1 設問1

 1 逮捕①について

  (1) ①自体の適法性について

   ア 逮捕の理由について

     逮捕状を請求するには,逮捕の理由を認めるべき資料を提供しなければならないところ(刑事訴訟法(以下,「法」とする)1991項,刑事訴訟規則(以下,「規則」とする)143),本件でPは,Wの供述録取書を疎明資料として逮捕状の発付を受けている。

     もっとも,Wが甲の写真を見て犯人に間違いないと断言したのは,事件から4か月も経過した後のことである。通常,そのような長期間が経過した後に犯人だと断言すること困難である。

     そこで,Wの供述録取書のみでは逮捕の理由が認められず,他の逮捕の理由を示す疎明資料は存在しないため,逮捕の理由はない。

   イ 逮捕の必要性について

     甲には前歴前科がなく,強盗事件については全く身に覚えがないと供述している。それゆえ,甲が逃亡するおそれがあるとは言い難い。

     また,Pらは,甲を尾行や張り込みをしている以上,甲に逃げられるおそれは低い。

     そうだとすれば,逮捕①に関しては「逮捕の必要がない」ことになる。

   ウ よって,逮捕①は違法である。

     なお,PV女に対する殺人及び死体遺棄事件を解明する目的で,甲を通常逮捕している。これは,いわゆる別件逮捕となって違法とも考えられうるが,実際には殺人・死体遺棄事件に関する取調べは1日約30分間の説得にとどまっている。即ち,強盗事件においての逮捕の実体は喪失されていない以上,別件逮捕としては違法ではない。

  (2) ①に引き続く身体拘束の適法性について

   ア 前述のように,甲には強盗事件を犯したことを疑うに足りる理由がないため,勾留の理由も認められない(601項柱書)

   イ また,甲に罪証隠滅や逃亡のおそれもなく,甲に定めまった住居がないとの事情もない以上,法601項各号の勾留の必要性は認められない。

   ウ よって,甲に対する勾留は違法である。仮に,勾留の要件を満たすとしても,先行している逮捕①が違法である以上,違法性を承継して逮捕①に引き続く勾留も違法となる。

 2 逮捕②について

  (1) ②自体の適法性について

   ア Qは,乙を現行犯逮捕(2121項,213)しているところ,Q自身が乙の万引きを現認しているため,犯罪と犯人の明白性が認められる。

     また,Qは直ちに乙を追い掛けて逮捕しているため,逮捕の時間的場所的接着性も認められる。

     さらに,乙は,Qに呼び止められた際,突然逃げ出す行動に出ており,逮捕の必要性もある。

   イ よって,Qが乙を現行犯逮捕したことは適法である。

     なお,乙への現行犯逮捕は別件逮捕により違法となるかも問題となるが,Qは,乙に対してV女に対する殺人・死体遺棄事件に関する事項を一切聴取していない以上,逮捕②の実体が喪失していないため,違法とはならない。

  (2) ②に引き続く身柄拘束の適法性について

    まず,乙は窃盗の現行犯人として現認されて逮捕された以上,勾留の理由がある(601項柱書)

    次に、乙は単身で居住している以上,いつでも逃亡するのが容易であるため,勾留の必要性もある(6013)

    よって,乙に対する勾留は適法である。

 3 逮捕③④について

  (1) 逮捕③④自体の適法性について

   ア 甲について

    () 逮捕の理由について

       メール①には,Bが甲乙からV女を殺害したことを聞いた状況と,B甲及び乙の3人でV女の死体を遺棄した状況が記載されていた。かかるメール①は,Bと親しい関係にあるA女に送ったもので,虚偽の可能性は低い。これは,B以外はBのパソコンを使用することがないと断言するA女の供述からも虚偽のおそれはないと考えられる。

       そして,甲自身は,Pに対しV女を埋めた旨の供述と,メール①の内容に沿う供述をしている。また,甲の携帯電話に保存されていたメール②(資料2)には,メール①を前提としたV女の死体遺棄に対する報酬に関する記録が残っていた。

       以上のような事情に照らせば,甲がV女の殺人及び死体遺棄を犯したことを疑うに足りる理由がある。

    () 逮捕の必要性について

       甲は,逮捕①に基づくPの説得にもかかわらず,V女に対する殺人・死体遺棄に関する供述に一切応じなかった。

       前述の罪を犯したことを疑うに足りる理由がありつつ,供述に応じないことは逃亡のおそれも考えられるため,逮捕の必要性がある。

    () よって,逮捕③は適法である。

   イ 乙について

    () 逮捕の理由について

       乙のパソコンメールには,BV女の死体遺棄をしたことに対する報酬に関するメールの交信記録が残っていた。

       これもメール①を前提としたものであり,メール①自体が内容において信用性が高いものであるため,乙もV女に対して殺人・死体遺棄を行ったと疑うに足りる相当の理由がある。

    () 逮捕の必要性について

       乙は,上述の逮捕の理由が認められるにもかかわらず,余罪はない旨供述し,捜査に協力する姿勢がない。それゆえ,乙においても,逃亡のおそれは考えられ,逮捕の必要性もある。

    () よって,逮捕④も適法である。

  (2) その後の勾留について

    甲乙には,勾留後においても殺人・死体遺棄についての一切の質問について黙秘しているため,逃亡の恐れがある。

    それゆえ,甲乙には勾留の必要性が認められ,甲乙に対する勾留は適法である。

2 設問2

 1 資料1の証拠能力について

  (1) 資料1の捜査報告書には,甲乙の供述を聞いたBの供述や,B自身の供述が含まれている。

    そこで,資料1は伝聞証拠(3201)として証拠能力が認められないか検討する。

  (2)ア この点,伝聞証拠に証拠能力が認められない趣旨は,供述証拠には,知覚・記憶・表現・叙述という過程の中で過誤が混入しうるところ,伝聞証拠においては反対尋問(憲法372)の機会がなく,過誤をテストすることができない点にある。

     そこで,伝聞証拠とは,公判期日における供述に代える書面,又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述であって,原供述の内容の真実性を証明するために使用される証拠をいうと解する。

   イ 本件では,資料1の立証趣旨は,「殺人及び死体遺棄に関する犯罪事実の存在」とされているところ,資料1から立証される要証事実もその記載内容に照らして「殺人及び死体遺棄に関する犯罪事実の存在」となる。

     そうだとすれば,資料1の中の甲及び乙の「殺した」「埋める……のを手伝ってくれ」や,Bの「埋めた」という供述の内容が真実かどうかが問題となる。

   ウ それゆえ,原則として資料1には証拠能力は認められない。

     もっとも,真実発見(1)の見地から,証拠とする必要性と,信用性の情況的保障がある場合には,例外的に証拠能力が認められると解する(321条以下)

  (3) そこで,伝聞例外について検討するに,まず捜査報告書自体の証拠能力については,3213項によってPが真正に作成されたものであることを供述することで認められると考えられる。

    なぜなら,資料1のメールは,単に印刷したものであって,五官の作用によって物の存在・性状を認識し記録する検証と同視できるからである。

  (4) 次に,Bの供述部分については,32113号により証拠能力が認められる。

    即ち,Bは「死亡」し供述不能であって,Bの供述部分は「完全に埋めた」とされており,要証事実の証明に欠くことができず,そして資料1のメールは他人が使用していないBのパソコンから送信されたもので,親しい間柄にあるA女に送られたものであることから特信情況も認められるからである。

  (5)ア そして,甲乙の供述部分については,Bが代わりに述べるという伝聞過程が加わるため、再伝聞にあたる。

     もっとも,Bの供述に証拠能力が認められることにより,Bの供述は「公判期日に代えて」証拠となる(3201項反対解釈)

     そうだとすれば,Bの供述を「被告人以外の者の……公判期日における供述」とみなして,3241項,3221項の要件を満たせば証拠能力が認められると考える。0

   イ 甲部分については、「殺した」,「V女を埋める……のを手伝ってくれ」と犯罪を認める内容であるから,甲にとって「不利益な事実の承認」にあたる。また,任意性を疑う事情もない(3221)

     よって,甲供述部分の証拠能力は認められる。

   ウ 次に,乙部分についても,甲と同様に「不利益な事実を承認」するもので,任意性にも疑いはない(3221)

     よって,乙供述部分にも証拠能力は認められる。

  (6) 以上により,資料1の証拠能力は認められる。

 2 資料2の証拠能力について

  (1) 資料2についての立証趣旨は,「死体遺棄の報酬に関するメールの交信記録の存在と内容」とされているところ,資料2の内容は,V女を埋めた報酬の支払いについてのやり取りである。

    かかる資料2により要証事実となるのは,死体遺棄に関して報酬の約束をしていたことである。

    そうだとすれば,資料2の内容ではなく,報酬に関するメールをしたこと自体,即ちメールの存在自体が問題となる。

    それゆえ,資料2は非伝聞証拠となる。

  (2) よって,資料2にも証拠能力は認められる。

以上

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【追記】

設問1

捜査は残念。別件逮捕があからさまなのに、規範を挙げずになお書きで済ますという暴挙。

逮捕勾留の要件の検討も、独りよがりというか、常識離れしたものばかりで自分にがっかり。

設問2

伝聞は大枠を捉えられたのが沈まずに済んだのか?でも、殺人と死体遺棄とで分ける部分、甲と乙とで証拠の使い方が異なる点など、細かい部分がつめ切れていない。

また、資料2のあてはめは間違っていると思う。いや、要証事実の捉え方をミスっている。要証事実を毎度毎度認定するのではなく、立証趣旨が意味なくなるときに認定するという判例の考え方が理解できていなかった。


※刑訴も書く訓練が必要。伝聞の構造は特にそう。

捜査に関しては、自説を固めるのが最優先!あてはめも、常識から離れないこと!!!!


1 甲の罪責

 1 乙の身体に加えた暴行について

   甲は乙の腹部を右の拳で1回殴打し,また乙の顔面を右膝で3回殴るという不法な有形力,即ち「暴行」(刑法208)を加えている。その結果,乙は加療約1か月間を要する上顎左側中切歯,側切歯牙破折及び顔面打撲等という身体の生理的能の毀損即ち,「傷害」(204)を負った。

   よって,上記乙に対する行為により,甲には傷害罪(204)が成立する。なお,当該行為において,乙による急迫不正の侵害はないため,甲に正当防衛(361)は成立しない。

 2 丙の身体に加えた暴行について

   甲は,丙の腹部や大腿部を右足で2回蹴り,丙の頭部を右脇に抱え込んで締め上げるという「暴行」を加えている。その結果,丙は加療1週間を要する腹部打撲等の「傷害」を負っている。

   よって,上記丙に対する行為により,甲には傷害罪(204)が成立する。

 3 乙を車から振り落とした行為について

  (1) かかる行為について,甲に殺人未遂罪(203条,199)が成立するか検討する。

  (2)ア まず,殺人罪の実行行為性が認められるには,生命侵害の現実的危険性を有する行為が存在しなければならない。

   イ 本件では,乙が飛び乗った甲の車があった場所は,片側3車線のアスファルト舗装された道路であった。そして,繁華街でもあり,その日は週末でもあったことから,車の通りもだいぶ多いことが想定される。

     そして,甲の車は車高が高いタイプのものであったから,乙がそのような高さから地面が硬いアスファルト道路に落ちれば,乙において重大な傷害が生じることも考えられる。

     また,乙が車のステップ部分に乗ったまま,信号の色も変わっているため,乙が振り落とされれば3車線という交通量が多い道路において,後続車にひかれることも十分考えられる。

     さらに,甲は,車のアクセルを踏み込んで加速するとともに,ハンドルを左右に急激に切るなどして,乙を振り落とそうとする行為をしている。車の速度が時速50キロメートルという高速度に達していたことにも鑑みるならば,乙が落下することで,道路上にたたきつけられたり,後続車にひかれる危険性が現実的なものとなっている

   ウ そうだとすれば,甲が乙を振り落とした行為は乙の生命を侵害する現実的危険性を有する行為といえ,殺人罪の実行行為性が認められる。

(3) これにより,乙は頭蓋骨骨折及び,脳挫傷等の大怪我を負い,一命は取り留めたものの,意識は回復せず,将来回復する見込みも低いと診断されている。

    ここで,人の死について,脳死を基準にすれば殺人の結果は生じているとも思える。もっとも,罪刑法定主義の見地から鑑みれば,基準のあいまいな脳死説に立つのは不当と考える。明確性の観点からは,人の死は,呼吸の停止,瞳孔の拡大,脈拍の停止で判断するべきである。

    本件では,乙は一命を取り留めているため,脈拍の停止はない。

    よって,殺人の結果は生じておらず,未遂にとどまる。

  (4)ア それでは,甲に殺人の故意は認められるか検討するに,その判断においては,実行行為の危険性についての認識の有無や,行為後の状況を考慮して検討する。

   イ まず,実行行為自体の危険性は前述の通り,乙の生命を侵害する現実的危険性を有するものである。そして,甲は,乙が車高の高い自身の車に乗っていることを認識しつつ,乙を振り落とすために敢えてアクセルを更に踏み込んで加速するとともに,ハンドルを左右に急激に切って車を左右に蛇行運転させている。

     次に,甲が乙を車から振り落として,乙が頭部を路面に強打するという危険な落下の仕方をしているにもかかわらず,甲は何も心配することなくそのまま逃走した。

   ウ 以上の事実に鑑みれば,甲は乙が死亡する可能性を認識し,あえて実行したという認容も推認することができる。それゆえ,甲には殺人について少なくとも未必的な故意が認められる。

  (5) よって,甲には乙に対する殺人未遂罪が成立する。

 4 以上により,甲には,乙に対する傷害罪(204)と丙に対する傷害罪(204)と,乙に対する殺人未遂罪(203条,199)が成立し,これら併合罪(45条前段)となる。

2 乙の罪責

 1 甲の腰背部付近を蹴った行為について

  (1) 乙のかかる行為により,甲は腰背部打撲等の怪我をしているため,乙の行為は傷害罪(204)の構成要件に該当する。

  (2) もっとも,乙の行為は丙を助けるためになされたものであるから,正当防衛(361)として違法性が阻却されるか検討する。

    まず,甲が丙の頭部を締め上げていたのであるから,「急迫不正の侵害」が存在する。

    次に,確かに,乙は甲にやられた仕返しをしてやろうという思いもあるものの,丙を助ける意思と併存して丙に暴行を加えていることから、「他人の権利を防衛するため」になされたものといえる。

    そして,「やむを得ずにした行為」とは必要最小限の行為をいうところ,甲は普段から体を鍛えていて腕力に自身があった。そのような甲による両手を組んでの丙の頭部を締め上げる行為を防ぐためには,甲に気付かれない背後から腰背部を蹴る必要があり,かつ不相当な行為でもない。それゆえ,必要最小限といえ,「やむを得ずにした行為」にあたる。

    よって,乙には正当防衛が成立し,違法性が阻却される。

  (3) 以上により乙の上記行為には傷害罪が成立しない。

 2 甲の左前腕部を切り付けた行為について

  (1) 乙のかかる行為により,甲は加療約3週間を要する切創を負っている。それゆえ,乙の行為は傷害罪(204)の構成要件に該当する。

    なお,乙に殺意はないと考える。なぜなら,乙は逆上してナイフで切りつけたものであって,創傷の部位も身体の枢要部ではないからである。

  (2) 次に,乙の行為は,甲の乙丙に対する暴行と時間的場所的に接着しているため,正当防衛状況が継続しているとして正当防衛として違法性が阻却されるとも思える。

    もっとも,乙丙が甲に暴行を加えた後,甲は形成が不利になったとして,乙丙から全速力で逃げ出している。即ち,すでに甲による急迫不正の侵害がなくなっている。また,乙は甲を痛めつけてやらねば気持ちがおさまらないという積極的加害意思で上記行為に及んでいる。そうだとすれば,乙は「急迫不正の侵害」がないにもかかわらず甲に傷害を加えたもので,量的過剰の正当防衛にあたる。

    よって,乙に正当防衛は成立せず,傷害罪の違法性も阻却されない。

  (3) よって,乙には傷害罪が成立する。

 3 以上により,乙には傷害罪(204)のみが成立する。

3 丙の罪責

 1 甲の頭部を殴打した行為について

  (1) 丙は,甲の背後からその頭部を右手の拳で2回殴打するという「暴行」を加えている。これにより,甲は加療2週間を要する頭部打撲という「傷害」を負った。

    よって,丙の行為は,傷害罪(204)の構成要件に該当する。

  (2) もっとも,丙の行為は正当防衛(361)として,違法性が阻却される。

    なぜなら,丙は,暴行を続けている甲が乙に向かっていこうとしたために暴行を加えたのであって,「急迫不正の侵害」が存在し,乙という「他人の権利を防衛するため」に「やむを得ずにした行為」だからである。

  (3) よって,丙には傷害罪は成立しない。

 2 乙が甲にナイフで切りつけた行為について

  (1) かかる行為につき丙も傷害罪が成立するか。乙丙の甲に対する正当防衛行為が成立するにあたって,丙が乙に対し「助けてくれ」と呼びかけ,乙丙の協力関係がそのまま継続して,丙自身にも乙に成立した傷害罪が成立するか検討する。

  (2) この点,協力関係の継続の有無は,①行為の状況の変化や,②協力者の態度の内容を見て判断すると解する。

  (3) まず,①行為の状況の変化については,初めは一方的に甲が乙丙に対し暴行を加えていたところ,乙丙が反撃した後は,甲は対抗することなく全速力で逃げ出している。即ち,すでに甲としては暴行を継続する状態にはなくなったのであり,乙丙としても正当防衛行為をする必要がなくなっている。

    次に,②協力者の態度の内容については,乙が逆上して甲を追いかけていたところ,丙は,乙が何をするか分からないと心配して2人を負い掛けている。即ち,外形的には乙丙の協力関係は消滅していないようにも思えるが,丙の内心は乙を止めるつもりであった。そして,丙は乙に対し,「やめておけ。ナイフなんかしまえ。」と叫んで乙の行為を制止しようとしている。また,乙が甲にナイフで切りかかったところ,すぐに乙の両肩をつかんで後方に引っ張り,乙を甲から引き離している。

    以上の事実に鑑みれば,正当防衛状況が消滅した後に,丙は乙の傷害行為を止めるために2人を追い掛けていたものということができる。それゆえ,乙丙間の正当防衛における協力関係は継続していない。

  (4) よって,丙は,乙に成立した傷害罪の罪責を負わない。

 3 以上により,丙には犯罪が成立しない。

以上。

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【追記】

刑法は論理性が現れる科目だと思います。自分の場合は答案を書く練習が必須。

(1)甲の罪責

 正当防衛を落としたのが痛い。実行行為と殺意の認定で満足してしまった。そして、事実の評価が実はできていない。足りない。事実の羅列に少し近い。

 正当防衛を落としたため、自招侵害の論点も出てこない。

(2)乙の罪責

 現場共謀落しが残念。その結果、丙の罪責でウルトラCな、刑法理論ではない議論をやってしまっている。

 正当防衛で量的過剰の処理の仕方如何。判例のように、侵害終了の前後を一体として捉えられるかどうかを検討するべきであったのでは?行為の一個性か。

(3)丙の罪責

 共謀の射程忘れ故に、意味不明な作文を作ってしまった・・・。


刑法は知識より、如何に論理的に書けるかで差がつくと思われる。

2年連続総論は続きすぎだから、来年は各論なのかな?今後新実例刑法各論をやる予定。

1 設問1

 1 Cは訴訟1の請求原因の一つである甲土地の所有を認めていた。もっとも,その後Cの訴訟代理人Qは,ADと売買をしたのはDの代理人として行われたものであり,Aは甲土地の所有者ではない旨主張している。

   このように,Cの主張は矛盾しているため,前者の陳述に権利自白が成立するならば,後者の陳述により権利自白の撤回が認められるか,以下検討する。

 2 まず,権利自白の成否については,そもそも自白(民事訴訟法179)は「事実」について生じるものであり,弁論主義第2テーゼにおいても裁判所は当事者間に争いのない事実をそのまま判決の基礎としなければならない。他方,法律問題は裁判所の専権事項である

   そうだとすれば,原則として権利自白は成立しないものの,日常的法律概念であれば当事者自身にも意味内容を理解できるため,例外的に権利自白が成立すると解する。

   本件では,Aの所有権という日常的法律概念が問題となるため,権利自白が成立する。

 3(1) 次に,権利自白の撤回については,確かに,弁論主義第2テーゼの対象が権利ではなく事実であることに鑑みれば,権利自白の撤回は自由に認められるとも思える。

  (2) もっとも,事実の自白には不可撤回効,不要証効,裁判所に対する拘束力が認められている。事実の自白の撤回は,例外的に認められるものにすぎない。

    このように,撤回が例外的とされている根拠は,禁反言,自白をした他方当事者の信頼保護,及び訴訟手続の安定に基づくものである。そして,かかる趣旨は,権利自白に妥当するものである。

 4 したがって,権利自白においても事実の自白と同様の不可撤回効の趣旨が妥当するため,Cが行った権利自白の撤回は認められない。

2 設問2

 1 Bが提起している訴訟は債権者代位訴訟(民法4231)であり,訴訟物はACに対する所有権に基づく妨害排除としての所有権移転登記手続請求権である。

   BAに対して有する被保全債権の存在は,Bの当事者適格を基礎付ける事実である。

   もっとも,BBA間の消費貸借契約の事実の立証に難渋して,Bの当事者適格が否定されるおそれがあるため,Fが当事者として参加する方法について検討する。

 2 共同訴訟参加(民事訴訟法521)について

   共同訴訟参加は,「合一にのみ確定すべき場合」,即ち既判力が及ぶ場合に認められる参加形態である。

   それゆえ,本件のFに対しても既判力が及ばない以上,Fは共同訴訟参加として訴訟1に参加することができない。

 3 独立当事者参加(471項後段)について

   471項後段の権利主張参加は,既判力や当事者適格を特に問題とされないことから,Fは独立当事者参加として訴訟1に参加できるとも思える。

   もっとも,権利主張参加は,「訴訟の目的」が「自己の権利」であることを主張するものであるところ,訴訟1の訴訟物はAの権利であってFの権利ではない。

   それゆえ,Fは他人の権利を自己の権利と主張できない以上,Fには権利主張参加としての独立当事者参加は認められない。

   なお,訴訟1ではBの立証活動の結果によって実現できるはずのAの権利が認められないことになり,一般債権者たるFの債権回収が困難となりうる。かかる場合は,471項前段の詐害防止参加をすることができるが,本問では求められていないため,検討は省略する。

3 設問3

 1 NLMに対する本訴請求の訴訟物は,乙土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求権である。そして,Kを相続したLMの中間確認請求の訴訟物は,乙土地所有権の確認である。

   L及びMKを共同相続しているところ,上記訴訟の訴訟形態が必要的共同訴訟であれば「合一にのみ確定すべき」要請から(401)Mの陳述は認められないことになる。

   そこで,上記訴訟の訴訟形態について以下検討する。

 2(1) まず,本訴請求において,L及びMが敗訴した場合に負う義務は,各自が丙建物を収去すべきする不可分債務である。

    そうだとすれば,NLだけを相手方として訴訟を続行できる。即ち,L及びMとの間で合一に確定すべき必要性がない。

    それゆえ,本訴請求は通常共同訴訟(39)となる。

  (2) 次に,中間確認請求において,L及びMは各々2分の1の共有持分権を有している。そして,共有持分権は各自が自由に処分することができる以上,中間確認請求も通常共同訴訟となる。

 3(1) そうだとすると,共同訴訟人独立の原則から,Mの行った陳述は認められるとも思える。

  (2) もっとも,元々丙建物に居住していたのはKLである。Mは遠くに離れた地方に居住している以上,Mが丙建物に住む必要性はない。

    また,丙建物は物理的に分割するのは困難である。

    さらに,Nの請求がMとの間でのみ認められても,Nの請求の目的を達することはできない。同様に,Lの中間確認の訴えにおいても,Mが放棄したならば目的を達成することはできない。

  (3) そうだとすれば,訴訟2においてMが本訴請求を認諾し,中間確認請求を放棄することは信義則(2)に反するものである。

  (4) よって,本件ではMの陳述は認められないことになる。

以上

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【追記】

設問1

答案に深みなし。構成中もなぜこんな問題に配点が高く振られているのか疑問に思った。

ここは趣旨を読んでもいまいちピンと来ない部分。

設問2

制度理解と判例の理解が足りていない。だから、記述に深みなし。

要件(規範)の理解がなかったいじょう、何とも言えん。

但し、問題の誘導を無視するような帰結で終わらせるのは勿体無さすぎる。

設問3

中間確認請求の訴訟物を間違えたのが致命的。構成中、共有権なのか、共有持分権なのか悩んだ

そもそも、民法の理解が足りていないこと。

やはり、基礎的知識がなければ、問題の所在すらたどり着けない。

でも、辿り着ければ、実は合格圏内に入るのでは?

※民訴は、ずっと講義案しか使ってなかった。あれだけだと理解が深まらない。

講義案は、身についた余分な知識を削ぎ落とすのに使えるものではないか?

演習や基本書を通して民訴の理解を深める必要があります。