クラシック音楽愛好家の“プロのオーケストラを相手に棒を振ってみたい”という夢の実現の現場に立ち会うことが出来ました。
名古屋に本店のある 中北薬品 という会社の創立290周年イベントに招待され愛知県芸術劇場に出掛けました。
指揮をしたのは会長の中北智久氏、演奏は名フィル。
内容はタイトル通り「ヒヤリハット」プラス「ドキドキ」の連続で、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ではソロまでやってのけ、その時、場内は一瞬凍りついたのですが、ノド自慢の鐘二つに会場の雰囲気は一気に和やかになりました。
古きよき時代の家族的雰囲気の会社の伝統は今も息づいているな、と安心しました。
私の曽祖父・小川小三郎は明治20年代、この江戸時代開業の薬屋さんで番頭を務めており、その娘である祖母からは“中北さん”についての昔話を子供の頃よく聞かされました。
極めて名古屋的な会社で、無借金経営は当たり前、社是に「信用・誠実・質素」とあるように、戦前は「うどんのおかずで御飯を食べる」のは当たり前「中北さんは石橋を叩いても渡らない、叩き過ぎて割ってしまう」等の笑い話も残っているほどです。
この方針の正しさは、バブルの頃も株式上場せず“吸収合併なんてどこ吹く風”と涼しい顔でグローバリズムの企みを回避したことでも証明されています。
社員にとっては恐れ多い会長でも、私にとっては昔から“智(とも)さんです。
「うみゃーことやりゃーたなも、智さん!」
娘時代の祖母(明治30年代)