も夢見てたな。楽しくはなかったけど……バカな男になる夢だ……)
「ラグナとキロスとウォード」
「どういうことだ……」
(……確かに)
「まだフクロウはいますよ」

「俺は班長のスコール。右がゼル、左がセルフィだ」
「俺たちは何をすればいい?」
「……俺たちは雑用のために雇われたのか?ん?」
(俺たちは使いっパシリじゃない。SeeD……特殊部隊だ)
「こんな指示はこれで最後にしてくれ」

「俺が班長のスコールだ。あと2人来ている」
「大げさだな」
「……そうか
パーティーで捜してたのは学園長だったのか?」
「……ああ」
「俺はみんなの所へ戻るぞ」
(アイツ?)
「ああ。ヤツはSeeDじゃない」
「ダンスパーティーに紛れ込んでターゲットに近づく……そんな任務もあるかもしれない。任務に役立つ技術ならなんでも身につけるのがSeeDだ」
(……いい感じ?)
「ゼルと……」
「セルフィだ」
(……?言われてみれば……そうだな)
「……」
「どうした?」
「ドール公国には電波塔があって電波の送信と受信ができるらしい。長い間放置されていたけど昨日ガルバディア軍が再起動したんだ」

「その前に、ガーデンとの契約書を見せてくれないか?」
「このノイズがほとんどの周波数帯で流されているんだ
これをなんとかしないと電波放送なんてできないはずだ」
「俺たちのことは気にするな」
俺たちはあんたの決定に従ってあんたの敵と戦う
それが俺たちの仕事なんだ」

「なんとでも言えよ
あんたは俺たちを使って最高の結果を出してくれればいい
あんたたちにできるとは思えないけどな」

「あんたたちはどこまで本気なんだ?3人で床に座って作戦会議?その作戦もすぐに変更だって?しかも、俺たちの意見がないと決められないんだろ?そんな組織に使われるこっちの身にもなってくれよ」
「……悪かったな。ちょっと言いすぎた」
「放送が始まるのか?」
「……魔女?」
「俺たちはフクロウの連中に雇われてるんだ
俺たちには関係ない」

「何してるんだ、あんた」

「……計画?(そうか……リノアと知り合いだったな。だから来たのか?)」
「(ゼル、頼むから)黙ってろ」
「やめろ!言うな!」
「首領?」
(あいつはいつでも本気だろ? それくらいわかれよな)

「もう殺されてる可能性もあるな」
(かわいそう? サイファー、怒り出すな)
「(それは……)ガルバディア大統領と魔女は手を組んだ。その大統領をサイファーは襲った。魔女にとってもサイファーは敵だ。だからサイファーがあの後始末されたとしても不思議じゃない」
「(思えばいいさ。……現実はそれほど優しくないんだ。思い通りに何かならないよな? だから……)
期待しなければどんなことでも受け入れられる……傷が浅くてすむ
まあ、あんたが何を望んでも俺には関係ないけどな」
「(なんだよ……)……悪かったな」
(……とにかく街を出るのが先決)
「どこか心当たりがあるのか?」
(8の7…… 所属ガーデンに帰還不能等の緊急時
ガーデン関係者は速やかに最寄りガーデンに連絡すべし……)
「最寄りのガーデン……」
「……そういうことだ
ティンバーを離脱してガルバディア・ガーデンへ向かう
バトル・パーティーは……」
「出発する!」
「その列車に乗るぞ」
「ああ、心配するな。クライアントの命令だからな
あんたはいいのか? ここにいて大丈夫なのか?」
「無理矢理にでも乗り込むさ」
「これが最終列車だ……確認しておくが……学園東で降りて駅の西にある森を越える……その先がガルバディア・ガーデン……それでいいんだな?」

「なんとか……」
「なる……」
(……逆らわない方がいいな)
「大したことじゃないんだが…………何とかなったな」

「かもな」
「ガルバディア軍の戦力によるだろ?」

(……またからむつもりか)
(……そんなところだろうな)
(そんなのは気休めだろ?そう思ってるのは俺だけか?いや、サイファーだって……)
(他人になんとかしてもらおうってのが甘いんじゃないのか?)
(……うるさいな)
(……なんだ!?……この感覚は……)
「(俺だけならふざけた夢ってことで終わりにできるが……)ここで考えてもきっと、何もわからないさ
先を急ごう」
(いいよ、もう)


(好きだった……悪人じゃなかった……仲間だった……
サイファー……あんた、すっかり思い出の人だ
俺も……俺も死んだら こんな風に言われるのか?スコールはこうだった、ああだった。過去形で……好き勝手なこと言われるのか? そうか。死ぬって、そういうことか…………)
(いやだな)
(俺はいやだ!!)
「俺はいやだからな!」
「俺は過去形にされるのはごめんだからな!」

「何をしている?」
「どんな命令だ?」
「サイファーは死んだらしい……ガルバディアで裁判にかけられて処刑されたって聞いてる……」
「命令書によると方法は『狙撃』とあります
しかし、我々の中には確実に狙撃できる技術を持つ者がいません」

(ゼル…… いちいち反応するなよな)
「それはあんたの態度次第だ」
「(こいつとゼルは一緒にしない方がいいな)覚えておこう」
「次の仕事は…… いや、これは仕事ではない
バラムとガルバディア。両ガーデンからの命令だ
俺たちは……魔女を暗殺する
手段は遠距離からの狙撃だ。このキニアスが狙撃手を務める
俺たちはキニアスを全面的にサポートする
狙撃作戦が失敗した場合は直接バトルで正面攻撃だ」
「確実に魔女を倒すべし。これが新しい命令だ
これからガルバディア首都のデリング・シティに向かう
そこでカーウェイ大佐と会って具体的な作戦の打ち合わせをする
さあ、出発だ」

「(……気に入らないな)俺が決める」
「これでいいだろう」
「戦力バランスを考慮した結果だ」
「…………」
「重大な任務だ。今のうちにプレッシャーを飼い慣らしておいてくれ」
「これからカーウェイ邸に向かう。場所は通称『役人地区』
俺たちはガルバディア・ガーデンから警備の応援に来たことになっている。それを忘れるな。(ラグナは今、ここにいるのか?)」
(ガバルディア軍の事実上のNO1。カーウェイ大佐のクーデターか?
いや、大統領を倒そうというわけではないらしい……)
「俺たちがここに来ることは連絡ずみのはずでは?」
「実力?いったい何をすればいい?」
「暗号?」
(バラム、ガルバディア両ガーデンとガルバディア軍の大佐が手を組むのか?……何故だ?
……俺が考えても仕方がないな
『SeeDはなぜと問うなかれ』だ)
「何かが起こるのか?」
(……めんどうなことにならないだろうな)
「リノアは?」
(……そういうわけにはいかないんだ)
(俺たちにとって、ガーデンの指令もリノアの指令も価値は同じだ)
「俺たちは今回の任務が終わったら契約通りリノアの傭兵に戻ります
事情はわかりませんが その時は邪魔しないでください」
(そんなこと聞くなよ)
「俺たちはSeeDです。SeeDのやり方で行動します」
(魔女の名前はイデア)
(イデア……)
(……総攻撃?)
「俺です」
(……狙撃チームは決まりだな)
「俺とアーヴァイン・キニアスが狙撃チームとして行動する」
「凱旋門チームは……」
(悪いな、ゼル)
「トゥリープ先生。……キスティス・トゥリープ、頼む」
「総攻撃の時はまず俺が突入する。出来るだけ時間を稼ぐつもりだ」

「(知りたくなる時だってある。例えば……今がそうだ。でも……)知ってどうする?」
(……敵が悪い奴?おそらく……敵と俺たちを分けているのは善悪じゃない。お互いの立場が違うだけ
どっちも自分が善いと思ってる。善い奴と悪い奴がいるわけじゃない。敵と、敵じゃない奴がいるだけだ)
「ところで大佐。何故魔女はこんな派手なパレードを始めようと思ったんだ?」
(だからガルバディア・ガーデンは魔女が邪魔なのか……)
「リノア……?」
(……?)

「まだパレードが始まらない。門がひらかない」
「リノア!!」
「もう終わった」
「バトルはいつものことだろ?」
「(……そのへんがシロウトなんだよな)もう行く」
「あんたの命令はおぼえている。俺のそばから離れるな」
「アーヴァイン・キニアス。後はおまえに任せる。」
(なんだ…… 急におとなしくなって
ああ、集中力を高めるのか
狙撃手の孤独…… 確かにそうかもな)
(ここじゃ何も聞こえないな。……パレードはどうなった?
サイファー……生きていたんだな)
「リノア
サイファーは生きてるぞ。あいつ、魔女とパレードしてる」
「知るか」
(もし、俺が魔女と直接バトルをすることになったら……
サイファーともバトルすることになるのか?
……敵を選べないSeeDの宿命か)
「俺の手でサイファーを死なせることになるかもしれない」
「(避けられたら……か)キニアス次第だ」
(まさか……
こいつ、ビビってるのか!?)
「まさか、おじけづいたんじゃ……」
「アーヴァイン・キニアス!!」

「いいから撃て」
「もうしゃべるな!撃て!」
「アーヴァイン・キニアス、おちつけ
みんながおまえを待っている
はずしてもいいから撃て。先のことは俺たちにまかせればいい
ただの合図だと思えばいい。俺たちに行動をおこさせるサインだ」
(そうだ、アーヴァイン・キニアス)
「たのむ」
「気にするな、狙いは正確だった。後は俺にまかせればいい
俺は今から魔女に突っ込む。アーヴァインとリノアも念の為装備をしておけ
「リノアを頼んだぞ」


「魔女のペットになったのか?」
「腕が落ちたな、サイファー」
(……ここは?
俺は…… イデアと戦って……ひどい傷を…………?傷は……ない……なぜ……?
俺たちは取り囲まれた……ガルバディア兵……
そうだ……サイファーがニヤついて俺を見おろしていた)
「クッ!サイファー!」
「……何が知りたいんだ?」

「SeeDとは……
(……SeeDはバラム・ガーデンが世界に誇る傭兵のコード・ネーム……SeeDは戦闘のスペシャリスト…………??)
……あんたも知ってるだろ?」
「残念ながら……ない。あったとしても言うと思うのか?」
「……光栄だな」
「ぐわぁーーー」
「(み、んな……)……いる、の…… か?」
「(……魔女の、騎士。ロ…… マン……ティックな夢、か?でも… サイファー……これじゃ、ただ、の……)……拷問、係だ」
(SeeDが、魔女に……抵抗?)
(……バカな)
「……や、め、ろ……」
「……質問の、意味、が、わから、ない」
(SeeD……の、本当の、意味……
SeeD、はバラム……ガーデン、が、誇る……
精鋭、傭兵、部隊……ちがう、の、か?
(俺、は、なに……も、知ら……ない……いつ、まで、つづける……気だ……楽、に、なりたい)
(…………ウソついて…生きのびたい)
「SeeDの……本当の、目的、は……世界中に……種、を、まいて……世界を……花で、いっぱい……に、す、ること」
「ほ、んとう、だ。花を……見ると……多く、の、人間は、戦意を、無くす……」
「ちが、う……戦意を、うばって……ふぬけ、に、なった、国に攻め、こむ……」
(……顔を……たたくな……足に……さわるな……眠らせろ)
(うるさい……)
(……らぐな?)
(……ラグナ!?)
「何だ?わからない」

「ラグナ?」
「ひどい目にあった」
(ラグナ…… 知ってるのか?)
「……来てない」
「下のフロアにある独房を取り外して運ぶクレーンみたいな物らしい」
「で、どうすればいいんだ?」
「とりあえず、向こうに扉が見える」
「……行ってみよう」
「砂……?」
「ずいぶん、派手にやってるようだな」
「手加減したつもりだが……」

「な、なんだ!は、離せ
離せって言ってるだろ」

「ダメだ、地下の扉は砂で埋まってた」
「潜って?」
「上?」
「……わかった」
「来るぞ!!」
「聞こえてるぞ」
「どうやって?」
(これか?)
「なんだよ」
「俺たちにできることは可能な限り早くガーデンに戻って危険を知らせることだけだ
さあ、車に戻れ」

(簡単に言うなよ……メンバー選んで、もしものことがあったら俺は……)
(あんたは部外者だろ?)
(班長なんだから? 俺がたのんでなったわけじゃないぞ)
(班長なんて…… こりごりだ。わかったよ、選べばいいんだろ?)
「これは今までの任務とはちがう。誰の命令でも以来でもない……」
「バラム・ガーデンで会おう」
「あの列車を使ってみるか」


「(セルフィ達、上手くやってくれたんだな
いや……ミサイルはこれからかも)早くシド学園長に知らせよう」
(? 避難、始まってるのか?)
(学園長を!?)
(……なにがおこってるんだ)
(なんだって?)

「意味がわかりません」
「なにがおこってるんですか?」
「SeeD狩りってなんだ!? シド学園長、無事なのか?」
「俺たちシド学園長に報告することがあるんだ
ここは危険だ。ミサイルが飛んでくるかもしれない」
「俺たちはシド学園長を探す」
(……サイファー、魔女派だぞ。おまえたち、いいのか?)
「助けに入るぞ!」

「いったい、どこに……」
「ここにミサイルが飛んでくるかもしれない
先生も逃げたほうがいい」
(壊れてないようだな……)
「いや、シド学園長派だ」

「どっちでもない
シド学園長に報告がある。学園長はどこだ」
「ここを狙ってガルバディアのミサイルが飛んでくるかもしれない」
「学園長は何処だ?」
「スコール班、戻りました」
「シュウ先輩と、雷神風神がみんなに伝えに行ってます」
「(避難だって?いろいろ質問があるんだ、学園長。それに、あれだ……)いろいろ報告が……」
(学園長……)
「(なんだか……中途半端なんだよな)学園長はどうするんですか?」
(……こんなんでどうするんだよ)
「何をするつもりなんですか?それ、俺にやらせてください」
(……なぜ?なんだか知らないけど学園長が失敗しそうだからか?それだけか?避難命令なんてつまらないから?ここは大切な場所だから?……理由は……たくさんある
方法があるなら試したいから?ここは俺にとっても家だから?……どれも、きっと俺の気持ちだ
……わかってもらうの、面倒だな)
「……俺の気持ちなんて関係ないと思います」

(……面倒なんだ、そういうのは。だいたいなんの話だ?俺の評価か?)
「学園長!どこへ行って何をすればいいんですか!」
「(……頼りない話だな。でも、なにもしないよりマシか)わかりました
MD層最深部へ行って、その未確認の装置を起動します」
(……!?)
「長い間、放置されてたんだ。何があっても驚かないこと」
(……行き止まりか?)

(……また俺が決めるのか?)
(とにかく行くしかないだろ)
「みんな行くしかないだろ。他にどうしろって言うんだ?」
「(…………)もういい、わかった
俺が行って様子を見てくる。他の二人はここで待機していてくれ」
(下におりるにはこのハシゴしかないのか……。少々危険だが、仕方ないか…… )
(仕方ないな、おりよう)
「……ああ」
「(…………。確かにヤバかった)確かに危険だったけど、今は無事を喜んでる場合じゃない
ここにミサイルが飛んできているかもしれないんだ
それを忘れるな」
「さあ、急ごう。ミサイルが迫ってきているかもしれない」
「MD層最深部……」
(……シド学園長も知らないんだ。俺たちにわかるはずないよな)

「じゃあ、どうすればいいのか……」
「?!!!」
「くっ、ミサイルか!」
「うごいてる?!」

(それは、俺のセリフだ……)
(なんで俺が……わかるわけないだろ)
「くそ!」
「……ガーデンはどこに向かうんだろう」

(ガーデンが動きはじめてから何時間だ?)
(マスター派が解き放った訓練用モンスターやMD層のすみついていたモンスターを退治して……あとはすることがない)
(ああ、シド学園長に報告しなくちゃな……いろいろ聞きたいこともあるんだよな……)
(学園長、大変だろうな。このガーデンのコントロールを取り戻せるのか?)
(……海、海、海
退屈、ひま、てもちぶさた……
ありあまる時間……嫌いだ……いろんな考えが頭の中に……
セルフィ、生きてるか?行かせて……良かったのか?リノア、ゼル……俺をうらんでるか?
魔女……あれはなんだ? ガーデンにミサイル撃ち込むって、なんだよ。サイファー、もうもどらないのか?こんど会ったら……仕返ししてやる……)
(眠ってしまったのか……)
(そういえば……マスターってどんな人だよ。
俺は会ったことがない……
このままだと、またあの騒ぎが起きるのか?)
「はい」
(あの声は……)
「……はい」
「(あっ……)学園長、報告があります。どさくさにまぎれて遅くなりました」
「……そうです」
(……これがガーデンのマスター?これがガーデンの経営者?
……人ではないのか?俺たちは、そういえばなにも知らなかった
………ショックだ)

(どこから話せば……)
「……我々は魔女イデアの暗殺に失敗しました」
(ハ……情けない報告だ)
ガルバディア・ガーデンでシド学園長からの命令書を確認
ガルバディア・ガーデン所属アーヴァイン・キニアスをメンバーに加え、
バラム・ガーデンとの共同命令『魔女暗殺』の遂行に当たりました……」

「(だまされた、だって!?)……意味が、わかりません」
「ガルバディア・ガーデンの、マスターから……?」
「あの命令とバラム・ガーデンは関係ない。……そういうことですか?」
「ちょっと待ってくれ。それは……」
「な……」
「なぜ魔女と戦わないんですか!?
俺たちが毎日受けている訓練はなんのためですか!?」
「違う!あんただけのものじゃない!」
「なんだって?(学園長とイデアが夫婦!?……どういうことだ?)」

「気にするな。わけのわからないことが増えただけだ」
「どうして俺に聞くんだ!わからないのは俺だって同じだ!
俺、なにも知らないんだ。なにも……知らないんだだ
から……騙される。だから……利用される」
「学園長に会いに行く」


「報告したい」
「……SeeDの本当の意味を教えて下さい」
(……俺はいつだってなにもしらない)
「魔女イデアのことを教えてください。学園長の奥さんだと聞きました」
「これからガーデンはどうなるんですか?」
(船!?ガルバディアの船か!?)

「学園長はいない。おまえたちは……ガルバディアの船か?」
(……SeeD!?)
(エルオーネ?あのウィンヒルのエルオーネか?)
(っていうか、こいつらなんだ?どういう関係なんだ?)
「……了解」

「あぁ、多分そうだろう」

「もしかして……エルオーネ?」
「あんたがエルオーネ?あの、エルオーネ?」
「(どういうことだ?)ラグナを……知ってるな?」
「教えてくれ! あれはなんなんだ?」
(……やっぱり過去を見ていたのか)
「(過去を変えたいだって?本気で言ってんのか?バカバカしい…)あんたがやっているのか!?
あんたが『あっちの世界』に俺たちを連れていくのか!?」
「(……またかよ。また、わけの分からないことで俺は混乱する)どうして俺なんだ!?
俺は今の自分のことで精一杯なんだ!俺を、俺を巻き込むな!」
「俺を……俺をあてにするな」
(エルオーネがささやいた言葉は……
頼れるのは、あなたたちだけなの、だ
どうして人は人に頼るんだ?
自分のことは自分でなんとかすればいい
俺は今まで誰にも頼らず生きてきた。辛いことも苦しいことも飲み込んでそうやって生きてきた
……たしかに、子供の頃は自分1人なんて無理だったさ
いろんな人に頼ってきたけど……
それは認めてもいい。いろんな人がいたから、今の俺がいる
今は1人で大丈夫。生きていく手段も身につけている。もう子供じゃないから、なんでも知ってる……
ウソだ。俺は何も知らなくて混乱してる
誰にも頼らず生きていきたい。それにはどうしたらいいんだ?
教えてくれ……誰か教えてくれ
誰か?結局……俺も誰かに頼るのか?)
『……おねえちゃん
ぼく……ひとりぼっちだよ
でも……がんばってるんだよ
おねえちゃんいなくてもだいじょうぶだよ
なんでもひとりでできるようになるよ』
「先生はお見通し、か?」

「そういうわけじゃない」
(……わかるような気がする
でも…)
「話し……たいかもしれない」
「……了解(……どうして俺なんだ?)」
「……べつに」
(なんだって?)

「フィッシャーマンズ・ホライズンに上陸する
目的はこの騒ぎの謝罪。街の様子の観察だ」
「はい
俺たちはガーデンの代表で来ました。敵対する意志はありません」
「そのつもりで来ました」
「申しわけありません。
ガーデンがコントロール不明になって避けることができませんでした」
「……エスタ?」
「(そうだった……か?よく覚えてないな)失礼を……」
(ああ、そういえば……)
「そうです」

(からまれてるのか、俺は)
(……俺と同じ考え方だ。
……言われてみると……いやな感じだ)
「(いきなりだな)ガーデンが動き出せばすぐにでも出ていきます」
「……いいえ
ガーデンがどういう仕組みで動いているのかもわかってません」
(ガーデンに部外者を入れる?俺1人では決められないな」

(なにか事情があるんだろ?どうでもいいじゃないか)

(まったく正しい。眠くなるほど正しい)
「ガーデンに戻るぞ」

「どこでも歓迎されるってわけにはいかないだろ?」
(そうかもしれない)
(バトルするのは構わないけどこういう言い方されるとな……)
(……その言い方も気に入らない)
(そうだといいな)
(あ……)
(ガルバディア兵の目的がガーデンならじいさんには関係ないはずだ……
どんな話をしてるんだ?)
(エルオーネ!?)
(そろそろ、か?)
イデアはエルオーネを捜している?もっと情報が聞けるかもしれない……)
(……なに考えてるんだ、俺)
「SeeDだ」
「この街のやり方に合わないけど
俺たち、この方法しか知りません」

「(……無事で良かった。良かった……本当に)おかえり、セルフィ
ゼル、リノア。また会えて……良かった」
「(いろいろあったけど……)ガーデンは無事だ」
「おまえたちは……どうしてこんなことに?」
「(……それもそうだな)キスティス、アーヴァイン。セルフィ達をガーデンへ案内してくれ
俺はもう少し街の様子を見ていく」
「ああ」
「(会いたかったって……)俺にか?」
「迷惑でしたか?」
「礼なんていりません。ただ……
俺たちのこともわかってください
ただのバトル好きの人間じゃありません」
(こういう話、苦手なんだ……
なんて言えばいいんだ……)
「上手く言えませんけど……
あなたが言うように話し合って、おたがいわかりあって……
そして戦いの必要がなくなれば
とてもいいことだと思います
でも、自分たちのこと説明するのは
とても時間がかかります
相手に聞く気がなければなおさらです
戦いで一気に決着つけようとする相手と 理解しあう……
これはとても時間がかかるんだと思います
だから駅長
駅長たちがじっくり考えられるように
駅長たちに邪魔が入らないように……
俺たちみたいな人間が 必要なんだと思います
俺たちみたいなのが どこかで戦っています
ときどき、思い出してください」
「なるべく早くここから出られるようにします」
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