経営計画書」と「未来会計」で「中小企業を元気にする」、経営計画・未来会計コンサルタント&税理士の米森です。
今日は、前回に引き続き「「年末調整」の対象となる「給与」について説明します。
前回ブログを読まれていない方で、甲欄、乙欄、丙欄という用語を知らない方は、昨日のブログ「前編」を、先に読んでいただいた方が分かりやすいと思います。
●年末調整の対象となる方
前提として、
「扶養控除等申告書」の提出している人で、
主たる給与の収入金額が2,000万円以下の人 になります。
※主たる給与とは?
⇒ 扶養控除等申告書を提出している給与の先から支給される給与のことです。
これを前提にして、対象となるケースを説明します。
※ 黄色く色づけした部分の給与が対象です。
【対象となるケース①】
1年を通じて勤務している人の給与
1月 | 12月 | |||||||
A社 | 甲欄給与 |
【対象となるケース②】
年の中途で就職した人で年末まで勤務している人
(この場合は、C社で年末調整をします)
B社 | 1月 | 3月 | ||
甲欄 |
△退職
4月 ▽就職 |
12月
|
|||||||
C社 | 甲欄給与 |
B社は、3月までの給与に対し、「源泉徴収票」を発行し、受給者本人に交付します。
受給者は、C社にB社の源泉徴収票に提出して、C社は合算して年末調整をします。
※ C社は、B社の源泉徴収票の提出がない時には、年末調整をしないでください。
【対象となるケース③】
当初は「乙欄」を適用していたが、年の途中で「扶養控除等申告書」を提出した場合。
1月 | 12月 | ||||||||
D社 |
乙欄給与 | 甲欄給与 |
※ 乙欄給与と甲欄給与の合計で年末調整します。
【対象となるケース④】
当初は「丙欄」を適用していたが、年の途中で「扶養控除申告書」を提出した場合。
1月 | 12月 | |||||||||
E社 | 丙欄 | 甲欄給与 |
※ 丙欄給与と甲欄給与の合計で年末調整をします。
【対象となるケース⑤】
2か所で給与を受給していた者が
当初は、F社に「扶養控除等申告書」を提出していたが、主たる給与の支払者がG社となったので、G社に「扶養控除申告書」を提出した場合。
1月 | 3月 | 12月 | ||||||
F社 | 甲欄給与 | 乙欄給与 |
1月 | 4月 | 12月 | ||||||
G社 | 乙欄給与 | 甲欄給与 |
F社は、3月までの給与に対し、「源泉徴収票」を発行し、受給者本人に交付します。
受給者は、G社にF社の源泉徴収票に提出して、G社は合算して年末調整をします。
※ G社は、F社の源泉徴収票の提出がない時には、年末調整をしないでください。
ここで一言
ケース⑤は、事例としては少ないと思いますが、
関連会社に出向していた者が、出向先で「定年」を迎え、
出向先で「非常勤勤務」、 出向元で「常勤」となる場合や
役員で、その役職が変わる場合など、有りえる事例です。
2か所で勤務している者、中途採用者などは、他の給与支払者へ「扶養控除等申告書」を提出していることがありますので、注意してください。
従業員は内容が良くわからず、勤務先から提出物として渡された書類として記載し、提出することがあります。
※ なお、中途採用者でも、前職先の「乙欄給与」や「丙欄給与」は、年末調整の対象にはできません。 本人が確定申告で清算します。
乙欄給与や丙欄給与が年末調整の対象となるのは「同一の支払者が支払った給与で、年の最後の給与支払時までに「扶養控除等申告書」を提出した場合に限られます。
年末調整の対象となる給与(合算できる給与)は、
他の支払者のもとで支給されていた「甲欄給与」と
自社で支給していた「給与」のみです
この辺りは重要です!!
1月 | 3月 | |||
前職 | 乙欄給与 | |||
△退職 |
👆 年末調整の対象となりません!!
参考
所得税法第28条(給与所得)
所得税法第185条(賞与以外の給与等に係る徴収税額)
所得税法第190条(年末調整)
所得税施行令第309条
所得税基本通達185-8
所得税基本通達190-1、所得税基本通達190-2
※ このブログの回答はあくまでも私見です。実際の課否判定には責任を負いませんのでご注意下さい❗ 参考程度にしてください
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