恋の行方、愛のカタチ 68 | 沼から出られない

沼から出られない

元トンペン、現アニメ沼。ハイキュー!!、 東リベ、呪術、ウィンブレ他新規開拓中。
旦那22年秋に認知症診断。本人希望ありオス柴りゅーをお迎え、凶暴化により訓練出すもあまり変わらず。23年春に胃がんステージⅣ診断、抗がん剤中断、緩和へ移行。24年4.22永眠

家につくまで、どれくらいかかるだろう。ため息をつきながら歩く。
チャンミンを傷つけてしまった。後悔はしても、戻れない。本当のことを言ったら、止められなくなる。俺はすべてを失うだけじゃなく、もっと大切なものを傷つけてしまう。
雨が降り出した。勿論、傘は持っていない。濡れたまま1時間くらい歩いて、ようやく家にたどり着いた。
ソンアは具合が悪かったのか、すでに眠っていた。夕飯を作ってくれていて、温めて食べてくださいと書かれていた。仕事の日は遅くなることもある。そう話してあったから、夕飯を作らなくていいと言ってあるのに。
寂しかったんだろうな、と思う。一人分の食器が、洗ってあるのを見て。
チャンミンを思い出す。シャワーを浴びて出て、ため息をついてから。

俺は、どうしたらいいんだろう。

気が付けば眠っていた。寒気がする。髪も乾かさず、シャワーを出てすぐ寝てしまったから。
熱が、あるかもしれない。早々にベッドに潜り込む。

翌朝。案の定熱が出ていた。多少の熱なら大丈夫だけど。
今回はちょっと、きつい。それでも、シフトに穴をあけるわけにはいかなかった。
「大丈夫ですか?」
更衣室でギョンスに声をかけられた。
「大丈夫だよ、どうして?」
ギョンスは俺をじっと見つめるといきなりおでこに手を当ててきて。
「帰った方がいいです。店長と料理長に話しておきますから」
「でも」
「あなた自身の体も心配ですけど、お客様に風邪をうつすようなことがあっても困りますから。帰って下さい」
救急箱から体温計を出し測るように言われる。8度を超えていた。俺の腕を引いて、料理長のところへ行こうとしたタイミングで。
「あ、おはようございます」
「……おはよう、ございます」
顔色の悪いチャンミンが、来た。