今月の「シネマDEクイズ第57回/飛行機・飛行場が印象的な映画は?」で、ワンダがブービーに推した映画です。正解するためにブービー予測しただけであって、映画そのものは大好きな映画の一本です

 

この映画は、珍しく今はなきテアトル東京でロードショーで観ております。確か全米に先駆けての公開で78年の正月映画と記憶しています。この年の夏休みに、あの「スターウォーズ」が日本公開され列島中にSFブームが巻き起こります。アメリカでは公開順が逆で「スターウォーズ」が先に公開され超メガヒットを記録していました。これにより、SF映画が人気再燃してきた折り、あるウワサが流れ始めます。と言うのも69年にアポロ11号が月面着陸して数年後に、アポロ計画陰謀説が当時の映画仲間の中で話題になったことがあります。77年当時は、今のようにネットやスマホもなく情報は新聞や雑誌、テレビ、ラジオくらいしかありませんでした。そんな時、当時入っていた映画同好会の仲間の友人がアメリカにいてそのネタを教えてくれました。そういう経緯があり、普段はロードショウではめったに観ない自分もいち早く映画館に走りました。そういう意味で、この映画は思い出の映画の一本でもあります

 

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「カプリコン・1」

1977年アメリカ(129分)

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77年に日本で公開され大ヒットしたピーター・ハイアムズ監督のSFサスペンスアクションの傑作!

 

 

◆ 監督・脚本

 

ピーター・ハイアムズ

 

◆ 音 楽

 

ジェリー・ゴールドスミス

 

◆ キャスト

 

エリオット・グールド/コールフィールド(記者)

 

ジェームズ・ブローリン/ブルーベーカー

サム・ウォーターストン/ウィルス

O・J・シンプソン

 

ブレンダ・ヴァッカロ/ブルーベーカー夫人

 

カレン・ブラック

テリー・サバラス

 

監督は、スティーブ・マックイーン最後の主演映画「ハンター」(80)さらに、ジーン・ハックマンの「カナディアン・エクスプレス」(90)のピーター・ハイアムズ。主演には、ご存じの方も多いと思いますが、朝鮮戦争を舞台にした怪作「M★A★S★H」のトラッパー役、そして、ハードボイルドの名作「ロング・グッドバイ」のエリオット・グールド。そういえば、「ロング・グッドバイ」には、まだ無名の頃のシュワちゃんが用心棒役で一瞬でしたが出てましたね。エリオット・グールドは「オーシャンズ11」などでオーシャンを助けるサングラスの資産家役と言えばわかるでしょうか。宇宙飛行士役には「ウエスト・ワールド」(73)のジェームズ・ブローリン、「華麗なるギャツビー」(74年版)のサム・ウォーターストン、「カサンドラ・クロス」(74)などのO・J・シンプソンの三人が扮してます。そのほか、カレン・ブラック、テリー・サバラスもちょこっと出てます

 

 

▲エリオット・グールド/コールフィールド(記者)

▲宇宙飛行士役の三人/サム・ウォーターストン、ジェームズ・ブローリン、O・J・シンプソン

 

人類初の有人火星探査の宇宙船「カプリコン・1」が火星に打ち上げられた。ところが、打ち上げ寸前になって3人の宇宙飛行士たちは降ろされ、秘密裏に砂漠へ連れて行かれたのだが・・・

 

72年の「ポセイドン・アドベンチャー」などによるのパニック映画ブーム。73年の「エクソシスト」などのオカルト映画ブーム。75年の「ジョーズ」による動物パニックブーム。そして77年の「スター・ウォーズ」のSF映画ブーム。これら革新的な名作が並ぶ70年代映画の中にあっても異色の映画です!

 

▲砂漠に作られた火星の撮影所

 

♣ ワン・アンド・オンリーの作品!

 

若干ネタバレになりますが、早い話しこの映画は、火星に行く宇宙飛行士たちが発射直前に連れ去られ、火星を再現したセットで映像を捏造して世界中を騙すという物語です

 

よく映画化できたなあ~というのが正直な気持ちで、時代を切り開いた傑作の多い70年代の中でもワン・アンド・オンリーのアイデア作品の頂点ともいう映画です。つまり、この映画にはパクリや亜流がほとんど存在しません。真似ようがないからです。「ミクロの決死圏」「ドーベルマン・ギャング」なども同様映画と言えると思います。中身はいろいろ問題ではありますが、この一点だけでも価値ある、観るべき映画です

 

 

 

 

♣ 映画史に残るスカイ・チェイス!

 

国家機密を守るほどの規模にしてはヘリ2機の追跡はしょぼいですし、火星からの通信は20分かかるんじゃなかったでしたっけ(笑)。見れば見るほど他の70年代映画と同様ツッコミどころ満載ではあるものの面白いですね。よくぞ作ってくれたと言いたいですね

 

全体的に緊張感が今ひとつでツメの甘さもありますが、カーアクションとスカイ・チェイスは手に汗握ります。今でこそカー・アクションはすでにやり尽くされた印象ですが、「ブリット」(68)のビル・ヒックマンがこだわったというだけあって見どころ満載です。ローアングルでの走行シーンはジーン・ハックマンの「フレンチ・コネクション」を彷彿させ、思わず身体をのけ反らせてしまうほどです。さらに、映画史に残るヘリ2機と旧式の複葉機(農薬さん散布用)とのスカイ・チェイスは息を飲む迫力でした。このシーンが忘れられなくて「シネマDEクイズ」で推しました

 

 

 

前半は静かな陰謀劇、中盤はちょっと退屈な砂漠シーン、後半はアクションです。便宜上SF映画にカテゴライズしておりますが、SF映画というよりアクション・サスペンスというほうがしっくりきます

 

 

♣ アポロ11号の月面着陸は?

 

冒頭の話しに戻りますが、「アポロ11号の月面着陸」はフェイクで、実は、あれはスタンリー・キューブリックが政府の命を受け極秘に撮影されたものという説があります。それこそ都市伝説なのですが、この映画を観て、ひょっとしたら・・そう考えるのも楽しいですね

 

近代SF映画やアクション映画と比較すると比べようもなく稚拙ですが、サスペンスとしてはなかなかイケます。音楽は、あのジェリー・ゴールドスミスで抜かりはありません

 

一度は観るべき映画です。是非どうぞ!