薔薇/第三部 89 | 沼から出られない

沼から出られない

元トンペン、現アニメ沼。ハイキュー!!、 東リベ、呪術、ウィンブレ他新規開拓中。
旦那22年秋に認知症診断。本人希望ありオス柴りゅーをお迎え、凶暴化により訓練出すもあまり変わらず。23年春に胃がんステージⅣ診断、抗がん剤中断、緩和へ移行。24年4.22永眠

さすがにもう来ないだろう。今夜は、そのまま眠った。隣にいるあなたに興奮したけれど、こんな日にあなたを抱く気にはなれなかった。
翌日、早速管理会社に相談して、盗まれた鍵で家に侵入されたことを伝えると、ここから近い別の社宅を使うよう提案されたという。別々の場所で住むのはいやだったけど。
身を守るためなら、仕方ない。でも、あの男のことだ、ユノの後をつけてでも新しい家を見つけそうな気がする。とはいえ今度はセキュリティのしっかりしたマンションだから大丈夫そうだ。
「俺が行ったら……バレますよね」
「まあ、そう……だろうな」
「会社でしか会えなく、なるんですね」
ため息をつく俺にユノは言った。
「社員証を見せれば来客は受け付けるらしい」

ユノはその日のうちに新しい部屋を借り、荷物は後日、テンとテヨンがもってくることになった。
「泥棒が入ったんですか?」
テンがあんまり事件じゃないようなテンションで言う。
「ああ、そうらしい。知り合いだったらしくて、事件にすると……いろいろ面倒だろ」
本当はそれも考えた。いっそ警察を呼んだ方がいいんじゃないかと。
でも、そうなるとあの先輩との過去の関係を公にすることになりかねないし、何よりあの先輩には奥さんと子供がいる。こちらが黙っているしかなかった。
「えへ。今度ユノヒョンちに荷物持ってったときぃ、ご褒美で泊めてもらっちゃおーっと!」
「テン」
窘めるようにテヨンが言う。
「ヒョンもホントはさぁ、泊まりたいんでしょ? 素直にならなきゃ」
顔がクールな二人がキャッキャ言って騒ぐ姿はなんだか妙だ。

 

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