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講演・インタビューなど
<連続>
『労働法実務研究会(大阪)』(ゼミ指導/JILA/2017~)
『労働法実務研究会』(ゼミ指導/JILA/2016~)
『社内弁護士実務スキル研究会』(ゼミ指導/JILA/2011~)
『企業法務論』①~⑮(正規授業講師/大宮ロースクール/2008年度)
『企業法務論』①~⑮(正規授業講師/大宮ロースクール/2007年度)
『保険事例研究会(東京、生保)』(メンバー/年9回/生命保険文化センター/2005~)
『保険事例研究会(大阪、生保)』(メンバー/年9回/生命保険文化センター/2007~)
『損害保険判例研究会』(オブザーバー/年4回/損害保険事業総合研究所/2013~)
『社内弁護士と民暴対策』(ゲスト/年1回/一橋大ロースクール/2008~)
『最強の社内弁護士』(大宮・桐蔭ロースクール/2014~)
『社内弁護士と民暴対策』(司法修習生選択修習/東弁民暴委員会/2018, 2017など)
 
<単発>
『フィデューシャリーデューティーを使いこなす』(チューリッヒ生命/代理店研修/2018(3回))
『労務デューデリジェンスの活用』(大阪弁護士会・JILA共催セミナー/2018)
『働き方改革』~企業による働き方改革とその留意点~
 (中小企業法律支援ゼネラリスト養成講座【後期】/東弁/2017)
『Installing Strong Internal Control System in Your Business Operation』
 (Japan Corporate Compliance and Governance Forum/パネラー(英語)/Asian Legal Business/2017)
『ガバナンス、内部統制、コンプライアンス』(チューリッヒ保険/代理店研修/2017)
『米国新政権下の外交政策で試されるグローバル・リスクマネジメント』
 「ビジネスロー・ジャーナル『米国ビジネスセミナーシリーズ第1弾』」
 (共演・主催:チューリッヒ保険会社、共催:レクシスネクシス・ジャパン株式会社/2017)
『インハウス弁護士と国際業務』~国際分野のスペシャリストを目指す法律家のためのセミナー~
 (パネラー/日弁連・法務省・外務省共催/2016)
『問題社員対応の実務』-解雇・ハラスメント・メンタルヘルス事案を題材として-(弁護士会、JILAなど多数)
『労働者派遣法』~新しい労働契約ルール~
 (平成24年の労働関係法令改正が実務に与える影響/東弁/2013)
『模擬株主総会』(パネラー/特暴連/2010, 2006)
『企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針の実践』(パネラー/特暴連/2008)
『少人数法務部の運営課題』(パネル共同司会/経営法友会/2008)
『組織内弁護士』 ~国や企業で活躍する弁護士最前線~
 (http://www.nichibenren.or.jp/ja/publication/movie/index.html/映像作品主演/日弁連/2007)
『戦略的アライアンス構築における法的環境と法的リスクを踏まえた留意点』(日本能率協会/2002)
『コンプライアンスの理論と実践』(経営情報研究会/㈱コアサイエンス/2001)
『社内弁護士業務の紹介』(ロースクール、雑誌インタビューなど多数)
『社内弁護士という選択』『法務の技法』『法務力』
 (日弁連、弁護士会、JILA、ロースクール、一般セミナーなど多数)
 
※ 講演、研修も承ります。

 

「労務トラブル防止ゼミナール」開催!!20197月~、毎月1回)

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今日の労働判例

【国・中労委(明治〔昇格・昇給差別〕)事件】

東京地裁平30.11.29判決(労判1121.31

 

 この事案は、労働組合内の少数派であった従業員たち(まとめてX)が、昇給・昇格で差別を受けたとして救済を申し立てたものです。労働委員会で、Xの請求が否定されましたが、これに対する不服を審理した裁判所でも、Xの請求を否定しました。

 救済をいつまで申立てることができるか、という論点もありますが、ここでは、差別的な処遇かどうか、という論点についてだけ検討します。近時問題となっている労契法20条(均等処遇)の判断の参考になると思われるからです。

 

1.比較対象と基準

 ここで特徴的なのは、集団対集団の比較をしている点です。

 すなわち、一方で、X30名余しかおらず、比較されるべきは、(多数派組合員は410名余ではなく)全従業員1万名余であり、母数に大きな差があるうえ、Xが職分や所属工場の割合が近似しているわけではありません。これに関連して、裁判所は特に、人数の差が統計データに与える影響を、明示的に強調しています。つまり、Xの人数が少なく、1名の評価が全体の割合に大きな影響を与えることから、「(Xと全従業員)との間に人事考課成績分布について一定の差があるとしても、そのことをもって直ちに不合理ということはできず、その差が有意なものであり、本件で集団的考察を行うに当たっては、このような一定の限界があることを考慮すべきである。」と示しています。

 これは、実際に裁判所が検討している内容を見れば容易に理解できますが、分布割合が多少Xにとって不利益なように見えても、その差が小さく、例えば1人の評価を変えれば逆転してしまうような範囲であれば、「有意な差」は存在しない、すなわち差別ではない、ということを意味します。数字での比較が原則であるものの、そこには多少の「遊び」が含まれるのです。

 

2.判断枠組み

 次に、実際にXの処遇が差別に該当するかどうかを判断するわけですが、大きく2つに分けて整理すると、裁判所の判断枠組みを理解できます。

 1つ目は、許容される振れ幅です。

 すなわち、会社Yは、評価の分布目標を定めています。A=5%B=15%C=60%D=15%E=5%であるところ、平均値であるCについては、その数値の大きさを特に問題にしていません。

 他方、B以上か、D以下については、「それぞれ10%から20%までの範囲内にある場合には、標準的な人事考課成績分布(中略)と比較して低位であるということはできないというべきである。」と示しています。

 実際に当てはめている個所も併せて読めば理解できることですが、裁判所は、①Cは比較対象外であること、②ABDEは、バラバラに見るのではなく、A+BD+Eと合わせて比較すること、という枠組みを示しました。

 つまり、実際のA+Bの割合が、分布目標となる5%+15%=20%であるところ、10%20%であれば問題がなく、D+Eの割合が、分布目標となる5%+15%=20%よりも20%以上乖離している場合には、差別になるのです。実際に、AEと評価された従業員がXの中に存在しないことを考慮すれば、Xの中にE評価だけが居てA評価がいないような状況ではないことから、このように複数のグループをまとめる方法も合理的でしょう。実際に、(裁判所は言及していませんが)統計学上も、標本が少ない周辺部分の項目について、合体させて処理することが合理的とされています。

 

3.あてはめ

 2つ目は、実際のあてはめです。

 裁判所は、まず、特に乖離の大きい特徴的な数字を参考に引用しています。

 すなわち、年度によって、B以上が6.3%9.4%D以下が21.9%、と事実認定しています。

 そうすると、上記10%20%の範囲から外れてしまいます。

 けれども、裁判所は、最大3.7%の誤差は、X32名のうちの1名の成績が変われば、約3.1%変動することから考えると、「最大でも(Xら)のうち1名程度の相違にすぎない。」として、Xの人事考課が標準的な分布と比較して「有為に低位であるということはできない。」と結論付けています。

 

4.実務上のポイント

 労働組合法に関する裁判例は、あまり積極的に検討していませんが、この裁判例を取り上げたのは、ここで示された統計的な比較方法が、労契法20条で参考にされる可能性があるからです。

 たしかに、労契法20条違反に関し、これまでの裁判例では、特定の個人と、類似したグループの処遇の違いを比較しています。

 しかし、同様のグループに属する複数人が原告になる場合もあり得ます。また、個人の場合でも、グループとグループの比較を行う場合もあるでしょう。

 すなわち、無期契約者のグループと、有期契約者のグループを、問題となる手当や処遇ごとに比較し、後者の手当てや処遇が前者の手当てや処遇と比較した場合、統計的に「有為に低位」である、と証明するのです。

 どのような処遇や手当にこの方法が適用されるのか、が問題になりますが、例えば、有期契約者と無期契約者とで、制度設計上は同じ手当(但し、人事考課などによって金額が変動する手当)に関し、運用上、有期契約者の方が全体的に金額が低い場合、などがこれに該当するでしょう。運用上の違いも、労契法20条の「労働条件」の相違と評価される可能性があるからです。

 もっとも、統計的には「有為に低位」だとしても、個別に見れば、有期契約者の受ける利益が無期契約者の受ける利益(平均)を上回る場合もあるでしょうから、その場合に、どのような請求を立てるのか、という技術的な問題も検討しなければなりません。

 けれども、公平性が正面から争われる場面が増えていく中で、この事案のようなグループ対グループの比較方法が、今後、議論される機会が増えるように思われるのです。

 

※ JILAの研究会(東京、大阪)で、

毎月1回、労働判例を読み込んでいます。

その中から、毎週、特に気になる判例について、コメントします。

 

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今日の労働判例

【地方独立行政法人岡山市立総合医療センター(抗告)事件】

広島高裁岡山支部平31.1.10決定(労判1201.5

 

 この事案は、消化器科外科部長・消化器疾患センター副センター長を解任し、がん治療サポートセンター長に任命(配転命令)し、一切の外科診療を禁止する措置(診療禁止命令)を不服とする医師Xが、その無効を争ったものです。1審はXの請求を否定しましたが、2審はXの請求を大筋で認めました。

 

1.判断枠組み

 裁判所は、①XYとの間の労働契約上、黙示の職種限定合意があった、と認定しています。これは、Xには25年間にもわたる外科医としてのキャリアがあること、その技術・資格を維持するために臨床に従事することが不可欠であること、YもそれをぜんていにXを雇用したこと、等が根拠とされています。

 理論的に言えば、この合意に反した人事上の措置なので、配転命令や診療禁止命令は、これだけで無効と認定できるはずです。

 けれども、裁判所は、②念のためとして、配転命令と診療禁止命令について、権限濫用に該当するかどうかも検討し、権限濫用、という観点からも無効と判断しています。

 これは、この手続が「仮処分」手続きであることが、大きな理由になっていると思われます。というのも、本来の訴訟のように、証人尋問などを十分行ったうえでなく(行ったかもしれないが)、それに代わる「陳述書」「報告書」などの書面審査中心であるため、審理が十分でないことから生じる間違いの可能性が否定できないこと、XYいずれも、仮ではない本来の訴訟を提起することができるところ、その本来の訴訟で同じ議論が再度行われた時に、簡単に判断がひっくり返るような事態を避けるべきであること、①②両方について検討し、判断を示しておくことによって、特にYに対し、(権利として争うことが可能であるにしても)これ以上争うのではなく、裁判所の判断を受け入れるように促したいこと、が背景にあるように思われるのです。

 

2.実務上のポイント

 判断の分かれ目は、1審では、XYの指示に従わず、医師としての技量にも問題がある、と評価しているのに対し、2審では、逆に、Xが上司に反抗的ともとれる発言をしたのは、上司の手術に問題があったことが原因であること、さらに、Xが部長をしていた時の方が、売り上げも多く、チームもまとまっていたこと、と評価している点でしょう。

 併せて、コミュニケーション能力の不足を理由に、部長などを解任しながら、新たな職務はコミュニケーション能力が重要、と説明したり、新たな職務の遂行に協力しなかったりするなど、新たな職務はXに外科の診療をさせないための口実である、とも認定しています。

 整理すると、外見だけ見れば、職務命令への不服従があり、1審はこの点を重視したのですが、その職務命令に合理性が無い場合には、権限濫用となり、2審はこの点を重視しています。

 すなわち、人事上の命令と、それに対する不服従、という外形だけ整えるだけでなく、その命令に合理性があることを十分検証しなければ、処分の合理性が否定されるリスクがあるのです。

 

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