ラス○ルの住むまち、わたしたちのまち。
みなさんこんにちは、オケのリハーサルに寝グセをつけたまま、知らずに神妙な顔をして行ったら弦楽器の方々に「妖怪アンテナ立っとるね」「それ何倒すといかんの?」「なんで気づかんのかしら」とかいじられまっくてるだーいしですが、皆様はお元気でしょうか。「いじられる内が花」と勝手にポジティヴシンキングしてますが、いまだ身だしなみなど上手く出来ない上に、現場に行くと「今日は何忘れた?」が挨拶代わりになりつつあるこの頃です。最近してませんよ忘れ物。先日舞台で1足歩くごとにズボンがずり落ちそうになっていたのは決してベルトを(以下省略)。
さて、先日ランニングの帰りに運転してたら、飛び出して来たアライグマをすんでのところで轢きそうになり、わたくし肝がつぶれる思いをしました。当の本人(本獣?)はササーッと道路を横切り川に逃げこんだ模様。
ま、まだいるんだ...。数年前「野アライグマがいる」と近所で話題になってて、駆除したんですが(雑食性で成獣は凶暴,農作物や生態系に被害を及ぼすため)、どうやらノーマークの個体があったらしい。アライグマといえばラス○ルのイメージですが、でかくて太いしましまのシッポを見ると腹が立つというお百姓さんもいらっしゃると聞いたことがあります。
さてこれ以降は、数年前その近所のオバチャンとわたくしとの会話。もしかしたら何かで書いたかもしれないので、同じ話をしてましたらスミマセン。なんせ最近記憶力が...。
「最近変なのがウロチョロしとるでしょ」
「アライグマですかね、居るみたいですね」
「やっぱりあんたも見たか~。あたしもだわ」
「この間側溝から顔出してて、ビックリしました」
「ホントかね。そう、アライグマと言えば」
「アライグマと言えば?」
「ウチこの前、仏壇買ったんだわ」
「...は、はい...???」
「あたしは450万ので充分と言ったのに、姑(しゅうとめ)が納得せんのだわ」
「...は、はぁ、450万...。で、お義母さんが?」
「そう、姑が『座敷の格に合わん』とか言いだして、700万のにしろと」
「な、700万...。仏壇ってそんな高いんですか!?」
「ピンキリだわ。安いのはまっとリーズナブルだわ。まーちーと高いのも、ある。」
「はぁ、それで」
「姑がアタシに言うんだわ『○○さん、アンタも△△家の人間。あんたの財布(ネイティブ名古屋人「サャァ~フ」と発音)からも協力してもらうで、えか。』って!どう思う?!!」
「うわ~、それはエラいこっちゃですね」
「エラいどころの騒ぎでない、わやだでかんわ。仏壇買うなら冷蔵庫新しくして欲しいわ。仏壇に入れたところでちっとも冷えんで」
「笑。ですねぇ、で、出したんですか?お金」
「出さんで済むなら、こんな話しとらん」
「うわ~、それは本当にわやですね」
「ほーだわ。えりゃぁあらけにゃぁ話と思うんだが、だいたいシュウトメはあたしが嫁いだ時から○△□☆▽...(考えられる限りの悪口雑言が繰り広げられるが、発音がネイティブ過ぎて,さすがの私も話の内容が半分以上分からない)」
「ほんで」
「続きがあるんですか」
「ここからが本題だわ。ほんだけど最近、姑の機嫌が悪いんだわ。」
「なんでですか、仏壇がグレードダウンしたのですか?」
「仏壇はデーンとあるわ!! ちゃうわ、義母が大事にしとる、池の錦鯉がどんどん減っとるんだわ。最初は鯉の病気(コイヘルペスウイルスのことと思われる)かと思ったんだけんども」
「いわゆる 恋わずらいですね(笑)」
「つまらん。」
「し、失礼しました...。」
「とにかく、病気なら、死んで浮いてくるだろうに。数だけ減っとるんだわ」
「つ、つまり...」
「観賞用だで、高く売れるんだわ錦鯉。何者かが盗んだかと」
「それはひどい話ですね」
「ほんだで、庭師にたのんで、池に金網をかけてもらったんだわ。こう、覆うように、一面にな。」
「それなら簡単に盗めないですね。攩(タモ)とか持って侵入しても」
「ところがだわ」
「え、盗まれたんですか?」
「夜中に何者かが金網の一部を破って、鯉がまた減っとるんだわ」
「マジですか!?それはもはや窃盗じゃないですか!!」
「そうだわ。ほんだけどあたし、この間決定的瞬間を見てまったたんだわ」
「現行犯ですか!警察に連絡しました!?」
「せんわ」
「何でですか?」
「犯人....、野アライグマだったんだわ。」
「...え...?」
「夕方、洗濯物をたたんどったら、なんか金網がギシギシ音がするんだわ。何かと思って庭に出たら、アライグマが鋭い歯で金網を喰いちぎり、後は手で器用に穴を拡げて、コイをシュッとすくってはバシャバシャやって食べとったんだわ。」
「マ、マジですか...」
「マジ。つまりだわ」
「警察でなく保健所に連絡したと」
「ちゃうわ。アンタ人の話の一番の肝要ところ聴かなかんわ。だで出世できんのだわ。」
「す、すみません..」
「つまり」
「つまり?」
「すくった鯉をバシャバシャやってということは、だ。」
「はい。」
「『鯉のあらい』だったんだわ」
「...........。」
この間20分。ここまで来て、ようやくこのオバチャンがそのひと言を言いたいがためのトークであることに気づく。
「....で、保健所には連絡されたんですか?」
「せんわ。」
「なんでですか」
「鯉は義母のだで。」
「.......。」
呆然としてる私を尻目に、言い切ってああユカイユカイ、とそのオバチャンは楽しそうに風のように去って行ったとさ。そこに父が帰ってきた。
「お前こんなところで何しとるんだ、バカな面が一段とマヌケだぞ」
「...いや、野アライグマが飼ってる鯉を襲ったら、これは保険や損害賠償の対象になるのだろうか、と」
(それには答えずに)「そういえば俺30年前に組合の旅行で行った先の○△旅館で、立派な錦鯉が泳いどってなぁ、ちょっと暗くなった夕暮れ時に皆でコッソリ捕えてさばいて喰っちまった!!!」
「ちょー本当にそういうの武勇伝みたいに語るの止めて!それ完全にアウトだよ!」
「何でアウトだ!美味かったぞ!!鯉のアライを食べた中ではあれが一番新鮮で良かったぞ!」
「もし見つかったら警察沙汰だよ!ほんとに、もう!」
「やかましい!シュッとすくってバシャバシャっと洗ってチャっと食べたで、誰にも迷惑かけとらんわ!!」
絶対この人前世がアライグマか、あるいは干支で本当はアライグマ年なるものがあるに違いないと思った秋の夕暮れでした。ふんまに、もう。
鯉しくて
シュッと手が出る
秋は宵。