2010年に公開された映画「ザ・コーブ」はその風評から、全く観る気にならなかったのですが
「おクジラさま・・・」は何となく胸のつかえが降りる予感がしましたので観てきました。
ネット情報によれば、作品は“ふたつの正義”のぶつかり合いを淡々と撮り集めたドキュメンタリーであり、
批評の書き込みも“観た人に考えさせる良い映画”といった意見が多数のようです。
確かにそのような作品ですが、佐々木芽生監督のたくらみが私には見えるような気がします。
日本人がこの作品を見た場合、その通りの解釈となるのですが、
白人たちは立ち直れない程強い衝撃を受け落ち込むのではないか、と想像します。
どのシーンがそう思わせるかといえば・・・・・
単なる鄙びた漁村と思い乗り込んできた町の景色のなんと神々しいことか。
ここに住む人たち、ここで行われている行為を野蛮呼ばわりできるのか?
文明の利器をフルに活用して、一方的な解釈で“野蛮な行為”を世界に発信し続けるも、
対する町民たちの発信力は微々たるもの。
言語のハンディーを考慮しない横暴さ。
昔の白人の捕鯨を映した挿入動画では“彼らは油を利用するしか能がない”ことが分かる一方、
地元の古文書では何艘もの小船で大きなクジラを命がけで取り囲み捕らえるシーンがあり、
大きな刃物で繊細に解体する技術があることも分かります。
町の小学校の教室での給食時間、当番の子供たちが帽子、エプロンを素早くまとい、
仲間の分をスムーズによそおっていくシーン。
「いただきます」と唱和・合掌、終われば、先生・生徒が一丸となって教室の掃除。
10年以上、この町 太地(たいじ)に住みついていたアメリカ人ジェイ・アラスターは総て理解していただろう。
エンディングのキャプションで太地でのリーダーを務めていた父娘がシー・シェパードを退会した、と述べています。
我々日本人にとっては、当り前な何気ない日常のシーンでも、
その一つ一つに遭遇するにつれ“真に野蛮なのは自分たち白人の側だ”と気付いたのでしょう。
オーストラリアでは昭和時代の初め頃までアボリジニー・ハンティングが行われていたそうです。
Oリビア・Nュートン・Jョンのイルカ事件も有名ですが、日本人がイルカ以下の存在かどうか、
3.11の真相解明が待たれます。