学習参考書にまつわる思い出話シリーズです。
― 英語
数学同様、英語も“涙無しでは語れない”ひどい有様であった。
名門校に入ったものの、3年生の教科書の終わりの3章をやり残す程の中学校であったので不安は的中した。
予習をするにしても、1行平均3語は辞書を引かねばならず、焦りまくり。
一方、名門中学から来たO君の言葉が胸に突き刺さる。
「春休み(入学前のことだぞ!)にリーダー(テキスト)を始めから終いまで寝ながら読んじゃった」
再び“真っ青”になった。
前回、夏休みの宿題は皆無と書いたが、英語だけは例外で「More Famous Stories」というサイドリーダーを与えられ、夏休み中、この一冊との格闘を強いられた。
我々の時代、参考書も教師も大半は戦前からのもの(物・者)で、山貞の『新自修英文典』、『New Art of English Composition』等のお世話になり、コツコツやるのが主流だった。
“聞き流すだけ”で身につくなら苦労はない。
英語教材に“良い、悪い”があると言うよりは、本人のやる気が“有る、無い”だ。
健康器具を買っても、粗大ゴミに成り果てている例がゴマンとある。
東京オリンピックの頃、日本中が英会話ブームに沸いていたが、モノになったのはどれ位いただろう?
『New Art of English Composition』についての引用
ベスト500レビュアー
2018年4月24日
高梨健吉『日本英学史考』によると, 大正から昭和前期まで最もよく使用された英作文教科書は,村井知至とA. W. Medley の共著になる英作文教科書である。初め、English Prose Compositions (全3巻)は大正5年に出て,改訂版が大正10年、13年に出た。新版は The art of English Composition (大正15年、全3巻)となった。
本書は著者に飯田弥太郎らが加わって、さらに改訂を加えたもので改訂新版として2012年年に発行された。評者は原本を所有しないので具体的な改訂事項は分からないが2012年版にも、「明日の今頃はおそらく台風はひどくなっているだろう」「おいとましなくては」と彼女は帽子とハンドバッグを取って言った)などの例が中心をなしていることから分かるように、 あきらかに文法、構文をマスターするための英作文である(前者では未来完了形。後者では分詞構文)。評者のむかしの受験英作文書をおもいだした。まさしく村井・メドレー式は今日の受験英語の源流の一つである。これから受験英語も変革期を迎える。昨今は、言いたいことが言える英語能力を身につけることが強調されている。しかし言いたいことを言うには、やはり文法と構文の知識が必要である。村井・メドレー式はどのような形で引き継がれて行くのであろうか。