米田良三著『現代を解く・長谷寺考』の改定作業も大詰めです。
編集は趣味の延長ですので“マニアック版”的な出来上がりになりそうです。
今まで著者の原稿を崩さない原則でやってきましたが、読者目線に立つと改行のポイントが著者のそれとは微妙にズレていると気付きます。
そのあたりを少し考慮しました。
渡された文章そのものは変えることは出来ませんので尊重し、図表のサイズ調整、レイアウトが腕の見せ所となります。
校正は複数人でやるのが常識ですが、一人でやっているので見落としがあります。
もう5年近くこの原稿に関わっていますので、かなり精度は上がっていますが、稀とはいえ“文字化け”にはお手上げです。
校正のついでに勉強になると期待していたのですが、間違い探しに気をとられて内容を味わうには至りませんでした。
しかし、今回は著者の凄さに圧倒されております。
本書では『枕草子』の“初瀬VS清水”論争とか『大和物語』の“奈良の帝は誰”論争の答えがバッチリ分かります。
本書を読めば国文、国史、古建築の分野の研究者は胸のつかえが降りることでしょう。
ただし、定説を守る立場の人々はムカつくことでしょう。
米田氏の文章は酒に例えるなら辛口で、とっつきにくいのですが、3回以上読めば理解できるようになります。
噛めば噛むほど味の出るスルメのような感じです。