皆様こんにちは。ご無沙汰しています。
本日は、触媒に関しての質問が来るのでブログでも書いておこうと思います。
ごく稀にですが、触媒内蔵しているマフラーを、触媒レスにし改造して乗られている方がいます。
(当然車検には通りませんし、改造は違法行為になります。)
またレース(サーキット走行)で使用するという事でメールで「触媒を外す事は可能でしょうか?」という質問も来たりしますが、「溶接固定していますので触媒は外せません」とお伝えするのと同時に「触媒を外しても単純にパワーが上がったりしませんよ。」ともお伝えしています。
何回か過去のブログでも書いていますが、『触媒外す→パワーアップ』みたいな事にはなかなかならないんですよね。。。
「じゃあ、何故レースでは触媒が付いていないんだ。それはパワーと関係するからでしょ?」と思われるかも知れませんが、答えとしては「レース用マフラーは最初からレース用として開発している」からなんです。
つまりレース用にはレース用の、公道用には公道用のマフラー寸法があるんですよね。
パワーグラフで触媒内臓のマフラーとそれを外した時の例を紹介してみます。
このグラフはGSX-R150の弊社JMCA認証マフラーとノーマルを比較したグラフになります。
もちろん触媒は溶接固定で内蔵されています。
このマフラーの触媒を外した場合ではどうなるのか?気になりますか?(笑)
こうなります。
赤丸の部分ですが、パワーが削げ落ちている事が確認出来ると思います。
現在、一般公道で使用するマフラーの場合、フルエキであれば触媒内臓が大前提となりますので、マフラーの開発時も当然ながら触媒を内臓した前提でマフラー口径や管長を設定していきます。
例えば先にパワーを出しておいてその後に触媒を内蔵すると必ずといっていい位の確率でパワーが削られます。
大体の場合はピークパワーではなく、中高速域のパワーがごっそり削られる事が多い感じです。
これを補うべくパイプの口径や管長を変えていくのですが、結果として完成したマフラーは元の寸法より大きく変わる事になったりします。
例えば元の寸法から触媒を入れる事によって開発した結果、マフラー管長が長くなったとしましょう。
そこから触媒を外した状態にすると、仮に元の寸法がベストだとすると管長が長くなったマフラーはベストでは無くなるので結果として上記グラフの様になったりするんですよね。。。
レース用とは言わないまでも、上記の様に触媒無しのマフラーと触媒内臓を前提としたマフラーとでは根本的に
管長や、場合によってはパイプ径も違うので、単純に外したからといって更に良くなるという事はほぼ皆無です。
因みに車検のあるクラスのマフラーの場合、現在は大変厳しい環境基準値内に収めるべく、すごく目の細かい触媒を使用したりしています。
すごく目が細かいでしょ。これは300セルといって、表面積を増やす為に細かく層を重ねて触媒コーティングが施されています。
触媒性能を発揮するにはエンジンに近い距離が最善なので自ずとエキパイ集合直後に内臓、それだけでは排ガス浄化が足りないのでその直後にもう一つ、あるいはエキパイに1-2番集合部、3-4番集合部に一つずつ、その後ろにもう一つといった具合でこれでもか!(笑)って感じに内臓されていたります。
めっちゃパワーダウンしそう。。。と思われますが案外そうでもなく、適度な排圧(背圧)も掛かり、使い方次第では上手く触媒を利用する事だって出来るんですよね。
一方で軽二輪以下の車検の無いクラスでは排ガス基準値もそこまで厳しくない為に、触媒の種類も選択肢が多いですし、触媒の位置も比較的自由に配置する事が出来るのでマフラー開発の際は位置を変更したり触媒の種類を変えてみたりと、パワーグラフとにらめっこしながらの作業になります。
これは50セルという粗目の触媒ですが、能力的には250ccの車両でもオーバースペックになる位の浄化性能を持っており、弊社では主にこの触媒をしてる事が多いですね。
稀にマフラー屋さんでも「触媒入れたら詰まってパワーが。。。」みたいな事を話す人がいますが(笑)、そうならない為にもベンチテストで最適な管長を探すのであって、触媒のある時、無い時で管長は変わりますが可能な限り『触媒ある時仕様』でも「触媒無い時仕様」に近づけようと考えて開発しています。
以上、長くなりましたが単純に触媒を外したら特性が良くなるのかといったらそうはならないですよ!って事を理解いただければブログに書いた意味もあるって事で嬉しく思います。
それに。。。触媒外すなんて改造をしたら車検に通りませんし、違法ですからしないで下さいね。
触媒の種類によっては10,000円(一個)以上する触媒もあり、触媒自体もマフラー本体価格に含まれる訳ですから、その点もしっかり認識した上で違法改造しない様に宜しくお願い致します。
それでは今週も頑張って参りましょう。