今年2020年に記念を迎える世界史上の出来事 近世・近代・現代編 | 大学受験の世界史のフォーラム ― 東大・一橋・外語大・早慶など大学入試の世界史のために ―

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新年明けましておめでとうございます。


今年2020年に記念を迎える世界史上の出来事を紹介します。


まず今回は,近世・近代・現代編から。古代・中世編の記事はまた追って投稿しようと思います。


1920年(100周年)

ナチスの成立


第一次世界大戦の敗戦直後のドイツでは,ヴェルサイユ条約が締結され,ヴァイマル共和国が成立したが,政治的・社会的に極度に不安定な状況がつづいた。


そうしたなか,1919年に成立したドイツ労働者党という右翼の結社は,1920年に党綱領を制定するとともに国民社会主義ドイツ労働者党と改称した。これがいわゆるナチスナチ党)で,1921年にはアドルフ・ヒトラーが指導者となり,過激な右翼思想を掲げてヴェルサイユ体制やヴァイマル共和国の打倒を目指した


ナチスは1923年のミュンヘン一揆に失敗したことで一時的に勢力を失うが,その後は合法的な政治運動の路線へと転じ,1930年代には勢力を拡大してドイツの政権を掌握し,さらに周辺諸国への侵略を展開して第二次世界大戦の主な原因となった。


トリアノン条約・セーヴル条約


第一次世界大戦後,敗戦した同盟国はパリ講和会議を通じてそれぞれ連合国との間で講和条約を結んでいき,1919年のうちにドイツ・オーストリア・ブルガリアの講和条約の締結が済んだが,残るハンガリーとオスマン帝国の講和は翌年に持ち越された。


そして,1920年には残る両国の講和条約の手続きが行われ,ハンガリーはトリアノン条約を,オスマン帝国はセーヴル条約を締結し,これによって両国はいずれも大きく領土を喪失し,その他にも極めて不利な条件が課されるなど,厳しい内容を受け入れさせられた。


このような過酷な条約は敗戦国に対して衝撃を与えて反発を引き起こし,ハンガリーでは右派的な権威主義体制の成立につながり,オスマン帝国ではムスタファ・ケマルによるトルコ革命へとつながった。


1820年(200周年)

スペイン立憲革命


スペインでは,ナポレオン戦争中にフランスの支配を受けた後,ブルボン朝の王政が復活していたが,復位したフェルナンド7世が反動的な絶対主義の政治を行ったために,自由主義者たちは強く失望して反発した。


そのようななか,1820年には軍人のリエゴらによるスペイン立憲革命が起こり,絶対主義が否定されて自由主義的な憲法が復活された。


しかし,ウィーン体制下の列強によってスペインに対する干渉計画が進み,1823年にはフランスの軍事介入が実施され,革命は鎮圧されて挫折することになった。


ミズーリ協定


19世紀前半のアメリカ合衆国では,ミシシッピ川以西のルイジアナの開拓が進展していったが,そのなかでミズーリの州へと昇格が決まるのにともなって,1819年にこの州を奴隷州とするか自由州とするかをめぐり南部と北部の間で対立が生じた。


激しい論争の末,1820年にミズーリ協定が結ばれ,これによってミズーリ州は奴隷州とするが,以後はミシシッピ以西のルイジアナにおいてミズーリ州の南の州境にあたる北緯36度30分より北には奴隷州をつくらない,ということが定められた。


この協定によって奴隷制をめぐる対立はいちおうの妥協が成立したが,その後も西部開拓が進んで新たな州が成立していくのにともなって対立は再燃し,そしてそれは南北戦争へと至ることになった。


1620年(400周年)

ピルグリム・ファーザーズのプリマス上陸


イギリスでは,16世紀に宗教改革を経てプロテスタント系のイギリス国教会が確立されたが,純粋なカルヴァン派の信仰の実現を目指すピューリタンはそれに満足せず国教会と対立したために,迫害されるようになっていた。


そのような状況を背景に,1620年,ピューリタンを中心とするピルグリム・ファーザーズと呼ばれる一団の人々は北米大陸への移住を決意し,メイフラワー号に乗ってイギリス南西部から北米の東海岸へと渡航し,ニューイングランド地方のプリマスに到着して入植した。


その後,プリマス植民地はマサチューセッツ植民地に併合されたが,信仰の自由を求めたピルグリム・ファーザーズの移住はアメリカの自由や民主主義の源流の一つと見なされ,アメリカ人にとって重視される歴史的事件となった。