アク劇 acl.629《ウィークエンド・シャッフル その2》 | ウィンテルフィギュア怪奇譚

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ー前回までのあらすじ

突如として町に新しい初音ミクが現れた。

そのミクは元々いたミクと入れ替わるように町に馴染み、元いたミクは何らかの理由で住人の記憶から消えていた。

新しいミクにその真相を聞くが、答えは…

 

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初音ミク「なんのことかな?」

 

ミク「……!」

 

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ミク(こいつ…とぼけてる?いや、実際関係ない別の誰かの仕業ってことも…)

 

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初音ミク「あなたも初音ミクでしょ?この町に来たのなら、何かみんなが喜ぶ活動をするの?」

 

ミク「えっ?あぁ、いや…あたしはそういう事しないから。」

 

初音ミク「どうして?」

 

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ミク「ど、どうしてってそりゃ…才能ないからよ。初音ミクなら誰でも優れたエンターテイナーだって考えは古いわね。」

 

初音ミク「そんなことないよ!」

 

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初音ミク「ねぇ、あなたも歌は好きでしょう?なら一緒に歌おうよ!二人で歌ったらもっと楽しいよ、みんなを笑顔に出来るから!」

 

ミク「……!」

 

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ミク「勘違いしないで。」

 

初音ミク「?」

 

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ミク「あたしは歌が嫌いなの。」

 

初音ミク「えっ…?」

 

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ミク「じゃあね、初音ミク。本業はアンタに任せるから、せいぜいみんなを楽しませてあげなさいな。」

 

初音ミク「あっ、ちょっとミクちゃん!」

 

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初音ミク「………」

 

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なぜ私が歌を嫌いと言ったのか。

それを今話す気はない。

とにかくその日から、私の日常は一変した。

 

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うぉぉあの偽ミク許さんブチ殺したるわぁぁーーッ!

 

…とはならず。

誰も私のことを知らず。

まぁ、都合のいい時ぐらいしか呼ばれなかったことを考えると、あまり変わり無いのかも。

 

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エイミーは私に興味を持って絡んで来たけど、適当にやり過ごして去った。

そうやってワケわかんない人に話しかけるのはやめろと注意してから。

 

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新しいミクは、私に見せつけるかのように毎日ライブを行った。

毎回ステージを自分で設営して、ギターの人を変えたりして、新曲を披露した。

 

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三周年ライブはそれなりに盛り上がった。

千歌たちは今まで見たこともなかったミクと記憶を挿げ替えられて、それが偽物だとも知らずに一緒になって歌って、呑気なものだった。

 

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ひとつ怖かったのは、もしかしたら私の記憶の方が間違ってるんじゃないかってこと。

今まで見ていたものは夢で、自分は目覚めたばかりの初音ミクなんじゃないかって。

誰もそれを否定できる証拠を持っていないから、考えるだけ無駄なのに…その事ばかりが頭をよぎった。

 

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四日が経った。

 

初音ミク「聴いてください、ウィークエンド・シャッフル!」

 

ワァーーーーッ!

 

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ミク「……はぁ。」

 

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スッ…

 

?「そろそろ動かないとまずいわよ。」

 

ミク「あんたは…」

 

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ミク「坂間京子…」

 

京子「なに黄昏れてんの。このままあの偽物のミクに自分の居場所を乗っ取られていいわけ?

 

ミク「!」

 

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ミク「なんであたしのこと覚えてるの…?」

 

京子「スタンド。あたしの『スーパージェラス』で記憶を固定してあるから覚えてられるの。ちょっとした経験でね、定期的に固定するようにしてるから、記憶を書き換えられずに済んでる。」

 

ミク「そう、なんだ…」

 

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京子「この数日間、あなたの行動を見てたけど…焦るわけでもなく、ただボーっとしてただけ。この事態の重大さが分かってるの?」

 

ミク「…分からない、かな。」

 

京子「なら教えてあげる。」

 

 

 

ー四日前ー

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露伴「よう京子。お前が僕に話があるってことは、よほど面白い話なんだよな。おたくの水産業者が被害者入りのサメでも仕入れたか?」

 

京子「そういう話なら寿司屋であなたに振る舞ってる。」

 

露伴「人喰ったサメの味は気になるけどよ…まぁ話を聞いてやるぜ。」

 

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京子「初音ミクを知ってる?」

 

露伴「名前だけな。ウチの町にも歌が妙に上手いやつがいるだろ。」

 

京子「もしそれが偽物だとしたら?」

 

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露伴「………」

 

露伴「『固定』したのか?」

 

京子「ええ。正確な日時は分からないけど、この町の住人は何日か前からそのミクを本物だと思い込んでいる。元々いたミクも存在してるけれど、大人しく静観しているみたいね。」

 

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露伴「水木。」

 

水木「なに?抱くの?」

 

露伴「ヘブンズドアー…」

 

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露伴「あったぜ。敵の名前、目的、詳しい能力は不明だが…スタンド能力で間違いない。そして僕たちにかけられた効果は書いてある。」

 

京子「見せて。」

 

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露伴「『一週間、能力を解除しなければスノープリンセスの初音ミクが、スノーオウル初音ミクに入れ替わって町に存在することになる。現在三日目』…成る程な、条件をクリアすれば永続的に書き換えを完了させられるタイプのスタンドのようだぜ。古いミクの記憶は完全に消える。」

 

京子「射程はきっと私と同じ…町の中ってとこね。」

 

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京子「後は四日以内に本体を見つけ出すだけ。ありがとね。」

 

露伴「おいおい、僕に助けを求めたりしないのかよ?」

 

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京子「助けたいの?私を。」

 

露伴「まさか。お前がどうしてもってんなら手伝ってやらなくもない。」

 

京子「素直で素敵だこと。でも必要ない。」

 

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京子「この能力、実害があるのは元からいた初音ミクだけ。部外者が無理に関わる必要は無い。」

 

露伴「フン…なら一つだけ忠告しとくぜ。」

 

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露伴「この能力は恐ろしいほどしたたかで強力だ。こんな記憶操作系のスタンドが発現するようなヤツは、よっぽど欲深くて執着心が強い。簡単にどーにか出来る相手じゃあないぜ。」

 

京子「…知ってるわ。」

 

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京子「私やあなたが、そうであるようにね。」

 

ガチャン!

 

 

 

 

 

 

 

 

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京子「あれから四日。残念ながら敵の本体は判明してないし、タイムリミットも今日まで。」

 

京子「あなたは物憂げに町を徘徊しているだけ。どうする?」

 

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京子「諦める?」

 

ミク「………」

 

 

その3へ続く