アク劇 acl.630《ウィークエンド・シャッフル その3》 | ウィンテルフィギュア怪奇譚

ウィンテルフィギュア怪奇譚

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ほか、アニメやフィギュアの雑記や、ガチャ商品の購入報告などを行っています。

ー前回までのあらすじ

敵はスタンド使い。

一週間放置してしまえば、古いミクの記憶は永遠に消し去られてしまう。

そこまで突き止めた坂間京子は、7日目にしてミクと接触。

しかしミクの浮かない顔はそのままだった。

 

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京子「私はどちらでも構わない。あなたとは友達というわけでもないし、このままで困るわけじゃない。」

 

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京子「どうする?」

 

ミク「じゃあ…」

 

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ミク「このままでいい。」

 

京子「……!」

 

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京子「ハァ…」

 

京子「これはちょっと予想外。お尻を引っ叩けば動くと思ったのにね。」

 

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京子「いい?初音ミク…」

 

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京子「あたしはアンタを助けたい。」

 

ミク「!?」

 

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ミク「どっちよハッキリしないわね。」

 

京子「確かにあなたと私は無関係。だけどこのスタンド攻撃には関係がある。」

 

京子「私には、友達の記憶を操って傷つけた過去がある。」

 

ミク「!」

 

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京子「だから『責任』がある。この町がまたそんな人たちに侵されようとしているのなら、必ず止める責任が。」

 

ミク「責任…」

 

京子「そして何より、関係なかろうが千歌たちの頭をいじくりまわした輩は許さない。あたしが絶対にスタンド使いを倒す。」

 

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ミク「なら、違う仲間を連れて敵を倒せばいいじゃん。露伴とか。」

 

京子「関係ない人を巻き込むのはナンセンス。」

 

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京子「でもアナタは違う…!」

 

京子「当事者なんだから!」

 

ミク「っ!」

 

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京子「そんな顔で戦われても邪魔になるから手伝えとは言わない。」

 

京子「でもこれから私が『何を』助けるかは知っておきたい…!どんな覚悟で戦わない方を選んだのか『納得』できなければ前に進めない!」

 

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ミク「…いいわよ、じゃあ納得させてあげる。あたしがいかに異端なミクかってことを。」

 

京子「異端…」

 

 

 

 

 

ー数年前ー

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知ってるとは思うけど、初音ミクという存在はそれを求める人たちによって、ある日突然この世へ呼び出される。

そして初音ミクは、他のミクと同じように、この世界で癒しを求める人たちのために奉仕を始める。

 

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でもあたしは違った。

あろうことか、生み出されたときから歌が嫌いだったの。

歌で人々を幸せにするミクには致命的な欠陥だった。

ミクが綺麗に整えられた電化製品だとすれば、あたしは何かの欠陥で本来返品されるべきだったガラクタよ。

 

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仕方がないから、自分に合う特性を探して世界を彷徨った。

けっこう色々やったよ。

バイトとか、モデルとか、役者とか。

でも全て楽しくなかった。

他のミクはあんなに幸せそうに歌って、あんなに多くの人を幸せにできるのに。

 

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そこからはもうヤケよね。

気まぐれで喧嘩師とかいうワケわかんないキャラを名乗り始めて、すぐにこの町に行き着いた。

 

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そして気づけばやられキャラよ。

ホントはね、ちょっとそういうの楽しかったりするんだけど…ミク本来の役割とは違う。

他人を幸福にしない。都合のいい時だけ呼び出される、ソバの出前みたいなもの。

 

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だからみんながあたしを忘れた時も、別に何とも思わなかった。

結局こんなものだよね、って。

むしろ、あたしの代わりに入ったあのミクが大勢を幸せに出来るのなら、願ったり叶ったりよ。

あたしの存在は新しいミクに明け渡すためにあったんだって。そう思うと、誇らしい気さえする。

 

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ミク「だからあたしにとって、戦わない選択は限りなく正しい。どう、分かってくれた?あたしがいかに異端なミクか。」

 

京子「………」

 

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京子「そういうのはいいわ。」

 

ミク「どういう意味よ。」

 

京子「あたしが聞きたいのはアナタ本人がどうしたいかって事。」

 

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京子「悪いけどあたしにとってこの町のミクはアンタだけ。関係ないとは言ったけど、友達の友達だし。正直言って、あの新しいミクは得体が知れなさ過ぎて気持ち悪いわ。そんなミクに取って代わられるのは御免被る。」

 

ミク「友達なんかじゃない!!」

 

京子「!」

 

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ミク「友達なんかじゃない…!あたしはただの都合のいいサンドバッグの初音ミクだから!」

 

京子「それでも!」

 

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京子「思い出を失ってもいいの!?」

 

京子「他のミクなんて関係ない!ちょっとは楽しかったっていう、あなた自身の思い出が無くなるのよ!?そんな人生あっていいわけない!あたしは一人の人間としてあなたに話をしている!」

 

ミク「分からないよ!!」

 

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ミク「分からないっ…!もう何を信じて生きていけばいいのか…私には分からないよぉぉっ…!」

 

京子「………」

 

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京子「分かった。もう、これ以上は言わない。」

 

ミク「うっ…うぅっ、うっ…」

 

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京子「じゃあね。私は急いで敵の本体を割り出さなきゃいけないから。」

 

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ザッ

 

?「何やら騒がしいから来てみれば…」

 

京子「?」

 

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チャッ!

 

ネビュラ「新しいミクがどうのこうのと…」

 

京子「!?」

 

京子(こいつは確か、ネビュラとかいう賞金稼ぎ…!)

 

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ネビュラ「お前たち、私の記憶喪失について何か知っているな?」

 

京子「!!」

 

ミク「!?」

 

ネビュラ「吐かなければ撃つ。」

 

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京子(記憶喪失に気づいている…!?)

 

 

その4へ続く