FF8 スコール

傭兵を養成する学園・バラムガーデンに所属し、特殊部隊SeeDの候補生として訓練に励む青年。SeeDの選抜試験に合格したのち、レジスタンス組織「森のフクロウ」のもとへ任務で派遣される。幼少期に体験した、姉と慕う女性エルオーネとの別離が原因で、傷つくことを恐れて他人をかたくなに拒絶していたが、信頼できる仲間たちとの関わりのなかでしだいに己のカラを破っていく。

 

 

 

 

 

 

バラムガーデン

 


「(ああ)……はい」
「サイファーに言ってください」
「逃げるわけにはいかないから」
 



「……べつに」
「なにがそんなにおかしい?」
「俺はそんなに単純じゃない」
「先生は関係……」

 



(……今朝行こうと思ったんだ。でも、サイファーが……)
「……べつに」

(……なんだっけ。まず、電源ONだ)

 



「大丈夫か」
「ああ、わかった」
「とりあえず、この先のエレベーターで1Fロビーに行って中央にある【行き先板】で案内しよう」

 


 

炎の洞窟

 

「よろしくお願いします」
「了解」
(…なんて教師だ)

 


 

バラムガーデン ロビー

 


「……うるさいだけだ。メンバーは変えられないのか?」
「あれはケンカじゃない。トレーニングだ」
「おまえには関係ない」
(とりまきの風神と雷神も一緒か……風紀委員勢ぞろいってわけだな)

(あのリスト……。なにが書いてあるんだ?) 

 


 

バラム行き車内
 

「………………」
「……べつに」
「……先生
今朝、保健室にいた女子は誰だ?」
「いや、べつに……」

 


 

バラム
 

「あの船か……」

「……よろしくお願いします」

 


 

ドール
 

「………………了解」

「敵の気配がなくなった」

「始まったみたいだな」

「……来ないな」

「おい……敵だ」
「班長の判断には従うさ」


「あんたとの訓練の成果を試すチャンスだからな
あんたのおかげで どんな卑怯な相手にも 負ける気がしない」
「本気にするなよ、ゼル。それより、サイファー。行くなら、急ごう」
「了解」

 



「修理……か?」

「……わからない。でも……考えると怖くなりそうだ」
「は!?夢?」
「……悪いな。そういう話なら、パスだ」

「……そうか?チキン野郎以外なら誰でもできるんじゃないのか」

「いちいち気にするなよ、ゼル」

「撤収は最重要命令だ。俺は船に乗り遅れたくない」

「直接聞けよ。行くぞ」

「構ってるヒマはない!行くぞ!」 

 


 

バラムガーデン パーティー会場

 

「……踊れないんだ」

 



「おかげさまで。何か用か?」
「……悪かったな
でも、あんたはここの先生で 俺はあんたの生徒だろ?
先生が自分のそばで黙ってるのは嫌な気分だ」
「そこで何をするんだ?規則違反だから部屋に戻れってみんなに言うのか?俺はそんなのは、いやだからな。風紀委員にやらせろよ」
「最後の命令って?」 
(私服で訓練施設?いったい何の任務だ……)

 


 

バラムガーデン秘密の場所

 

「真夜中過ぎだ」
「……そうか」
「そう決まったんだろ?だったら、従うしかない」
「話は……まだ続くのか?」
「そういう話は嫌いなんだ
他人の不満や不安……そんなこと聞かされても俺には何も言えないだろ?」
だったら壁にでも話してろよ
「だったら壁にでも話してろよ」
「自分のことは自分でどうにかするしかないだろ?俺は他人の荷物は持ちたくない」

 



「そんなこと……誰が決めたんだ?」

「…………もう寝よう……」 

 


 

ティンバー行き列車内

 

「そうだな……」


「……喜んでもらえて何よりだ」
「どうでもいい」
「いや、別にいいよ」
「……それで?」
「……
……ありがとう、物知りゼル」
「疲れているなら、少し休むといい」

「おい、どうした?」
「うっ!?……何だ、これは?」 

 


 

デリングシティ

 

(???????)
(なんだこれは!)
(どういうことなんだ?)
(夢……?)

(ほんとにやるか……)
(情けない……)
(こいつ……何も考えてないのか?)

(……夢にしてはなんか変だ)
(……こいつの頭の中 ……うるさいな)

(勝手にしてくれ)
(みりき?)

(ほんとに、行く気かよ)
(うそだろ、もう、なじんでるぜ……)

 


 

列車内

 

「俺たち……みんなで眠ってたのか?」
(……それはあるかも。用心しとくか)
「……そういう気配はない」

(俺も夢見てたな。楽しくはなかったけど……バカな男になる夢だ……)
「ラグナとキロスとウォード」
「どういうことだ……」
(……確かに) 
 


 

ティンバー

 

「まだフクロウはいますよ」

 



「俺は班長のスコール。右がゼル、左がセルフィだ」
「俺たちは何をすればいい?」
「……俺たちは雑用のために雇われたのか?ん?」
(俺たちは使いっパシリじゃない。SeeD……特殊部隊だ)
「こんな指示はこれで最後にしてくれ」

 



「俺が班長のスコールだ。あと2人来ている」
「大げさだな」
「……そうか
パーティーで捜してたのは学園長だったのか?」
「……ああ」
「俺はみんなの所へ戻るぞ」
(アイツ?)
「ああ。ヤツはSeeDじゃない」

「ダンスパーティーに紛れ込んでターゲットに近づく……そんな任務もあるかもしれない。任務に役立つ技術ならなんでも身につけるのがSeeDだ」
(……いい感じ?)

 



「ゼルと……」
「セルフィだ」

 



(……?言われてみれば……そうだな)
「……」

 



「どうした?」

「ドール公国には電波塔があって電波の送信と受信ができるらしい。長い間放置されていたけど昨日ガルバディア軍が再起動したんだ」


「その前に、ガーデンとの契約書を見せてくれないか?」 

 


 

ドール

 

「このノイズがほとんどの周波数帯で流されているんだ
これをなんとかしないと電波放送なんてできないはずだ」

「俺たちのことは気にするな」
俺たちはあんたの決定に従ってあんたの敵と戦う
それが俺たちの仕事なんだ」

「なんとでも言えよ
あんたは俺たちを使って最高の結果を出してくれればいい
あんたたちにできるとは思えないけどな」

「あんたたちはどこまで本気なんだ?3人で床に座って作戦会議?その作戦もすぐに変更だって?しかも、俺たちの意見がないと決められないんだろ?そんな組織に使われるこっちの身にもなってくれよ」
「……悪かったな。ちょっと言いすぎた」

「放送が始まるのか?」
「……魔女?」
「俺たちはフクロウの連中に雇われてるんだ
俺たちには関係ない」

 



「何してるんだ、あんた」

「……計画?(そうか……リノアと知り合いだったな。だから来たのか?)」

「(ゼル、頼むから)黙ってろ」
「やめろ!言うな!」

 



「わからない」 

 


 

隠れ家

 

「首領?」

(あいつはいつでも本気だろ? それくらいわかれよな)

「もう殺されてる可能性もあるな」
(かわいそう? サイファー、怒り出すな)
「(それは……)ガルバディア大統領と魔女は手を組んだ。その大統領をサイファーは襲った。魔女にとってもサイファーは敵だ。だからサイファーがあの後始末されたとしても不思議じゃない」
「(思えばいいさ。……現実はそれほど優しくないんだ。思い通りに何かならないよな? だから……)
期待しなければどんなことでも受け入れられる……傷が浅くてすむ
まあ、あんたが何を望んでも俺には関係ないけどな」
「(なんだよ……)……悪かったな」

(……とにかく街を出るのが先決)
「どこか心当たりがあるのか?」

(8の7…… 所属ガーデンに帰還不能等の緊急時
ガーデン関係者は速やかに最寄りガーデンに連絡すべし……)
「最寄りのガーデン……」
「……そういうことだ
ティンバーを離脱してガルバディア・ガーデンへ向かう
バトル・パーティーは……」
「出発する!」

 


 

ティンバー脱出

 

「その列車に乗るぞ」

「ああ、心配するな。クライアントの命令だからな
あんたはいいのか? ここにいて大丈夫なのか?」

「無理矢理にでも乗り込むさ」
「これが最終列車だ……確認しておくが……学園東で降りて駅の西にある森を越える……その先がガルバディア・ガーデン……それでいいんだな?」 

 


 

ガルバディア・ガーデン行き列車内

 


「なんとか……」
「なる……」
(……逆らわない方がいいな)

「大したことじゃないんだが…………何とかなったな」

 


 

ガルバディア・ガーデン近辺

 


「かもな」
「ガルバディア軍の戦力によるだろ?」

(……またからむつもりか)
(……そんなところだろうな)
(そんなのは気休めだろ?そう思ってるのは俺だけか?いや、サイファーだって……)
(他人になんとかしてもらおうってのが甘いんじゃないのか?)
(……うるさいな)

(……なんだ!?……この感覚は……)

 



「(俺だけならふざけた夢ってことで終わりにできるが……)ここで考えてもきっと、何もわからないさ
先を急ごう」

(いいよ、もう) 

 


 

ガルバディアガーデン

 


「……いい所だ」

 



(好きだった……悪人じゃなかった……仲間だった……
サイファー……あんた、すっかり思い出の人だ
俺も……俺も死んだら こんな風に言われるのか?スコールはこうだった、ああだった。過去形で……好き勝手なこと言われるのか? そうか。死ぬって、そういうことか…………)
(いやだな)
(俺はいやだ!!)
「俺はいやだからな!」
「俺は過去形にされるのはごめんだからな!」

 



「何をしている?」
「どんな命令だ?」
「サイファーは死んだらしい……ガルバディアで裁判にかけられて処刑されたって聞いてる……」

 



「命令書によると方法は『狙撃』とあります
しかし、我々の中には確実に狙撃できる技術を持つ者がいません」



(ゼル…… いちいち反応するなよな)
「それはあんたの態度次第だ」
「(こいつとゼルは一緒にしない方がいいな)覚えておこう」

「次の仕事は…… いや、これは仕事ではない
バラムとガルバディア。両ガーデンからの命令だ
俺たちは……魔女を暗殺する
手段は遠距離からの狙撃だ。このキニアスが狙撃手を務める
俺たちはキニアスを全面的にサポートする
狙撃作戦が失敗した場合は直接バトルで正面攻撃だ」
「確実に魔女を倒すべし。これが新しい命令だ
これからガルバディア首都のデリング・シティに向かう
そこでカーウェイ大佐と会って具体的な作戦の打ち合わせをする
さあ、出発だ」

「(……気に入らないな)俺が決める」
「これでいいだろう」
「戦力バランスを考慮した結果だ」 

 


 

デリングシティ行き列車内

 

「…………」

「重大な任務だ。今のうちにプレッシャーを飼い慣らしておいてくれ」

 


 

デリングシティ

 

「これからカーウェイ邸に向かう。場所は通称『役人地区』
俺たちはガルバディア・ガーデンから警備の応援に来たことになっている。それを忘れるな。(ラグナは今、ここにいるのか?)」 

 



(ガバルディア軍の事実上のNO1。カーウェイ大佐のクーデターか?
いや、大統領を倒そうというわけではないらしい……)

「俺たちがここに来ることは連絡ずみのはずでは?」
「実力?いったい何をすればいい?」
「暗号?」

 



(バラム、ガルバディア両ガーデンとガルバディア軍の大佐が手を組むのか?……何故だ?
……俺が考えても仕方がないな
『SeeDはなぜと問うなかれ』だ)

 


 

デリングシティ・カーウェイ邸

 

「何かが起こるのか?」
(……めんどうなことにならないだろうな)

 



「リノアは?」


(……そういうわけにはいかないんだ)
(俺たちにとって、ガーデンの指令もリノアの指令も価値は同じだ)
「俺たちは今回の任務が終わったら契約通りリノアの傭兵に戻ります
事情はわかりませんが その時は邪魔しないでください」
(そんなこと聞くなよ)
「俺たちはSeeDです。SeeDのやり方で行動します」

 



(魔女の名前はイデア)
(イデア……)

 



(……総攻撃?)

「俺です」
(……狙撃チームは決まりだな)
「俺とアーヴァイン・キニアスが狙撃チームとして行動する」

「凱旋門チームは……」
(悪いな、ゼル)
「トゥリープ先生。……キスティス・トゥリープ、頼む」

 



「総攻撃の時はまず俺が突入する。出来るだけ時間を稼ぐつもりだ」


「(知りたくなる時だってある。例えば……今がそうだ。でも……)知ってどうする?」
(……敵が悪い奴?おそらく……敵と俺たちを分けているのは善悪じゃない。お互いの立場が違うだけ
どっちも自分が善いと思ってる。善い奴と悪い奴がいるわけじゃない。敵と、敵じゃない奴がいるだけだ)

 



「ところで大佐。何故魔女はこんな派手なパレードを始めようと思ったんだ?」
(だからガルバディア・ガーデンは魔女が邪魔なのか……)

 



「リノア……?」
(……?)


「まだパレードが始まらない。門がひらかない」

 



「リノア!!」

「もう終わった」
「バトルはいつものことだろ?」
「(……そのへんがシロウトなんだよな)もう行く」
「あんたの命令はおぼえている。俺のそばから離れるな」

 



「アーヴァイン・キニアス。後はおまえに任せる。」
(なんだ…… 急におとなしくなって
ああ、集中力を高めるのか
狙撃手の孤独…… 確かにそうかもな)

(ここじゃ何も聞こえないな。……パレードはどうなった?
サイファー……生きていたんだな)
「リノア
サイファーは生きてるぞ。あいつ、魔女とパレードしてる」
「知るか」
(もし、俺が魔女と直接バトルをすることになったら……
サイファーともバトルすることになるのか?
……敵を選べないSeeDの宿命か)
「俺の手でサイファーを死なせることになるかもしれない」
「(避けられたら……か)キニアス次第だ」

(まさか……
こいつ、ビビってるのか!?)
「まさか、おじけづいたんじゃ……」

「アーヴァイン・キニアス!!」

アーヴァイン・キニアス
「いいから撃て」
「もうしゃべるな!撃て!」
「アーヴァイン・キニアス、おちつけ
みんながおまえを待っている
はずしてもいいから撃て。先のことは俺たちにまかせればいい
ただの合図だと思えばいい。俺たちに行動をおこさせるサインだ」
(そうだ、アーヴァイン・キニアス)
「たのむ」
「気にするな、狙いは正確だった。後は俺にまかせればいい
俺は今から魔女に突っ込む。アーヴァインとリノアも念の為装備をしておけ
「リノアを頼んだぞ」

 



「魔女のペットになったのか?」

「腕が落ちたな、サイファー」 

 

 

 

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