「カパック・ニャン」(インカの王道) | 大学受験の世界史のフォーラム ― 東大・一橋・外語大・早慶など大学入試の世界史のために ―

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カパック・ニャン

<カパック・ニャン(インカの道)>

カパック・ニャン 地図

<カパック・ニャンの主要なルート>


カパック・ニャン」(インカの王道)は,南米のインカ帝国で築かれた道路網である。

インカ帝国の国土

15世紀に南米で成立したインカ帝国は,征服により急速に領土を拡大して,北はコロンビアから南はチリにまでいたる広い領域を支配下に置いた。

インカ帝国はその国土を「タワンティン・スーユ」(4つの地方)と呼んで大きく4つに分けながら統治を行い,領内の人間や物を掌握することにつとめた。

カパック・ニャン(王の道)

インカ帝国では,その広大な領土の実効的な支配のために,「カパック・ニャン」(「王の道」の意味)と呼ばれる大規模かつ高度な道路網が築かれた。

帝国内には高い石造建築の技術によってつくられた全長数万kmにも及ぶ道路が張りめぐらされ,アンデス山脈と太平洋沿岸のそれぞれに沿って走る主要な幹線道路とそこから分かれ出る多数の支道によって帝国中が覆われた。また,道路とともに駅伝制の仕組みも整備され,一定距離ごとに宿駅が設置され,情報伝達を担う飛脚も用意されていた。

このような道路と駅伝制によって,広大な国土は首都クスコを中枢として結びつけられ,帝国内における人や情報の円滑な移動が可能になった。こうして,インカ帝国は道路を利用することで帝国の統合と統治を実現した。