東大世界史2016年第3問(1) 過去問題・解答・解説 | 大学受験の世界史のフォーラム ― 東大・一橋・外語大・早慶など大学入試の世界史のために ―

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東京大学2016年第3問(1)の過去問題と,東大世界史講師(管理人)が作成した解答解説です。

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問題

古代ギリシアのアテネにおいて,紀元前508年,旧来の4部族制を廃止して新たに10部族制を定め,アテネ民主政の基礎を築いた政治家を答えなさい。












解答

クレイステネス

解説

クレイステネスは,前6世紀末頃に活躍した,ギリシアのアテネの政治家である。

クレイステネスは,名門の家系であるアルクメオン家の出身の人物だった。アテネでは前6世紀半ばからペイシストラトスとその子ヒッピアスらによる僭主政治が行われていたが,前510年にヒッピアスが追放されて僭主政治が終わり,その後まもなくクレイステネスは成長して力をつけてきた民衆たちと手を組むことでアテネの政治の主導権を獲得した。

そして,前508年,クレイステネスは国制の大きな改革を実施する。彼は,まず旧来の血縁にもとづく4部族制を廃止して新たに地域にもとづく10部族制を創設し,またデーモスという地区を設定した。この部族制の改革によって,貴族の勢力を削ぐとともに,民衆の政治参加を実現するための仕組みを準備した。また,彼はオストラコンと呼ばれる陶器のかけらを用いた投票によって僭主になるおそれのある人物を追放する,陶片追放オストラキスモス)の制度を創始したと言われる。この制度によって僭主が再び出現することの予防をはかった。以上のような改革によって,クレイステネスはアテネの民主政の基礎を確立することになった。