
さて、しばらく前から続いているZZR不調の件ですが。
実はまだ治ってません

長期化しそう(している)なので、独立した記事として書いてみます。
■症状
① アイドリングは音、回転数ともに安定している
② 1~4速まではレッド手前まで全く問題なく吹け上がる
③ 5~6速で高回転域まで回そうとすると、6,000rpm あたりで回転が頭打ちになる
④ 6,000rpm付近でキープすると、ガス欠手前のときみたいにガクンガクンする
⑤ 音を聞いているとボボッボボボッみたいな、4発がうまく燃焼できていないような音がする
⑥ ギアを落とすと問題なく吹け上がる
(⑤をしばらく続けた後だと少し調子悪くなる場合もある)
どうも、挙動は 「エンジンが高負荷状態の時に失火しているような感覚」 でした。
よい混合気
よい圧縮
よい点火
といいます。
今回のような症状では、特定条件下で燃焼できていないような状況なので、まずは吸気系と燃料供給の部分を疑ってみます。
■切り分け①: キャブレターのオーバーホール
まずはキャブの再オーバーホール。
6,000rpm付近で症状が出るということはメインジェット系か・・・?
ただ、1~4速ではどの回転数でも問題ないという事実もあります。
ジェットや各穴の使いどころはギヤの位置ではなくスロットルの開度に連動しているので、「高いギヤでのみ症状が出る」 という点が理屈に合っておらず、腑に落ちません。
とはいえ、トラブルシューティングの基本は「消去法」です。
考えられる可能性を消去法で潰していき、原因の絞込みを行います。
OHしてみないことには切り分けになりませんので、やってみました。


ZZR-400 キャブOH その①/キャブレター取り外し
ZZR-400 キャブOH その②/キャブレター分解掃除 part1
ZZR-400 キャブOH その③/キャブレター分解掃除 part2
結果は半分予想通りの「症状変わらず」でした

ただ、これだけでは足りないので、後日ヤフオクでジャンクのキャブを落札して、
・ ジェットニードル交換(4つ)
・ バキュームバルブ交換(4つ)
・ 再々OH (今度は全てバラしてキャブクリ漬けしました)
これでどうかと思いきや、やはり症状は変わらず・・・


ただ、症状の出る5~6速の高回転域以外の調子と音は抜群に良くなりました

合計3度のオーバーホールを通し、出来ることは殆どやった感じです。
あとは、オーバーホールした予備キャブを丸ごと入れ替えて症状が変わるか確認しようと思いますが、それは後日別の作業のついでにやるとして、吸気系以外の部分に目を向けてみたいと思います。
(ちなみにエアクリのエレメントは先日交換したばかりなので疑っていません)
■切り分け②:フューエルフィルター交換、フューエルタンク洗浄
燃料供給系を疑うとしたら、ポイントは
・ キャブ内部のガソリンの通り道
・ フューエルポンプ内部
・ フューエルフィルタ
・ フューエルコック
・ フューエルタンク内部
あたりですね。
キャブ内部のガソリンの通り道は、キャブOH時にチェック済みです。
ポンプは高くつくので(Parts No.49040-1057 約15,000円)、最後に残しておきます。
というか、症状から考えると可能性は高くないですしね。
というわけで、まずはフューエルフィルタの交換。
ZZR-400 フューエルフィルター交換
フューエルタンクからポンプまでの間で、ガソリンを綺麗にする役割を持ちます。
ぶっちゃけ、これが原因になっている可能性は「全くない」と考えています。
どちらかというと、安価だったので「ついでに替えておこう」程度の感覚です。
(もしかしたら、燃費にも影響があるかもしれないし)
そして、ある日のこと。
フューエルタンクを降ろしてプラグやキャブのチェックをしていたところ。
ふと振り向くと。
フューエルタンクの下の地面が黒く濡れていました。。。
というか、コックに接続されたチューブに亀裂が入り、そこからガソリンが吹き出していました



「大変だーーー!!!!」
と慌てふためくも、周りには誰もおらず。
と思ったら素晴らしいタイミングで嫁が様子を見に来てくれたので、ダンボールを持ってきてもらい、そこにタンクを逆さに置いて、亀裂の入った部分をビニテでグルグル巻きにして事なきを得ました。
(いや、だいぶ漏れてたので「事なき」ではないんですが・・・)
応急処置を終えてチューブを速攻で注文するも、届くのは数日後。
ちょっとドキドキものでした

ところで。
この状態だと、いつガソリンが漏れ出すかわからず心配だったので、急遽 10リットル携行缶を購入して退避することにしました。
ただ、フューエルタンクの中身が空の状態で何日も放置する羽目になったので、恐らくタンク内はサビサビになっていると思われ・・・
というわけで、ちょうど良い(?)機会なので、フューエルタンクの錆抜き(洗浄)も行うことにしました。


ZZR-400 フューエルタンク洗浄
と、そんなこんなで紆余曲折ありましたが、ここまでの結果は・・・
「症状変わらず」です



(まぁ、そうだろうと思ってました)
残すはフューエルポンプとコックの交換です。
が、これは今回の原因とは違う可能性が高いので、とりあえず保留。
(恐らく、替えないと思います。)
というわけで燃料供給系の切り分けは一旦終了です。
■切り分け③:プラグ交換
吸気系・燃料供給系ときたら、次は点火系です。
「点火系」と一言でいっても、プラグのように直接点火に関わるパーツから、CDIやピックアップコイルなどのように点火系のタイミング制御をするパーツ、イグニッションコイルのように点火系に直接連動するパーツ、プラグコードやプラグキャップのようなケーブル・キャップ類と、非常に多岐に渡ります。
さて。
ちょっと振り返ってみて、症状を改めて書くと、
エンジンに高負荷がかかる状態で失火しているような感覚
でした。
なので、まずは直接的なパーツとしてスパークプラグを変えてみました。
ZZR-400 スパークプラグ交換
現在入っているプラグ(NGK CR9EIXイリジウム)から、標準プラグ(NGK CR9E)へ。
結果は、症状変わらず




ぶっちゃけ、イリジウムを抜いて色を見たときに、
「あぁ、こりゃ関係ないな」
とは感じていたので予想通りの展開です

ここで改めて、「エンジン高負荷のときに失火する」という症状で調べてみると、「プラグコードの絶縁不良によるリーク(漏電)があると、症状として『ある一定の回転域』とか『エンジン高負荷時』にプラグが失火してしまうケースが考えられる」という記事を見つけました。
うむぅ~、プラグコードのリークかぁ・・・
はっ!

そういえば、プラグコードとプラグキャップは社外品に交換しています。
随分前に、純正のプラグコードをカットして社外品のプラグコードを接続しているので、もしかしたらこれが原因になっているのかも・・・



しかし何で今更・・・
■切り分け④:プラグコード、プラグキャップ交換
プラグコードやプラグキャップのリークは特定するのが難しい上に、ZZRのメンテナンス性の悪さを考えると、試走しては開けて、試走しては開けてを繰り返すのは時間と手間的に、かなり無謀といえます。
なので、ここまで来たらごちゃごちゃ考えずに(面倒くさかったので)、イグニッションコイルとプラグキャップを純正新品で注文しちゃいました。
Parts No. 21121-1227 イグニッションコイル 1番・4番用
Parts No. 21121-1228 イグニッションコイル 2番・3番用
Parts No. 21160-1081 プラグキャップ * 4個
切り分けにしては、なかなかヘヴィな出費です

ZZR-400 イグニッションコイル、プラグキャップ交換
イグニッションコイル交換と同時に、バッテリー電圧のチェックも行いました。
バッテリー電圧チェックは、整備マニュアルによると 4,000rpmで規定値は14~15Vです。
今回のチェックではジャスト15V。
バッテリーおよびオルタネーターの動作は問題なし、と。
イグニッションコイルとプラグキャップ、スパークプラグと、コイルから先を全て交換したので、コイルから先の可能性は排除できたと思います。
これで症状が同じだったら、次はコイルに接続する配線からのリークや、CDI、ピックアップコイルなどのチェックに入ることになると思います。
何はともあれ、まずは車検後の試走までのお楽しみ

治ってるといいなぁ~。
<2013/7/30追記>
■番外編: ユーザ車検&追加のトラブル
車検通してきました

天気は雨

そして、道中の道幅は細い区間が多く、結局6速を使うこともなく運輸支局に到着。
が、書類手続きを終えたところで、まさかのバッテリーあがり

何とかエンジンかかり車検は通りましたが、帰宅途中の交差点でエンジン停止。
そこから自宅までの約 1km、押して帰りました

とりあえず帰り着いたので車でバッテリーを買ってきて、バッテリーを交換しました。
さて、バッテリー交換で復活したことだし試走行くか!
快調にエンジン始動。
勢いよく走り出・・・す前に、目の前が暗い。
ヘッドライトのバルブが切れてました


この時点で既に夜だったので、試走は断念。
その後は仕事も忙しく乗れない日が続き、今に至ります。
試走は空いてる日にいつでも出来ますが、ここまでの挙動がちょっと気になります。
①突然のバッテリーあがり
パーキングに入れたままなどのチョンボはなく、本当に突然のバッテリーあがりです。
強いて言えば、不調になってから初の、10km超を一度に走ったというくらいです。
②走行中のエンジン停止
自宅から遠くじゃなかったのが救いです。
走行中にエンジンの回転が不安定になり、ガス欠に近い挙動になりました。
そして、信号停止した交差点でエンジン停止して、その後はセルも完全に無反応に。
③ヘッドライトのバルブ切れ
バッテリー交換直後のタイミングっていうのが凄く気になります。
①②の挙動はレギュレータ故障の可能性が疑われますが、その場合は①②は内部断線などによりオルタネーターからの充電電力がバッテリーに届かず、バッテリーの電力を使い果たしてしまう 「不充電型」 に近い挙動だと考えられます。
ただ、③は電圧制御素子や整流素子のショートなどによる過電圧などの「過充電型」の挙動のようにも思えます。
ぶっちゃけ、バッテリーも交換したし、現時点のバッテリーやレギュレータの電圧チェックを再度行えば一発で判断できる話なんですけどね

なかなかバイク触れないので、確認したいことを長々と書いてしまっています m(_ _)m
そしてレギュレータの異常だった場合は交換するまで試走はNGです

(高い回転数を使うと電装系にダメージ与える可能性があるので)
というわけで、次の記事はバッテリーとレギュレータの電圧チェックかなw
ツーリングに間に合うか本気で心配になってきた・・・

<2013/8/4追記>
■番外編: レギュレータ点検/交換
電圧チェックしました。
やっぱり異常アリ

レギュレータのコネクタも融けてます

回転数を上げると電圧が下がります。
7,000rpmくらいまで上げると10V以下まで下がります。
このままだとエンジン壊す可能性もあるので、治すまで走れません

というわけで、レギュレータ交換しました。
効果はバッチリ、治りました

でもって、レギュレータ交換したついでにヘッドライトのバルブも交換しちゃいました。
これで、ようやく試走できます

というわけで早速行ってきました。
結果は、症状変わらず





というか、最初の頃より症状が重くなってるような・・・
3~4速でも高い回転数に持っていくと失火しているような感覚があります。
うむ~ぅ

負荷がかかった時の失火ということは、吸気系もしくは点火系に原因があることはほぼ間違いないと思うんですが・・・
しかも、既に怪しいパーツの多くは交換済みです。
ちょっと気になっているのは、
・ エンジンヘッドカバーのガスケット劣化
・ プラグホールのガスケット劣化
・ インテークマニホールドの劣化
・ バキュームプラグ接合部分の劣化
このあたりのゴムパーツの劣化による負圧減少→失火という流れ。
まぁ、うちの ZZR くんは今年で20歳だし、上記のゴムパーツは 1回も交換されていない可能性もあるので、良い機会だから交換してみようと思います。
その前に、予備キャブを使った切り分けを先に行っておこうかな。
(これは近日中に行います)
<2013/8/18追記>
■切り分け⑤: 吸気系/インテークマニホールド交換
インテークマニホールドを交換しました。
これで、吸気系の切り分けはほぼやり尽くした感じがします。
ちなみに、エアクリーナーエレメントを外して走ってみましたが挙動や音は変化なし。
ということは燃調が原因となっている可能性も低いと考えられます。(たぶん)
点火系でまだやり残していることがありますが(後述)、取り急ぎ出来ることから。
■切り分け⑥: 圧縮系/圧縮圧力チェック
圧縮について、複数の方からアドバイスを頂きました。
やはり、ぼちぼち圧縮系についても疑うべきタイミングに差し掛かってきたようです。
パワーダウンの原因となる圧縮系のトラブルでは、一般的には「バルブクリアランス不調による圧縮抜けが」最も多く見られる症状のようです。
稀なケースとして、ピストンリングに亀裂が入ることによる圧縮抜けなんて事例も聞きました。
ただ、この場合は走行中にエンジン(ピストン)に負荷がかかった際にのみ亀裂が拡がるという症状のため、停止中の圧縮圧力検査では「正常」という結果になるという厄介なものでした。
この場合は、もう腰上OHでピストンリングを問答無用で交換(目視で亀裂を判別できるかも怪しいので)という流れになります

なので、そんな面倒な可能性は記憶の隅に避けておいて、先に手っ取り早く確認できる箇所を潰していこうかと思います。
圧縮圧力のテストは、「規定値よりやや高い」という結果で終わりました。
<2013/8/30追記>
サービスマニュアル補足版によると、ZZR400 N1の標準値MAXは 12kg/cm2でした。
なので、標準値内に収まっていることが確認できました。
まずは、バルブクリアランスの疑いは晴れました

が、シリンダーヘッド燃焼室やピストン頭部へのカーボン堆積という、バルブクリアランス調整よりももっと面倒な可能性が浮上してきましたが・・・

(これは取り急ぎ「経過観察」ということにしておきます)
これで、前回の更新で挙げた可能性から
・ インテークマニホールドの劣化
・ バキュームプラグ接合部分の劣化
この2つは削除できました。
エンジンヘッドカバーやプラグホールのガスケット交換は腰上開ける時まで取っておいて、次に電気系の未確認部分をやっつけておきたいと思います。
というか、最初に見るべきだったかも

・ ICイグナイター(CDI)の抵抗チェック
・ ピックアップコイルの抵抗チェック
ただ、ZZR-400 N1('93)のイグナイターはK型とは互換が無く、端子数も異なります。
俺が持っているサービスマニュアルはK型のもので、N型のサービスマニュアルは「K型の差分」という形で販売されています。
この差分を見ないと標準値の判断がつかないため、現在Amazonで在庫確認しています。
どうか絶版になってませんように

<2013/8/25追記>
■切り分け⑦: 点火系/ICイグナイター(CDI)点検
CDIのチェックを行うため、サービスマニュアルの補足版と中古のCDIを入手しました。
ZZR400N1のCDIは既に販売終了しており新品では入手できない上に、ヤフオクでも数がそれほど見当たらなかったため、予備も兼ねて中古入手しました

というわけで、ICイグナイター(CDI)の抵抗チェック。
結果は、全て標準値内(異常なし)という結果でした。
なんとなく、CDIは怪しいと思っていたのに、まさかのシロという結論。
さてどうする・・・
とりあえず、ちょっとここまでの経緯を整理してみました。
■切り分け⑧: 点火系/ピックアップコイル点検
あと残っている点火系の未着手箇所は、ピックアップコイルのみ。
これも無関係なら、いよいよ腰上を疑うことになるのか

なんて考えつつ、ピックアップコイルの抵抗値をチェックしました。
標準値は 380~570Ω
イグナイターに接続されているコネクタには4つ端子がありますが、ピックアップコイルに接続されているのは、そのうちの2本だけ。
これまた、サービスマニュアルを見ないとわかりません。
これも、補足版を買うとN1の配線図が記載されているので助かります

こんな感じです。
コネクタの端子部分にテスターを当てて、抵抗値をチェックします。
結果は 477Ω
うむ。
ズバリ、標準値内ですね
■ 過去のミス発見
次はパルシングカバーを開けてエアギャップをチェックするか・・・
と、ここで気付きました

そういえば、ラムエアダクトの途中経路は点検しないで大丈夫かな?
カウルについても記事書いてましたしね。
そんなわけで、アッパーカウル開けて確認してみました。
というかアッパーカウル開ける前に判明しましたけどね。
拡大
外れてるし・・・

ちょうど良いサイトをみつけました。
【カワサキ1番特集記事:第1回 ラムエアシステム【RAM AIR SYSTEM】】
http://www.kawasaki1ban.com/special/5881
このサイトで紹介されているラムエアダクトの構造は凄く参考になります。
ZZRのラムエアダクトは、アッパーカウルのヘッドライト下にあるエアダクトから走行風を直接エアフィルターボックスへ送り込む構造ですが、この他に、エアダクト入り口付近から分岐してキャブレターへエアを直接送り込んでいるチューブもあります。
この部分がどのような役割を担っているのか、調べても情報がありませんでした

なので正確な影響は推測できませんが、車速が上がるほど加給効果も上がるというラムエアダクトの特性を考えると、キャブレターに直接エアを送り込むほど重要な箇所が外れているというのは、少なからず影響があるだろうと考えられます。
(これなら、停止時にセンタースタンドを立てている状態では6速10,000rpmまですんなり回ったというのも説明が付く気がするし)
というわけで、修復。
インナーカウル外した時点でチューブ外れてるのは確認できましたが、接続するにはアッパーカウルを外す必要がありました。
で、久しぶりに試走してきました。
これでNGなら、次はCDIを交換してピックアップコイルのエアギャップ確認か。
結果は・・・
治った!!!

いやぁ~。
なんというか。




あれだけ色々やって。




原因は「ラムエアダクト抜け」とか・・・・・
穴があったら入りたい

まぁ、ともあれ、謎の不調はめでたく解決と相成りました

たぶん。
(まだ半信半疑)
継ぎ足し継ぎ足しでだいぶ長くなりましたが、お付き合い頂きましてありがとうございます。
ここまで色々と調べましたが、「高回転域で失速する」という症状はZZRに限らずよく聞くトラブルのようです。
同様の症状に見舞われて、「何をやっていいかわからない」という方は、よろしければ参考にして頂けると幸いです。
(ZZR乗りの方はラムエアダクトやCDI周辺から疑ってみると確認簡単ですよw)
次はカスタムに関する記事が書ければ・・・いいなぁ。
それでは~
