この映画を初めて見たのは15年くらい前でしょうか。何本かまとめてレンタルしてきた中の1本でした。大好きなキム・ベイシンガー主演ということで借りてきたのですが予想以上に面白かったですね
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「セルラー」
2004年アメリカ(95分)
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偶然つながった見知らぬ誰かの携帯電話が、たったひとつの命綱となる女性の恐怖を描いたクライムサスペンス!
監督
デヴィット・エリス
キャスト
キム・ベイシンガー/ジェシカ
クリス・エヴァンス/ライアン
ジェイソン・ステイサム/イーサン
ウィリアム・H・メイシー/ボブ・ムーニー
ノア・エメリッヒ/ジャック・タナー
リチャード・バージ/グレイブ(ジェシカの夫)
エリック・クリスチャン・オルセン/チャッド
ジェシカ・ビール/クロエ(元カノ)
リック・ホフマン/弁護士
監督は「デッドコースター」のデヴィット・エリス。つい先日レンタルで見たサミュエル・L・ジャクソンのパニック映画「スネーク・フライト」も同監督でちょっとびっくりでした。主演は「ナインハーフ」「ナチュラル」「L.Aコンフィデンシャル」などの美人女優キム・ベイシンガー。もう一人の主役は「ファンタスティック・フォー」「アベンジャーズ」のクリス・エヴァンス。そして02年の「トランスポーター」で一躍人気を博したジェイソン・ステイサム。今や「ワイルドスピード」シリーズ、「エクスペンダブルズ」シリーズなどのアクション映画では欠かせない存在です。そして「ブギーナイツ」「エアフォース・ワン」「ジュラシック・パークⅢ」などの名脇役ウィリアム・H・メイシー。そのほか「フェアゲーム」「オーロラの彼方へ」のノア・エメリッヒ、そして当時まだ無名だった「トータル・リコール」(12年版)のジェシカ・ビールが元カノ役でちょこっと出てます
▲キム・ベイシンガー/ジェシカ
▲クリス・エヴァンス/ライアン
▲ジェイソン・ステイサム/イーサン
▲ウィリアム・H・メイシー/ボブ・ムーニー
高校の科学教師ジェシカ(キム・ベイシンガー)は、ある日夫の留守に突然見知らぬ男たちに車で連れ去られ、どこかの家の屋根裏に監禁される。しかも、リーダー格の男イーサン(ジェイソン・ステイサム)は、納屋にあった電話をハンマーで打ち砕くと、彼女を残して立ち去った。彼らが何者なのかも、目的が何なのかもジェシカにはまったく思い当たらない。彼女は粉々になった電話機をなんとか組み立てたがダイヤルすることが出来ず、偶然つながった見ず知らずの青年ライアン(クリス・エヴァンス)に助けを求める。最初は相手にしなかった彼も事の重大さに気づき、彼女を助けるために街中を奔走するが・・・
タイトルの「セルラー」は、セルラーフォン(携帯電話)のことです。スマートフォンが主流となった現在はあまり使われなくなった言葉ですね
ノンストップのクライムサスペンス
幸せに暮らす女性が突然監禁され、電話だけが命の綱という極限状態に、電話の相手の青年が彼女を助けるために街中を走りまくるという物語
初めから悪人側とそうでない側がはっきり分かれていて、単純な構図ながら、壊れた電話の配線をショート?させて電話が繋がってからノンストップで物語が動きだします。配線をつなげてつながった電話なのでリダイヤルが出来ず、通話が切れた段階で命運が尽きます。主な登場人物は4人!必死に助けを乞うのは科学教師役のキム・ベイシンガー、偶然つながった相手の大学生役のクリス・エヴァンス。そして、悪玉のリーダー格には、今やアクション映画には無くてはならないジェイソン・ステイサム。さらに、キレ者でもカッコ良くもない普通の警察官役のウィリアム・H・メイシー。その4人がつながった携帯電話を軸に、オープニングからラストまでわずか95分を一気に駆け回る極上サスペンス。次々に起こる難題に緊張感満載の快作です
電話シーンが緊張を助長する!
題名が「セルラー」(携帯電話)ということで、携帯電話での通話シーンがかなり多いのが特徴です。携帯電話を小道具に使った映画は多いですが、これほど見事に作り上げた映画は少ないと思います。相手の声しか聞こえないところに不安と恐怖を想像させます
何と言っても冒頭のつかみの上手さは際立ってます。あれよあれよという間に物語に引き込まれます。展開にはかなり強引なところもあり、矛盾もあるのですがそれを考えさせない運びの上手さとリズム感があります。次々と降りかかる難題に、電話をかける側と電話を受ける側とが次々にトラブルに見舞われ、脱していく様はハラハラ、ドキドキの連続で息を抜けません。電話がつながっている状態で全ての物語を進行させていくという手法が臨場感を生んでいます
緊張と緩和の絶妙なバランス
いつ電話が切れるかもしれないという緊張と、街中を車で走りまくるというスピード感、さらに、タイムリミットまでの得体の知れない恐怖感などが満載です。そういう緊張感の合間にクスっと笑わせてくれる場面がちょこちょこ出てきて展開のメリハリが効いてます。例えば途中で出て来るリック・ホフマン。彼は物語には直接関係ないのですが、ポルシェをライアンに取られたりして巻き添えを食うのですが、キャラが最高に面白い。どこかで見た顔だと思っていたのですが「デイ・アフター・トゥモロー」の中でバスで死んでしまう乗客役でちょこっと出てました。そして、普通の真面目な警察官役のウィリアム・H・メイシー。彼の小さな疑問から物語が意外な方向へ走り出します。まさに彼がこの映画のキーパーソンですね。海藻パックをしながら事件を推理するシーンも笑えます。そして、もう一人の主人公クリス・エバンス。彼女を助けるために走り回るのですが、彼もまだ”アメリカンヒーロー”になる前ですから頼りない(笑)
誠実だけが取り柄の真面目な警察官役のウィリアム・H・メイシー。警察をやめてエステを奥さんと開業を夢見ていた彼に周りがさかんに心配します
「美容院なんて上手くいくのか?」
「美容院じゃない!エステだっていいてるだろ!」
このセリフは何度も出てきます
▲「ナインハーフ」
▲「花嫁はエイリアン」
▲「L.A.コンフィデンシャル」
▲「ナチュラル」
泣き顔が美しいキム・ベイシンガー
この映画の公開時のキム・ベイシンガーの年齢はなんと51才!愛する夫、息子を救うために電話口で助けを乞う姿は美しい!もともとトップモデルから俳優に転身し「ネバーセイ・ネバーアゲイン」でボンドガールに抜擢され、その後ロバート・レッドフォードの「ナチュラル」、ミッキー・ロークとの共演で話題になった「ナインハーフ」さらに「花嫁はエイリアン」「L.A.コンフィデンシャル」「ゲッタウェイ」(94年版)などに出演しています。もちろん女優さんですからどんな役柄でも演じますが、個人的に彼女は笑顔というより哀し気な顔の方がお美しい。この映画でも悲壮感漂う顔で美しさが際立っておりました。以前「ワンダが選ぶ歴代美人俳優」で取り上げたことがあります(あなたが選ぶ「歴代美人女優投票」では”銀の三角”さんが投じた一票のみでした)
いきなりエンジン全開で一本道を突っ走るような小気味良い映画で、前半に比べ後半少し息切れした印象ですが、それでもすっきり後味よくまとまった良作です。最後の最後で危機を救ったのものは果たして・・?
ラストで初めて対面したジェシカとライアン
「あなたがライアン?何かお礼をさせて、わたしに出来ることない?」
「ひとつある、二度と電話しないでくれ!」