マル・ウォルドロン名盤ベスト10(6~10位)
第10位90.0点『TOKYO BOUND / MAL WALDRON』マル・ウォルドロンがひょっこりと一人で来日した折に作られたアルバムで、こちらはベースに荒川康男、ドラムに猪俣猛を迎えたピアノ・トリオになっています。曲は滞日期間中に受けた日本の印象を綴ったものです。『ART PEPPER MEETS THE RHYTHM SECTION』の二の舞になるのか?(全ての曲で全員にソロを取らせる)と心配しましたが、最後に慧眼が発揮されて一安心しました。最後の曲が最も素晴らしいです。MAL WALDRON(p) YASUO ARAKAWA(b) TAKESHI INOMATA(ds)90点 side1-1 「JAPANESE ISLAND」 1970/2/7,1290点 side1-2 「ROCK ONE FOR JIMBO SAN」1970/2/7,1288点 side2-1 「ATOMIC ENERGY」 1970/2/7,1292点 side2-2 「MOUNT FUJIYAMA」 1970/2/7,12「ジャパニーズ・アイランド(1-1)」M.ウォルドロンのピアノと荒川康男のベースが、低域を使ってテーマを演りますが、ゆっくりとした動きは“能”を思わせます。ソロ・パートにはいるとリズミックになり、マルの迫力あるソロが聴かれます。荒川康男(b)と猪俣猛(ds)もソロをとります。テーマとマルのソロが良く、気品があり別格の90点です。「ロック・ワン・フォー・ジンボ・サン(1-2)」ロックのリズムでテーマが現れます。その次ソロに移る処が格好いいですね。マルのロックは“熱狂”というよりは“燃え盛る情念”という風情です。荒川康男(b)のソロも悪くありません。気品があり別格の90点です。(最後のドラム・ソロは要らなかったなあー…。)「アトミック・エナジー(2-1)」繰り返しとその変化で出来上がるマル独自のテーマで始まりますが、その後どこからソロに入ったか良く分かりません。そうこうしているうちに荒川康男(b)のソロになり、猪俣猛(ds)もソロをとります。お洒落で格好良く僅かながら気品を感じさせる88点です。「マウント・フジヤマ(2-2)」荘厳な静けさから始まり、やがて転調してマルらしさ100%の展開部が現れます。更に転調と繰り返しが行われ、マルの世界にずんずん引き込まれて行きます。次に荒川康男(b)がソロをとり、再びマルです。ドラム・ソロを持ってこなかったのは慧眼です。気品があり別格でいつまでも浸っていたい92点です。第9位90.1点『NEWS / RUN ABOUT MAL』ラン・アバウト・マルAmazon(アマゾン)マル・ウォルドロン・トリオのスタンダード集です。杭打ちをせず、“繰り返しと変化”を封印したマルが見せてくれるのは、マル独特のタッチとマル流バラードの巧みさです。ビリー・ホリデイの愛唱曲を三曲も入れるのはちょっとずるいと最初思いましたが、「いいなあー」と思うのは結局その三曲です。「ビリーとは離れられん…」このアルバムを成功させたもう一つの要因はG.ムラーツの存在です。本当にこの人はいい仕事をしますね。MAL WALDRON(p) GEORGE MRAZ(b) AL FOSTER(ds)89点 side1-1 「IT COULD HAPPEN TO YOU」 1981/6/1895点 side1-2 「YOU DON’T KNOW WHAT LOVE IS」1981/6/1887点 side1-3 「NEICE WORK IF YOU CAN GET IT」1981/6/1888点 side1-4 「TEA FOR TWO」 1981/6/1892点 side2-1 「WILLOW WEEP FOR ME」 1981/6/1894点 side2-2 「I’M A FOOL TO WANT YOU」 1981/6/1889点 side2-3 「PORKA DOTS AND MOONBEAMS」1981/6/1887点 side2-4 「WITH A SONG IN MY HEART」1981/6/18「イット・クッド・ハプン・トゥー・ユー(1-1)」J.V.ヒューゼンの曲です。マルが前奏的に一人で出てワンコーラスを演った後、ベースとドラムも加わり、シットリと落ち着いたトリオ演奏になります。G.ムラーツのベースがいい感じで後ろに居ます。スタンダード曲の為かここでは“繰り返しと変化”ではないマルを聴くことが出来ます。その後はG.ムラーツ(b)のソロです。この一味違う落ち着きは、お洒落で格好良く気品があり別格目前の89点です。「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ(1-2)」G.デポールとD.レインの共作で、B.ホリデイの愛唱曲です。これまでと同様の出方をしますが、G.ムラーツのベースがよく響いて「いいですねー」。ソロ・パートに入ると少し違った行き方を見せますが、良いという意味では同じです。G.ムラーツ(b)もソロをとります。G.ムラーツの好演もあり、気品があり別格でいつまでも浸っていたく、他人(ひと)に奨めたいほどの95点です。「ナイス・ワーク・イフ・ユー・キャン・ゲット・イット(1-3)」G.ガーシュインの曲です。今度は少し明るく軽く演ります。自然に足で拍子を取ってしまいますね。お洒落で格好いい87点です。「ティー・フォー・トゥー(1-4)」V.ユーマンズの曲です。滑らか、ではないマル流のスイング感が、それなりに心地良いです。マルの後にG.ムラーツ(b)のソロがあり、その後マルとA.フォスター(ds)のフォー・バースと続きます。お洒落で格好良く僅かながら気品を感じさせる88点です。「ウィロー・ウィープ・フォー・ミー(2-1)」A.ロネルの曲で、これもB.ホリデイの愛唱曲です。マルのピアノは勿論良いのですが、G.ムラーツのベースが又巧みで、これは浸れます。ソロ・パートに入ると、マルは少しサラッとして、“こぶし”を効かせます。その後はG.ムラーツ(b)のソロになります。気品があり別格でいつまでも浸っていたい92点です。「アイム・ア・フール・トゥー・ウォント・ユー(2-2)」J.ウォルフ、J.ヘロン、F.シナトラの共作で、『LADY IN SATIN / BILLIE HOLIDAY』においてB.ホリデイが100点満点の大名唱をみせてくれた曲です。(この選曲はずるい…) しかし、ソロ・パートに入るとマルは決してずるくない演奏をしてくれます。G.ムラーツはここでも良い仕事をします。気品があり別格でいつまでも浸っていたく、他人(ひと)に奨める直前の94点です。「ポーカ・ドッツ・アンド・ムーンビームズ(2-3)」J.V.ヒューゼンの曲です。ゆっくり目のテンポということもあってか、ゆったりとした気分で温かさと懐かしさを感じます。そしてソロ・パートに入るとマルの個性はひと際鮮やかさを増します。お洒落で格好良く気品があり別格目前の89点です。「ウィズ・ア・ソング・イン・マイ・ハート(2-4)」R.ロジャースの曲です。最後はアップ・テンポで軽快に演ります。と言っても、飽くまでもマル流の軽快さです。マルのソロの後マルとA.フォスター(ds)が小節交換をします。お洒落で格好いい87点です。94点 side2-2 「I’M A FOOL TO WANT YOU」 1981/6/18第8位90.3点『LEFT ALONE / MAL WALDRON LIVE 1』マル・ウォルドロンが二度目の来日をした時、東京のヤマハ・ホールで行われたライヴを録音したものです。A面がカルテット演奏、B面はトリオ演奏となっています。トリオ演奏が聴き応えありました。マルの作曲の才を再認識し、マルのアドリブを堪能しました。鈴木勲のよく鳴るベースも特筆ものです。MAL WALDRON(p) KOHSUKE MINE(as) ISAO SUZUKI(b) YOSHIYUKI NAKAMURA(ds)90点 side1-1 「LEFT ALONE」 1971/3/387点 side1-2 「STRAIGHT NO CHASER」1971/3/391点 side2-1 「RIGHT ON」 1971/3/393点 side2-2 「THOUGHTS」 1971/3/3「レフト・アローン(1-1)」M.ウォルドロンのオリジナルです。M.ウォルドロンがあのイントロを弾いた後、峰厚介(as)がテーマを吹き、ソロに移ります。次に弾くマルは、哀しみが癒えたように感ずるソロです。気品があり別格の90点です。でも、やはりJ.マクリーンで聴きたくなります…。「ストレート・ノー・チェイサー(1-2)」T.モンクのオリジナルです。峰厚介がテーマを吹き、そのままソロをとります。続くM.ウォルドロンはハード・バップ風のピアノで、マルらしさをあまり出しません。でも楽しそうです。鈴木勲(b)、峰厚介(as)がソロをとり、テーマに戻ります。お洒落で格好いい87点です。「ライト・オン(2-1)」M.ウォルドロンのオリジナルです。マルらしい曲で、出だしは映画音楽を思わせますが、サビでガラッと場面を暗転させます。ソロ・パートに入ると劇的に暗転した場面をマルの手法で続けます。続いて鈴木勲(b)ですが、相変わらずよく鳴っています。「いいですねー」中村よしゆき(ds)のソロもあります。気品があり別格でちょっと浸りたい91点です。「ソーツ(2-2)」M.ウォルドロンのオリジナルです。左手で同じパッセージを繰り返し送り、そのパッセージが変わる処が「いいですねー」右手は違う形での変化と繰り返しを行うマルの世界です。鈴木勲(b)の良いソロもあります。気品があり別格でいつまでも浸っていたく、他人(ひと)に奨めようかなという気がよぎる93点です。第7位90.4点『MAL WALDRON / LEFT ALON』マル・ウォルドロンの傑作アルバムです。若者たちは半世紀ほど昔のジャズ喫茶で深刻な顔をして聴いていました。勿論私も…。マルはこれまでにも沢山の曲を残して来ましたが、ここに「LEFT ALONE」という大傑作を作ってくれました。これは作曲家としての最初のピークだと思います。それにしてもA面は素晴らしい!…。MAL WALDRON(p) JULIAN EUELL(b) AL DREARES(ds) JACKIE McLEAN(as)98点 side1-1 「LEFT ALONE」 1959/2/2489点 side1-2 「CAT WALK」 1959/2/2493点 side1-3 「YOU DON’T KNOW WHAT LOVE IS」1959/2/2486点 side2-1 「MINOR PULSATION」 1959/2/2486点 side2-2 「AIRGIN」 1959/2/24----点 side2-3 「INTERVIE」 1959/2/24「レフト・アローン(1-1)」M.ウォルドロンのオリジナルです。作詞はB.ホリデイですが、レコーディングは残されていません。ビリーに代わってJ.マクリーンがアルト・サックスでこの歌を歌います。マルらしい重厚な前奏の後、J.マクリーンがビリーに代わって歌います。マルの伴奏はビリーの時よりもマルらしさを前面に打ち出しています。マクリーンとマルが魂をぶつけ合うこのテーマを聴くだけで「もう充分…」という気持ちになります。しかし、続くマルのソロは何とも言えず良くて、ビリーの哀しさを代わりにピアノで歌っているようです。最後にJ.マクリーンがテーマから離れないソロを吹き、そして完璧なテーマへと移ります。マルとマクリーン渾身の演奏は、他人(ひと)に奨めたいほどで、感動の極みの八合目に達する98点です。「キャット・ウォーク(1-2)」M.ウォルドロンのオリジナルです。J.ユーエル(b)から始まりますが、このベースのイントロが「いいですねー」。そしてマルのピアノがテーマを奏でます。前の曲の哀しい気分が残っており、この曲もなかなか良いです。マルの作曲の才能が花開いたという感があります。その後J.ユーエル(b)のソロがあり、マルのソロに移ります。ピアノを叩きつけるようなソロで、アドリブに於いてもマルの境地が跳ね上がって、マルが強く出てきたと感じます。お洒落で格好良く気品があり別格目前の89点です。「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ(1-3)」G.デポールの曲です。『LADY IN SATIN / BILLIE HOLIDAY』ではマルのピアノが聴こえませんでしたが、ここでは最初から最後までマルのピアノです。重く叩きつけるようなピアノでテーマを弾き、ビリーとは違った表現でこの曲を聴かせてくれます。又しても「テーマだけで充分…」という気分になってしまいましたが、アドリブ・パートに入っても、充分と思ったその続きを聴かせてくれました。そしてそのまま重たくテーマに戻ります。気品があり別格でいつまでも浸っていたく、他人(ひと)に奨めようかなという気がよぎる93点です。「マイナー・パルゼイション(2-1)」M.ウォルドロンのオリジナルです。A.ドリアース(ds)から始まり、マルはハンマー打鍵奏法、モールス信号、繰り返しに変奏とあまりにもマル的な演奏を聴かせます。J.ユーエル(b)に活躍の場を与え、A.ドリアースにソロを取らせて、テーマに戻ります。極めてマル的ではありますが、ちょっといい86点です。「エアジン(2-2)」S.ロリンズのオリジナルです。マルの重厚なピアノから始まり、テーマをマルの重たい鎧で包みます。ソロ・パートからは一転してスインギーになります。J.ユーエル(b)のソロ、マルとA.ドリアース(ds)のフォー・バース、マルのソロと続きます。最後のソロは良いのですが、ちょっといい86点です。「インタビュー(2-3)」プロデューサーを務めたT.チャールスの質問にマルが答えた形のインタビューです。98点 side1-1 「LEFT ALONE」 1959/2/2493点 side1-3 「YOU DON’T KNOW WHAT LOVE IS」1959/2/24第6位91.9点『MAL WALDRON / MATURITY 5 ELSEVENESS OF Mt.FUJI』「3361 BLACK」から発売されたマチュリティー・シリーズの第五弾で、マル・ウォルドロンのソロ・ピアノ・アルバムです。ここでは“激しい情念のマル”ではなく、“優しく内省的なマル”の世界がCDの全面に満ち溢れており、その流れは最後まで途切れることがありません。テンポも雰囲気も殆ど同じ曲を11曲も続けました。最後までそれで通しました。プロデューサーの大英断に拍手!(私が持っている中では)マル最後のソロ・ピアノがこれであることに大満足です。MAL WALDRON(p)92点 CD1-1 「REMEMBER」 1996/7/493点 CD1-2 「THE SEAGULLS OF KRISTIANSUND」1996/7/492点 CD1-3 「MY OLD FLAME」 1996/7/491点 CD1-4 「IN THE WEE SMALL HOURS」 1996/7/492点 CD1-5 「MY ROMANCE」 1996/7/491点 CD1-6 「ELSEVENESS OF Mt.FUJI」 1996/7/492点 CD1-7 「MY FOOLISH HEART」 1996/7/491点 CD1-8 「AS TIME GOES BY」 1996/7/492点 CD1-9 「I SHOULD CARE」 1996/7/493点 CD1-10 「THE SEAGULLS OF KRISTIANSUND」1996/7/492点 CD1-11 「REMEMBER(Live Version)」 1996/7/4「リメンバー(CD1-1)」I.バーリンの曲です。マルはこの曲が自分のオリジナルであるかのように、マル色に染めて演奏します。「いいですねー」そしてペーソスもあります。気品があり別格でいつまでも浸っていたい92点です。「ザ・シーガルズ・オヴ・クリスチャンサンド(CD1-2)」M.ウォルドロンのオリジナルです。優しいマルを見せてくれますが、なおかつペーソスもあります。マルは日本ではこういう面を多く見せてくれます。日本とはもう“阿吽の呼吸”なのですね。気品があり別格でいつまでも浸っていたく、他人(ひと)に奨めようかなという気がよぎる93点です。「マイ・オールド・フレイム(CD1-3)」A.ジョンストンの曲です。テンポも雰囲気も前の二曲を踏襲します。ここまでのこの時間は、「いいですねー」。まだ暫く続けて欲しい!気品があり別格でいつまでも浸っていたい92点です。「イン・ザ・ウィー・スモール・アワーズ(CD1-4)」D.マンの曲です。素敵な時間はまだ続いています!気品があり別格でちょっと浸りたい91点です。「マイ・ロマンス(CD1-5)」R.ロジャースの曲です。この素敵な時間はひょっとしたら最後まで続くのかもしれません。私がプロデューサーならきっとそうします。底に流れる空気とペーソスは同じなので、どの曲を聴いても(私の)心は満たされてしまいます。気品があり別格でいつまでも浸っていたい92点です。「エルシーヴネス・オヴ・マウント・フジ(CD1-6)」M.ウォルドロンのオリジナルです。マルの空気は一条の霞となって富士山へ達しました。気品があり別格でちょっと浸りたい91点です。「マイ・フーリッシュ・ハート(CD1-7)」V.ヤングの曲です。B.エヴァンスの呪縛からどう逃れるかが難しい曲だと思いますが、マルはサラッと逃れてしまいました。そしてマルの世界がインプロヴィゼーションとなって現れて来ます。気品があり別格でいつまでも浸っていたい92点です。「アズ・タイム・ゴーズ・バイ(CD1-8)」H.フップフェルドの曲です。この曲は聴く前から安心していました。「素敵な時間が途切れることはないぞ」と。気品があり別格でちょっと浸りたい91点です。「アイ・シュッド・ケア(CD1-9)」A.ストラダーレの曲です。マルの流れはここまで来ました。流れに身を任せるのみです。気品があり別格でいつまでも浸っていたい92点です。「ザ・シーガルズ・オヴ・クリスチャンサンド(CD1-10)」M.ウォルドロンのオリジナルです。こちらには朗読が入ります。マルの声なのですね。底に流れる空気は同じものです。左手重低音三音のリフレインが効果的です。気品があり別格でいつまでも浸っていたく、他人(ひと)に奨めようかなという気がよぎる93点です。「リメンバー(ライヴ・バージョン)(CD1-11)」I.バーリンの曲です。拍手から始まります。マルの流れはとうとう最後まで来ました。海に着きました。気品があり別格でいつまでも浸っていたい92点です。