「なんか大変なことになってんだね」
ホジュニヒョンは相変わらずだ。細かいことは言わなかったけど、昔の知り合いに家に入り込まれて鍵も盗まれ、転居せざるを得なくなったことだけ伝えた。
「多分まだご存じないと思って……。ユノヒョンが後から言うでしょうけど」
「そうかもね。でもまあ、ユノのことだから忘れた頃に言いそう」
なんとなく、らしいなと思って笑った。ホジュニヒョンも笑った。
「チャンミンがいるからさあ、安心してるんだ」
「え?」
「ユノのこと守ってくれてるだろ? だから」
何も、知らないはずなのに。俺の気持ちは、知ってるだろうけど。
俺がいるから安心してるなんて言われると、状況が状況だけに泣きそう。本当の意味でのヒョンってホジュンさんみたいな人のことを言うのかも。だからユノもこの人のことが好きなんだ。
圧倒的な差。敗北濃厚。この人がユノをそういう意味で好きじゃなくてよかったと心底思う。
「ありがとうございます。これからも全身全霊かけて守ります」
「自分のことも大事にしなきゃだめだよ、チャンミン」
ホントいい人だな。電話して正解だった。落ち着かなかったから。
「今日の夕飯は買って帰ったの?」
「そうみたいです。一緒に行動すると、またどこで見られてるかわからないから」
「でもさ、チャンミンの居場所はわかってるわけだろ?」
「……え?」
「気を付けるに越したことはないよ」
ちょっと脅かされてから電話を切った。別に俺がここにいることで何があるわけじゃないと思う。
何より、俺はユノが心配だった。昨日の今日で何も起きるはずはないと思うが。
いっそ、あの男の行動を封じることができれば。……最悪、家族を使って。