「うちの会社は、すぐに若手が辞めてしまう。」

不景気の中でも、こういった声は未だによく聞きます。
入社3年で3割が辞めると言われた時期から状況も多少変わりましたが、
根本的な構造はあの頃を基本的に変わっていないでしょう。

定着率というと何も若手だけの話ではなく、
ヘッドハンター対策含め、色々な類型がありますが、
(統計的な数値や、本質的な問題は別として、少なくとも担当者や経営者の認識として)
一番よく聞かれるものは、若手の定着率です。

定着率が低い=社員側からの離職する者の割合が多い とすると、
「入社前の認識」=「会社側の説明」=「入社後の現実」
という式が成り立ち、かつ社員側のスタンスや環境に変化がなければ、
社員が自分に嘘をついていなければ自分から辞める理由はありません。

なので定着率が低いというのは上記の式あるいは前提条件のどこかに
ほころびがあることと理論上なります。

もちろん、会社とは個人の集合体であり、
こういった式があまり意味をなさないこともあります。
とはいえ、大枠の論点整理には役立つことも少なくありません。

そして大枠で問題を捉えたうえで、みつけたほころびの詳細を
実態把握と言う形で掴んでいかなくてはなりません。

定着率というのは、せっかく手間と金を相当費やして獲得した人材を
逃すというだけでなくて、辞めていない人の活用もしきれていないことのバロメーターにもなります。
そういう観点で、定着率を眺めるとまた別のことが見えてくるかもしれません。
インテリジェンスの調べによると、
2010年度の採用・育成による関心事の上位(複数回答)に
1位:「より良い人材を採る方法(57.4%)」
2位:「人件費(49.8%)」
が上がったとのこと。
「人件費の抑制のために少数精鋭運営」を目指しているのでは
という分析がされていた。

育成面は、「2010年は09年よりも強化したい」との答えが42.5%で最も高かったらしい。
方法としては「研修を強化する」が56.4%で最も多い回答だった。

う~ん。となると、どんな採用や教育するつもりなんだろ?
「人件費削減」が目的の「少数精鋭」には前提がありますね。

①即戦力として、事業に貢献

なんだかんだ言っても、日本は新卒中心主義です。
その中で人件費削減のための少数精鋭を目指すなら、
この不況への対応としてならある程度の即効性が不可欠。

おまけに経費削減というならなおさら。

②「よりよい人材」=「人より多くの業務をこなすor耐える人材」

ミスをなくす、よりクリエイティブな企画力と実施力で・・・云々も
最終的には(1売上/利益)あたりの人件費削減につながるでしょうが、
大抵は安直に、人件費削減にひつような「よりよい人材」って
効率よく人の何倍も業務をこなせるか、サービス残業含め長時間労働などに耐えられるか
ということになってしまうと思います。

かつて、プレイングマネージャーや、店長の過剰労働が問題になったときと同じメカニズム。
① ②の前提を考えると、どんな人材を採ろうとしているんでしょうね。

また、研修で育成するという声が多かったようですが、
どんな研修でこういった人材を育てるのでしょうか。

上記で述べたことは、荒っぽい論理展開なのは認めざるを得ませんが、
こういった側面も否めないでしょう。

新卒一括採用自体もゆっくりとではありますが、変容は確実に進んでいそうです。
「201X年の法改正などで、今年はこの資格がくる!」

ここまで安直でなくても、教育関連ビジネスが教育投資を
促すコピー(プロパガンダに近い)を毎年のようにばらまく。

当然、的を得ている内容もあるし、明らかに間違った情報は流さない。
とはいえ、完全に中立なんてNHKでさえあり得ないので、
利害関係を考慮に入れたうえでこういう情報を活用したい。
そして、そういう視点を持ちさえすれば有意義なものになる。

ただ、官製でこれをやると本当にたちが悪い。
国家資格や大学などの権威(別に彼ら彼女らが偉いのではないが)がある分、
悩める人々をさらに振り回すし、税金もつぎ込まれる分罪深い。

1990年代から大学院で専門職を育てるという流れが少しずつ強化され、
最近になって法曹、会計、MBAなど院の強化が続けられている。

その裏には、勿論色々な理由があるが、一つには少子化の中、授業料収入が
深刻な落ち込みを見せている事に対する対応も、一つの理由。

しかし、大学院卒でも仕事がなく困っている人たちもたくさんいる。
その中には、個人の責任によるものもあるが、
政策として失敗と言わざるを得ないものもある。

官製資格の扱いは人の人生を平気で振り回すことにつながり
短絡的な施策は許されない。