「人(社員)を大切にする経営」
のお手伝いをする、
未来会計・経営計画コンサルタント&
税理士の米森です。
最初に、当事務所では、
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先日、3年ぶり?かの
「決算法人説明会」の講師をしましたが
私の分担の
「会社の決算と申告の実務」以外にも
消費税・印紙税の説明
源泉所得税の説明
管理運営からの説明
※ e-Taxだと源泉の納付も結構楽です
徴収部門からの説明 と続き
最後に別枠で
「インボイス制度」の説明がありました。
通常であれば、自分の分担が終われば
すぐに帰るのですが、
この日は久しぶりの「生」の説明・研修なので
最後まで、参加しました。
私としては興味をそそられたのは
当然「源泉所得税」の箇所
あと、管理運営部門のダイレクト納付の説明&
源泉の納付に関して・・
やっぱり私は「源泉の女」のようです
とてもとても「マルサの女」にはなれません
そこで、源泉所得税の改正について、
一つだけ紹介したいと思います。
短期退職手当等に係る退職所得の改正
最初にお断りいたしますが
この改正は令和3年4月改正についてです
この計算方法は
令和4年1月1日から支払われる退職手当から
適用されているという点です。
ウ~~ン時期的に
紹介が遅かったスミマセン
【短期退職手当等]
今回の改正は
役員以外の一般従業員(使用人)に対しても、
勤続年数が5年以下の短期退職者に関しては、
通常の退職所得の計算式と異なる計算式で
退職所得及び税額の計算をする
という措置になります。
感想としては
特定役員の計算より。。。チョットメンドクサイ
ポイントは
退職手当金の収入金額から
退職所得控除額を控除した残額が
300万円以下か超えるかという点です
収入金額-退職所得控除額 ≧ 300万円 「①」
or
収入金額-退職所得控除額 < 300万円 「②」
① 300万円以下の場合
(収入金額-退職所得控除額)×1/2
=退職所得の金額
② 300万円超
150万円 +
{収入金額 - (300万円+退職所得控除額)}
=退職所得の金額
これに伴って「受給に関する申告書」の様式も
変更となっています。
設例
勤 続 年 数 : 5年
退職手当金 : 1000万円
① 退職所得控除後の金額が
300万円以下か超えるか確認する
※ 300万円以下であれば、
今までと同じですので
その点を確認する必要があります
5年の退職所得控除額
= 5×40万円 = 200万円
退職所得控除後の金額
= 1,000万円 - 200万円=800万円
800万円>300万円
※ 300万円を超えるため、
上記 「②」の計算式が必要
② 退職所得金額の計算
150万円 +
{1,000万円- (300万円+200万円)}
= 650万円 ・・・・ 退職所得の金額
③ 税額の計算】
(650万円 ×20% - 427,500円)×
102.1%(※) = 890,822.5円 ∴890,800円
※ 復興特別所得税の2.1%含む
退職所得控除後の額が300万円以下の場合は、
今までと同じですので割愛します。
同じ設例が
「源泉所得税の改正のあらまし(令和3年4月)」に
図式で紹介されています。
ここで一言
【特定役員に対する退職手当等】
短期間に役員として勤めた会社を退任(退職)し、
次に関連会社の役員に就任する者の
退職所得に関しては
「特定役員に対する退職手当等」として、
通常の退職所得の計算とは異なり
退職手当から退職所得控除額を控除した残額に
そのまま税率を掛けていました
※ 通常は、残額を1/2してから税率を掛けます
今回は、若干計算方法などは違いますが
そのような「短期退職者」を役員だけではなく、
一般社員にまで拡充したのだと思います。
【退職所得とは】
退職所得は、永年の勤務に対する
勤続報償的な給与であるため、
「給与所得」の一形態であると考えられています。
しかし、退職所得は
① 一時に支給されること
② 老後の生活保障的な最後の所得であること
から、担税力を考慮して、
分離課税により課税されています。
課税の累進性を軽減する意味から
給与所得とは別個に退職所得として類型化し
その人の 「勤続年数」に応じて計算した
退職所得控除額を控除するとともに、
他の所得分離して課税されています。
(ここからは私見)
ようは、 所得税法では
所得金額が大きくなれば税率も上がる
「累進課税」が採用されている
しかし、
退職手当は、永年の勤務によって支給されるもので
年数が長ければ長いほど多額になること
退職後は、勤務などが無くなり収入がなくなること
(今は年金支給時期が遅いから働く人もいますが)
そのようなことから
たとえ「給与所得の一形態」であったとしても
通常の「給与所得」や他の所得と一緒にして
所得税を課税すると・・・・すごいことになる
だから、すごく多額納めることになるのは
チョットひどいでしょう
なので、他の所得とは分けて(分離して)
税額を計算しましょう・・・
これが「担税力を考慮して」ということですね
そのような考え方で
「退職所得」の課税所得金額や
税率などが決まっているのですが
昔、高級官僚が
会社の役員に天下り、その後も、
いわゆる「渡り鳥」のように
短期間に天下り先の会社の
役員に就任・退任(退職)を繰り返えし
退任ごとに多額の役員退職金を・・・
そんな退職金・・・・天下りに
非難囂々(ごうごう)でしたよね
このせいで・・・というわけではありませんが
「特定役員に対する退職手当」の制度が
できたような気がします。(私見です)
役員ではなくとも、渡り鳥のように、
5年未満で就職・退職を繰り返えすような人
しかも、多額の退職金を得るような人は
「担税力」は考慮しなくても良いのではないかと
考えたのではないでしょうか。
仮に5年で500万円超の退職金を貰える者の
「担税力」は・・・あると思えますよね。
※ 収入金額 500万円 -
200万円(5年の退職控除額)=300万円
2年未満の者の場合は、380万円
収入金額 380万円 - 80万円=300万円
「老後の人生最後の所得」
とは言えませんよね。
特に「エクスパッツ(エクスパット)」
海外本社から、日本の子会社に
立場は「使用人」であっても、給与は段違い
その上短期間で帰国する・・・
退職金も多い・・・・・・・
エクスパッツの話は・・・過去にしましたので
この辺にします
別に、何か思うところが・・・
あるわけではありません。
参考
所得税法第30条、31条
所得税法第120~121条
所得税法第199条
所得税法第201~203条
所得税施行令第72条
所得税基本通達 30-3
〃 30-5
国税庁HP
退職所得の源泉所得税の速算表
別紙 退職所得の源泉徴収税額の速算表|国税庁 (nta.go.jp)
源泉所得税の改正のあらまし
短期退職手当等Q&A
0021009-037_01.pdf (nta.go.jp)
タックスアンサー
No1420「退職金を受け取ったとき」
No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁 (nta.go.jp)
No.2732「退職手当等対する源泉徴収事務」
No.2732 退職手当等に対する源泉徴収|国税庁 (nta.go.jp)
No2737「役員等の勤続年数は5年以下の者に対する退職手当等」
No.2737 役員等の勤続年数が5年以下の者に対する退職手当等(特定役員退職手当等)|国税庁 (nta.go.jp)
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